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2023年09月18日
1-12 プロモーション・応用マーケティング
プロモーションとは
顧客や流通業者に対して情報伝達を行うことで、購入を促進すること【マーケティングコミュニケーション】:情報の送り手から、メッセージを、受け手に届けるプロセス
【プロモーションミックス】:大きく分けて 4 つの手段(広告、パブリシティ、人的販売、販売促進)
●これらを目的に合わせて適切に組み合わせていくことをプロモーションミックスと呼ぶ
●プル戦略:消費者の需要を喚起する戦略:消費者が自らお店に足を運んだり、自ら製品を購入するように導くこと:広告とパブリシティ
●プッシュ戦略:製品を売り込んでいく戦略:製品を売り込むことで製品を購入してもらうこと:人的販売と販売促進
〈IMC(統合マーケティングコミュニケーション)〉:多岐に渡るメディアにおける企業発信のメッセージを統一・統合して展開すること
・IMC のアプローチ:顧客関係性に重点を置いており、短期的な活動ではなく、長期的な顧客の生涯価値の重要性に着目
・複数のプロモーションミックス要素を組み合わせて継続的な働きかけを行う。
・マーケティング費用を投資として捉えており、投資効果の測定や評価を重視
広告
【広告の目的】:製品を知ってもらったり、関心を持ってもらい、購入を促進したりすること
・広告には製品の広告である製品広告だけではなく、企業の広告である企業広告がある
【広告の対象】
●消費者広告、産業広告(産業財や業務目的で購入する法人などに対する広告)、流通広告(メーカーが卸や小売などの流通業者に対して行う広告)に分類
【広告開発のプロセス】
●広告目標
・マーケティング戦略の一部として行う
・マーケティング上の目標と整合性が取れている必要がある
(認知度を高めるのか、競合からのブランドスイッチを狙うのかな)
●広告予算
・売上高比率法:売上高予算の一定の割合を広告予算とする方法
・支出可能予算法:どれぐらいまで広告に支出できるかによって広告予算を設定する方法
・競合企業対抗法:競合企業の広告予算を推定して、それに対応する予算を設定する方法
・タスク法:広告目標を達成するために必要な広告量を見積もり、それに必要な予算を設定する方法
●メッセージ開発:消費者の興味を喚起できるか、競合から差別化されているか、メッセージに信頼性があるかなどを考慮して、メッセージを決定
●広告媒体の選択:マスコミの 4 媒体、インターネット広告、SP (セールスプロモーション)広告に分類される
●マスコミ広告:新聞、テレビ、ラジオ、雑誌
・新聞広告
メリット:カバー範囲が広い、短いリードタイムで広告を出せる、信頼性が高いこと
デメリット:印刷の質が悪い、広告の寿命が短いこと
・テレビ広告
メリット:視聴者が多い、映像・音声などを使い消費者の感覚に訴えられること
デメリット:コストが高い、消費者の選択が難しいこと
・ラジオ広告
メリット:地域別や属性別などの消費者の選別が可能、コストが安いこと
デメリット:表現方法が音声のみである、消費者の注意をあまり集められない
・雑誌広告
メリット:地域別・属性別に消費者の選別が可能である、高品質な印刷が可能、じっくり見てくれる読者が多いこと
デメリット:広告が出るまでのリードタイムが長い、読者数が少ないこと
●インターネット広告:バナー広告、検索連動型広告など
・メリット:低コストで開始できることやターゲット層へアプローチしやすいこと、効果測定がしやすいこと
・デメリット:種類が多く技術進歩も早いため、ある程度の知識が必要であること、仕組みを理解して広告を適切に設定しないと、効果が得られないこと
●SP広告:ダイレクトメール、屋外広告、インターネット広告
・ダイレクトメール:企業が消費者に直接メッセージを届ける手段
メリット:対象の選択ができる、消費者に個別に対応できること
デメリット:比較的コストがかかる、くずかごに捨てられてしまうイメージがあること
・屋外広告:看板や、ネオンなど
メリット:コストが安く、反復的に露出できること
デメリット:対象の選別ができない、広告の表現力に限界があること
●広告の評価:接触効果、心理効果、売上効果
・接触効果:広告をどれぐらいの人が目にしたかという指標:測定する指標には、リーチ(見込み視聴者の目に触れた割合)やフリークエンシー(1 人あたりの広告の平均視聴回数)がある
・心理効果:消費者の心理面への影響を測定するのが心理効果
認知度:広告がどれぐらい認知されているか
理解度:製品がどれぐらい理解されているか
興味関心度:顧客がどれぐらい興味や関心を持ったか
・売上効果:広告の実施により、どれぐらい売上が増加したか
【インターネット広告の手法】
●検索連動型広告:検索結果画面の上や右の枠などに表示される広告です。PPC 広告やリスティング広告と言われる
広告がクリックされると広告主に費用が課金
●アフィリエイト・プログラム:紹介した商品等が売れると成果報酬や紹介料を支払う広告形態
自分の WEB サイトやブログに、広告主の商品の広告を掲載
●SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化
【製品ライフサイクル別の広告】
●導入期:知名度を向上させて需要を喚起することが目的
●成長期:競争に打ち勝ちシェアを高めていくことが目的
●成熟期:シェアを維持するために、広告もブランドを維持する事が目的
パブリシティ
【パブリシティの目的と手段】:ニュースとして取り上げられることを目的
・プレスリリース等の手段を使ってニュース素材をメディアに提供
【パブリシティのメリットとデメリット】
・メリット:コストが安い、消費者の信頼性が高い
・デメリット:コントロールができない、掲載されるか、思い通りのメッセージが報道されるか
【パブリックリレーションズ(PR)】
・株主、従業員、消費者、マスコミなど企業の様々な利害関係者とのコミュニケーションを通じて、利害関係者と良好な関係を築いていく活動
・主に製品等の情報を伝達する手段
人的販売
【人的販売の目的】:営業による販売活動
【人的販売のメリットとデメリット】
・メリット:顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客ニーズに個別に対応できる。顧客に非常に影響力の強い販売活動を行うことができる。長期的な関係を築くことができる。
・デメリット:対応できる顧客数に制限がある。販売員の能力に依存する。
【販売員の分類】
・オーダーゲッター:新規顧客を獲得
・オーダーテイカー:既存顧客からの受注
販売促進
【販売促進の目的】:消費者や流通業者の購買意欲を高めるための短期的なプロモーション
・購入へのインセンティブを付与する
【販売促進の種類】
●消費者向け推進
・サンプル:試用版を無償で提供する:需要を拡大する
・プレミアム:景品など、製品とは別の物品や便益を消費者に付与する:購入意欲を高める
・ポイントカード:購入金額に応じてポイントが加算:
・会員カード:会員になると有利な価格で購入できるなどの特典:、顧客を囲い込む
・POP広告:商品の前にコメントが書かれたカード
・カタログ:製品の説明が記載されたもの
●流通業者向け販売促進
・リベート:一定の基準を満たすと、取引後に流通業者に現金などを支払う
・アローワンス:流通業者がメーカーの意図に従って広告や陳列などを行った場合に割引を行う
・販売店コンテスト:優秀な販売店を表彰したり優遇する制度
・リテールサポート:販売店に対して経営支援(情報提供など)
●社内向け販売促進:社内の販売員に対して、販売を動機づけるような社内向けの販売促進
・社内販売コンテスト
・販売マニュアル
関係性マーケティング
【関係性マーケティングの目的】(リレーションシップマーケティング)
●大量の広告費などの費用をかけて顧客を新規開拓するよりも、既存の顧客との関係を深めることで顧客を維持し、収益を確保しようという関係性マーケティングの考え
●20%の顧客で 80%の売上を稼いでいるという、80 対 20 の法則
【CRM(Customer Relationship Management)】
・顧客との関係を深めることで、顧客ロイヤルティを高め、収益を拡大しようとするマーケティング手法
●ライフタイムバリュー(LTV)(顧客生涯価値):1 人の顧客が長期間にわたってもたらしてくれる利益の合計
・ライフタイムバリューの高い顧客は、優良顧客
●RFM 分析:優良顧客を判別する方法
・3 つの指標で顧客を分析(Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額))
●FSP(FrequentShoppers Program):優良顧客に対して、優先的にプロモーションを行う手法
・優良顧客を囲い込むことが狙い(航空会社ではマイレージプログラムなど)
【ワントゥワンマーケティング】:顧客に個別に対応していくマーケティング
・近年では顧客のニーズが多様化していることと、IT の発展によって顧客への個別対応が実現できるようになってきたことが背景
●ワントゥワンマーケティングの目標:顧客シェアを高めることを目標 ⇔ マスマーケティング:市場シェアを高めることが目標
・顧客シェア:1 人の顧客が購入する金額の中で、自社が占める割合
●ワントゥワンマーケティングの手段:個別にニーズを把握し、最適なマーケティングプログラムを実行する必要がある
・データベースマーケティング:顧客データベースを活用して、見込み客の発見から購入、さらにリピーターへの育成を行うためのマーケティングプログラム
・マスカスタマイゼーション:大量生産のスケールメリットを生かしながら、顧客ごとにカスタマイズを図る手法
(フルオーダーでは無くイージーオーダーなど)
【ダイレクトマーケティング】:メーカーが消費者に直接行うマーケティング:メーカーから通信販売やテレマーケティング、インターネット販売などを通じて消費者に直接販売する手法
●テレマーケティング:コールセンターで電話対応を専門的に行い、注文を受けたり、営業活動を行ったりする。
・CTI(Computer Telephony Integration):コンピューターと電話・FAX・メールなどを統合する技術
・インバウンド:電話で注文を受ける方法
・アウトバウンド:企業から電話をかける方法
●インターネットマーケティング
・ネットショップ:自社で Web ページを作る方法と、バーチャルモールに出店する方法がある
・クリックアンドモルタル:実在の店舗と、インターネット上の店舗を組み合わせた方法
●ソーシャルメディアと CGM:ブログ、SNS(Social Networking Service)、動画共有サイト、クチコミサイト、電子掲示板など
・CGM(Consumer-Generated Media):消費者が、情報の作成者・発信者:消費者生成メディアを意味
・バイラル・マーケティング:クチコミを活かすマーケティング:企業が直接コントロールすることができないという特徴
〈トリプルメディア〉
●ペイドメディア(Paid media):「買うメディア」という意味で、マスコミ広告や WEB 広告など
●オウンドメディア(Owned media):「所有するメディア」という意味で、自社の WEB サイトや、販売員など
