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2023年08月23日
1-6 組織と人材
経営管理の発展
【テイラーの科学的管理法】
・課業管理:課業(1日に行う作業量)を設定し管理を行う。
・4つの管理原則:課業を設定する事、標準的な条件を設定する事、家業を達成した労働者には高い賃金で報いる事、家業が達成できなかった労働者には低い賃金にする事
・科学的管理法の成果:IE(経営工学)の発展の契機となった。
・科学的管理法の問題点:経済人モデル(合理的な基準に基づいて行動するという考え)
【人間関係論】
・ホーソン実験:集団の中での非公式な行動基準(標準作業量が引き上げられたり集団に迷惑が掛かる)
・ホーソン実験の成果:生産に影響を与える要因は非公式な人間関係が重要
・社会人モデル:レスリスバーガー:人間は感情をもった社会的な存在であり、感情の理論で行動する
・インフォーマル組織:非公式な組織が公式な組織に大きな影響を与える
・人間関係論の問題点:感情を重視するだけでは生産性は向上しない。目的をもって自律的に行動する存在でもある。
モチベーション理論
モチベーション:動機づけ
【内容理論】
●マズローの欲求段階説:人間の欲求を5段階に体系化:下から、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、自我の欲求、自己実現の欲求
・低次元の欲求が満たされると上の欲求を満たそうとするが、自己実現欲求以外は一旦満たされると動機づけの要因にならない
●マグレガーのX理論・Y理論
・X理論:従来からの人間観(仕事が嫌い、強制や罰が無ければ仕事をしない)、低次元の欲求段階にいる:命令と統制による管理
・Y理論:新しい人間観(仕事をするのが本性、目的のために進んで働く、報酬や条件で進んで責任を引き受け創意工夫する):高次元の自我の欲求や自己実現の欲求段階にいる:目標による管理(MBO)
●ハーズガーグの動機づけ・衛生理論
・動機づけについて2つの要因がある:不満要因、、満足要因
・不満要因(衛星要因):会社の方針、作業条件、給与、人間関係:要因を高めても不満は減少するが積極的な動機づけにならない
・満足要因(動機づけ要因):達成感、認められること、やりがい、責任、昇進、成長:高次元の欲求段階に相当する欲求
⇒職務充実(別名ジョブ・エントリッチメント):計画や判断など責任と権限を拡大し仕事を質的に充実:職務の垂直拡大
●アージリスの未成熟・成熟理論:人間は成長の段階で、受動的から能動的になったり、依存した状態から自立した状態になるもの
・組織は人間の成長を妨げないようにすることが重要⇒職務拡大、別名ジョブ・エンラージメント:仕事の範囲を水平的に拡大する:成長の実感を与える・
〈内発的動機づけ〉
・外発的動機付けは強制や懲罰、評価、報酬などが要因
・内発的動機付けは、例えば業務等に対する興味や関心から意欲が沸いて業務遂行等からの達成感や満足感、充実感を得たいという欲求が要因
〇デジの内発的動機付け:人は生まれながらに有能感と自己決定への欲求をもっており、この 2 つがモチベーションの重要な源泉となっている
〇チクセントミハイのフロー心理学:人が極度に集中している、没頭している状態を「フロー状態」という。
フロー経験:「活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される直接的で即座な反応」、「活動の目的が難しすぎず易しすぎない」「活動に本質的な価値があり活動が苦にならない」等が条件
〇ホワイトのコンピテンス(有能性)概念:コンピテンスとは環境に対する適応能力を指す概念:
「個人が経験・学習を通して獲得した能力をある状況下であれば有効に作用するだろうと考える潜在能力を持つこと」、
「その状況下でその潜在能力を有効に活用することで自分の有能さを発揮しようと動機付けられること」の2つを統合した概念
【過程理論】:どのようなプロセスで動機づけが行われるのかということに注目するのが過程理論
●ブルームの期待理論;動機づけの強さ(報酬の期待される価値と、報酬を得られる確率を掛け合わせたもの)
・報酬というのは、金銭的な報酬だけではなく、仕事の充実感や得られる尊敬など、個人にとって動機づけとなるもの全てを含む。
:個人によって報酬のとらえ方違うので動機づけの強さも変わる。
●マクレランドとアトキンソンの達成動機説
・達成動機:高い業績を上げたい、達成し成功したいと思う人が多く持っている動機:個人の責任で仕事をする事を好み、自分が行った事について迅速なフィードバックを望み、中リスクを好む。
・中ぐらいのリスク:50%以上の成功確率があれば動機づけ(リスクが低すぎるとあまり動機づけされない)
〈(中核的)職務特性モデル〉
・仕事の性質や特性そのものがモチベーションに深くかかわっていると考える理論:仕事自体が面白ければ、モチベーションが高まる
1,技能多様性:必要とされるスキルの多様性。
2,完結性:仕事の流れの全体に関与できること。(一部じゃない)
3,重要性:仕事の出来栄えが他の人(社内や顧客)にとって重要なこと。
4,自律性:自分で工夫できる裁量が大きいこと。
5,フィードバック:仕事そのものからフィードバックを得られること。(事の成果についての情報を直接的に得られるほど動機づけが高まる。)
〈(中核的)キャリア・アンカー〉:E.シャインによって提唱
・個人がキャリアを選択するときに、自分にとって最も大切で、犠牲にすることができない価値観を意味
・長期的なキャリア形成においては「どの仕事をしたいのか(what)」よりも「どのように仕事をしたいか(how)」の方が重要
・シャインは、8種類のキャリア・アンカーを示している
@管理能力 - 組織の中で責任ある役割を担うこと
A技術的・機能的能力 - 自分の専門性や技術が高まること
B安全性 - 安定的に 1 つの組織に属すること
C創造性 - クリエイティブに新しいことを生み出すこと
D自律と独立 - 自分で独立すること
E奉仕・社会献身 - 社会を良くしたり他人に奉仕したりすること
F純粋な挑戦 - 解決困難な問題に挑戦すること
Gワーク・ライフバランス - 個人的な欲求と、家族と、仕事とのバランス調整をすること
リーダーシップ
・与えられた状況の中で、目標を達成するために個人や組織に対して影響を与えること
【リーダーシップの源泉】:メンバーがリーダーシップを受け入れることが必要
〈組織から付与〉
・合法勢力:組織から与えられた権限
・報酬勢力:報酬を与える能力から生じる
・強制勢力:罰則を与える能力
〈個人の資質〉
・専門勢力:専門的知識や技術
・準拠勢力:個人的魅力や一体感
〈権威受容説(権限受容説)〉:権威は相手に受け入れられて初めて有効である:C.I.バーナードが提唱
・権威がメンバーに受容される主なポイント:
@リーダーの伝達の内容が、組織目的と矛盾していない
Aリーダーの知識や能力が伴っており、その権限行使にふさわしい
B伝達の内容がメンバーの個人的利害に反していない
C伝達の内容がメンバーの無関心圏の範囲であること(無関心圏とは興味関心が無い内容ということです)
〈リーダーシップとフォロワー〉
・リーダーシップの本質は人がついてくること:優れたリーダーかの判断はフォロワーがリーダーを受容する度合い
【資質特性論】:個人的資質:共通する性格特性の統一見解は出てこず
