2015年12月20日
超初心者向け知的財産のお話 その43
かえるくんです
前回の最後にお話した1意匠1出願は意匠法第7条にありますが、意匠は物品
ごとに細かく区分され、約2500区分あります。その物品ごとに使用目的や使用
の状態などを理解できるように意匠の記載がされています。
以前お話した意匠の判断基準、審査基準について掘り下げてみます。
まず、意匠として認められるためには
@物品であること
A物品自体の形態であること
B視覚に訴えるもの
C視覚を通じて美観を起こさせるもの
D意匠にかかる物品の使用目的、使用状態等に基づく用途、機能が明確
E意匠にかかる物品の形態である
F工業的に反復、大量生産できるもの
@〜Fの要件が満たされないと意匠ではありません。
@の物品の条件について、具体的に例示しますと
a.動産以外のもの→夜景とか綺麗ですけど決まった形はないですね
b.固体以外のもの→花火とか噴水とか綺麗ですが固体じゃないですね
c.粉状物、粒状物→物質が単に集合したものです
d.物品の一部→ただし、それ自体で取引されてれば意匠です
こんなことになります。
当然、意匠の要件を満たしても、登録される要件(創作非容易性、新規性など)
が別にあります。
次に類似・非類似の類否判断です。
以前、「物品・意匠の両面から判断する」とお話しました。
意匠とは「形態」のことですので「物品・形態」という言い方もします。
特許庁の資料では「物品・形態」という表現がされていましたので、今後は
「物品・意匠(形態)」と表記します。
以前、自動車のデザインは意匠(秘密意匠)として登録されると話しましたが
例えばおもちゃメーカーA社が「おもちゃの自動車」の意匠を登録していて、
後に自動車メーカーB社が「自動車」の意匠を登録しようとして、もし意匠(形態)
が類似なら権利侵害でしょうか?答えは「物品がちがうので問題ない」となります。
逆に自動車メーカーが「自動車」の意匠を持っていても、他社が販売している
意匠の類似した「おもちゃの自動車」には権利が及びません。権利を主張するには
もう一つ、「おもちゃの自動車」として意匠権を取得しておく必要があります。
類否判断についてお話します。類否判断の原則は
@判断主体は需要者(取引者を含む)
A直接対比観察
B肉眼による全体観察
C先行意匠群との対比に基づく判断
です。
特許庁が作成した「意匠の審査基準及び審査の運用」からの具体例でお話
します。
物品が液晶テレビです。A社のも、B社のも、液晶画面と周辺に配置した
スピーカーなどで類似していたとします。ですが配線などが出ている裏面の
形態がまったく違う場合、類似か、非類似か・・・・
ポイントは「見えやすい部分は、相対的に影響が大きい」ということです。
いくら裏面がぜんぜん違っても、普段見るのは「液晶画面」ですよね。
なので、類似と判断されます。
逆に普段見ることがない「裏面がそっくり」でも、液晶画面側のデザインが類似
していない場合は、非類似と判断されます。
次は創作非容易性の判断についてです。
これは先ほどの、「自動車」と「自動車のおもちゃ」についても言えます。
「自動車の意匠」が権利化されてる場合、意匠が類似した「自動車のおもちゃ」
ができるかということですが、実際の自動車のデザインをおもちゃとして売る行為
は、プラモデルだったり、ミニカーだったり、当たり前の商慣行でもありますし、
「自動車のデザイン」を「おもちゃ自動車のデザイン」にするのは容易です。
よって、創作非容易性の判断からも、このような「おもちゃ自動車の意匠」は
登録されることはありません。
そのほか、既存のデザインに、もう一つ加えただけの意匠も登録されません。
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次回は特許でもお話した新規性喪失の例外について掘り下げます。
タグ:審査基準 知的財産管理技能検定
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