●アーンドメディア(Earned media):「評判を得るメディア」という意味で、ソーシャルメディアなど
サービスマーケティング
【サービスの特性】:無形性、不可分性、変動性、非貯蔵性
●無形性(非有形性):サービスは目で見たり触ったりできない
●不可分性(同時性):サービスは生産と消費が同時に行われ、サービスを提供する人がその場にいなければならない
●変動性:サービスの提供者やタイミングなどによってサービスの品質が変わってしまい、品質の均一化が難しい
●非貯蔵性(消滅性):サービスは貯蔵することができず、サービスが提供された後に消滅してしまう
【サービスの特性への対応】:品質を向上させる方法と、生産性を向上させる方法が考えらる
●サービス品質の向上:マニュアル化や教育訓練:
・コンタクト・パーソネル(CP):サービスを提供する人
・顧客満足を向上させるためには、コンタクト・パーソネルの満足度、つまり従業員満足度を向上させる必要がある
●サービス生産性の向上:サービスは、貯蔵できず、生産と消費が不可分であるため、生産性を上げるには工夫が必要
・需要の調整:予約制、ピーク時の需要を非ピーク時に振り替えたり非ピーク時の需要を活性化したりする
・供給能力の改善:パートやアルバイトなどの非正規社員を活用する
・サービスに時間や労力をかけないようにする方法:セルフサービスを導入
【サービスマーケティングと組織】:3 つの方向のマーケティングがある
●エクスターナル・マーケティング:企業と顧客の間のマーケティングで、物理的な製品のマーケティングと同じ:マーケティングの 4P を中心にした活動
●インターナル・マーケティング:企業とコンタクト・パーソネルの間のマーケティング:コンタクト・パーソネルへの教育などを適宜
●インタラクティブ・マーケティング:コンタクト・パーソネルと顧客の間のマーケティング:良好なサービスや対話により信頼性を築き、顧客ロイヤルティを高めていくことが求められる
〈サービスの品質評価・顧客満足〉
●SERVQUAL:サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語
次の 5 つの面からサービス品質を評価する
@信頼性(Reliability):約束されたサービスを確実に提供すること
A 対応性(Responsiveness):顧客に迅速なサービスを提供すること
B 確実性(Assurance):従業員のしっかりした知識と対応の丁寧さ
C 有形性(Tangibles):施設、設備、従業員の外見
D 共感性(Empathy):顧客に対する気遣いや注意
●サービス・スケープ:店舗の外見、店やデザイン、明るさや色、音楽、香りなど、サービスを提供する物理的環境すべてもの
●サービス・エン力ウンター(真実の瞬間):顧客がサービスを提供される場面のこと
●サービス・プロフィット・チェーン:顧客と従業員の満足を収益性に結びつけようとするもの
・組織が従業員を大切にして従業員の満足を高めれば、従業員は顧客によりよいサービスを提供し、顧客満足や顧客ロイヤルティの向上につながるという考え方
タグ:企業経営理論
2023年09月17日
1-11-0 価格・チャネル戦略 補足(過去問)
【価格の交差弾力性】:ある財の価格の変化が他の財の需要量に及ぼす度合いを表します。
交差弾力性=Y財の需要変化率/X財の価格変化率 =(△Y/Y)/(△Px/Px)
Px:当初のX財の価格、Y:当初のY財の需要量
【交差弾力性と財の代替・補完】
●代替財:価格の交差弾力性が正になる:X財の価格が上がるとY財の需要増加する
●補完財:価格の交差弾力性が負になる:X財の価格が上がるとY財の需要減少する
「極端の回避性(松竹梅の法則)」:消費者は中間の価格帯を選ぶ傾向にある
交差弾力性=Y財の需要変化率/X財の価格変化率 =(△Y/Y)/(△Px/Px)
Px:当初のX財の価格、Y:当初のY財の需要量
【交差弾力性と財の代替・補完】
●代替財:価格の交差弾力性が正になる:X財の価格が上がるとY財の需要増加する
●補完財:価格の交差弾力性が負になる:X財の価格が上がるとY財の需要減少する
「極端の回避性(松竹梅の法則)」:消費者は中間の価格帯を選ぶ傾向にある
タグ:企業経営理論
2023年09月15日
1-11 価格・チャネル戦略
価格とは
【価格の役割】:価値の判断基準となるのが価格
・顧客は支払う対価よりも、製品により受け取る価値の方が大きいと認識する必要がある。
・価格の設定次第で利益・販売量が大幅に変わってくる。
【価格の影響要因】
・消費者の需要:需要と供給のバランスで価格が変わる
・需要の価格弾力性:価格が変化したときに、需要が変化する割合を表す。:価格弾力性が大きい製品は、価格を高くすると売れなくなる。
価格弾力性 = 需要の変化率 / 価格の変化率
・製品のコスト:製造や販売にかかるコストは、価格設定の際の基準となる。:コストにどれぐらい利益を乗せるかで価格戦略は変わる。
・競合の存在:競合を意識した価格設定
・法的な規制:独占禁止法など
価格設定
【価格の基本戦略】:価格の影響要因として、「製品のコスト」や「顧客の需要」、「競合の存在」がある
●コスト志向の価格設定(コストプラス法)(流通業ではマークアップ法):製品の原価に一定の利益を上乗せする
●需要志向の価格設定:消費者の需要に合わせて価格を設定
●心理的価格設定:消費者の心理を重視して価格を設定
・名声価格(威光価格):あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があるということを認識させるような価格:ブランド品
・端数価格:9や8が付く端数価格をつけると、消費者は実際よりも値段が安く感じることが多い:食品や日用品
・習慣価格:消費者が慣習的に一定の価格のみ受け入れているような価格:自販機の缶ジュース
●競合志向の価格設定:競合の価格を重視して価格を設定
・実勢型価格設定:プライスリーダーの価格に、プライスフォロワーが追随する:消費者が価格差に敏感な製品に良く使われる方法
・入札型価格設定:最も価格が低い企業が契約を受注できる
【新製品の価格設定】
●上澄吸収価格戦略(スキミングプライス)(初期高価格戦略):新製品に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感でない消費者に販売する方法
・ターゲット:イノベーター(革新者)
・メリット:利益率が高く、新製品の製品コストを早く回収できる
・デメリット:あまり売れない恐れもある
・成立する条件:新製品の品質やイメージが高く、競合と差別化できており、競合が模倣しにくいこと
●市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライス)(初期低価格戦略):新製品に安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを高める戦略
・メリット:一気にシェアを高めて、競合他社よりも、規模の経済性や経験曲線効果を早く発揮できる
・成立する条件:需要の価格弾力性が高いこと
・市場浸透価格戦略は、模倣されやすい最寄品でよく見られる価格戦略
【製品ミックスによる価格設定】
●抱き合わせ価格:複数の製品を組み合わせてセットで販売する方法(上下セットの服、PCとソフト):消費者にまとめて販売することが狙い
●プライスライニング:段階的な価格帯に沿って、製品を販売する方法:消費者が製品を選択しやすくする
●キャプティブ価格:メインの製品を安く設定し、付随する製品を一緒に購入してもらう戦略(昔の携帯電話と通話料):付随製品で儲けることが狙い
価格の調整
【割引】:条件を満たした場合に安くする事により販売の促進を図る制度
●現金割引:現金で支払う場合に価格を安くする制度:資金回収が早くなり、資金の回収不能というリスクがなくなる
●数量割引:大量に購入する場合に適用される割引:販売に関わる事務などのコストが削減できる
●季節割引:需要が停滞する季節に適用される割引:需要を喚起する
【販売促進による価格設定】
●ロスリーダー政策:目玉商品を設定し、その商品目当てに来店した顧客に、目玉商品以外の商品も購入してもらうことで、利益を確保する方法
●エブリデーロープライス政策(EDLP政策):常に商品を低価格で販売する方法(ウォルマートが推進):大規模な仕入やローコストのオペレーションを築くことが必要
【販売チャネルによる価格設定】
●機能割引:販売相手が遂行する流通機能によって割引をする制度(卸売業者が輸送や保管)
●アローワンス:流通業者がメーカーの意図に従って広告や陳列などを行った場合に割引を行う
●リベート:取引が終了した後の一定期間後に現金などが支払われる:取引金額が多い場合や、メーカーの販売促進に協力した場合などのリベート:販売やプロモーションを促進する効果
●メーカーの価格:再販売価格をメーカーが拘束することは、独占禁止法によって禁止:メーカー希望小売価格(参考価格)、オープン価格
〈参照売価〉
・外的参照価格:メーカー希望小売価格や当店通常価格など、消費者の購買環境から外的に入手できる参照価格
・内的参照価格:消費者個人の内的な感覚を基にした参照価格(過去の経験等)
〈現代の価格政策〉:価格政策が他のマーケティング・ミックス要素と統合的に作用することで、企業の競争優位性が左右される
●Hi-Lo 政策:集客のために、セールや特売など一時的に低価格で販売する方法
・フォワード・バイイング:前もって大量に商品の購入を行って、通常より安い価格で仕入れること
●価格の品質バロメーター機能:製品やサービスに関しての知識や情報が少ない場合は、価格の高いものは品質も良いと思う事
チャネルの機能
メーカーで生産された製品は、様々な流通経路をたどって最終消費者まで届けられる。この流通経路のことをチャネルと呼ぶ【流通の機能】
・商流としての製品の所有権を移転する機能
・物流として製品を輸送したり保管する機能
・情報流通として需要や供給などの情報を伝達したり、販売促進をする機能
・流通業者が掛けで仕入れることにより支払いが一定期間猶予されるために金融機能があります
・製品が消費者に売れないリスクを流通業者が負担する、危険負担機能
【取引数最小化の原理】
・メーカーと小売業者の間に卸売業者が介在することで取引の数が少なくなり、流通が効率化するとされる事
〈チャネル・スチュワードシップ〉
・流通チャネルの参加者の誰かがリーダー、すなわちスチュワードとなってチャネル戦略を策定し、顧客にとっての最適化を図り、同時に、チャネルの参加者すべてが利益を享受できるようにすること
〈オムニ・チャネル・リテイリング、電子商取引におけるモール型、マーケットプレイス型、テナント型プラットフォーム〉
●オムニ・チャネル・リテイリング:実店舗、オンラインストア等すべての販売チャネルや流通チャネルを統合すること
●モール型 EC サイト:Web 上のショッピングモールのようなスペースを提供する EC サイト
・マーケットプレイス型:モール内で商品を販売したい企業が、商品のデータのみを掲載するタイプのモール型 EC サイト:出店ではなく「出品」(Amazon)
・テナント型:多くの EC サイトが立ち並んだモール型 EC 市場です。(楽天市場や Yahoo!)