【行動類型論】:行動パターン
●レヴィンのリーダーシップ類型論:タイプを3に分類
・専制型リーダーシップ:仕事の成果は民主型と同等、満足度や雰囲気は民主型より劣っている
・民主型リーダーシップ:援助し集団で決定:仕事の成果と、仕事の満足度やグループの雰囲気の両面で一番良い結果
・放任型リーダーシップ:全て個人が自由に決定:仕事の成果が最低
●リカートのシステムW理論: 4 つのタイプに分類
・独善的専制型
・温情的専制型
・相談型
・参加型:参加型が理想:部下を支持し集団的な意思決定、高い業績目標を設定:集団のモチベーションを高め、成果を上げる
各小集団の管理者が連結ピンの役目を果たすことが重要:管理者が連結ピンとなることで、コミュニケーションや組織運営が円滑になる
●ブレーク=ムートンのマネジリアル・グリッド
・リーダーの関心を、人間の関心と業績の関心の 2 軸
・人間の関心と業績の関心が共に高いタイプが、最も高い業績を上げる
●シャートルのオハイオ研究:リーダーの行動は「構造作り」と「配慮」という2軸
・「構造作り」:インフラ整備+部下の課題管理:仕事志向
・「配慮」:良い人間関係を維持しようとする行動:人間関係志向
優れたリーダーは双方を高度に行う
【リーダーシップのコンティンジェンシー理論】:状況によって適合するリーダーシップは異なる
●フィードラーのコンティンジェンシー理論
・指示や命令を中心とした仕事中心型:リーダーが統制しやすい状況は良い(メンバーがリーダーを信頼しており、仕事内容が明確で、リーダーの権限が強い状態)
:逆にリーダーが統制しにくい状況もこちらの方が良い
・人間関係の配慮を中心とした人間関係中心型:状況がどちらでもない中間的なときは良い
・リーダーシップ・スタイル:LPC(もっとも一緒に仕事をやりたくない同僚)という指標:LPCが高いリーダーは人間関係志向、低いリーダーは生産指向、仕事志向
・状況要因:リーダーシップ・スタイルと集団業績の関係を状況要因として、リーダーと集団の関係性を状況好意性という概念でとらえ@リーダーと集団の関係(良い-悪い)、Aタス
クのルーティン化、構造化の程度(高い-低い)、Bリーダーの公式権限の強さ(強い-弱い)の三側面で表しました。
●ハウスのパス=ゴール理論(経路理論):報酬の目標を示し、その報酬を得るための経路を明確にすることが必要だと指摘
・期待される報酬の価値を明確に示し、障害を避けて報酬を得るための経路を示す
・部下の能力が高く、仕事が高度なほど、参加的なリーダーシップが有効
●その他のリーダーシップ理論
・PM 理論:P機能(目標達成能力)、M機能(集団維持能力):P,Mどちらも高いリーダーが高い生産性を示す
・リーダー・メンバー交換理論(LMX理論):自分と似た考え方・個人特性を持ち、能力が高いメンバーを内集団として選び、貢献に対する内的・外的報酬を提供
内集団のメンバーは信頼関係を築き、成果を高めるための資源や機会を積極的に受け取り、仕事に対してリスクを取る傾向にある
組織活性化
【組織文化】
●組織文化の定義と役割:組織メンバーの間で共有された価値や理念、あるいは習慣となった行動パターンと定義:組織文化は組織メンバーの間で形成される
●組織開発(組織変革):組織開発や組織変革と呼ばれる方法
・組織開発(OD):組織の有効性や従業員のウエルネス(心身ともに良好な状態)の改善を目指し、人間的かつ民主的価値観のもとで計画的に組織変革に介入するマネジメント手法
・重視している価値観
@人間尊重の価値観:人間は基本的に善であり、最適な場が与えられれば、自律的・主体的にその人間の能力を発揮する。
A民主的な価値観:意思決定する際、関連するできる限り多くの人が参加し関与した方が意思決定の質が高まると考えられる。
B当事者中心の価値観:自ら主体的に変革に取り組むものと考えられる。
C社会的・エコロジカル的システム志向の価値観:組織内だけでなく、組織を取り巻く社会や環境をも重視している。
〈組織アイデンティティ〉:「我々は何者であるか」という問いに対する答え
・組織に対して近くしている、中心的、連続的、独自的な属性
〈キャメロンとクインの組織文化理論〉
●組織文化:組織メンバーの間で共有された価値や理念、あるいは習慣となった行動パターンと定義
・クラン文化:支援的リーダーシップ:クラン(仲間)水平的な関係性
・アドホクラシー文化:革新者的リーダーシップ:創造性を発揮、組織外部に発信:ベンチャー
・ハイアラーキー文化:規則や手続きの遵守:明確な階層がある官僚組織
・マーケット文化:現実主義的リ−ダーシップ:プロセスより市場シェア拡大を重視
【集団の行動】:企業は、小さな集団の集合体と考えることができる
●集団の行動様式(集団のダイナミクス):個人には見られないような特性
・集団の凝集性が高くなる:集団の行動基準に従う圧力が働く
・凝集性が高い集団:まとまりが高い、閉鎖的になる、集団浅慮(グループシンク)
・集団浅慮;集団で決定すると短絡的に決定される:集団を過大評価、集団が閉鎖的⇒均一な意見にする圧力がかかる⇒危険な意思決定をしてしまう。
●コンフリクト(葛藤):組織が個人の集団である以上コンフリクトは避けられない
・コンフリクトを解決していくことで変革を実現する。⇒コンフリクトマネージメント
【組織学習】:組織やメンバーが新しい知識を獲得する活動やプロセス
●低次学習と高次学習
・低次学習(シングルループ学習):既存の枠組みの中で行う学習:組織がゆっくり進化している時
・高次学習(ダブルループ学習):既存の枠組み自体を変革するための学習:組織が革新的に進化する時に必要
●組織学習のサイクル:4 段階のサイクル
・個人の信念が変化
・個人の行動が変化
・組織の行動に影響
・行動の結果、環境に変化
●組織学習の制約
・役割の制約:役割の制限があり行動を起こせない
・傍観者的な態度:周りが傍観者で組織行動に生かされない
・環境に変化を及ぼさない:組織は変化したと迷信的に思い込んでいるが実際には変化していない。
・個人がそれを正しく評価しない:環境が変化しても個人が正しく評価しない
●ナレッジマネジメント:組織の中で、知的資産を共有する方法
・ナレッジを蓄積し共有するだけでなく、個人の持つ暗黙知を、組織的な形式知として活用していくことが重要
〈SECIモデル〉
・共同化(Socialization):個人の持つ暗黙知を、別の個人が、自分の暗黙知として取り込むプロセス
・表出化(Externalization):個人が持つ暗黙知を、他人に伝わりやすくするため、言語や図表などを使って形式知にするプロセス
・連結化(Combination):個別の形式知を組み合わせて、新たな形式知を生み出すプロセス
・内面化(Internalization):個人が形式知を理解し、自分自身のノウハウやスキルとして体得(暗黙知化)するプロセス
【戦略的組織変革】:外部の環境変化に合わせて、戦略的に組織を変革すること
●組織変革への抵抗:時間が経つにつれて固定的になり、変革への抵抗が生じる。:変革のコスト(特に埋没コスト)、必要性・認識の不足
●組織変革の遂行:リッチな情報より、経営者が変革の必要性があるかを認識する
・制度的なリーダーシップ:組織に理念を注入するリーダーシップ
〈組織コミットメント〉:個人が組織に対して一体化している程度
・情緒的コミットメント:損得勘定ではなく、一体感や愛着といった情緒的なもの
