高校二年生になった及川翠(おいかわ すい)は憧れの水原来未(みずはら くみ)と同じクラスになる。
翠にとって、来未への想いは恋愛感情よりも崇拝に近かった。
ひょんなことから来未と仲良くなった翠は、我慢できずにその想いを来未に告げてしまう。
戸惑いながらも、来未は翠の想いを受け止め、二人は晴れて恋人同士に。
そうして、想い人と恋仲になった翠は幸せな日々を送っていた。
だが、そんなある日、翠は来未の「ある事実」を知ってしまうのだった……。
▼まーこのゲームは…
どういうゲームか、というより…
あらすじの「ある事実」とは何か?がそのままメインテーマなので、
書いてしまったら、面白さが減ってしまうだろう。
だから一応ネタバレは伏せるが、勘のいいガキはタイトルとロゴだけで気づくかもしれない
古くはボイスコミックにもなった「センチメントの季節」。
さらに古くは「電影少女」など、
最近でも漫画の題材によくなっているので別に隠すほどのことはないが、
可能な限り、読者には新鮮な状態でフリゲを楽しんでほしいからね
▼というわけでこの「親愛なる彼女の痕跡」はジャンルとしては、ギャルゲーだね。
主人公「翠」はヒロイン「来未」に片思い中。恋愛というより崇拝に近い。危ない少年だ
ところがそんな恋愛対象…または崇拝対象である来未とひょんなことから付き合うことになるが、彼女の「ある事実」を知って、意気消沈…
ショックで吐いてしまうほどの精神的ダメージを受ける
ショックのあまりかつてない暴走を繰り広げ、驚いたことに、最後まで暴走が続く…
▼ふつうこのパターンでは終盤、主人公が考えを改めてコトが丸く収まるのだが、そのようなご都合主義は一切なし。自分の価値観を最後まで曲げず、エピローグを迎える
1つ作者が英断だったのは、来未と結ばれるエンディングが無いことだね
主人公にはさっぱり感情移入、共感ができないが(私なら幼馴染ヒロインの「桃花」に投資する)、
来未と結ばれなかったことで、こいつはこいつなりに、ゆがみながらも来未に本気の恋愛感情らしきものをぶつけていたんだなと納得できるからね
本当に英断だよ
この手のゲームでは大体トゥルーエンドだのなんだのと無理矢理ヒロインとくっ付けたがるが、こういう別れもあるんだよ。別れの美学といってもいいね。
中途半端なハッピーエンドなんかより、私の記憶にはずっと残ったよ
すべてのエンディングを見てタイトル画面からヒロインが消えた時、「本当に終わった」と腑に落ちた
▼ゲームとしてはグラフィックもきれいで、
主人公以外ボイスつき。みんな結構上手だ。
総じてかなりの力作。
評価を分けるのは間違いなく主人公の価値観なのだが、
共感できないからダメゲーというわけでもなく、
また、共感できたから名作だなんて、安直なものでもない
主人公は主人公なりに、ヒロインの事実を知って、悩みぬいたからね…
その結果が、ほとんど逃げだとしても…
主人公がヒロインにとった決断が正しいかどうかなんて、他人にはわからない。
すべての読者、プレイヤーに、答えは存在する
まさにプレイヤーの恋愛観や〇〇観(書いてしまったらネタバレなので伏せる)を問う、
非常にチャレンジングな一作といえる
評価B+
70点
私は常々「フリーゲームの”らしさ”って、フリーゲームでしかできないことをやることだよね」といってきたが、「親愛なる彼女の痕跡」は、その意味ではまさにフリゲらしいフリゲだね。
これ、絶対商業だと無理だから。
無理だからっていうか……”無理だった”から
…
ヒロイン、水原来未のかかえる事実…
そして主人公、翠のとった決断…
是非キミの目で確かめて欲しい!