チャンネルの種類
【チャネルの長さによる種類】
●直接流通:メーカーが直接消費者と取引を行うチャネル
●間接流通:メーカーと消費者の間に流通業者が介在するチャネル(小売業者や卸売業者が存在する場合も)
【チャネルの幅による種類】
●開放的チャネル政策:メーカーが取引する流通業者を限定せずに、幅広く製品を流通させる方法
・メリット:たくさんの製品を販売できる
・デメリット:メーカーがチャネルをコントロールすることが難しい
・日用雑貨などの最寄品によく見られる政策
●選択的チャネル政策:メーカーが取引する流通業者を、一定の基準によって選択して、業者の数を絞り込む方法
・メリット:流通業者を絞り込むことで、販売の努力が集中できることと、得意先の管理がしやすくなること
・デメリット:次の排他的チャネル政策に比べると、流通業者の販売やプロモーションへの協力が不十分な場合があること
・化粧品などの買回品で、販売業者の業態やイメージなど一定の基準を満たした取引先を選択して、優先的に販売するのが選択的チャネル政策
●排他的チャネル政策:製品の流通を制限し、専売店のみに販売権を付与するもの
・メリット:自社のブランドを高めるのに向いている
・チャネルを極端に絞り込むため、消費者の認知度が低下し、売上が低下する可能性があること
【垂直的マーケティングシステム(VMS)】:メーカーや卸売業者、小売業者を含めた垂直的なチャネル間の競争
●企業型システム:チャネル全体が一つの資本によって垂直統合されているもの(自動車など)
●契約型システム:独立した企業同士が契約によって結びつくシステム
・フランチャイズチェーン:本部であるフランチャイザーと、加盟店であるフランチャイジーが契約を結んで事業を行う
・ボランタリーチェーン:独立した企業同士が結合して、経営の合理化をはかる仕組み:本部が集中的に仕入などを行うことで、業務の効率化を行う
@コーペラティブチェーン(小売業者主宰):小売業者同士で水平的に統合し、共同で本部を設けて共同仕入や、在庫管理などを行う
Aボランタリーチェーン(卸売業主宰):卸売業主宰のボランタリーチェーンでは、卸売業者が小売業者に対してリテールサポートを行う。
リーテルサポート:卸売業者が小売業者から入手した売れ筋などの情報を元に、商品情報の提供などの支援を各小売業者に行う
●管理型システム:チャネルリーダーが他のメンバーを契約によらず組織化するもの:最もチャネルリーダーの支配力が弱い
〇流通系列化:メーカーが卸売業者や小売業者などを自社の流通に組み込むことで、競争優位を獲得しようとすること
・専売店制度:メーカーが流通業者に自社製品のみを取り扱うように制限する制度
・一店一帳合制:メーカーが、小売業者に対して自社製品を仕入れる卸売業者を一つに制限すること
〈国際フライチャイジング〉
@ストレート・フランチャイジング契約:国内の本部が進出先国でフランチャイジング参加の募集をかけ、現地事業者と直接フランチャイジング契約を締結する形態。
A合弁型フランチャイジング契約:国内の本部が進出先国でのパートナーとともに現地に合弁会社や子会社を設立し、そこを相手先としてマスター・フランチャイズ契約を結ぶもの。
Bサブ・フランチャイジング契約:海外の現地本部(マスター・フランチャイザー)が、現地で加盟店を募集し、フランチャイズ契約による店舗展開を行うもの。
物流戦略
物流では、物流コストと顧客満足はトレードオフの関係にある【物流の機能】:ものを輸送するだけでなく、保管や荷役、包装まで含んでいる。
・購買物流:メーカーで材料や部品を購入する
・販売物流:工場で製品が生産された後に倉庫で保管
【ロジスティックス】:物流業務を効率的に行うための管理方法:材料の調達から生産、顧客への配送などの一連の物流活動を、個別機能ごとではなく全体最適で計画的に管理するプロセス
・全体最適化するために、工場や倉庫などの物流拠点の配置や、材料や製品の輸送方法、生産や配送のスケジューリング、在庫管理方法などを総合的に計画し管理
【サードパーティーロジスティクス】
・サードパーティーロジスティクス:ロジスティックスを第三者にアウトソーシング
・輸送や倉庫業務といった個別の業務だけでなく、ロジスティクス全体をアウトソーシング
・物流業務を改革しコスト削減や顧客満足度の向上を図ることが狙い
タグ:企業経営理論
2023年09月08日
1-10-2 製品戦略 補足(ブランド価値・ブランド要素)
ブランド価値
●基本価値:製品の物理機能が提供する
●便宜価値:製品の購買・消費時に利便性を手依拠する
●感覚価値:五感を通して楽しい消費経験を提供する
●概念価値:ブランド等から顧客が抱くストーリー(物語)、ヒストリー(歴史)などを提供する
価値の重要性は、基本価値<便宜価値<感覚価値<価値概念
(ただし、基本価値が満たされていないと、上の価値が満たされていても意味が無い)
ブランド要素
【ブランド要素】
●ブランド:生産者や販売者の商品を識別する、名称、記号、シンボル、デザイン
●ブランド要素(ブランド・エレメント):「名称、記号、シンボル、デザイン」など、商品識別のためのブランドの具体的な構成要素。
【代表的なブランド要素】
●ブランド・ネーム(名称)
・言葉で表現したもの
・メッセージ性を備える事も出来る
●ブランド・マーク
・視覚的に表現したもの
・ロゴマーク、ロゴタイプ、シンボルなど
〔商標権〕:ブランド要素を保護する知的財産権
●パッケージ
・包装するパッケージ(入れ物)
・店頭で視覚と触覚に訴える
●スローガン
・ブランドが伝えたいメッセージ
●ジングル
・音によるブランドメッセージ
●キャラクター
・ブランドのイメージを表すキャラクター
●色
ブランドイメージを表す色
タグ:企業経営理論
1-10 製品戦略
製品の定義
物理的な製品だけでなく、サービスや人材、場所、アイデアなど取引されるものをすべて含んでいる【製品の3層モデル】
●製品の核:中核的なベネフィット:顧客が求めるニーズに対応するもの:〔美しい写真を取る〕
●製品の形態:5つの特性(品質水準、特徴、デザイン、ブランド名、パッケージング):〔カメラ〕
●不随機能:付随的に提供される物やサービス:アフターサービスや製品の保証、配送:〔アフターサービスや保証〕
【製品の分類】
・有形財:物理的な製品:消費財(個人的な消費の為に最終消費者によって購入)と産業財(生産財)(企業などが他の製品の生産や事業活動に使用するために購入)
・無形財:サービス
消費財の種類は4つに分類
●最寄品:習慣的に購入するような製品:購買頻度が高く、低価格:時間や労力をかけずに購買:日常的反応行動
・食料品や日用雑貨、スーパーの様な立地、生産者によるプロモーション(メーカーがTVCMなど)
●買回品:消費者が比較し、探し回るような製品:最寄品に比べ、購買頻度が低く、値段は高い:時間と労力をかけて複数のブランドを比較:限定的問題解決
・洋服やテレビ、少数の店舗で選択的、生産者と小売業者による広告と人的販売
●専門品:専門的:価格が高く、購買頻度が低い製品:あまり知らないので、時間をかけて製品を調査:拡大的問題解決
・自動車や宝飾品、商圏ごとに少数の店舗で独占的、生産者と小売業者によってターゲットを絞って広告
●非探索品:消費者の関心が低く、あえて自ら求めない製品:
・生命保険など、何もしないと売れないので、積極的な広告と、人的販売が必要
プロダクト・ミックス
(製品ミックス)製品の組み合わせのこと。品揃え・製品ライン:類似している製品のグループ
・製品アイテム:製品ラインの中の個別の製品
●製品ラインの幅:(乗用車、軽、トラックなど):広げると売上は上がるが競争とコストも増える
・フルライン戦略:市場全体をカバー
●製品アイテムの深さ:(同じ車種の中でのカラーや排気量、装備):
専門店ではラインを狭く、アイテムを深く
100円ショップはラインを広く、アイテムを浅く
製品ライフサイクル
【導入期】
・特徴:売上・低い、利益・マイナス、顧客・イノベーター、競合・ほとんど無い
・マーケティング目的:知名度の向上
・マーケティング戦略
製品:標準製品
価格:コストプラス法
チャネル:選択的
プロモーション:知名度の向上
【成長期】
・特徴:売上・急上昇、利益・上昇、顧客・初期採用者、競合・増加
・マーケティング目的:シェアの最大化
・マーケティング戦略
製品:製品拡張、サービス、保証
価格:市場浸透価格
チャネル:開放的
プロモーション:大衆への知名度向上と関心の喚起
【成熟期】
・特徴:売上・ピーク、利益・高い、顧客・一般的な大衆、競合・安定
・マーケティング目的:利益最大化とシェアの維持
・マーケティング戦略
製品:多様なモデル、ブランド
価格:競争対応価格
チャネル:より開放的
プロモーション:ブランド差別化
【衰退期】
・特徴:売上・低下、利益・低下、顧客・採用遅滞者、競合・減少
・マーケティング目的:支出削減と円滑な市場撤退
・マーケティング戦略
製品:弱小アイテムをカット
価格:価格切り下げ
チャネル:不採算チャネルのカット
プロモーション:最小限に削減
●計画的陳腐化政策:計画的に製品の寿命を短縮する戦略
・製品のモデルチェンジを頻繁に行い、顧客の買い替えを促進する政策
ブランド
【ブランドの定義】:製品やサービスの生産者や販売者の商品を識別する、名称、記号、シンボル、デザインまたはそれらの組み合わせ
【ブランドの機能】
●出所表示機能:提供者を明らかにする機能
●品質保証機能
●広告宣伝機能
●ブランド・エクイティ:確立されたブランドが持つ高い資産価値
・ブランドを確立するとプレミアム価格を付けれる
・ブランド・ロイヤルティ(ブランドへの執着)、知名度、知覚品質(品質のイメージ)の高さ、ブランド連想の強さ、特許、商標などから構成
〈ブランド価値〉
●基本価値:製品の物理的機能が提供する価値
●便宜価値:製品の購買・消費時に利便性を提供する価値
●感覚価値:五感を通して楽しい消費経験を提供する価値
●観念価値:ブランドなどから顧客が抱くストーリー、ヒストリー、文脈などが提供する価値
〈ブランド要素(ブランド・エレメント)〉:ブランドの具体的な構成要素のこと
●ブランド・ネーム(名称)
●ブランド・マーク(記号、シンボル):ロゴマーク、ロゴタイプ、シンボル
●デザイン、パッケージ:商品を包装するパッケージ(入れ物)
●トレード・マーク(商標):商品商標、役務商標、立体商標等がある。
●スローガン:ブランドが伝えたいメッセージを簡潔に表したもの。