・功利的コミットメント:損得に基づく功利的な判断によるもの
・規範的コミットメント:組織には忠誠を尽くすべきだという信念によるもの
・態度的コミットメント:組織の価値や目標を進んで自分に取り入れていくこと
・行動的コミットメント:個人の過去の行動によって、その組織への関与が強まる過程に注目したもの
〈解凍-変化-再凍結モデル(レヴィンの変革プロセス)〉:組織の変革は3段階のプロセスで実行される
@解凍:変革の必要性を理解させるプロセス
A変化:新しい考え方や行動様式を理解させるプロセス
B再凍結:新しい考え方や行動様式を、組織のメンバーに定着させるプロセス
タグ:企業経営理論
2023年08月24日
1-6-2 組織と人材 補足(職務特性モデル• 組織開発• 組織コミットメント)
職務特性モデル
・モチベーション(動機づけ)理論の1つ
・仕事の性質や特性そのものがモチベーションに深くかかわるとする理論:仕事自体が面白ければモチベーションが高まる
●モチベーションは以下の職務特性に影響される
・技術多様性:様々なスキルを必要とするほど動機づけが高まる
・完結性:職務の一部であるより職務として完結しているほど動機づけが高まる
・重要性:他の人にとって重要で価値があるほど動機づけが高まる(自分自身にとってではない)
・自律性:裁量が大きいほど動機づけが高まる
・フィードバック:成果についての情報を直接的に得られるほど動機づけが高まる。
組織開発
・組織の有効性や従業員のウエルネス(心身ともに良好な状態)の改善を目指して、人間的かつ民主的価値観のもとで計画的に組織変革に介入するマネジメント手法
・人間尊重の価値観:基本的に善で最適な場を与えると、自律的・主体的に能力を発揮する
・民主的な価値観:多くの人が参加し関与した方が意思決定の質は高まる。
・当事者中心の価値観:自ら主体的に変革に取り組む
・社会的・エコロジカル的なシステム志向の価値観:組織を取り巻く社会や環境をも重視する
組織コミットメント
・「個人が組織に対して一体化している程度」:会社と自分が一体だと感じている人は、会社のために主体的に働く:逆に会社と自分は関係ないと感じている人は、給与のためにしかたなく働いたり、すぐ転職したりする
・情熱的コミットメント:一体感や愛着といった情緒的なもの
・功利的コミットメント:損得に基づく功利的な判断
・規範的コミットメント:組織に忠誠をつくすべきとの信念
・態度的コミットメント:組織の価値や目標を進んで自分に取り入れていくこと
・行動的コミットメント:個人の過去の行動によって、その組織への関与が強まる過程に注目したもの
・会社が個人の組織コミットメントを高めるには様々な方法がある:主体的に仕事が進められるようにする、成長の機会を提供するなど
タグ:企業経営理論
2023年08月27日
1-7 人的資源管理
雇用管理
【採用管理】
●採用管理:各部門別に必要になる人材を決定し全社で積み上げていく考え方と、雇用にかけられる労務費の費用から逆算して人数を決定する考え方がある。
・インターンシップ制度:新卒採用で学生が在学中に就業体験をする制度:優秀な人材を採用したり、企業イメージを高めることが狙い
〈RJP(Realistic Job Preview)〉:好感されにくい現実をありのままに伝えようとする広報戦略
・自己の能力を見つめなおさせ自己選抜によって応募を辞退させる効果
・職務や職場への初期適応を円滑にする効果
・入社後の離職を回避させる効果
【配置・異動の管理】
●異動の種類
・垂直的な異動:昇進(上位の役職)降職、昇格(上位の職能資格)降格
・水平的な異動:配置転換:適材適所を実現、従業員の育成や、組織の停滞を防ぎ組織を活性化する
●ジョブローテーション:様々な職務を経験させ人材育成を図る制度
●CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)(キャリア開発制度)
・従業員のキャリアプランの実現と企業のニーズに合った人材育成が目的
・従業員毎の長期的なキャリア計画を作成し、その計画に基づいてジョブローテーションなどの配置転換や、教育訓練などを行う制度
●社内公募制度:新しい事業やプロジェクトを開始する際、社内公募で従業員が自分自身で応募できるのが特徴
●複線型人事制度:企業が複数のキャリアパスを用意し、自分の意志で選択する制度:管理職や、専門職など複数のキャリアパスを用意することで、考え方の多様化に対応
【退職管理】
●定年退職:60 歳定年制だったが平成18年法改正(高年齢者雇用安定法)により65 歳まで定年が段階的に延長
・高年齢者雇用安定法:3つのいずれかを行う義務
@定年の延長
A継続雇用制度
B定年制の廃止
・令和 3 年 4 月からは、70 歳までの就業機会の確保が努力義務
・早期退職優遇制度:定年前に退職することで退職金を優遇する制度:人件費の増大を抑止
【雇用調整】:過剰な雇用を削減
・残業時間削減⇒アルバイト削減⇒採用削減・配置転換⇒希望退職者募集⇒解雇
〈非正社員の実質的基幹化〉:判断や管理など質的に高度な業務を実施
・正社員を雇用すると賃金負担が大きく、また解雇も難しい
・業務量の変化に対し、柔軟に対応
人事評価
【評価方法】
●成果主義:仕事の成果の評価を元に評価
・メリット:優秀な従業員のモチベーションを高める、合計の人件費を抑制
・デメリット:短期的な成果を求める、他の人や部門との協力がおろそかになる
・導入の留意点:公平で透明な評価、個人の裁量があり努力次第で成果を挙げられる、能力開発の機会を提供する
●目標管理制度「MBO(Management By Objectives)」:面談の上で個人の業績目標を設定し、自主的に目標を達成する管理方法
・メリット:従業員の創意工夫、やる気、面談によるコミュニケーション
・デメリット:意図的に目標を低く設定しがち、若年者や業務によっては目標が設定しにくい、評価者の負担が増える
●コンピテンシー評価:行動特性を基準にして人事評価を行う:プロセスを評価する評価方法
・高い業績を上げている人をサンプルとして抽出⇒成果を上げる行動特性を評価の指標⇒指標を元に人事評価や能力開発を行う
〈360度評価〉上司が部下を評価するだけではなく、自分を取り囲む先輩や同僚、部下、場合によっては関係先の部署や取引先などが評価
《メリット》
・顧客や取引先が評価者となった場合には、被評価者の顧客志向が高まる
・異なった評価を見ることによって、評価者を訓練する機会を提供する
・上司と部下のコミュニケーションの活性化が図られる
・普段の業務では得られない、さまざまな情報を入手できる
・多様な評価を被評価者にフィードバックすることができる
・デメリット:中立的な評価を行うことができる評価者を選抜することが難しい
【心理的誤差】:評価者の誤差のこと
●ハロー効果:目立つ特徴があると、他の要素の評価もそれに引きずられて歪められること
●中央化傾向:評価結果が中央に寄ってしまう傾向
●寛大化傾向:評価が甘くなってしまう傾向(特に評価者に自信が無い場合傾向が強くなる)
●論理誤差:評価要素の間に関連がある場合、1 つの要素が優れていると別の要素も優れていると思い込んでしまうこと(TOEICの点数⇒英語での交渉)
●対比誤差:評価者自身の能力や価値観を基準にして評価してしまうこと(自分の専門分野など)
【心理的誤差を防ぐ施策】
●考課者訓練:評価者の訓練
