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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月17日

読み応えずっしり 「君が異端だった頃」 島田雅彦

作家の自伝的小説に外れなし。

と僕は思っている。

元手がかかっているぶん、

読み応えがあるのだ。



島田さんのこの本もそうだった。

孤独な少年期、青春の煩悩、

文豪たちとの交流や女性遍歴などを

赤裸々に描いている。



なかでも中上健次との交流は壮絶だ。

中上はあるときから、いじめのように

島田に絡んでいく。

著者は中上のことをこう記す。



「文学者は誰しも多かれ少なかれ自己愛の

塊で、肥大化した承認願望を抱えているものだが、

(中略)大抵の人は被害妄想に縮こまっており、

自分教の布教にまでは至らない。

ところが、中上ときたら、創造の神は自分を

贔屓にしていると信じて疑わないし、自分が

メインで過去の文豪は前菜に過ぎないとまで

思いあがることができた」



島田を殴ると豪語し、酒場を練り歩く中上。

けれど他のものが同じことを口にすると、

「島田を殴るのはオレで、ほかのやつには

絶対に殴らせない」と叫ぶ。



酒場で誰彼となく絡む中上の様子を眺め、

東大教授だった西部邁は、

「小説家は誰もがあんな風にノイローゼなの?」

と島田に尋ねたそうだ。



けれど中上が亡くなったとき、著者は

「これでようやくあの男の抑圧から解放されるのだと、

君は考えようとしたが、何一つ恩返しできなかった

負い目と置いてけぼりを食った寂しさのほうが

大きかった。

中上のいない世界はどれだけ虚しく、退屈かを

想像すると、いたたまれなかった」と書く。



いやー文学者の屈折、自己顕示欲は凄いね。

これを知っただけでも読む価値十分でした。

ちなみに、第71回読売文学賞小説賞大賞受賞作です。





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