●キャラクター
●ジングル:音によるブランドのメッセージ。
●色:ブランドのイメージを表す色。
【ブランドの種類】
●ブランド所有者による区分
・ナショナルブランド(NB):生産者ブランド:メーカーがつけるブランド
・プライベートブランド(PB):ストアブランド:販売業者がつけるブランド
ライセンシング:ブランドの提供元に料金を払ってそのブランドの製品を提供する
●ブランド採用戦略:複数の製品にどのようにブランドをつけるか:製品ライン間の類似性と、標的市場の類似性の 2 軸によるマトリクスで整理される
・ファミリーブランド:製品ラインが同質であり、標的市場も同質:すべての製品に同じブランドが付けられる。
・個別ブランド:製品ラインが異質であり、標的市場も異質:個々の製品に対してブランドが付けられる。
・ダブルブランド:製品ラインが異質であり、標的市場が同質:ファミリーブランドと、個別ブランドを組み合わせる。
・ブランド・プラス・グレード:製品ラインが同質であり、標的市場が異質:共通の製品を表すブランドに、ターゲットの違いを表すグレードをつける。
・分割ファミリーブランド:製品ラインや標的市場が、同質でも異質でもない、中間的な場合:似たような製品ラインをグループ化して、複数のファミリーブランドをつける。
●ブランド基本戦略:4 つのブランド基本戦略
・ライン拡張戦略:既に確立したブランドを、既存の製品をマイナーチェンジした製品などにつける戦略
・ブランド拡張戦略:新しいカテゴリーの製品に既存のブランドをつける戦略
・マルチブランド戦略:同じカテゴリーの製品に、違うブランドをつける戦略
・新ブランド戦略:新しいカテゴリーの製品に、新しいブランドをつける戦略
〈ダブルチョップ、ストアブランド〉
●ダブルチョップ:メーカーと流通業者が共同してつくる共同開発ブランド(小売の名前+メーカーの名前)
●ストアブランド:小売業者が独自に作ったブランド(小売の名前だけ)
〈ブランドカテゴライゼーション〉:ある製品カテゴリーに含まれるブランドを類型化する枠組み
●想起集合(考慮集合):処理集合のうち購入したいと思うブランドの集合
●拒否集合:処理集合のうち購入したいとは思わないブランドの集合
●保留集合:何らかの理由で購入を思いとどまっているブランドの集合
パッケージング
【パッケージの機能】
・製品を運搬したり保護する機能
・製品の説明や内容物の表示など、情報を提供する機能
・デザインや表示により、販売を促進する機能
【パッケージングの分類】:3 つの分類がある。
●個装:製品の保護や、製品の魅力を高めるための包装
●内装:包装貨物の内部の包装:衝撃や湿気などから製品を保護する
●外装:包装貨物の外部の包装:運搬したり保管をするため
新製品開発
【製品コンセプトの検討】
・顧客のニーズや、自社の強みであるシーズに着目し、製品化のアイデアを数多く挙げていきく→アイデアを絞り込むスクリーニング→製品のコンセプトを明確にしターゲット顧客やポジショニングを明確化する
【マーケティング戦略の検討】
・製品、価格、チャネル、プロモーションなどのマーケティング戦略の仮説を作成→事業の予想売上高、原価、利益などをシミュレーションし、経済性を評価→事業として採算が見込める場合には、次の段階
【製品化】
・製品コンセプトに基づいて製品の設計を行い、試作品を作成→顧客を限定して実験的に販売するテストマーケティングを行う→市場の反応を確認し、製品の設計やマーケティング戦略を最終調整
【市場導入】
・最終的に決定した製品の設計を元に製品を生産し、市場導入
タグ:企業経営理論
2023年09月05日
1-9-0 マーケティング概要とプロセス 補足(過去問)
マーケティング概念
〈ソーシャルマーケティング〉:2 種類の意味で使われることがある
・社会志向のマーケティングのこと
・非営利組織のマーケティング
〈ソーシャル・ネットワーク・マーケティング〉:ソーシャルメディアが普及しており、とくにSNSを活用した顧客関係性の構築に基づくマーケティング
・ソーシャルマーケティングとは別物
【マーケティング・ミックスの4Pと4Cの対応関係】
「Product(製品)対Customer Value(顧客にとっての価値)」
「Price(価格)対Cost to the Customer (顧客の負担) 」
「Promotion(販売促進)対Communication(コミュニケーション)」
「Place(販売ルート)対Convenience(入手の容易性)」
〈ソサイエタル・マーケティング〉
・長期的な価値や顧客以外の人々、あるいは環境への配慮も含めて社会全体の福祉を向上させていくマーケティング
・現在の企業ニーズと将来の消費者のニーズを満たすことに主眼
⇕同義ではない
〈サステイナブル・マーケティング〉
・消費者の長期的な利益あるいは社会的利益を企業の長期的な経営計画と統合すること
マーケティング・リサーチは、一般的に、
@リサーチの目的を明確化(課題の設定)、
Aリサーチ・デザインの策定、
Bデータの収集方法と形式の決定、
Cサンプリングの策定とデータ収集、
Dデータの分析、
E報告書の作成、
といった手順で進められます。
●ギャング・サーベイ:消費者を1つの会場に集めて調査票を配布し、一斉に回答してもらう調査方法
●量的研究:理論や仮説の検証をする際に用いる方法で、演繹的なアプローチをします。
●質的研究:概念や思考を理解する際に用いる方法で、帰納的なアプローチをします。
タグ:企業経営理論
2023年09月04日
1-9 マーケティング概要とプロセス
マーケティングの基礎
【マーケティングとは】:売れる仕組みづくり:商品やサービスを作り出し、顧客に価値を届ける一連のプロセス
・セリング:商品があるのが前提⇔マーケティングとは違う
・コトラー提唱:「価値の創造と交換」と「ニーズと欲求を満たすプロセス」
・AMAの定義では:「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」
・ドラッカー:「マーケティングの究極の目標は、セリングを不要にすることである」
・レビット:「マーケティングとは、顧客の創造である」
【マーケティング・コンセプト】
●生産志向:生産効率を向上:需要が供給を上回っている場合の考え
●製品志向:より良い製品作り(顧客のニーズは考えず:マーケティング・マイオピア(近視眼)):供給が需要に追いついく
●販売志向:効率的に販売、セリングを重視:大量生産、過剰在庫:押し売りの横行
●顧客志向(マーケティング志向):顧客ニーズから入るマーケット・イン:供給が需要を上回る成熟市場
●社会志向:企業の社会的責任(CSR):社会の一員として、企業の利益と、顧客満足、および社会の利益を調和させる
〈ソーシャルマーケティング〉:2 種類の意味で使われることがある
・社会志向のマーケティングのこと
・非営利組織のマーケティング
〈ソサイエタル・マーケティング〉
・長期的な価値や顧客以外の人々、あるいは環境への配慮も含めて社会全体の福祉を向上させていくマーケティング
〈コーズ・リレイテッド・マーケティング〉
・売上によって得た利益の一部を社会に貢献する事業を行っている組織などに寄付すること⇒企業イメージやステークホルダーの評価、売上の増加を目指す
〈共通価値の創造(CSV)〉
・社会的価値と経済的価値の両立をうたうものであり、高い収益性の実現を重視するもの
【マーケティングの階層】
●マーケティング機能要素別戦略: 4 つの機能から構成
・マーケティングの4P:製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、チャネル戦略(Place)、プロモーション戦略(Promotion)
●マーケティング・マネジメント戦略:マーケティングの4Pを統合する戦略⇒マーケティング・ミックス
●戦略的マーケティング:一番上の階層:企業全体の方向性を決める企業戦略に近い戦略
【マーケティングのプロセス】
●マーケティング環境の分析:SWOT 分析では、外部環境の機会と脅威、内部環境の強みと弱みについて分析:マーケティング・リサーチなどを行い、顧客ニーズや消費者行動などを分析
●マーケティング目標の設定:上高や利益額、利益率、シェアなどの数値で目標を設定:企業全体の目標から設定されることが一般的
●標的市場の選定:環境分析の結果を元に、市場を細分化し、ターゲットとなる市場を選定。どのように差別化するかというポジショニングを決定
●マーケティングミックスの計画と実行:標的市場に対して、どのようにマーケティング・ミックスを組み合わせるかを検討。結果を評価して、計画にフィードバック
消費者行動
【マーケティング・リサーチ】:マーケティングに必要な情報を収集するための方法
●マーケティング・リサーチのプロセス
@調査の目的を決定:どんな課題や問題があるか⇒どのようなデータが必要なのか:費用と時間がかかる
Aデータ収集方法などの計画を作成
・ 2 次データ:国が実施している各種統計やリサーチ会社、コンサルティング会社などが提供しているもの
・1 次データ:マーケティング・リサーチによって入手するデータ
B集計したデータから結論を導き出す
●データの収集方法:質問法、観察法、実験法
◎質問法:用意した質問に対して、調査対象者に回答してもらう
・面接法:調査員が調査対象者に直接面接して質問
メリット:視覚ツールを活用したり、相手の反応に応じた質問ができる。質問の回答率が高くなる
デメリット:1 人ずつ面接するためコストがかかる。調査員による偏りが生じやすい
・集団面接法(グループ・インタビュー):複数の調査対象者を集めて面接を行う方法
メリット:個別の面接法に比べて、コストが安い。集団でお互いの発言によって発言が促される
デメリット:調査担当者の能力によって結果が大きく変わる
・電話法:電話で質問をする方法
メリット:短時間で調査できる。面接法に比べて低コスト
デメリット:調査員の顔が見えないため、調査対象者に不信感が生まれやすく、非協力的になりがち
・郵送法:調査票を調査対象者に送り、回答を記入してもらい返送してもらう方法
メリット:人件費のコストが安い
デメリット:回収率が低い。対象者の住所のリストを入手することが難しい
・留置法:事前に質問票を調査対象者に配布し、記入を依頼しておき、後日調査員が訪問して回収する方法(日本の国勢調査などはこの方法)