●多面評価:360度評価
報酬管理
報酬の目的は業績に貢献するため行動を行うような動機づけを行うこと:限られたコストの中で最大限の成果を上げるような報酬制度や報酬額を決定する必要がある
【昇給】
●定期昇給:査定昇給(職務の内容や能力を評価)、自動昇給(年齢や勤続年数)
●ベースアップ
【基本給】
●年功給:勤続年数や年齢、学歴
●職能給:職能という能力
●職務給:職務に対して支払われる給与
●成果給:成果に基づいて支給額が決定
【賞与】
・賞与総額:業績と同業他社の相場
・個別の支給金額:基本給×平均支給月数と個人の評価
【退職金】:給与の後払いとなり、終身雇用制度を支える仕組み:(退職金制度は義務ではありません)
●ポイント制退職金:職能資格と勤続年数をポイント化し、ポイントに単価を掛けて退職金を算定する方式:企業の貢献度に基づいて算定
●確定拠出年金制度
・確定給付型:将来受け取る年金額が決まっている
・確定拠出型(日本版401K):毎月の掛金が確定している:企業は年金の運用成績に関わらず一定の年金額を支払えばよい
〈その他の報酬制度〉
●持株制度:従業員の経営への参加意識を高めるのが狙い
●ストックオプション:決められた価格で株式を取得できる権利を与える制度:会社の業績を向上させて株価を上昇させる動機づけを強める、優秀な人材を確保
能力開発
【OJT】(On the Job Training):実際に仕事を行いながら上司が指導
・短期間で実務能力が身につけられる、きめ細かい指導、コストがかからない:日常の能力開発の柱
・短期志向になりがち、指導者に教育の成果が左右される、体系的な知識の習得が難しい
【Off-JT】(Off the Job Training):仕事の場を離れて、研修などの形式で行う
・体系的に知識を習得、新しい知識を習得しやすい、
・コストがかかる、実務能力の修得が難しい:終了後のフォローが重要
タグ:企業経営理論
2023年09月02日
1-7-0 人的資源管理 補足(過去問)
@非正社員の質的基幹化:非正社員であっても、判断や管理など、質的に高度な業務を実施するようになってきた状態のこと
【背景】
・正社員の賃金負担、解雇の難しさ
・業務量の変化に対して柔軟に対応できる
【問題点】
・非正社員の仕事の難易度が上がっても待遇には正社員と開きがある。
・機密事項に対する社員教育や訓練が不十分な場合がある。
・正社員と非正社員が同等の仕事を行い待遇が違う場合非正社員が不満を感じ職場の一体感が低下する。
・終身雇用を前提とした社員の雇用は難しくなっており、長期的な視点で育成することが困難になっている。
・正社員と同等の業務を行うようになっているとまでは言い切れない。
Aヒューリスティックやバイアス:単純化や経験則に頼って意思決定をすることが多い
・後知恵バイアス(hindsight bias):物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向
・確証バイアス(confirmation bias)(追認バイアス):ある選択肢に好意を抱いた人は、その選択肢を支持するような証拠を探し求め、データをそのように解釈する
・内集団バイアス(ingroup bias):自分が帰属している集団には好意的に考え、その外の集団には差別的に考えてしまう傾向
・感情ヒューリスティック(affect heuristic):好き嫌いだけで意思決定をし、理由を後付けする
・代表性ヒューリスティック(representativeness heuristic)(典型性ヒューリスティック):あらかじめ抱いている固定観念に合った特性を見いだそうとする
・利用可能性ヒューリスティック(available heuristic):想起しやすい事柄や事項を優先して評価してしまう傾向のこと
【背景】
・正社員の賃金負担、解雇の難しさ
・業務量の変化に対して柔軟に対応できる
【問題点】
・非正社員の仕事の難易度が上がっても待遇には正社員と開きがある。
・機密事項に対する社員教育や訓練が不十分な場合がある。
・正社員と非正社員が同等の仕事を行い待遇が違う場合非正社員が不満を感じ職場の一体感が低下する。
・終身雇用を前提とした社員の雇用は難しくなっており、長期的な視点で育成することが困難になっている。
・正社員と同等の業務を行うようになっているとまでは言い切れない。
Aヒューリスティックやバイアス:単純化や経験則に頼って意思決定をすることが多い
・後知恵バイアス(hindsight bias):物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向
・確証バイアス(confirmation bias)(追認バイアス):ある選択肢に好意を抱いた人は、その選択肢を支持するような証拠を探し求め、データをそのように解釈する
・内集団バイアス(ingroup bias):自分が帰属している集団には好意的に考え、その外の集団には差別的に考えてしまう傾向
・感情ヒューリスティック(affect heuristic):好き嫌いだけで意思決定をし、理由を後付けする
・代表性ヒューリスティック(representativeness heuristic)(典型性ヒューリスティック):あらかじめ抱いている固定観念に合った特性を見いだそうとする
・利用可能性ヒューリスティック(available heuristic):想起しやすい事柄や事項を優先して評価してしまう傾向のこと
タグ:企業経営理論
1-8 労働関連法規
労働基準法
労働者の保護を目的、労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべき
【労働条件】:労働基準法などの法令が最も強い効力があります。続いて、労働協約、就業規則、労働契約の順に効力がある。
●労働協約:労働組合と使用者の間で結ぶ協定
●就業規則:従業員が守るべきルール:常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出ることが義務(パートやアルバイトも含む)
・絶対的記載事項:労働時間、賃金、退職
・相対的記載事項:退職手当や臨時の賃金:制度を導入する場合には記載
・任意的記載事項:労働協約や法令に違反することはできません
作成・変更には労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴く
●労働契約:労働者と使用者の間で結ぶ契約
・賃金や労働時間などの労働条件を明示(書面の交付により)することが義務
・労働条件は、就業規則や労働協約、法令に違反することはできない。
原則期間の定め無し、定める場合は3年まで、例外専門知識や60歳以上は5年まで
〈心理的契約〉:契約書などで明文化されている内容を超えて、期待する暗黙の了解のことを、心理的契約という
【労働時間】
●法定労働時間
・1日8時間まで、1週間40時間まで、(休憩時間を除く)
・例外:労働者10人未満かつ特定の事業は週に44時間まで:小売りや卸売りなどの商業、映画・演劇業、病院などの保健衛生業、旅館や飲食など接客・娯楽業
●変形労働時間
・1 ヶ月単位の変形労働時間制:1週間の法定労働時間を越えない限り、1日8時間を超えても良い制度
