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2023年09月15日
1-11 価格・チャネル戦略
価格とは
【価格の役割】:価値の判断基準となるのが価格
・顧客は支払う対価よりも、製品により受け取る価値の方が大きいと認識する必要がある。
・価格の設定次第で利益・販売量が大幅に変わってくる。
【価格の影響要因】
・消費者の需要:需要と供給のバランスで価格が変わる
・需要の価格弾力性:価格が変化したときに、需要が変化する割合を表す。:価格弾力性が大きい製品は、価格を高くすると売れなくなる。
価格弾力性 = 需要の変化率 / 価格の変化率
・製品のコスト:製造や販売にかかるコストは、価格設定の際の基準となる。:コストにどれぐらい利益を乗せるかで価格戦略は変わる。
・競合の存在:競合を意識した価格設定
・法的な規制:独占禁止法など
価格設定
【価格の基本戦略】:価格の影響要因として、「製品のコスト」や「顧客の需要」、「競合の存在」がある
●コスト志向の価格設定(コストプラス法)(流通業ではマークアップ法):製品の原価に一定の利益を上乗せする
●需要志向の価格設定:消費者の需要に合わせて価格を設定
●心理的価格設定:消費者の心理を重視して価格を設定
・名声価格(威光価格):あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があるということを認識させるような価格:ブランド品
・端数価格:9や8が付く端数価格をつけると、消費者は実際よりも値段が安く感じることが多い:食品や日用品
・習慣価格:消費者が慣習的に一定の価格のみ受け入れているような価格:自販機の缶ジュース
●競合志向の価格設定:競合の価格を重視して価格を設定
・実勢型価格設定:プライスリーダーの価格に、プライスフォロワーが追随する:消費者が価格差に敏感な製品に良く使われる方法
・入札型価格設定:最も価格が低い企業が契約を受注できる
【新製品の価格設定】
●上澄吸収価格戦略(スキミングプライス)(初期高価格戦略):新製品に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感でない消費者に販売する方法
・ターゲット:イノベーター(革新者)
・メリット:利益率が高く、新製品の製品コストを早く回収できる
・デメリット:あまり売れない恐れもある
・成立する条件:新製品の品質やイメージが高く、競合と差別化できており、競合が模倣しにくいこと
●市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライス)(初期低価格戦略):新製品に安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを高める戦略
・メリット:一気にシェアを高めて、競合他社よりも、規模の経済性や経験曲線効果を早く発揮できる
・成立する条件:需要の価格弾力性が高いこと
・市場浸透価格戦略は、模倣されやすい最寄品でよく見られる価格戦略
【製品ミックスによる価格設定】
●抱き合わせ価格:複数の製品を組み合わせてセットで販売する方法(上下セットの服、PCとソフト):消費者にまとめて販売することが狙い
●プライスライニング:段階的な価格帯に沿って、製品を販売する方法:消費者が製品を選択しやすくする
●キャプティブ価格:メインの製品を安く設定し、付随する製品を一緒に購入してもらう戦略(昔の携帯電話と通話料):付随製品で儲けることが狙い
価格の調整
【割引】:条件を満たした場合に安くする事により販売の促進を図る制度
●現金割引:現金で支払う場合に価格を安くする制度:資金回収が早くなり、資金の回収不能というリスクがなくなる
●数量割引:大量に購入する場合に適用される割引:販売に関わる事務などのコストが削減できる
●季節割引:需要が停滞する季節に適用される割引:需要を喚起する
【販売促進による価格設定】
●ロスリーダー政策:目玉商品を設定し、その商品目当てに来店した顧客に、目玉商品以外の商品も購入してもらうことで、利益を確保する方法
●エブリデーロープライス政策(EDLP政策):常に商品を低価格で販売する方法(ウォルマートが推進):大規模な仕入やローコストのオペレーションを築くことが必要
【販売チャネルによる価格設定】
●機能割引:販売相手が遂行する流通機能によって割引をする制度(卸売業者が輸送や保管)
●アローワンス:流通業者がメーカーの意図に従って広告や陳列などを行った場合に割引を行う