メリット:郵送法と比べて回収率が高く、回収時に調査員が記入漏れなどをチェックできる。記入に時間がかかる調査に向いている
デメリット:調査対象者の家族などの意見が影響する可能性や、調査対象者以外の者が回答する可能性がある
・その他の調査方法:ファックス調査やインターネット
メリット:低コストで実施
デメリット:ファックスを持っている人や、インターネットの利用者に限定される。目的によっては向かない
◎観察法:調査対象者の行動や反応を、調査員が観察
◎実験法:マーケティングに関するある要因を変化させることで、どのような影響があるかを調査する方法
〈モチベーションリサーチ〉:消費者の購買行動の深層心理にある動機を探るための調査手法
メリット:定量的な調査方法では得られにくい、人間の深層心理を探れる
デメリット:調査結果の解釈が主観的になりやすく客観性に欠ける。調査に時間やコストがかかる。
●深層面接法:できるだけ自由に回答してもらい、その際の反応を観察することで深層心理を探る
●集団面接法(グループ面接法):グループでの会話の中から個人面接では得られない回答を得る。
●投影法:間接的な質問などをすることで調査対象者の本心を探る方法。
・語句連想法:ある単語から連想される語句を答えてもらう
・文章完成法:あらかじめ一部が空欄になった文章に、穴埋めをしてもらう。
・第三者話法:自分ではなく、他人の例について質問の回答をしてもらう。
〈マーケティングリサーチ〉
●エコノグラフィーによる調査:顧客の生活に入り込むなどして「観察」を行う調査法:顧客の地域性による文化や生活習慣、価値観による行動様式を理解することにより、企画立案や商品開発に活用しようというもの
●セントラル・ロケーション・テスト:通行人を調査対象として特設会場に誘導し、アンケート調査に協力してもらう手法:実際に商品や試作品を見たり、食べたりすることができ、テスト状況をコントロールできる
●ニューロ・マーケティングによる調査(神経マーケティング):脳科学の観点から消費者の脳の反応を計測することにより、消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようとする調査
●フォーカス・グループ・インタビュー(集団面接法):座談会形式のインタビュー調査:想定されるターゲット層を集めて、これらの客層の意識や深層心理を把握しようとするもの
【消費者の購買行動】:コトラーは、消費者の購買行動のプロセスを、5 つの段階で考えました。
●購買意思決定プロセス
・問題認知:消費者が何かが必要だという問題を認識すること
・情報探索:ニーズを満たすものを得るために、様々な情報を得るという段階⇔日用品の様に毎回同じような商品を買う場合は情報収集を行わない。
・代替品評価:情報収集によって購入する商品の候補、代替品を評価する段階:比較の基準は人それぞれ異なります。
・購買決定:代替品のうち最も高い評価を得たものが、購入される
・購買後の行動:期待に合致すれば満足を得ます。期待に合致しなかった場合には不満足となります。こういった購買後の評価は、次の購買に影響。
〇認知的不協和:購入した後に不満足感や買ってよかったのかという不安感を感じることが多い状態
●購買決定行動のタイプ:日常的反応行動、限定的問題解決、拡大的問題解決の 3 つに分類
・日常的反応行動:製品についてよく知っており、ブランドについてはっきりした選択基準を持っている場合の購買行動:低価格で購買頻度が高い製品、つまり最寄品に多い購買行動
・限定的問題解決:製品については良く知っているものの、ブランドについてはあまり知らない場合の購買行動:いくつかの製品を比較した上で購入される製品、つまり買回品に多い購買行動
・拡大的問題解決:製品やブランドのことを良く知らない場合の購買行動:専門的で、価格が高く、購買頻度が低い商品、つまり専門品に多い購買行動
●購買行動の規定要因:人によっても購買行動は異なります。これを表す考え方が、購買行動の規定要因
・文化的要因:消費者の属する文化や社会階層を表します。
・社会的要因:消費者の属する準拠集団や家族などを表します。(友人や職場の同僚など)
・個人的要因:消費者の年齢やライフスタイル、職業など個人的な要因
・心理的要因:消費者の購買動機や知覚、経験による行動の変化、信念など、消費者の心理的な内面から生まれる影響
〈準拠集団〉:個人の価値観や態度、行動に対して影響を及ぼす集団:家族や友人、同僚など、その人が将来属したい集団であったり、強く同一化する集団が準拠集団になっているケースもある
●組織による購買行動:組織による購買の特徴は、組織的に購買の意思決定が行われること、長期的な取引関係をベースに行われること、専門性が高いこと
・見積りを取ったり、購買業者と価格の交渉をし、社内での申請や承認を経た後で購買が決定される。
・消費者が購入する製品は消費財、企業が購入する製品は産業財
・産業財では、消費財に比べて人的販売の比重が高い
【消費者行動理論】:消費者はなぜ購買をするのか、何を購買するのか、どのように購買するのかと研究
◎アサエルの購買行動類型:消費者の購買行動を4つのタイプに分類した:関与水準(その製品にどれぐらいこだわっているの
か、関心があるのか)とブランド間の知覚差異(その製品のブランドによる違いを、どの程度理解できているのか)という2つの軸
●情報処理型(関与水準-高、ブランド間の知覚差異-大):製品への関心が高く、各ブランドの差異も把握している場合:比較や検討などを適切に行う:パソコンなど
●バラエティ・シーキング型(関与水準-低、ブランド間の知覚差異-大):関与水準が低い製品のうち、ブランド間の知覚差異が大きい場合:色々な製品を試すために、頻繁にブランド・スイッチングが行う。
●不協和低減型(関与水準-高、ブランド間の知覚差異-小):製品への関与は強いが、それぞれのブランドの差異を理解しにくいケース:アフターサポートなどが重要になる:家具や白物家電など
●習慣型(関与水準-低、ブランド間の知覚差異-小):関与水準が低く、ブランド間の知覚差異も小さい商品に対して:いつも購入している製品を選んだり、低価格のものを選んだりする:トイレットペーパーなど
◎消費者行動と関与
・関与:ある商品に関して、個人が持つこだわりや関心の度合いを表す:高関与、低関与
●認知的関与:商品の機能やコストを追求するといった功利的動機に基づく関与
・認知的関与が高い人は、商品に対して豊富な情報を持つ傾向にあり、さらに情報の収集や分析を楽しむ傾向がある
●感情的関与:商品を使用することで感情的な充足を求めるなど感情的な動機に基づく関与
・感情的関与が高い人は、知識ではなく経験を楽しむ傾向
◎AIDMA と AISAS
・AIDMA(アイドマ):Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動):定番の消費者行動モデル
・AISAS:(アイサス):Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有):
Search(検索):インターネットによって商品を検索したり、商品に関する機能、評判、価格などを調べる。
◎精緻化見込みモデル:広告などへの反応についての社会心理学的なモデルが、精緻化見込みモデル
・中心ルート:広告の内容について理解し詳細に検討する対応
・周辺ルート:広告の詳細な内容より、広告に登場したタレントや音楽、あるいはパッケージの見た目などのイメージによって形成される対応
◎多属性態度理論・多属性意思決定
●多属性態度理論:製品の価格、デザイン、性能といった複数の属性に対する主観的判断から、消費者の態度をとらえようとする理論
●多属性意思決定:複数の属性を検討して意思決定する方法
(多属性意思決定種類)
・加算型:各製品の全ての属性を評価し、総合的に評価が高い製品を選択する方法
・連結型:各属性に求める最低限の水準を設定し、それらを充たす製品を選択する方法
・辞書編纂型:消費者が一番重視している属性が最も優れている製品を選択する方法
・EBA(elimination-by-aspects)型:検討している属性のうち、1つでも基準を満たさないものがある製品は選択しない、という方法
・感情依拠型:過去の購買経験などの中から、好意的に感じているものを習慣的に選ぶ、という意思決定の方法
〈準拠集団〉
●ロジャースの普及理論
・新しい商品に対する購入の早い順:イノベーター(革新者)、アーリー・アダプター(初期採用者)、// アーリー・マジョリティ(前期追随者)、レイト・マジョリティ(後期追随者)、ラガード(遅滞者)
・普及率 16%の論理:イノベーターとアーリー・アダプターの割合を合計した 16%のラインが商品普及のポイント
●ムーアのキャズム理論
・アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティとの間には容易に超えられない大きな溝がある
・初期多数派への普及がいかに速やかに行われるかが製品普及の分かれ道である
●他者や他者集団が消費者行動に与える影響:「準拠集団」以外にも、消費者行動に影響を与える他者や他者集団がある
・消費者間の弱いつながり:クチコミや SNS など、消費者間ネットワークが、消費者の行動に影響を与える重要なポイントが、消費者間の弱いつながりです。
・オピニオンリーダー:特定の集団の中で、他者に対して影響力を持つ人物のことです。
・アーリー・アダプター(初期採用者):新商品の購買に影響を発揮するオピニオンリーダー
〈顧客ロイヤルティ〉
・真のロイヤルティ:ブランドや商品に対する好意的態度が高く、反復購買も高い顧客が該当:企業にとって理想的な状態
・潜在的ロイヤルティ:好意的態度は高いが、反復購買は低い顧客:買いたいと思っているものの、何らかの理由で購入には結びついていない状態(経済力が足りないなど)
・見せかけのロイヤルティ:好意的態度は低いが、反復購買が高い顧客が該当:ブランドや商品に興味はないけど、購入頻度や利用頻度が高い状態:(気に入っているわけでは無いが近いなど)
標的市場の選定
市場のターゲットを絞ってマーケティングを行う方法を、ターゲット・マーケティング:3 つのプロセスがあある
【セグメンテーション】:市場をある基準に基づいて、小さい集団に細分化すること
例)年齢層のセグメントには、異なるマーケティング・ミックスでアプローチする方が、単一のマーケティング・ミックスでアプローチするよりも効率的な事が多い