・フレックスタイム制:一定期間の総労働時間を定めておき、労働者が始業や終業の時刻を自主的に決定できる制度:就業規則に記載し、労使協定で総労働時間などの内容を定めることが必要
・1 年単位の変形労働時間制:1週間の労働時間が40時間を超えない限り1日8時間を超えても良い制度:季節により繁忙期と閑散期がある企業向き
・1週間単位の変形労働時間制:労働者30人未満、特定の業種で導入できる(小売、旅館、料理店、飲食店):1週間の労働時間が40時間を超えない限り1日8時間を超えても良い。
●休憩
・6時間超:45分以上
・8時間超:1時間以上
原則:労働時間中に一斉に付与し、自由に利用させる
〈働き方改革〉:2019年4月1日より施行
1⃣労働時間法制の見直し
1,残業時間の上限規制
・原則月45時間、年360時間
・臨時的な特別な事情:年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む):月100時間未満(休日労働を含む):月45時間を越えれるのは年6ヶ月まで
2,「勤務間インターバル」制度の導入促進:(努力義務)
勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を確保
3,年5日間の年次有給休暇の取得:(企業に義務づけ)
希望を踏まえて時季を指定する、年5日は取得させること
4,月 60 時間超の残業の割増賃金率引上げ
月 60 時間超の残業割増賃金率が 50%(大企業は以前から)
5,労働時間の客観的な把握(企業に義務づけ)
裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律で義務づけ
6,「フレックスタイム制」の拡充
清算期間が3か月以内
・3 カ月平均で法定労働時間以内であれば:事業者割増賃金の支払いが必要ない。:労働者も振り替えた月に所定労働時間を働いていない場合であっても、その時間分は欠勤扱いにならない。
7,「高度プロフェショナル制度」を創設
・高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で 一定の年収要件(少なくとも 1,075 万円以上)を満たす労働者を対象
・労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提
・年間 104 日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度
・対象業務は、金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、資産運用の業務、新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務等
8,産業医・産業保健機能の強化
・事業者から産業医への情報提供を拡充・強化します。また産業医の活動と衛生委員会との関係を強化
2⃣雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
1,不合理な待遇差の禁止:正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止
⑴パートタイム労働者・有期雇用労働者
@ 均衡待遇規定の明確化:基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練などごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化
A 均等待遇規定:新たに有期雇用労働者も対象とする
B 待遇ごとに判断することを明確化するため、ガイドライン(指針)を策定
⑵派遣労働者
いずれかを確保する事を義務化
・派遣先の労働者との均等・均衡待遇
・一定の要件を満たす労使協定による待遇
合わせて、派遣先労働者の待遇に関する 派遣元への情報提供義務を新設
2,労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
・非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができる
<雇入れ時> 有期雇用労働者に対する、雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利 厚生施設の利用、正社員転換の措置等)に関する説明義務を創設。
<説明の求めがあった場合> 非正規社員から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を 説明する義務を創設。
<不利益取扱いの禁止> 説明を求めた労働者に対する場合の不利益取扱い禁止規定を創設。
3,行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政 ADR)の規定の整備
●休日
・毎週少なくとも 1 日の休日
・4 週間で 4 日以上の休日を与える変形休日制も認められている
●時間外労働
・法定労働時間外の労働をさせるときには、あらかじめ労使協定を結び、労働基準監督署長に届け出る必要がある:36 協定
・労働組合または過半数代表者と書面による協定を結ぶ
●みなし労働時間
・事業場外労働のみなし労働時間制:事業場の外で働いており、労働時間が把握しづらいケースに適用
・裁量労働のみなし労働時間制:専門業務型は、研究開発などの専門的業務に適用:企画業務型は、事業の企画や分析など事業運営自体を扱う業務に適用
●年次有給休暇:要件を満たす労働者に対して年次有給休暇を与えることが義務
・6 ヶ月間継続して勤務しており、労働日の8 割以上を出勤した労働者
・8 割以上という基準は、業務上の負傷・疾病による休業や、産休、育児休業や介護休業、年次有給休暇を取得した日は、出勤したとみなして計算
・継続勤務が 6 ヶ月の時に 10 日
・時季変更権:正常な事業運営を妨げる場合には、使用者が時季を変更すること
(使用者は労使協定によって労働者が有給休暇を時間単位として請求したときは、5 日以内に限り時間単位に与えることができます。)
・有給休暇の計画的付与:有給休暇の日数のうち 5 日を超える部分について、使用者が与える時季を決めることができる制度:労使協定で時季を定める必要がある
●適用除外
・管理監督者には、これまでの労働時間の規定は適用されない
・管理監督者は経営者と一体の立場にある者
【解雇】
●解雇の制限
・業務上の負傷や疾病のための休業期間や、休業が終了した後の 30 日間
・産休の期間と休業終了後の 30 日間も制限されており、この期間に解雇することはできない
・育児・介護休業法では、労働者が育児休業や介護休業の申し出をしたり、取得したりすることを理由とする解雇も禁止
●解雇の予告
・30 日前に労働者に予告をするか、30日分以上の賃金を支払う必要がある
・合理的な理由がない場合には解雇はできず、無効になる
・天変地異などやむを得ない事情で事業の継続が不可能になった場合や、労働者の責で解雇する場合には解雇予告は必要ない
・日々雇い入れられる労働者や試みの使用期間中の者に解雇予告は必要ない:「試みの使用期間」とは、雇用してから 14 日以内
【賃金】
●賃金支払の原則:支払方法について 5 原則
・通貨払いの原則
・直接払いの原則
・全額払いの原則
・毎月 1 回払いの原則(1回以上)
・一定期日払いの原則