●リベート:取引が終了した後の一定期間後に現金などが支払われる:取引金額が多い場合や、メーカーの販売促進に協力した場合などのリベート:販売やプロモーションを促進する効果
●メーカーの価格:再販売価格をメーカーが拘束することは、独占禁止法によって禁止:メーカー希望小売価格(参考価格)、オープン価格
〈参照売価〉
・外的参照価格:メーカー希望小売価格や当店通常価格など、消費者の購買環境から外的に入手できる参照価格
・内的参照価格:消費者個人の内的な感覚を基にした参照価格(過去の経験等)
〈現代の価格政策〉:価格政策が他のマーケティング・ミックス要素と統合的に作用することで、企業の競争優位性が左右される
●Hi-Lo 政策:集客のために、セールや特売など一時的に低価格で販売する方法
・フォワード・バイイング:前もって大量に商品の購入を行って、通常より安い価格で仕入れること
●価格の品質バロメーター機能:製品やサービスに関しての知識や情報が少ない場合は、価格の高いものは品質も良いと思う事
チャネルの機能
メーカーで生産された製品は、様々な流通経路をたどって最終消費者まで届けられる。この流通経路のことをチャネルと呼ぶ【流通の機能】
・商流としての製品の所有権を移転する機能
・物流として製品を輸送したり保管する機能
・情報流通として需要や供給などの情報を伝達したり、販売促進をする機能
・流通業者が掛けで仕入れることにより支払いが一定期間猶予されるために金融機能があります
・製品が消費者に売れないリスクを流通業者が負担する、危険負担機能
【取引数最小化の原理】
・メーカーと小売業者の間に卸売業者が介在することで取引の数が少なくなり、流通が効率化するとされる事
〈チャネル・スチュワードシップ〉
・流通チャネルの参加者の誰かがリーダー、すなわちスチュワードとなってチャネル戦略を策定し、顧客にとっての最適化を図り、同時に、チャネルの参加者すべてが利益を享受できるようにすること
〈オムニ・チャネル・リテイリング、電子商取引におけるモール型、マーケットプレイス型、テナント型プラットフォーム〉
●オムニ・チャネル・リテイリング:実店舗、オンラインストア等すべての販売チャネルや流通チャネルを統合すること
●モール型 EC サイト:Web 上のショッピングモールのようなスペースを提供する EC サイト
・マーケットプレイス型:モール内で商品を販売したい企業が、商品のデータのみを掲載するタイプのモール型 EC サイト:出店ではなく「出品」(Amazon)
・テナント型:多くの EC サイトが立ち並んだモール型 EC 市場です。(楽天市場や Yahoo!)
チャンネルの種類
【チャネルの長さによる種類】
●直接流通:メーカーが直接消費者と取引を行うチャネル
●間接流通:メーカーと消費者の間に流通業者が介在するチャネル(小売業者や卸売業者が存在する場合も)
【チャネルの幅による種類】
●開放的チャネル政策:メーカーが取引する流通業者を限定せずに、幅広く製品を流通させる方法
・メリット:たくさんの製品を販売できる
・デメリット:メーカーがチャネルをコントロールすることが難しい
・日用雑貨などの最寄品によく見られる政策
●選択的チャネル政策:メーカーが取引する流通業者を、一定の基準によって選択して、業者の数を絞り込む方法
・メリット:流通業者を絞り込むことで、販売の努力が集中できることと、得意先の管理がしやすくなること
・デメリット:次の排他的チャネル政策に比べると、流通業者の販売やプロモーションへの協力が不十分な場合があること
・化粧品などの買回品で、販売業者の業態やイメージなど一定の基準を満たした取引先を選択して、優先的に販売するのが選択的チャネル政策
●排他的チャネル政策:製品の流通を制限し、専売店のみに販売権を付与するもの
・メリット:自社のブランドを高めるのに向いている
・チャネルを極端に絞り込むため、消費者の認知度が低下し、売上が低下する可能性があること
【垂直的マーケティングシステム(VMS)】:メーカーや卸売業者、小売業者を含めた垂直的なチャネル間の競争
●企業型システム:チャネル全体が一つの資本によって垂直統合されているもの(自動車など)
●契約型システム:独立した企業同士が契約によって結びつくシステム
・フランチャイズチェーン:本部であるフランチャイザーと、加盟店であるフランチャイジーが契約を結んで事業を行う
・ボランタリーチェーン:独立した企業同士が結合して、経営の合理化をはかる仕組み:本部が集中的に仕入などを行うことで、業務の効率化を行う
