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2016年05月26日
第217回 キルク草履
文●ツルシカズヒコ
神近市子が日蔭茶屋事件について言及している、以下の三つの資料に沿って、この事件に迫ってみたい。
●『引かれものの唄』
●「豚に投げた真珠」(『改造』1922年10月号/『神近市子文集1』)
●『神近市子自伝 わが愛わが闘争』
逗子の警察に自首した神近は横浜根岸監獄に収監されたが、一九一七(大正六)三月七日に保釈になった。
神近の控訴審判決が出たのは、同年六月十七日だった。
懲役二年。
弁護士は懲役一年くらいにしょうと考えていたが、神近は二年の刑に服し、早くさっぱりしたかった。
弁護士は控訴を取り下げた。
神近が東京監獄八王子分監に下獄したのは同年十月三日だったが、彼女が保釈後、東京監獄八王子分監に下獄するまでの間に書かれたのが『引かれものの唄』である。
同書の冒頭には「礼子の幼き霊に捧ぐ」という献辞が記されている。
神近と高木信威(たかぎ-のぶたけ)との間に生まれて、神近の郷里に預けてあった礼子が病死したのは、神近が保釈になった直後だった。
神近はかつて『青鞜』の愛読者であり、寄稿者であり、青鞜社の社員でもあった。
そのあたりのことを彼女はこう記している。
女の群の人々の間で、私はY夫人の芸術を愛した。
T夫人の才気を好んでゐた。
H女史の努力を称してゐた。
けれど、個人としてのそれらの人々を愛する以上にそれらの人々の書き物を愛してゐたとは、私としてはどうしても云はれない。
私はY夫人を人として母として尊びもし敬ひもした。
T夫人の生活に興味を持ちもしよろこびもした。
H女史は、友人として尚ほ深く愛してゐた。
けれどお前の女を私は事実余り知らなかつた。
顔を見たと云ふことが知つたと云ふことであり、何かの用件で一二本の葉書か手紙を書いたと云ふことが知己だと云ふのなら別とするけれど、私は事実あまりお前の女を知らなかった。
H女史の庇護によつて東京に出られた翌日、S社の暗い夜顔を合せた時には、私はH女史と一所に『子守さん』のやうな印象を受けたことを覚えてゐる。
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p153)
「Y夫人」は与謝野晶子、「T夫人」は田村俊子、「H女史」は平塚らいてう、「お前」は大杉、「お前の女」は野枝、「S社」は青鞜社である。
「何かの用件で一二本の葉書か手紙を書いた」というのは、一九一三(大正二)年一月八日、紅吉の家に神近、哥津、野枝が集まり、新年会の打ち合わせをし、案内状を書いたときのことである(第57回 第58回)。
人として受けてゐた印象がさうであり、そして書かれたものは見たことはなかつたし(私は夙[はや]くからS雑誌の購読を止してゐたから)その上に文字で書いたものと云ふもの凡てを少しも評価はしなかつたし、周囲と境遇とは全く別であつたし、私はどの点から云つてもお前の女に対しては全くの白紙であつた。
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p154~155)
一九一六年の正月、神近は同僚に誘われて歌舞伎座で歌舞伎を観たが、そのときに同じ枡席で野枝と同席したという。
神近と野枝の対面は、一九一三年の正月にふたりが紅吉の家で会って以来、三年ぶりくらいだったと思われる。
当時、野枝と青山菊栄が『青鞜』誌上で廃娼論争をしていたころだったので、神近は菊栄を呼び出してふたりの間の仲介の労を執った。
その日は私は努めて好意を持たうとしてゐた。
その日は、Aさんと二人で演伎座のKーー協会を見に行く約束になつてゐたのを、変更したのであつたから、同僚の人と相談して、電報でAさんにも歌舞伎に来て貰ひ、その頃S誌で論争をしてゐた二人を、私は偶然にも紹介しなくてはならない破目になつた。
それで、私は出来るだけ愉快にその労を果したいとした。
始めの覚悟にも似ず、私はその夜も大した親しみは持たなかつた。
只だ一寸顔を見合はして別れて行く、私共の間の関係は、それが相応であり自然である運命であつたのだ。
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p155~156)
青鞜社の関係者などから野枝についての話を聞かされた神近は、野枝をますます嫌悪するようになった。
……多くの人に印象してゐるお前の女は、矢張り到底私とは、人世と個人とに対する対度に於いて、文字や芸術に対する理解に於いて、又個人的の感情と情操とに於いて、全く一致することの出来ない、従つて同情することも理解することもできない、運命を持ち合つてゐたのだ。
