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2015年11月23日
超初心者向け知的財産のお話 その20
かえるくんです
「超初心者向け 知的財産のお話」がブログの中心になって来ま
した。これからさらに内容を充実させてゆく予定です。
更新は、基本的に毎日午前10時にしようと思ってます。
今回は営業秘密(トレードシークレット)の話です。
「知的財産権」ではなく、「知的財産」としたのは、営業秘密のお話
にボリュームを振り分けようと考えていたからです。
知的財産管理技能検定でもよく出題される分野です。
知財戦略の中で、”如何に権利化して権利を守るか”という選択肢
と”如何に秘密として守り通すか”という選択肢があります。
発明をして一番最初に考える選択肢ですね。
自分の会社が発明をしたときに特許などで権利化するということは
同時にその発明を公表することを意味します。
グローバル化のいまの世の中では公表された考案や発明などを
無断で流用された経験をもつ企業は少なくありません。
であれば、敢えて権利化せず秘密にしておこうというのが営業秘密
を選択する理由です。そうして、一定の要件を満たせば保護される
仕組みもあるので近年は権利化を見送るケースが増えています。
その要件とは以下の3点です。
@秘密管理性 A有用性 B非公知性
秘密管理性とは、企業がその発明を秘密にするために最大限の対策
を採って下さいね・・・ということです。秘密にする努力もしない企業を
保護できないのは当然ですよね。
具体的には機密文書などに「部外秘」「秘密」などの表示をすること、
一定の人しか入れない特定の場所に保管すること、就業規則などに
秘密保持義務を課していること、社員をランク付けしてアクセス権を
制限していること、退職者との間に秘密保持契約を結んでいること
などが挙げられます。
秘密保持契約はNDA(non-disclosure agreement)といわれ退職者
のほかに、協力企業や取引先企業とも事業化をする際は結ばれます。
実は秘密漏洩の最も多い原因が退職者や取引先企業からによるも
のですのでNDAの徹底が求められています。
NDA以外にも企業は退職者に一定期間同業他社への就職を制限
する契約を結びますが、退職者にとってみれば自分のスキルを最大
限生かせる企業に就職したいわけで、職業選択の自由は憲法で認
められるので企業としては、制限できて精々1年前後となります。
次に有用性とは、その発明等が企業にとって本当に有用なものであ
るかということです。失敗例などのネガティブインフォメーションも有用性
が認められます。
最後に非公知性です。当然ながら既に知られていれば秘密に該当し
ません。
また、既に発行された書籍や論文から容易に導き出せるような情報
もダメです。
逆に同じ情報を知っている人が複数いても守秘義務が課されている
者であれば非公知といえます。
次回は営業秘密を守ってくれる法律「不正競争防止法」について
お話します。