@コーペラティブチェーン(小売業者主宰):小売業者同士で水平的に統合し、共同で本部を設けて共同仕入や、在庫管理などを行う
Aボランタリーチェーン(卸売業主宰):卸売業主宰のボランタリーチェーンでは、卸売業者が小売業者に対してリテールサポートを行う。
リーテルサポート:卸売業者が小売業者から入手した売れ筋などの情報を元に、商品情報の提供などの支援を各小売業者に行う
●管理型システム:チャネルリーダーが他のメンバーを契約によらず組織化するもの:最もチャネルリーダーの支配力が弱い
〇流通系列化:メーカーが卸売業者や小売業者などを自社の流通に組み込むことで、競争優位を獲得しようとすること
・専売店制度:メーカーが流通業者に自社製品のみを取り扱うように制限する制度
・一店一帳合制:メーカーが、小売業者に対して自社製品を仕入れる卸売業者を一つに制限すること
〈国際フライチャイジング〉
@ストレート・フランチャイジング契約:国内の本部が進出先国でフランチャイジング参加の募集をかけ、現地事業者と直接フランチャイジング契約を締結する形態。
A合弁型フランチャイジング契約:国内の本部が進出先国でのパートナーとともに現地に合弁会社や子会社を設立し、そこを相手先としてマスター・フランチャイズ契約を結ぶもの。
Bサブ・フランチャイジング契約:海外の現地本部(マスター・フランチャイザー)が、現地で加盟店を募集し、フランチャイズ契約による店舗展開を行うもの。
物流戦略
物流では、物流コストと顧客満足はトレードオフの関係にある【物流の機能】:ものを輸送するだけでなく、保管や荷役、包装まで含んでいる。
・購買物流:メーカーで材料や部品を購入する
・販売物流:工場で製品が生産された後に倉庫で保管
【ロジスティックス】:物流業務を効率的に行うための管理方法:材料の調達から生産、顧客への配送などの一連の物流活動を、個別機能ごとではなく全体最適で計画的に管理するプロセス
・全体最適化するために、工場や倉庫などの物流拠点の配置や、材料や製品の輸送方法、生産や配送のスケジューリング、在庫管理方法などを総合的に計画し管理
【サードパーティーロジスティクス】
・サードパーティーロジスティクス:ロジスティックスを第三者にアウトソーシング
・輸送や倉庫業務といった個別の業務だけでなく、ロジスティクス全体をアウトソーシング
・物流業務を改革しコスト削減や顧客満足度の向上を図ることが狙い
タグ:企業経営理論
2023年09月17日
1-11-0 価格・チャネル戦略 補足(過去問)
【価格の交差弾力性】:ある財の価格の変化が他の財の需要量に及ぼす度合いを表します。
交差弾力性=Y財の需要変化率/X財の価格変化率 =(△Y/Y)/(△Px/Px)
Px:当初のX財の価格、Y:当初のY財の需要量
【交差弾力性と財の代替・補完】
●代替財:価格の交差弾力性が正になる:X財の価格が上がるとY財の需要増加する
●補完財:価格の交差弾力性が負になる:X財の価格が上がるとY財の需要減少する
「極端の回避性(松竹梅の法則)」:消費者は中間の価格帯を選ぶ傾向にある
交差弾力性=Y財の需要変化率/X財の価格変化率 =(△Y/Y)/(△Px/Px)
Px:当初のX財の価格、Y:当初のY財の需要量
【交差弾力性と財の代替・補完】
●代替財:価格の交差弾力性が正になる:X財の価格が上がるとY財の需要増加する
●補完財:価格の交差弾力性が負になる:X財の価格が上がるとY財の需要減少する
「極端の回避性(松竹梅の法則)」:消費者は中間の価格帯を選ぶ傾向にある
タグ:企業経営理論
2023年09月18日
1-12 プロモーション・応用マーケティング
プロモーションとは
顧客や流通業者に対して情報伝達を行うことで、購入を促進すること【マーケティングコミュニケーション】:情報の送り手から、メッセージを、受け手に届けるプロセス
【プロモーションミックス】:大きく分けて 4 つの手段(広告、パブリシティ、人的販売、販売促進)
●これらを目的に合わせて適切に組み合わせていくことをプロモーションミックスと呼ぶ
●プル戦略:消費者の需要を喚起する戦略:消費者が自らお店に足を運んだり、自ら製品を購入するように導くこと:広告とパブリシティ
●プッシュ戦略:製品を売り込んでいく戦略:製品を売り込むことで製品を購入してもらうこと:人的販売と販売促進
〈IMC(統合マーケティングコミュニケーション)〉:多岐に渡るメディアにおける企業発信のメッセージを統一・統合して展開すること