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p156)
野枝が千葉の御宿の上野屋旅館に滞在したことについて、神近はかつての青鞜社の仲間から、こんな話を聞いたという。
『あの人は知らず/\のうちにHさんを真似てるのよ、Hさんは若い人達の前では随分思ひ切つてひどい生活をして見せましたからね、屹度あの人はいくらか羨望を持つてHさんを見て居たのよ、それでそれが自分の許されると同じやうなことがして見たくなつたのさ、ごらんなさい、今にマントを着たり、旅行したりするから、Hさんが行つてゐた千葉に行くなんて一寸面白いぢやないの』
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p254)
一九一六(大正五)年十一月七日。
日蔭茶屋にやって来た神近が、大杉と野枝を見た際の印象をこう書いている。
お前たちが二人一緒であるかも知れないとは、私には思はれてゐたことなのですけれど、実際を見た時に、私は殆ど呆れたやうな気持がしました。
それは安物のキルク草履やヨレ/\になつた木綿の帯や、どこか貧しさから這ひ出した人のやうな気持を与へられはしましたが、ツイこないだまで一枚の単衣(ひとえ)に秋雨の寒い日を慄(ふる)えて居たり、質にあるセルが出せなくて下宿の二階に寝てゐた人々の持つてゐる心静かさと落付とは、私にはどこにも見出せないやうに思ひました。
腰肌ぬぎになつて大鏡の前で化粧して、ピラ/\する新調のお召着を重ねて、プカプカと煙草をふかしてゐられるお前の女を見てゐると、私は気恥しくて居たゝまれないやうな気がした。
『この人達の恋愛は、こんなことなのか』
ソフヒストよ。
私はかう思ひましたよ。
(神近市子『引かれものゝ唄』・法木書店_p252~253)
★神近市子『引かれものの唄 叢書「青鞜」の女たち 第8巻』(不二出版・1986年2月15日 /『引かれものゝ唄』・法木書店・1917年10月25日の復刻版/『神近市子著作集 第一巻』・日本図書センター・2008年)
★『神近市子文集1』(武州工房・1986年)
★『神近市子自伝 わが愛わが闘い』(講談社・1972年3月24日)
●あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝 index
第216回 午前三時
文●ツルシカズヒコ
一九一六(大正五)年十一月九日、日蔭茶屋のどこかの時計が午前三時を打った。
ふと、大杉は咽喉のあたりに熱い玉のようなものを感じた。
「やられたな」
と思って、いつのまにか眠ってしまった大杉は目を覚ました。
「熱いところをみると、ピストルだな」
と思った大杉が前の方を見ると、神近が障子を開けて部屋の外へ出て行こうとしていた。
「待て!」
大杉が叫んだ。
神近が振り返った。
彼女の顔色は死人のように蒼ざめ、普段でも際立っいる顔の筋が、ことさらに際立って見えた。
そして、ひどくびっくりしたように見開いたその目には、恐怖と憐れみを乞う心とがいっぱいに充ちているように大杉には見えた。
「許して下さい」
この言葉は意外だったが、大杉は許すことができなかった。
その瞬間、なんという理屈はなしに、大杉はただ彼女を捕まえてそこへ叩きつけなければ止まなかった。
大杉は起き上がり、逃げようとする神近を追って縁側まで出た。
神近はそこの梯子を走り降りた。
続いて走り降りた大杉は、彼女の背中に飛び降りるつもりで飛んだが、彼女が降り切るのがほんの一瞬だけ早かった。
彼女は下の縁側を右の方へ駆けて、七、八間向こうの玄関のところからさらに二階の梯子段を登った。
大杉は梯子段を飛び降りたときから、急に足の裏の痛みと呼吸が困難になってきたのを感じながら、なお彼女を追っかけて行った。
その二階は、大杉の居室がある二階とは棟が違っていて、大きなふたつの部屋の奥の方は、その夜、宿の親戚の女たちの寝室になっていた。
神近はその手前の部屋の中に入り、紫檀のちゃぶ台の向こうに立ち止まった。
「許して下さい」
彼女は恐怖で慄えながら、また叫んだ。
大杉はちゃぶ台を踏み越えて、彼女を捕まえようとした。
彼女はまた走り出した。
奥の部屋に寝ていた女たちは、大杉の方を見つめながら慄えていた。
大杉は呼吸困難で咽喉がヒイヒイ鳴るのを覚えながら、なお彼女を追っかけて行った。
彼女はさっきの梯子段を降りて、廊下をもとの方へ走り、もとの二階へは昇らず、そこから左の方へ便所の前に折れた。
そして、その折れた拍子に彼女は倒れた。
大杉も彼女の上に重なって倒れた。