●割増賃金:法定労働時間以外の労働に対して割増賃金を支払う
・時間外労働の場合は 25%以上
・休日労働の場合は 35%以上
・深夜労働の場合は 25%以上
・複数の条件が組み合わさった場合は、率を加算する必要がある
・1か月 60 時間を超える時間外労働については、割増賃金は 50%以上:割増賃金の支払いに代えて、代替休暇として有給休暇を付与することもできる
〈雇用調整(一時帰休)〉
・使用者が経営上の都合により操業を短縮し、労働者を自宅待機や教育訓練などの形で一時的に業務を休ませること
・一時帰休の期間中は、使用者に平均賃金の 60%以上の休業手当の支払義務を設けている
〈労働基準法施行規則〉
・更新の基準は書面の交付により明示しなければならない
・更新の基準の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるもの
労働組合法
労働三権として、団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されている
【不当労働行為】:労働組合を組織することを妨害したり、労働組合員に対して不当な扱いをしたりすることを禁止⇒労働委員会に申し立てて救済を求める
・不利益な取り扱い:労働組合に加入したり活動をしたことを理由に、解雇や減給する事
・黄犬契約の締結:労働者が労働組合に加入しないことや脱退することを雇用の条件にする事
・団体交渉拒否:正当な理由がなく団体交渉を拒否すること
・支配介入:労働組合の結成や運営に対して、使用者が支配したり介入したりすること
・経費援助:使用者が労働組合の運営に関する経費を援助すること
【労働協約】:団体交渉の結果、労使で合意した労働条件をまとめたもの
・就業規則は労働協約に反してはならない
・労働協約と労使協定は別のもの
・労使協定:労働基準法で定められた原則に対して例外を規定するために労使で締結するもの:労働条件は労働協約や就業規則に明記する必要がある
労働安全衛生法
労働災害を防止し、労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成を促進するための法律
●労働安全衛生管理の体制
・総括安全衛生管理者:安全管理、衛生管理を総括的に管理する最高責任者:建設業・運送業、常時使用する労働者が100人以上:製造業・小売業300人以上
・安全管理者:安全に関わる部分を管理する:常時使用する労働者が 50 人以上
・衛生管理者:衛生に関わる部分を管理する:常時使用する労働者が 50 人以上
・産業医:労働者の健康を管理する:医師から選任する:事業者は、衛生委員会に対し、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容等を報告しなければならない:産業医に対し産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないと義務化
●健康診断:労働者について年一回の健康診断を行う必要があります
〈健康診断の義務〉
・常時雇用する労働者を雇い入れる際(入社時)と、その後年に 1 回の健康診断(定期健診)を受けさせる義務があり、労働者も受ける義務がある。
・常時雇用する労働者:正社員(期間の定めのない労働契約)は全員が受診対象
・契約社員やパート/アルバイト:以下の2つの条件を満たす場合は健康診断の受診義務がある
@期間の定めのある契約で使用される者であって、契約期間が 1 年以上の者、1週間の労働時間が、A正社員の 4 分の 3 以上である者(原則は週 30 時間以上となる)
・労働者の健康診断の結果を 5 年間保存
・健康診断の費用の負担を誰がするのかは、法律には規定されていません。(事業者に健康診断の義務が課せられている以上、事業者が費用を負担するのが当然と考えられています)
〈医師による面接指導〉
・労働者の週 40 時間を超える労働が 1 月当たり 80 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる場合には、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならない。
・労働安全衛生法第 66条の 8 により規定
・長時間労働者に脳・心臓疾患の発症が多い
労働保険
労災保険と雇用保険がある
【労災保険】:業務上で災害が発生したときの補償を目的
・労働者を一人でも雇用していれば加入が義務(パート・アルバイト含む)
・業務災害:業務が原因となった負傷や疾病、障害、死亡
・通勤災害:住居と就業場所の間を合理的な経路および方法で移動した場合
【雇用保険】:労働者の雇用や生活の安定を目的
@1週間の所定労働時間が 20 時間以上
A31 日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合
@Aを満たすと適用対象
・求職者給付(失業保険):失業した際に支給される保険
・就職促進給付:再就職した際に給付されるもの
・教育訓練給付:厚生労働大臣が認める教育訓練を受講し修了した場合に支給
・雇用継続給付:高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付の 3 種類
〈労災保険の適用事業〉:原則として労働者を使用するすべての事業
・例外:@国の直営事業や官公署の事業:国家公務員災害補償法や地方公務員災害補償法の適用となるため
A農林水産業の一部については、暫定的に任意適用事業
・通常は事業主や役員は加入することができない:例外:一人親方や自営農業、小規模事業者など、その業務の実状や災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することが適当であると認められる者
社会保険
健康保険と厚生年金がある
【健康保険】:業務外の疾病や負傷、死亡、出産に対して給付を行うことが目的
・被保険者だけではなく扶養家族に対しての給付も対象となる
・事業主と被保険者が半分ずつ保険料を支払う
【厚生年金】:日本の公的年金制度は、3 階層
・国民年金(基礎年金):一番下の階層:全ての国民が対象
・厚生年金:保険料は事業主と被保険者が半額負担:加入期間とその間の収入に比例して支給:会社員が対象
・厚生年金基金:企業年金制度の一つで企業が任意で加入する年金
その他法規
【育児・介護休業法】
・労働者から育児や介護の申請があった場合、事業主は一定の休暇などを与えることが義務付けられている
・育児休業:原則として子どもが1歳になるまで休業を取得できる制度:両親がともに育児休業を取得する場合、子どもが最長 1 歳 2 ヵ月に達するまでの間で 1 年間の休業が可能:保育所に入所できないなどの事情がある場合は、最長で 2 歳に達するまで休業を延長
・子の看護休暇:子どもが 1 人の場合は年 5 日、2 人以上の場合は 10 日までの休暇を取得できる制度:小学校入学前の子どもがいる労働者が対象:病気やけが:1 日単位だけでなく時間単位でも取得可能
・介護休業:要介護の対象家族 1 人につき 3 回まで、通算 93 日までの休業を取得できる制度
・介護休暇:要介護状態の対象家族が 1 人であれば年 5 日、2 人以上であれば年10 日まで、介護のための短期の休暇を取得できる制度:1 日単位だけでなく時間単位でも取得できる
【労働契約法】