●細分化の基準:市場を細分化する基準
・地理的基準(ジオグラフィック):地域や気候、人口などの地理的な基準で細分化を行うもの:地域別の商品を企画したり、特定の国をターゲットとしたマーケティングを開発する場合に使われ
・人口統計的基準(デモグラフィック):年齢や性別、家族構成、職業、所得などの人口統計的な基準で細分化を行うもの:消費財のマーケティングで重視されてきた基準
・心理的基準(サイコグラフィック):消費者の価値観やライフスタイルなど、心理的な基準で細分化を行う:ライフススタイルを訴求したプロモーション
・行動変数基準:消費者の製品に対する知識や態度、反応などで細分化を行うもの:購買状況や、使用頻度、購買パターン、求めるベネフィットなど:購買行動の特徴を捉えてセグメンテーションを行う
●細分化の要件:通常は幾つかの基準を組み合わせて、試行錯誤をしながら意味のある細分化の基準を見つける
・コトラーは、細分化したセグメントが役に立つためには、次の 4 つの要件を満たしている必要があると指摘
・測定可能性:細分化したセグメントの規模や購買力が測定できる
・到達可能性:細分化したセグメントに、チャネルなどを通じてアプローチができる
・維持可能性:細分化したセグメントが十分な利益を上げるぐらい大きい
・実行可能性:効果的なマーケティング・プログラムを実行可能
【ターゲティング】:標的市場の選定:セグメントを選択するには 3 つのアプローチ
●無差別型マーケティング:マス・マーケティング:細分化したセグメントを考慮せず、単一のマーケティング・ミックスを市場全体に投入する方法
・メリット:マーケティング・コストを抑える
・デメリット:様々な消費者ニーズに対応するのが難しい
●差別型マーケティング:細分化したそれぞれのセグメントに対し、別々のマーケティング・ミックスを投入する方法:フルライン戦略
・メリット:全てのセグメントのニーズに対応するため、売上が最大化される
・デメリット:コストがかかる
●集中型マーケティング:特定のセグメントにターゲットを絞り込み、そこに全ての経営資源による単一のマーケティング・ミックスを投入する方法
・メリット:限られた経営資源を有効に活用できる
・デメリット:全ての経営資源を 1 つのセグメントに集中するため、リスクが分散できない
【ポジショニング】:選択したセグメントで競合他社よりも優位性を築く方法:消費者にその製品の総合的な価値(製品、サービス)が最も高いと判断してもらう必要があ
●ポジショニングマップ(知覚マップ):ポジショニング次第では、同じセグメントでも別のマーケティング・ミックスとなる:有効な差別化をするための軸を見つけること
●自社内のポジショニング:自社内の製品の位置付けを整理することも重要⇒カニバリゼーションが発生
〈PEST 分析〉:経営戦略やマーケティング戦略を策定する際に使われる、外部環境の分析手法
・「 政 治 (Politics) 」「 経 済 (Economy) 」「 社 会 (Society) 」「 技 術(Technology)」の4つの観点から分析
タグ:企業経営理論
1-8-0 労働関連法規 補足(過去問)
【就業規則】
・就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)。
・就業規則は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって周知させなければならない。方法には「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」も挙げられている。
【変形労働時間】
・変形期間の開始した後に労働基準監督署に届け出た労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日に労働させるような変更は、使用者が任意に行うことはできません。そのため、労働基準監督署に届け出た所定労働時間に対して残業が発生すれば、残業代を支払う義務があります。
・専門業務型裁量労働制は具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令に定める業務に適用され、その専門家である弁護士、会計士等専門家に労働者が限定されています。そのため個別の同意は不要です。
・企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項について企画、立案、調査及び分析の業務を対象業務としており、適用される業務と労働者が広く対象となります。そのため、企画型裁量労働制では適用される労働者の個別の同意が必要とされています。
・フレックスタイム制は始業及び終業の時間の両方を労働者の決定に委ねなければなりません。
【賃金】
・労働基準法第12条では、「平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」と規定されています。
【労働保険料・社会保険料の納付】
・事業主である企業には、自らが負担する保険料だけでなく、従業員が負担する保険料を合わせた保険料の全額を国に納付する義務が課せられる。
・労働保険料は申告書作成後、労働保険料と一般拠出金を申告・納付し、 申告書に付いている領収済通知書(納付書)を使って、6月1日〜7月10日(10日が休日なら翌営業日)までに納付します。
・被保険者の社会保険料は翌月徴収、当月徴収いずれでもよい
・健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、月初めに送付される納付書でその月の1日から10日
・労働保険事務組合を利用すると労働保険料の納付を年3回に分割出来る
・就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)。
・就業規則は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって周知させなければならない。方法には「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」も挙げられている。
【変形労働時間】
・変形期間の開始した後に労働基準監督署に届け出た労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日に労働させるような変更は、使用者が任意に行うことはできません。そのため、労働基準監督署に届け出た所定労働時間に対して残業が発生すれば、残業代を支払う義務があります。
・専門業務型裁量労働制は具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令に定める業務に適用され、その専門家である弁護士、会計士等専門家に労働者が限定されています。そのため個別の同意は不要です。
・企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項について企画、立案、調査及び分析の業務を対象業務としており、適用される業務と労働者が広く対象となります。そのため、企画型裁量労働制では適用される労働者の個別の同意が必要とされています。
・フレックスタイム制は始業及び終業の時間の両方を労働者の決定に委ねなければなりません。
【賃金】
・労働基準法第12条では、「平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」と規定されています。
【労働保険料・社会保険料の納付】
・事業主である企業には、自らが負担する保険料だけでなく、従業員が負担する保険料を合わせた保険料の全額を国に納付する義務が課せられる。
・労働保険料は申告書作成後、労働保険料と一般拠出金を申告・納付し、 申告書に付いている領収済通知書(納付書)を使って、6月1日〜7月10日(10日が休日なら翌営業日)までに納付します。
・被保険者の社会保険料は翌月徴収、当月徴収いずれでもよい
・健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、月初めに送付される納付書でその月の1日から10日
・労働保険事務組合を利用すると労働保険料の納付を年3回に分割出来る
タグ:企業経営理論
2023年09月02日
1-8 労働関連法規
労働基準法
労働者の保護を目的、労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべき
【労働条件】:労働基準法などの法令が最も強い効力があります。続いて、労働協約、就業規則、労働契約の順に効力がある。
●労働協約:労働組合と使用者の間で結ぶ協定
●就業規則:従業員が守るべきルール:常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出ることが義務(パートやアルバイトも含む)
・絶対的記載事項:労働時間、賃金、退職
・相対的記載事項:退職手当や臨時の賃金:制度を導入する場合には記載
・任意的記載事項:労働協約や法令に違反することはできません
作成・変更には労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴く
●労働契約:労働者と使用者の間で結ぶ契約
・賃金や労働時間などの労働条件を明示(書面の交付により)することが義務
・労働条件は、就業規則や労働協約、法令に違反することはできない。
原則期間の定め無し、定める場合は3年まで、例外専門知識や60歳以上は5年まで
〈心理的契約〉:契約書などで明文化されている内容を超えて、期待する暗黙の了解のことを、心理的契約という
【労働時間】
●法定労働時間
・1日8時間まで、1週間40時間まで、(休憩時間を除く)
・例外:労働者10人未満かつ特定の事業は週に44時間まで:小売りや卸売りなどの商業、映画・演劇業、病院などの保健衛生業、旅館や飲食など接客・娯楽業
●変形労働時間
・1 ヶ月単位の変形労働時間制:1週間の法定労働時間を越えない限り、1日8時間を超えても良い制度
・フレックスタイム制:一定期間の総労働時間を定めておき、労働者が始業や終業の時刻を自主的に決定できる制度:就業規則に記載し、労使協定で総労働時間などの内容を定めることが必要
・1 年単位の変形労働時間制:1週間の労働時間が40時間を超えない限り1日8時間を超えても良い制度:季節により繁忙期と閑散期がある企業向き