・IMC のアプローチ:顧客関係性に重点を置いており、短期的な活動ではなく、長期的な顧客の生涯価値の重要性に着目
・複数のプロモーションミックス要素を組み合わせて継続的な働きかけを行う。
・マーケティング費用を投資として捉えており、投資効果の測定や評価を重視
広告
【広告の目的】:製品を知ってもらったり、関心を持ってもらい、購入を促進したりすること
・広告には製品の広告である製品広告だけではなく、企業の広告である企業広告がある
【広告の対象】
●消費者広告、産業広告(産業財や業務目的で購入する法人などに対する広告)、流通広告(メーカーが卸や小売などの流通業者に対して行う広告)に分類
【広告開発のプロセス】
●広告目標
・マーケティング戦略の一部として行う
・マーケティング上の目標と整合性が取れている必要がある
(認知度を高めるのか、競合からのブランドスイッチを狙うのかな)
●広告予算
・売上高比率法:売上高予算の一定の割合を広告予算とする方法
・支出可能予算法:どれぐらいまで広告に支出できるかによって広告予算を設定する方法
・競合企業対抗法:競合企業の広告予算を推定して、それに対応する予算を設定する方法
・タスク法:広告目標を達成するために必要な広告量を見積もり、それに必要な予算を設定する方法
●メッセージ開発:消費者の興味を喚起できるか、競合から差別化されているか、メッセージに信頼性があるかなどを考慮して、メッセージを決定
●広告媒体の選択:マスコミの 4 媒体、インターネット広告、SP (セールスプロモーション)広告に分類される
●マスコミ広告:新聞、テレビ、ラジオ、雑誌
・新聞広告
メリット:カバー範囲が広い、短いリードタイムで広告を出せる、信頼性が高いこと
デメリット:印刷の質が悪い、広告の寿命が短いこと
・テレビ広告
メリット:視聴者が多い、映像・音声などを使い消費者の感覚に訴えられること
デメリット:コストが高い、消費者の選択が難しいこと
・ラジオ広告
メリット:地域別や属性別などの消費者の選別が可能、コストが安いこと
デメリット:表現方法が音声のみである、消費者の注意をあまり集められない
・雑誌広告
メリット:地域別・属性別に消費者の選別が可能である、高品質な印刷が可能、じっくり見てくれる読者が多いこと
デメリット:広告が出るまでのリードタイムが長い、読者数が少ないこと
●インターネット広告:バナー広告、検索連動型広告など
・メリット:低コストで開始できることやターゲット層へアプローチしやすいこと、効果測定がしやすいこと
・デメリット:種類が多く技術進歩も早いため、ある程度の知識が必要であること、仕組みを理解して広告を適切に設定しないと、効果が得られないこと
●SP広告:ダイレクトメール、屋外広告、インターネット広告
・ダイレクトメール:企業が消費者に直接メッセージを届ける手段
メリット:対象の選択ができる、消費者に個別に対応できること
デメリット:比較的コストがかかる、くずかごに捨てられてしまうイメージがあること
・屋外広告:看板や、ネオンなど
メリット:コストが安く、反復的に露出できること
デメリット:対象の選別ができない、広告の表現力に限界があること
●広告の評価:接触効果、心理効果、売上効果
・接触効果:広告をどれぐらいの人が目にしたかという指標:測定する指標には、リーチ(見込み視聴者の目に触れた割合)やフリークエンシー(1 人あたりの広告の平均視聴回数)がある
・心理効果:消費者の心理面への影響を測定するのが心理効果
認知度:広告がどれぐらい認知されているか
理解度:製品がどれぐらい理解されているか
興味関心度:顧客がどれぐらい興味や関心を持ったか
・売上効果:広告の実施により、どれぐらい売上が増加したか
【インターネット広告の手法】
●検索連動型広告:検索結果画面の上や右の枠などに表示される広告です。PPC 広告やリスティング広告と言われる
広告がクリックされると広告主に費用が課金
●アフィリエイト・プログラム:紹介した商品等が売れると成果報酬や紹介料を支払う広告形態
自分の WEB サイトやブログに、広告主の商品の広告を掲載
●SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化
【製品ライフサイクル別の広告】
●導入期:知名度を向上させて需要を喚起することが目的
●成長期:競争に打ち勝ちシェアを高めていくことが目的
●成熟期:シェアを維持するために、広告もブランドを維持する事が目的
パブリシティ