ほかにもノベコレゲーをいろいろプレイしたが、「君とは絶対に別れない」がおすすめだ。
こんなに気持ち悪い主人公は久々だ。
いい意味で気持ち悪かった(「親愛なる彼女の痕跡」は悪い意味で気持ち悪い)
「私の人形を探さないで」「触れたくないけど、そばにいて。」「あなたの命の価値外伝 井畑沙希と児童相談所の話」「カナタの夏初月 〜石垣島編〜」もやっていこう
「カナタの夏初月 〜石垣島編〜」は「街 〜運命の交差点〜」を筆頭に(人物が実写じゃなくとも)実写ゲー好きだから期待大。しかも実在の土地を舞台にした恋愛ものだ。この条件にマッチするフリゲでは、「Island Girls」が良作だったな
「あなたの命の価値外伝 井畑沙希と児童相談所の話」は少し懐かしいフリゲの外伝だが、「2」でなくとも「1.5」というか、続編っぽい。
【ふりーむ!に「ヒカリノチハレ」の感想が投稿されている】
>それと、やる気については下がる機会はそこまで多くはないのですが、反面上がる機会もそこまで多くないという点は少々気になりました。
レビュー感想に書いた通り、同意。誰もが気になるところ。
特に学校が再開されるとやる気が落ちるのが、意味不明。
ふつう学校が始まると、テンションが上がるじゃない?
ましてや主人公は彼女かそれに近い女性がいるので、やる気が下がる意味がない。
作者は成人っぽいが、学校が好きではなかったのだろうか?
私は高校の頃は特にだが、学校が好きだったので、始業式でやる気が落ちることが、いまいち理解できなかった。
繰り返すが、彼女がいるなら上がるのが普通だろうと。
この人も高評価しているが、「ヒカリノチハレ」はやはり良作だね。
コンプするレベルまでやったなら、絶対どハマリしてるよ。
難易度は何があっても修正しないでほしいね。
難解さを楽しむゲームなんで。
昼間なのに背景が夕方などの不整合もあるが、そういうところもレトロゲーム的な良作かも(「逆転裁判2」は夜でも昼の背景だった)
【このカテゴリーの最新記事】
実をいうと「シンカノ」をプレイしているとき何度か、シンヤカワスミプレゼンツ作品が、頭を過りました。
「女(男)が決して男(女)に都合のいい人形ではない」「テーマの1つだが、恋愛がすべてではない」など、通ずる部分があります。
そして形は違えど、ヒロインが童貞煽りをしてきます。ふつうは書かないシーンなので、「リバゲ」や「シンカノ」は希少なフリゲです。
序盤でインパクトあるパンチを打ち、徐々に好転するかと思いきや最後まで救いがないストーリーも痛烈に刺さり、
題材が題材だけにヒットするタイプのフリゲではありませんが、記録より記憶に残る一作でした。ボイスコ勢も上手です。
私もシンちゃんも人物に感情移入していないがゆえに、客観的に本作の凄さを読み解けたのだと思います。
でも主人公とヒロインがあまりにも頭が弱い子なので、そのあたりの強い理由付けは欲しかったです。
ぶっちゃけると主人公は極度の潔癖症、ヒロインは察する能力0なだけですから。
Laplacianの社長が「童貞というのはセックスしたくらいで失えるものじゃない」「心の童貞が大事」という名言を残しましたが、
同様に、ヒロインにもう少し処女性や貞淑さがあれば、主人公の反応も、また違ったでしょうからねえ…(添田は全く悪くない。むしろ完全な被害者)。
「怪話」も良い感じですし、最近また面白そうなノベルゲームが多くて、うれしいです。
何がとは言いませんが、すごい作品でしたね…。
私も登場人物の言動には共感したり感情移入することは出来ませんでした(むしろ途中で恐怖すら覚えた)。
しかしそれがいけないことではなく、一つの作品としての完成度が高く最後まで楽しめたので、スマさんのレビューを読んで「そうだよね!」と深くうなずいてました。
主人公も最後まで意志を曲げずに信念(?)を貫き通したのも良かったと思います。
間違いなく人を選ぶ内容のゲームですが…
この場を借りて声高に宣言しますと、私的には非常にアリでした!!
しかし気づけばアレもなかなか古い漫画ですし、書いたところで、通じない人が多かったかもしれないですねぇ…。