大杉はそれから時間がどれだけ経過しのかわからなかったが、ふと気がついてみると、血みどろになってひとりでそこに倒れていた。
呼吸はもう困難どころではなく、ほとんど窮迫していた。
「これはいけない」
と思った大杉はようやく壁につかまり立ち上がって、玄関の方によろめいた。
玄関のそばには女中部屋があった。
大杉は女中を起こして医者を呼びにやろうと思ったが、その女中部屋の前でまた倒れてしまった。
倒れると同時に、大杉はその板の間が血でどろどろしているのを感じた。
大杉は女中を呼んだが、返事はなかった。
二階の宿の親戚の客に脅かされて、みんな一緒に奥の方へ逃げ込んでいたのである。
しばらくして、その親戚のひとりの年増の女がおずおずと、倒れている大杉のそばに来た。
「あのね、すぐ医者を呼んで下さい。それから東京の伊藤のところへすぐ来るように電話をかけて下さい。それからもうひとつ、神近の姿が見えないんだが、どうかすると自殺でもするかもしれないから、誰か男衆に海岸の方を見さして下さい」
大杉は咽喉をひいひい鳴らしながら、ようやくのことで言った。
そして、大杉は煙草をもらって、咽喉の苦しさをごまかしていた。
その時になって、大杉は傷はピストルではなく刃物だということが分かった。
やがて、どやどやと警官が入って来た。
そのひとりがすぐに大杉に何か問い尋ねようとした。
「馬鹿! そんなことよりもまず医者を呼べ。医者が来ない間は貴様らにひとことも言わない」
大杉はその男を怒鳴りつけながら、頭の上の柱時計を見た。
三時と三十分だった。
「すると、眠ってからすぐなのだ」
と大杉は自分に言った。
それから十分か二十分かして、大杉は自動車で日蔭茶屋からいくらもない逗子の千葉病院に運ばれた。
そしてすぐに大杉は手術台の上に乗せられた。
「長さ……センチメートル、深さ……センチメートル。気管に達す……」
院長が何か傷の中に入れながら、助手や警官らの前で口述するのを聞きながら、大杉はこう思った。
「今日の昼までくらいの命かな」
大杉はそのまま深い眠りに陥った。
以上、日蔭茶屋事件を大杉が事件の六年後に『改造』に発表した「お化を見た話」に沿って書いてみた。
この事件の当事者は大杉と神近のふたりだが、他に目撃者はいないので「真相」は当事者のふたり以外は知ることができない。
「お化を見た話」は一方の当事者である大杉が見た日蔭茶屋事件である。
ちなみに、大杉が運ばれた千葉病院の院長・千葉吾一は「五日市憲法」の起草者のひとりである。
●あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝 index
第215回 だけど
文●ツルシカズヒコ
一九一六(大正五)年十一月八日、夕食をすませると大杉はすぐに寝床を敷かせて横になった。
神近はしばらく無言で座っていたが、やがてそばの寝床に寝た。
大杉は長年の病気の経験から、熱のあるときは興奮を避けてできるだけ何も考えないようにして、ただ静かに眠ることにしていたが、なかなか眠れなかった。
大杉は前夜の神近の恐ろしい顔を思い出した。
「ゆうべは無事だったが、いよいよ今晩は僕の番だ」
大杉はそう思いながら、神近がどんな兇器を持っているか想像してみた。
彼女はよくひと思いに心臓を刺すと言っていた。
とすれば、短刀だろうか。
それをどこに持っているのだろう。
彼女は小さな手提げを持っていたが、あんな小さな手提げでは七、八寸のものでも隠せまい。
懐ろの中にでも持っているのだろうか。
とにかく、刃物なら恐れることもない。
振り上げたときに、すぐにもぎ取ってしまえばいいのだ。
ピストルだったら、ちょっと困る。
どうせろくに撃ち方も知らないのだろうが、それにしてもあんあまり間が近すぎる。
最初の一発さえ外せば、もうなんのこともないのだが、その一発がどうかすれば急所に当たるかもしれない。
一発どこかに撃たしておいて、すぐ飛びかかっていけばいいのだ。
女のひとりやふたり、何を持って来たって、恐れることがあるものか。
「ね、何か話しない?」
一、二時間してから、神近が大杉の方に向き直って泣きそうに話しかけた。
「してもいいが、愚痴はごめんだ」
「愚痴なんか言いやしないわ、だけど……」
「そのだけどが、僕はいやなんだ」
「そう、それじゃ、それも止すわ」
「それよりも、この一、二日のお互いの気持ちでも話そうじゃないか。僕はもう、こんな醜い、こんないやなことは飽き飽きした。ね、お互いにもう、いい加減打ち切りどきだぜ」
「ええ、私ももう幾度もそう思っているの、だけど……」
「まただけど、だね。そのだけどで、いつも駄目になるんだ。今度こそもうそれを止しにしようじゃないか」