5つの基本原則
1,労使対等の原則:労働契約は、労働者および使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきもの
2,均衡考慮の原則:就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、または変更すべきもの
3,仕事と生活の調和への配慮の原則:仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、または変更すべきもの
4,信義誠実の原則:労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、および義務を履行しなければならない
5,権利濫用の禁止の原則:労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない
〈その他の法規〉
●男女雇用機会均等法
・募集や採用について男女で均等な機会
・配置や昇進、教育、福利厚生、退職などにおいて、性別を理由とした差別的取り扱いを禁止
・現状で企業の中で女性に対する待遇などの格差がある場合は、それを改善するような取り組みを行うことは、違法にはならない:ポジティブアクション
●労働者派遣法:労働者の派遣事業を行う民間の業者に対して適用される法律
・労働者派遣:自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受ける他人のための労働に従事させること
・派遣労働という働き方、およびその利用:臨時的・一時的なものであることを原則:常用代替を防止
すべての業務で、次の 2 つの期間制限が適用されるようになりました。
・派遣先事業所単位の期間制限:同一の派遣先の事業所に対し、派遣できる期間は、原則、3 年が限度:3 年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等からの意見を聴く必要がある:1 回の意見聴取で延長できる期間は 3 年まで
・派遣労働者個人単位の期間制限:同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3 年が限度:
・正社員と派遣社員「同一労働同一賃金」が適用
●職業安定法:職業紹介に関する規定をまとめた法律
・公共職業安定所(ハローワーク):公的なもの
・有料職業紹介事業:厚生大臣の許可が必要:手数料や報酬を受ける事業:転職を希望する人と、企業の間で仲介を行う人材紹介という形が一般的:許可制、期間は新規の場合は 3 年、更新は 5 年ごとに行う必要:港湾運送業、建設業への紹介は禁止
タグ:企業経営理論
2023年09月04日
1-8-0 労働関連法規 補足(過去問)
【就業規則】
・就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)。
・就業規則は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって周知させなければならない。方法には「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」も挙げられている。
【変形労働時間】
・変形期間の開始した後に労働基準監督署に届け出た労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日に労働させるような変更は、使用者が任意に行うことはできません。そのため、労働基準監督署に届け出た所定労働時間に対して残業が発生すれば、残業代を支払う義務があります。
・専門業務型裁量労働制は具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令に定める業務に適用され、その専門家である弁護士、会計士等専門家に労働者が限定されています。そのため個別の同意は不要です。
・企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項について企画、立案、調査及び分析の業務を対象業務としており、適用される業務と労働者が広く対象となります。そのため、企画型裁量労働制では適用される労働者の個別の同意が必要とされています。
・フレックスタイム制は始業及び終業の時間の両方を労働者の決定に委ねなければなりません。
【賃金】
・労働基準法第12条では、「平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」と規定されています。
【労働保険料・社会保険料の納付】
・事業主である企業には、自らが負担する保険料だけでなく、従業員が負担する保険料を合わせた保険料の全額を国に納付する義務が課せられる。
・労働保険料は申告書作成後、労働保険料と一般拠出金を申告・納付し、 申告書に付いている領収済通知書(納付書)を使って、6月1日〜7月10日(10日が休日なら翌営業日)までに納付します。
・被保険者の社会保険料は翌月徴収、当月徴収いずれでもよい
・健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、月初めに送付される納付書でその月の1日から10日
・労働保険事務組合を利用すると労働保険料の納付を年3回に分割出来る
・就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)。
・就業規則は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって周知させなければならない。方法には「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」も挙げられている。
【変形労働時間】
・変形期間の開始した後に労働基準監督署に届け出た労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日に労働させるような変更は、使用者が任意に行うことはできません。そのため、労働基準監督署に届け出た所定労働時間に対して残業が発生すれば、残業代を支払う義務があります。
・専門業務型裁量労働制は具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令に定める業務に適用され、その専門家である弁護士、会計士等専門家に労働者が限定されています。そのため個別の同意は不要です。
・企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項について企画、立案、調査及び分析の業務を対象業務としており、適用される業務と労働者が広く対象となります。そのため、企画型裁量労働制では適用される労働者の個別の同意が必要とされています。
・フレックスタイム制は始業及び終業の時間の両方を労働者の決定に委ねなければなりません。
【賃金】
・労働基準法第12条では、「平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」と規定されています。
【労働保険料・社会保険料の納付】
・事業主である企業には、自らが負担する保険料だけでなく、従業員が負担する保険料を合わせた保険料の全額を国に納付する義務が課せられる。