・1週間単位の変形労働時間制:労働者30人未満、特定の業種で導入できる(小売、旅館、料理店、飲食店):1週間の労働時間が40時間を超えない限り1日8時間を超えても良い。
●休憩
・6時間超:45分以上
・8時間超:1時間以上
原則:労働時間中に一斉に付与し、自由に利用させる
〈働き方改革〉:2019年4月1日より施行
1⃣労働時間法制の見直し
1,残業時間の上限規制
・原則月45時間、年360時間
・臨時的な特別な事情:年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む):月100時間未満(休日労働を含む):月45時間を越えれるのは年6ヶ月まで
2,「勤務間インターバル」制度の導入促進:(努力義務)
勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を確保
3,年5日間の年次有給休暇の取得:(企業に義務づけ)
希望を踏まえて時季を指定する、年5日は取得させること
4,月 60 時間超の残業の割増賃金率引上げ
月 60 時間超の残業割増賃金率が 50%(大企業は以前から)
5,労働時間の客観的な把握(企業に義務づけ)
裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律で義務づけ
6,「フレックスタイム制」の拡充
清算期間が3か月以内
・3 カ月平均で法定労働時間以内であれば:事業者割増賃金の支払いが必要ない。:労働者も振り替えた月に所定労働時間を働いていない場合であっても、その時間分は欠勤扱いにならない。
7,「高度プロフェショナル制度」を創設
・高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で 一定の年収要件(少なくとも 1,075 万円以上)を満たす労働者を対象
・労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提
・年間 104 日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度
・対象業務は、金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、資産運用の業務、新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務等
8,産業医・産業保健機能の強化
・事業者から産業医への情報提供を拡充・強化します。また産業医の活動と衛生委員会との関係を強化
2⃣雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
1,不合理な待遇差の禁止:正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止
⑴パートタイム労働者・有期雇用労働者
@ 均衡待遇規定の明確化:基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練などごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化
A 均等待遇規定:新たに有期雇用労働者も対象とする
B 待遇ごとに判断することを明確化するため、ガイドライン(指針)を策定
⑵派遣労働者
いずれかを確保する事を義務化
・派遣先の労働者との均等・均衡待遇
・一定の要件を満たす労使協定による待遇
合わせて、派遣先労働者の待遇に関する 派遣元への情報提供義務を新設
2,労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
・非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができる
<雇入れ時> 有期雇用労働者に対する、雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利 厚生施設の利用、正社員転換の措置等)に関する説明義務を創設。
<説明の求めがあった場合> 非正規社員から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を 説明する義務を創設。
<不利益取扱いの禁止> 説明を求めた労働者に対する場合の不利益取扱い禁止規定を創設。
3,行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政 ADR)の規定の整備
●休日
・毎週少なくとも 1 日の休日
・4 週間で 4 日以上の休日を与える変形休日制も認められている
●時間外労働
・法定労働時間外の労働をさせるときには、あらかじめ労使協定を結び、労働基準監督署長に届け出る必要がある:36 協定
・労働組合または過半数代表者と書面による協定を結ぶ
●みなし労働時間
・事業場外労働のみなし労働時間制:事業場の外で働いており、労働時間が把握しづらいケースに適用
・裁量労働のみなし労働時間制:専門業務型は、研究開発などの専門的業務に適用:企画業務型は、事業の企画や分析など事業運営自体を扱う業務に適用
●年次有給休暇:要件を満たす労働者に対して年次有給休暇を与えることが義務
・6 ヶ月間継続して勤務しており、労働日の8 割以上を出勤した労働者
・8 割以上という基準は、業務上の負傷・疾病による休業や、産休、育児休業や介護休業、年次有給休暇を取得した日は、出勤したとみなして計算
・継続勤務が 6 ヶ月の時に 10 日
・時季変更権:正常な事業運営を妨げる場合には、使用者が時季を変更すること
(使用者は労使協定によって労働者が有給休暇を時間単位として請求したときは、5 日以内に限り時間単位に与えることができます。)
・有給休暇の計画的付与:有給休暇の日数のうち 5 日を超える部分について、使用者が与える時季を決めることができる制度:労使協定で時季を定める必要がある
●適用除外
・管理監督者には、これまでの労働時間の規定は適用されない
・管理監督者は経営者と一体の立場にある者
【解雇】
●解雇の制限
・業務上の負傷や疾病のための休業期間や、休業が終了した後の 30 日間
・産休の期間と休業終了後の 30 日間も制限されており、この期間に解雇することはできない
・育児・介護休業法では、労働者が育児休業や介護休業の申し出をしたり、取得したりすることを理由とする解雇も禁止
●解雇の予告
・30 日前に労働者に予告をするか、30日分以上の賃金を支払う必要がある
・合理的な理由がない場合には解雇はできず、無効になる
・天変地異などやむを得ない事情で事業の継続が不可能になった場合や、労働者の責で解雇する場合には解雇予告は必要ない
・日々雇い入れられる労働者や試みの使用期間中の者に解雇予告は必要ない:「試みの使用期間」とは、雇用してから 14 日以内
【賃金】
●賃金支払の原則:支払方法について 5 原則
・通貨払いの原則
・直接払いの原則
・全額払いの原則
・毎月 1 回払いの原則(1回以上)
・一定期日払いの原則
●割増賃金:法定労働時間以外の労働に対して割増賃金を支払う
・時間外労働の場合は 25%以上
・休日労働の場合は 35%以上
・深夜労働の場合は 25%以上
・複数の条件が組み合わさった場合は、率を加算する必要がある
・1か月 60 時間を超える時間外労働については、割増賃金は 50%以上:割増賃金の支払いに代えて、代替休暇として有給休暇を付与することもできる
〈雇用調整(一時帰休)〉
・使用者が経営上の都合により操業を短縮し、労働者を自宅待機や教育訓練などの形で一時的に業務を休ませること
・一時帰休の期間中は、使用者に平均賃金の 60%以上の休業手当の支払義務を設けている
〈労働基準法施行規則〉
・更新の基準は書面の交付により明示しなければならない
・更新の基準の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるもの
労働組合法
労働三権として、団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されている
【不当労働行為】:労働組合を組織することを妨害したり、労働組合員に対して不当な扱いをしたりすることを禁止⇒労働委員会に申し立てて救済を求める
・不利益な取り扱い:労働組合に加入したり活動をしたことを理由に、解雇や減給する事
・黄犬契約の締結:労働者が労働組合に加入しないことや脱退することを雇用の条件にする事
・団体交渉拒否:正当な理由がなく団体交渉を拒否すること
・支配介入:労働組合の結成や運営に対して、使用者が支配したり介入したりすること
・経費援助:使用者が労働組合の運営に関する経費を援助すること
【労働協約】:団体交渉の結果、労使で合意した労働条件をまとめたもの
・就業規則は労働協約に反してはならない
・労働協約と労使協定は別のもの
・労使協定:労働基準法で定められた原則に対して例外を規定するために労使で締結するもの:労働条件は労働協約や就業規則に明記する必要がある
労働安全衛生法
労働災害を防止し、労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成を促進するための法律
●労働安全衛生管理の体制
・総括安全衛生管理者:安全管理、衛生管理を総括的に管理する最高責任者:建設業・運送業、常時使用する労働者が100人以上:製造業・小売業300人以上
・安全管理者:安全に関わる部分を管理する:常時使用する労働者が 50 人以上
・衛生管理者:衛生に関わる部分を管理する:常時使用する労働者が 50 人以上
・産業医:労働者の健康を管理する:医師から選任する:事業者は、衛生委員会に対し、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容等を報告しなければならない:産業医に対し産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないと義務化
●健康診断:労働者について年一回の健康診断を行う必要があります
〈健康診断の義務〉
・常時雇用する労働者を雇い入れる際(入社時)と、その後年に 1 回の健康診断(定期健診)を受けさせる義務があり、労働者も受ける義務がある。
・常時雇用する労働者:正社員(期間の定めのない労働契約)は全員が受診対象
