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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月17日

ザ・ドラマチック 「麿赤兒自伝」 麿赤兒

独特な文章で少々読みにくいが

怒涛の60年代を生きた役者、

エピソードのひとつひとつが

芝居を観ているようで飽きない。



なかでも、

新宿「風月堂」でコーヒーを飲んでいた麿に

近づき、「失礼します、私、カラジュウロウと

申します。これを読んでいただけませんか」と

いきなりノート大の紙の切れ端を差し出した

話はすごい。



切れ端には、「月笛葬法」というタイトルと、

小さな床屋でのやりとりが書いてあった。

客の男「何てジメジメした陽気だろう」

床屋 「何だって」

客の男「何てジメジメした陽気だろう」

そこへ誰かが床屋の扉を開いた。

男「ゴメンクダサイ、サヨウナラ」



脚本はそれだけだった。

「この芝居を近いうちにやりたいのですが、

ご一緒にやりませんか」と唐。

「これじゃ、二分か三分くらいで終わっちまいますよ。

客を集めて見せるのですか」と麿。

「スミマセン、すぐに書き上げますよ」と答え、

三日後に完成台本を持ってきて、麿は状況劇場に

入った。



……見事な一幕劇でしょ。

この本に出てくる俳優、大久保鷹さんは、

僕が最初に脚本・プロデュースした映画

「千年火」を気に入ってくださって、

そのご縁で新宿ゴールデン街の「骨歌」という

酒場で結構語り飲んだ。



それから半年後ぐらいだったか、

鷹さんから電話があり、足立正夫監督の新作を

九州でプロデュースして欲しいと依頼されたが、

「公安につきまとわれるんでしょ」と答えると、

「高坂さんならそのくらいなんてことないでしょ」

だって。

丁寧にお断りした。



60年代を駆け抜けた熱い男たちとは

近づくとやけどをするので、遠くから、この本を

読むように、距離を置くのに限る(笑)。



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