ふと、僕は自分の記憶が30日しか持たないことを思い出す。
今のこの思い出も、あと15日程度で忘れてしまうのか。
そう思うと、なんだか胸がぎゅっと締め付けられるような気分になる。
「どうしたの?お兄ちゃん。」
いつの間にかこちらを向いていたミリィに声を掛けられる。
もし、僕が彼女との思い出を忘れてしまったら、彼女はどう思うのだろうか?
きっと彼女は悲しむだろう。
でも、僕には自分の記憶喪失のことはどうしようもできない。 だから、せめて、今だけでも、ミリィを楽しませなければ
「夏と田舎と義理の妹」という、王道もの。
全体的に、和やかな空気感。
金髪碧眼妹のミリィとふたりで、自転車に乗ったり、バドミントンしたり、海で水遊びしたり(水着シーンが無い…(´・ω・`))バーベキューしたり、駄菓子屋に行ったりと、まさに穏やかな夏という感じだ
主人公24歳、ヒロイン高2と年齢は高めだが、小学生時代を思い出す良さがある(こう感じたのは、伏線というか、作者の狙い通りかも)
ミリィも義妹ヒロインらしく甘えて来るので、可愛いね。
感情豊かで、洗濯しようとパンツ
義妹が外国人という珍しい設定で、「そうわね」「なのだわ」のように、過剰なくらい女の子言葉を使う。
現実でこの喋り方をするのはヤネキだけでしょう
そんなまったり夏ゲーだが…………
主人公が30日に1度記憶喪失になるという、一見すると世界観に不似合いな設定がある
本編開始前のプロローグも、実は不穏だ。
妹とのきれいな夏の思い出もあと何日で忘れてしまう…と物語は展開
「メメント」的に、思い出を日記に書き残す
ところが……
ミリィとの生活の中、ふと不穏な空気を感じ記憶を疑うが、すぐさま頭に靄がかかったように、その事を忘れてしまう
ミリィを問い質しても、上手くはぐらかされる
主人公は町に子供が1人もいない。携帯電話が無いなど、幾つもの違和感に気づく…
プレイヤーとしても、読んでて「おや?」と違和感のあるシーンがある
果たして「僕」は何者なのか、ミリィの正体は…
というミステリ要素もあり、爽やかなだけではなく、一筋縄ではいかない良作だ
ストーリー設定は王道なので先を読みやすいが、描写が上手く、つい感情移入してしまった。特にフリー音楽の名曲「雲わすれの夏」が流れるシーンは、余りの悲壮感に(´;ω;`)ウッ……となった。
そして王道でありながら、「お兄ちゃんが思っている以上に複雑な話だわ」と、種明かしの前に、盛大な前フリがあるのだが…
しかし最大の問題点として、実はこのゲーム…
いまだ未完!!!
m9(;´∀`)
7章のうち、「流れ星に願いを(序章〜5章)」までしか配信されていない。
しかもこれだけ面白いのに、ネット上にレビュー感想が1件も投稿されていないではないか……
私はこのブログの目的の1つとして「隠れた名作のサルベージ」を挙げているが、意義ある発掘でありながら「なぜこの良作が無名なのか?」と愕然としてしまった
作者も気を揉んでるようで、「ゲームをプレイする人がいなくても、未完成のままでほったらかしにするのは良くないですし。」との、偉いやん!と言いたくなる発言をブログでしている(多分9割のフリゲは作者が頓挫し、放置されている)
この隠れっぷりは「織リシ心ノ果テニ」「あいちゃんピキング!」以来ではないか
ましてやCSなら、今時ネット上に感想が1つも無いなど、まずありえないだろう。
……
だが、これだからフリーゲームというものは止められないのだ。フリーゲーム探しというものは。
子供の頃、雑貨の山から自分だけの宝物を探した時のような。
今はもう閉店したゲームショップで「今日は何か面白いゲームないかな〜」と棚を物色した時のようなドキドキ感が、いまでもある。それがフリーゲームだ。
「恥ずかしがらずに出てきてよ」といいたくなるほど隠れた良作を探すのが、面白いのだ。
そういう意味でも面白かったし、おすすめだ。
多忙な作者だが、「FF7R」よりは早い完結を目指して頑張って欲しい。
立ち絵はとくだ屋だし(しかも初期verはそれすらなかった)、ティラノビルダーで作ったシンプルなノベルゲームだが、なーんかこういうゲームは好きなんだよなあ……
評価は今のところA 80点くらいですけど、完成を流れ星に願いながら、完結まで保留です…ね……
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