「だけど、もっと話したいわ」
「話はいくらでもするがいいさ。しかし、もう、お互いにこんないやな思いばかり続けていたって、仕方がないからね。本当にもう止しにしようよ」
「ええ……」
神近はまだ何か話したそうだったが、その話の先をいちいち大杉に折られてしまうので、今度は黙って何かを考えているようだった。
大杉はどうせなら、神近の持っている殺意にまで話を進めたかったが、彼女が折れて来ているので、そのタイミングがつかめないでいた。
大杉はとりあえず、これ以上、彼女が折れて来るのを防ぐことだけを考えていた。
神近はそれっきり黙ってしまった。
大杉も黙ってしまった。
大杉はこれだけのことでも言ってしまったので、多少胸がすっきりして、静かに眠ったようにしていた。
「ね、ね」
それからまた一、二時間ぐらいして、神近が大杉に話しかけるように言った。
「ね、本当にもう駄目?」
「駄目と言ったら駄目だ」
「そう、私、今何を考えているのか、あなたは分かる?」
「そんなことは分からんね」
「そう、私、今ね、あなたがお金のないときのことと、あるときのことを考えているの」
「というと、どういう意味だい?」
「野枝さんが綺麗な着物を着ていたわね」
「そうか、そういう意味か。金のことなら、君に借りた分は明日、全部お返しします」
大杉は金のことを言い出されて、すっかり憤慨してしまった。
「いいえ、私、そんな意味で……」
「いや、金の話まで出れば、僕はもう君とひと言も交わす必要はない」
大杉は神近がまだ二言、三言何か言っているのも受けつけずに黙ってしまった。
いつでも気持ちよく、しかも多くは彼女から進んで出していた金のことを、今になって彼女が言い出したことは、大杉にとってはまったく心外だった。
金ができたから彼女を棄てるのだというような意味のことを言われるのも、そうだった。
大杉は金の出道を彼女には話していなかった。
それも彼女には不平のひとつらしかったが、そのころ、大杉はそれを打ち明ける同志としての信用を神近に持ってはいなかった。
「雑誌などはどうでもいい、明日、後藤からせしめた金を野枝に持って来てもらって、こいつに投げつけてやるんだ」
大杉はひとりそう決心をした。
普段、人の着物なぞにちっとも注意しない彼女が、そういえば野枝の風体をじろじろ見ていた。
大杉が少しうとうとしていると、誰かが蒲団に触るような気がした。
「何をするんだ?」
大杉は体を半分蒲団の中に入れようとしている神近を見て怒鳴った。
「○○○○○○○○○○○○」(※筆者註/大杉栄「お化を見た話」では十二字削除されている)
神近はその晩初めて口をききだしたときのように、泣きそうにして言った。
「いけません、僕はもうあなたとは他人です」
「でも、私、悪かったのだから、謝るわ。ね、話して下さいね。ね、いいでしょう」
「いけません。僕はそういうのが大嫌いなんです。さっきはあんなに言い合っておいて、その話がつきもしないのに、そのざまはなんていうことです」
大杉は彼女の訴えるような、しかしまた情熱に燃えるような目を手で退けるようにして遮った。
彼女の体からは、その情熱から出る一種の臭いが発散していた。
ああ、彼女の肉の力よ。
大杉は神近との最初の夜から、それをもっとも恐れかつ同時にそれにもっとも惹かれていた。
彼女はヒステリカルな憤怒の後に、その肉の力をもっとも発揮するのだった。
この夜の彼女は、初めから執拗さや強情が少しもない、むしろ実にしおらしくおとなしかった。
しかし、このしおらしさが彼女の手と言ってもいいので、大杉は最初からそれを峻拒していた。
神近は決然として自分の寝床に帰り、じっとしたまま寝ているようだった。
大杉は仰向けになり、両腕を胸の上に並べて置き、彼女が動いたらすぐに起き上がれる準備をして目をつぶったまま息をこらしていた。
一時間ばかりの間に、彼女は二、三度ちょっと体を動かした。
その度に大杉は拳を固めた。
やがて、彼女は起き出して、大杉の枕元の火鉢のそばに座り込んだ。
大杉は具合が悪いなと思った。
横からなら、どうにでも防げるが、頭の方からでは防ぎようがないと思った。
しかし、大杉は今さら起きるのも業腹だった。
ピストルで頭をやられたらちょっと困るが、ピストルはそう急に彼女の手に入るまい、兇器は刃物だろう、刃物なら防ぎようがあると大杉は思った。
「しかし、今度は決して眠ってはならない。眠ればおしまいなのだ」
大杉は自分にそう言い聞かせて、目をつぶったまま両腕を胸の上に並べて息をこらし、頭の向こうの静動を計っていた。
●あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝 index