【パブリシティの目的と手段】:ニュースとして取り上げられることを目的
・プレスリリース等の手段を使ってニュース素材をメディアに提供
【パブリシティのメリットとデメリット】
・メリット:コストが安い、消費者の信頼性が高い
・デメリット:コントロールができない、掲載されるか、思い通りのメッセージが報道されるか
【パブリックリレーションズ(PR)】
・株主、従業員、消費者、マスコミなど企業の様々な利害関係者とのコミュニケーションを通じて、利害関係者と良好な関係を築いていく活動
・主に製品等の情報を伝達する手段
人的販売
【人的販売の目的】:営業による販売活動
【人的販売のメリットとデメリット】
・メリット:顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客ニーズに個別に対応できる。顧客に非常に影響力の強い販売活動を行うことができる。長期的な関係を築くことができる。
・デメリット:対応できる顧客数に制限がある。販売員の能力に依存する。
【販売員の分類】
・オーダーゲッター:新規顧客を獲得
・オーダーテイカー:既存顧客からの受注
販売促進
【販売促進の目的】:消費者や流通業者の購買意欲を高めるための短期的なプロモーション
・購入へのインセンティブを付与する
【販売促進の種類】
●消費者向け推進
・サンプル:試用版を無償で提供する:需要を拡大する
・プレミアム:景品など、製品とは別の物品や便益を消費者に付与する:購入意欲を高める
・ポイントカード:購入金額に応じてポイントが加算:
・会員カード:会員になると有利な価格で購入できるなどの特典:、顧客を囲い込む
・POP広告:商品の前にコメントが書かれたカード
・カタログ:製品の説明が記載されたもの
●流通業者向け販売促進
・リベート:一定の基準を満たすと、取引後に流通業者に現金などを支払う
・アローワンス:流通業者がメーカーの意図に従って広告や陳列などを行った場合に割引を行う
・販売店コンテスト:優秀な販売店を表彰したり優遇する制度
・リテールサポート:販売店に対して経営支援(情報提供など)
●社内向け販売促進:社内の販売員に対して、販売を動機づけるような社内向けの販売促進
・社内販売コンテスト
・販売マニュアル
関係性マーケティング
【関係性マーケティングの目的】(リレーションシップマーケティング)
●大量の広告費などの費用をかけて顧客を新規開拓するよりも、既存の顧客との関係を深めることで顧客を維持し、収益を確保しようという関係性マーケティングの考え
●20%の顧客で 80%の売上を稼いでいるという、80 対 20 の法則
【CRM(Customer Relationship Management)】
・顧客との関係を深めることで、顧客ロイヤルティを高め、収益を拡大しようとするマーケティング手法
●ライフタイムバリュー(LTV)(顧客生涯価値):1 人の顧客が長期間にわたってもたらしてくれる利益の合計
・ライフタイムバリューの高い顧客は、優良顧客
●RFM 分析:優良顧客を判別する方法
・3 つの指標で顧客を分析(Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額))
●FSP(FrequentShoppers Program):優良顧客に対して、優先的にプロモーションを行う手法
・優良顧客を囲い込むことが狙い(航空会社ではマイレージプログラムなど)
【ワントゥワンマーケティング】:顧客に個別に対応していくマーケティング
・近年では顧客のニーズが多様化していることと、IT の発展によって顧客への個別対応が実現できるようになってきたことが背景
●ワントゥワンマーケティングの目標:顧客シェアを高めることを目標 ⇔ マスマーケティング:市場シェアを高めることが目標
・顧客シェア:1 人の顧客が購入する金額の中で、自社が占める割合
●ワントゥワンマーケティングの手段:個別にニーズを把握し、最適なマーケティングプログラムを実行する必要がある
・データベースマーケティング:顧客データベースを活用して、見込み客の発見から購入、さらにリピーターへの育成を行うためのマーケティングプログラム
・マスカスタマイゼーション:大量生産のスケールメリットを生かしながら、顧客ごとにカスタマイズを図る手法
(フルオーダーでは無くイージーオーダーなど)
【ダイレクトマーケティング】:メーカーが消費者に直接行うマーケティング:メーカーから通信販売やテレマーケティング、インターネット販売などを通じて消費者に直接販売する手法