・契約社員やパート/アルバイト:以下の2つの条件を満たす場合は健康診断の受診義務がある
@期間の定めのある契約で使用される者であって、契約期間が 1 年以上の者、1週間の労働時間が、A正社員の 4 分の 3 以上である者(原則は週 30 時間以上となる)
・労働者の健康診断の結果を 5 年間保存
・健康診断の費用の負担を誰がするのかは、法律には規定されていません。(事業者に健康診断の義務が課せられている以上、事業者が費用を負担するのが当然と考えられています)
〈医師による面接指導〉
・労働者の週 40 時間を超える労働が 1 月当たり 80 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる場合には、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならない。
・労働安全衛生法第 66条の 8 により規定
・長時間労働者に脳・心臓疾患の発症が多い
労働保険
労災保険と雇用保険がある
【労災保険】:業務上で災害が発生したときの補償を目的
・労働者を一人でも雇用していれば加入が義務(パート・アルバイト含む)
・業務災害:業務が原因となった負傷や疾病、障害、死亡
・通勤災害:住居と就業場所の間を合理的な経路および方法で移動した場合
【雇用保険】:労働者の雇用や生活の安定を目的
@1週間の所定労働時間が 20 時間以上
A31 日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合
@Aを満たすと適用対象
・求職者給付(失業保険):失業した際に支給される保険
・就職促進給付:再就職した際に給付されるもの
・教育訓練給付:厚生労働大臣が認める教育訓練を受講し修了した場合に支給
・雇用継続給付:高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付の 3 種類
〈労災保険の適用事業〉:原則として労働者を使用するすべての事業
・例外:@国の直営事業や官公署の事業:国家公務員災害補償法や地方公務員災害補償法の適用となるため
A農林水産業の一部については、暫定的に任意適用事業
・通常は事業主や役員は加入することができない:例外:一人親方や自営農業、小規模事業者など、その業務の実状や災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することが適当であると認められる者
社会保険
健康保険と厚生年金がある
【健康保険】:業務外の疾病や負傷、死亡、出産に対して給付を行うことが目的
・被保険者だけではなく扶養家族に対しての給付も対象となる
・事業主と被保険者が半分ずつ保険料を支払う
【厚生年金】:日本の公的年金制度は、3 階層
・国民年金(基礎年金):一番下の階層:全ての国民が対象
・厚生年金:保険料は事業主と被保険者が半額負担:加入期間とその間の収入に比例して支給:会社員が対象
・厚生年金基金:企業年金制度の一つで企業が任意で加入する年金
その他法規
【育児・介護休業法】
・労働者から育児や介護の申請があった場合、事業主は一定の休暇などを与えることが義務付けられている
・育児休業:原則として子どもが1歳になるまで休業を取得できる制度:両親がともに育児休業を取得する場合、子どもが最長 1 歳 2 ヵ月に達するまでの間で 1 年間の休業が可能:保育所に入所できないなどの事情がある場合は、最長で 2 歳に達するまで休業を延長
・子の看護休暇:子どもが 1 人の場合は年 5 日、2 人以上の場合は 10 日までの休暇を取得できる制度:小学校入学前の子どもがいる労働者が対象:病気やけが:1 日単位だけでなく時間単位でも取得可能
・介護休業:要介護の対象家族 1 人につき 3 回まで、通算 93 日までの休業を取得できる制度
・介護休暇:要介護状態の対象家族が 1 人であれば年 5 日、2 人以上であれば年10 日まで、介護のための短期の休暇を取得できる制度:1 日単位だけでなく時間単位でも取得できる
【労働契約法】
5つの基本原則
1,労使対等の原則:労働契約は、労働者および使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきもの
2,均衡考慮の原則:就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、または変更すべきもの
3,仕事と生活の調和への配慮の原則:仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、または変更すべきもの
4,信義誠実の原則:労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、および義務を履行しなければならない
5,権利濫用の禁止の原則:労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない
〈その他の法規〉
●男女雇用機会均等法
・募集や採用について男女で均等な機会
・配置や昇進、教育、福利厚生、退職などにおいて、性別を理由とした差別的取り扱いを禁止
・現状で企業の中で女性に対する待遇などの格差がある場合は、それを改善するような取り組みを行うことは、違法にはならない:ポジティブアクション
●労働者派遣法:労働者の派遣事業を行う民間の業者に対して適用される法律
・労働者派遣:自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受ける他人のための労働に従事させること
・派遣労働という働き方、およびその利用:臨時的・一時的なものであることを原則:常用代替を防止
すべての業務で、次の 2 つの期間制限が適用されるようになりました。
・派遣先事業所単位の期間制限:同一の派遣先の事業所に対し、派遣できる期間は、原則、3 年が限度:3 年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等からの意見を聴く必要がある:1 回の意見聴取で延長できる期間は 3 年まで
・派遣労働者個人単位の期間制限:同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3 年が限度:
・正社員と派遣社員「同一労働同一賃金」が適用
●職業安定法:職業紹介に関する規定をまとめた法律
・公共職業安定所(ハローワーク):公的なもの
・有料職業紹介事業:厚生大臣の許可が必要:手数料や報酬を受ける事業:転職を希望する人と、企業の間で仲介を行う人材紹介という形が一般的:許可制、期間は新規の場合は 3 年、更新は 5 年ごとに行う必要:港湾運送業、建設業への紹介は禁止
タグ:企業経営理論
1-7-0 人的資源管理 補足(過去問)
@非正社員の質的基幹化:非正社員であっても、判断や管理など、質的に高度な業務を実施するようになってきた状態のこと
【背景】
・正社員の賃金負担、解雇の難しさ
・業務量の変化に対して柔軟に対応できる
【問題点】
・非正社員の仕事の難易度が上がっても待遇には正社員と開きがある。
・機密事項に対する社員教育や訓練が不十分な場合がある。
・正社員と非正社員が同等の仕事を行い待遇が違う場合非正社員が不満を感じ職場の一体感が低下する。
・終身雇用を前提とした社員の雇用は難しくなっており、長期的な視点で育成することが困難になっている。
・正社員と同等の業務を行うようになっているとまでは言い切れない。
Aヒューリスティックやバイアス:単純化や経験則に頼って意思決定をすることが多い
・後知恵バイアス(hindsight bias):物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向
・確証バイアス(confirmation bias)(追認バイアス):ある選択肢に好意を抱いた人は、その選択肢を支持するような証拠を探し求め、データをそのように解釈する
・内集団バイアス(ingroup bias):自分が帰属している集団には好意的に考え、その外の集団には差別的に考えてしまう傾向
・感情ヒューリスティック(affect heuristic):好き嫌いだけで意思決定をし、理由を後付けする
・代表性ヒューリスティック(representativeness heuristic)(典型性ヒューリスティック):あらかじめ抱いている固定観念に合った特性を見いだそうとする
・利用可能性ヒューリスティック(available heuristic):想起しやすい事柄や事項を優先して評価してしまう傾向のこと
【背景】
・正社員の賃金負担、解雇の難しさ
・業務量の変化に対して柔軟に対応できる
【問題点】
・非正社員の仕事の難易度が上がっても待遇には正社員と開きがある。
・機密事項に対する社員教育や訓練が不十分な場合がある。
・正社員と非正社員が同等の仕事を行い待遇が違う場合非正社員が不満を感じ職場の一体感が低下する。
・終身雇用を前提とした社員の雇用は難しくなっており、長期的な視点で育成することが困難になっている。
・正社員と同等の業務を行うようになっているとまでは言い切れない。
Aヒューリスティックやバイアス:単純化や経験則に頼って意思決定をすることが多い
・後知恵バイアス(hindsight bias):物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向
・確証バイアス(confirmation bias)(追認バイアス):ある選択肢に好意を抱いた人は、その選択肢を支持するような証拠を探し求め、データをそのように解釈する
・内集団バイアス(ingroup bias):自分が帰属している集団には好意的に考え、その外の集団には差別的に考えてしまう傾向
・感情ヒューリスティック(affect heuristic):好き嫌いだけで意思決定をし、理由を後付けする
・代表性ヒューリスティック(representativeness heuristic)(典型性ヒューリスティック):あらかじめ抱いている固定観念に合った特性を見いだそうとする
・利用可能性ヒューリスティック(available heuristic):想起しやすい事柄や事項を優先して評価してしまう傾向のこと
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