●テレマーケティング:コールセンターで電話対応を専門的に行い、注文を受けたり、営業活動を行ったりする。
・CTI(Computer Telephony Integration):コンピューターと電話・FAX・メールなどを統合する技術
・インバウンド:電話で注文を受ける方法
・アウトバウンド:企業から電話をかける方法
●インターネットマーケティング
・ネットショップ:自社で Web ページを作る方法と、バーチャルモールに出店する方法がある
・クリックアンドモルタル:実在の店舗と、インターネット上の店舗を組み合わせた方法
●ソーシャルメディアと CGM:ブログ、SNS(Social Networking Service)、動画共有サイト、クチコミサイト、電子掲示板など
・CGM(Consumer-Generated Media):消費者が、情報の作成者・発信者:消費者生成メディアを意味
・バイラル・マーケティング:クチコミを活かすマーケティング:企業が直接コントロールすることができないという特徴
〈トリプルメディア〉
●ペイドメディア(Paid media):「買うメディア」という意味で、マスコミ広告や WEB 広告など
●オウンドメディア(Owned media):「所有するメディア」という意味で、自社の WEB サイトや、販売員など
●アーンドメディア(Earned media):「評判を得るメディア」という意味で、ソーシャルメディアなど
サービスマーケティング
【サービスの特性】:無形性、不可分性、変動性、非貯蔵性
●無形性(非有形性):サービスは目で見たり触ったりできない
●不可分性(同時性):サービスは生産と消費が同時に行われ、サービスを提供する人がその場にいなければならない
●変動性:サービスの提供者やタイミングなどによってサービスの品質が変わってしまい、品質の均一化が難しい
●非貯蔵性(消滅性):サービスは貯蔵することができず、サービスが提供された後に消滅してしまう
【サービスの特性への対応】:品質を向上させる方法と、生産性を向上させる方法が考えらる
●サービス品質の向上:マニュアル化や教育訓練:
・コンタクト・パーソネル(CP):サービスを提供する人
・顧客満足を向上させるためには、コンタクト・パーソネルの満足度、つまり従業員満足度を向上させる必要がある
●サービス生産性の向上:サービスは、貯蔵できず、生産と消費が不可分であるため、生産性を上げるには工夫が必要
・需要の調整:予約制、ピーク時の需要を非ピーク時に振り替えたり非ピーク時の需要を活性化したりする
・供給能力の改善:パートやアルバイトなどの非正規社員を活用する
・サービスに時間や労力をかけないようにする方法:セルフサービスを導入
【サービスマーケティングと組織】:3 つの方向のマーケティングがある
●エクスターナル・マーケティング:企業と顧客の間のマーケティングで、物理的な製品のマーケティングと同じ:マーケティングの 4P を中心にした活動
●インターナル・マーケティング:企業とコンタクト・パーソネルの間のマーケティング:コンタクト・パーソネルへの教育などを適宜
●インタラクティブ・マーケティング:コンタクト・パーソネルと顧客の間のマーケティング:良好なサービスや対話により信頼性を築き、顧客ロイヤルティを高めていくことが求められる
〈サービスの品質評価・顧客満足〉
●SERVQUAL:サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語
次の 5 つの面からサービス品質を評価する
@信頼性(Reliability):約束されたサービスを確実に提供すること
A 対応性(Responsiveness):顧客に迅速なサービスを提供すること
B 確実性(Assurance):従業員のしっかりした知識と対応の丁寧さ
C 有形性(Tangibles):施設、設備、従業員の外見
D 共感性(Empathy):顧客に対する気遣いや注意
●サービス・スケープ:店舗の外見、店やデザイン、明るさや色、音楽、香りなど、サービスを提供する物理的環境すべてもの
●サービス・エン力ウンター(真実の瞬間):顧客がサービスを提供される場面のこと
●サービス・プロフィット・チェーン:顧客と従業員の満足を収益性に結びつけようとするもの
・組織が従業員を大切にして従業員の満足を高めれば、従業員は顧客によりよいサービスを提供し、顧客満足や顧客ロイヤルティの向上につながるという考え方
タグ:企業経営理論