・労働保険料は申告書作成後、労働保険料と一般拠出金を申告・納付し、 申告書に付いている領収済通知書(納付書)を使って、6月1日〜7月10日(10日が休日なら翌営業日)までに納付します。
・被保険者の社会保険料は翌月徴収、当月徴収いずれでもよい
・健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、月初めに送付される納付書でその月の1日から10日
・労働保険事務組合を利用すると労働保険料の納付を年3回に分割出来る
タグ:企業経営理論
1-9 マーケティング概要とプロセス
マーケティングの基礎
【マーケティングとは】:売れる仕組みづくり:商品やサービスを作り出し、顧客に価値を届ける一連のプロセス
・セリング:商品があるのが前提⇔マーケティングとは違う
・コトラー提唱:「価値の創造と交換」と「ニーズと欲求を満たすプロセス」
・AMAの定義では:「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」
・ドラッカー:「マーケティングの究極の目標は、セリングを不要にすることである」
・レビット:「マーケティングとは、顧客の創造である」
【マーケティング・コンセプト】
●生産志向:生産効率を向上:需要が供給を上回っている場合の考え
●製品志向:より良い製品作り(顧客のニーズは考えず:マーケティング・マイオピア(近視眼)):供給が需要に追いついく
●販売志向:効率的に販売、セリングを重視:大量生産、過剰在庫:押し売りの横行
●顧客志向(マーケティング志向):顧客ニーズから入るマーケット・イン:供給が需要を上回る成熟市場
●社会志向:企業の社会的責任(CSR):社会の一員として、企業の利益と、顧客満足、および社会の利益を調和させる
〈ソーシャルマーケティング〉:2 種類の意味で使われることがある
・社会志向のマーケティングのこと
・非営利組織のマーケティング
〈ソサイエタル・マーケティング〉
・長期的な価値や顧客以外の人々、あるいは環境への配慮も含めて社会全体の福祉を向上させていくマーケティング
〈コーズ・リレイテッド・マーケティング〉
・売上によって得た利益の一部を社会に貢献する事業を行っている組織などに寄付すること⇒企業イメージやステークホルダーの評価、売上の増加を目指す
〈共通価値の創造(CSV)〉
・社会的価値と経済的価値の両立をうたうものであり、高い収益性の実現を重視するもの
【マーケティングの階層】
●マーケティング機能要素別戦略: 4 つの機能から構成
・マーケティングの4P:製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、チャネル戦略(Place)、プロモーション戦略(Promotion)
●マーケティング・マネジメント戦略:マーケティングの4Pを統合する戦略⇒マーケティング・ミックス
●戦略的マーケティング:一番上の階層:企業全体の方向性を決める企業戦略に近い戦略
【マーケティングのプロセス】
●マーケティング環境の分析:SWOT 分析では、外部環境の機会と脅威、内部環境の強みと弱みについて分析:マーケティング・リサーチなどを行い、顧客ニーズや消費者行動などを分析
●マーケティング目標の設定:上高や利益額、利益率、シェアなどの数値で目標を設定:企業全体の目標から設定されることが一般的
●標的市場の選定:環境分析の結果を元に、市場を細分化し、ターゲットとなる市場を選定。どのように差別化するかというポジショニングを決定
●マーケティングミックスの計画と実行:標的市場に対して、どのようにマーケティング・ミックスを組み合わせるかを検討。結果を評価して、計画にフィードバック
消費者行動
【マーケティング・リサーチ】:マーケティングに必要な情報を収集するための方法
●マーケティング・リサーチのプロセス
@調査の目的を決定:どんな課題や問題があるか⇒どのようなデータが必要なのか:費用と時間がかかる
Aデータ収集方法などの計画を作成
・ 2 次データ:国が実施している各種統計やリサーチ会社、コンサルティング会社などが提供しているもの
・1 次データ:マーケティング・リサーチによって入手するデータ
B集計したデータから結論を導き出す
●データの収集方法:質問法、観察法、実験法
◎質問法:用意した質問に対して、調査対象者に回答してもらう
・面接法:調査員が調査対象者に直接面接して質問
メリット:視覚ツールを活用したり、相手の反応に応じた質問ができる。質問の回答率が高くなる
デメリット:1 人ずつ面接するためコストがかかる。調査員による偏りが生じやすい
・集団面接法(グループ・インタビュー):複数の調査対象者を集めて面接を行う方法
メリット:個別の面接法に比べて、コストが安い。集団でお互いの発言によって発言が促される
デメリット:調査担当者の能力によって結果が大きく変わる
・電話法:電話で質問をする方法
メリット:短時間で調査できる。面接法に比べて低コスト
デメリット:調査員の顔が見えないため、調査対象者に不信感が生まれやすく、非協力的になりがち
・郵送法:調査票を調査対象者に送り、回答を記入してもらい返送してもらう方法
メリット:人件費のコストが安い
デメリット:回収率が低い。対象者の住所のリストを入手することが難しい
・留置法:事前に質問票を調査対象者に配布し、記入を依頼しておき、後日調査員が訪問して回収する方法(日本の国勢調査などはこの方法)
メリット:郵送法と比べて回収率が高く、回収時に調査員が記入漏れなどをチェックできる。記入に時間がかかる調査に向いている
デメリット:調査対象者の家族などの意見が影響する可能性や、調査対象者以外の者が回答する可能性がある
・その他の調査方法:ファックス調査やインターネット
メリット:低コストで実施
デメリット:ファックスを持っている人や、インターネットの利用者に限定される。目的によっては向かない
◎観察法:調査対象者の行動や反応を、調査員が観察
◎実験法:マーケティングに関するある要因を変化させることで、どのような影響があるかを調査する方法
〈モチベーションリサーチ〉:消費者の購買行動の深層心理にある動機を探るための調査手法
メリット:定量的な調査方法では得られにくい、人間の深層心理を探れる
デメリット:調査結果の解釈が主観的になりやすく客観性に欠ける。調査に時間やコストがかかる。
●深層面接法:できるだけ自由に回答してもらい、その際の反応を観察することで深層心理を探る
●集団面接法(グループ面接法):グループでの会話の中から個人面接では得られない回答を得る。
●投影法:間接的な質問などをすることで調査対象者の本心を探る方法。
・語句連想法:ある単語から連想される語句を答えてもらう
・文章完成法:あらかじめ一部が空欄になった文章に、穴埋めをしてもらう。
・第三者話法:自分ではなく、他人の例について質問の回答をしてもらう。
〈マーケティングリサーチ〉
●エコノグラフィーによる調査:顧客の生活に入り込むなどして「観察」を行う調査法:顧客の地域性による文化や生活習慣、価値観による行動様式を理解することにより、企画立案や商品開発に活用しようというもの
●セントラル・ロケーション・テスト:通行人を調査対象として特設会場に誘導し、アンケート調査に協力してもらう手法:実際に商品や試作品を見たり、食べたりすることができ、テスト状況をコントロールできる
●ニューロ・マーケティングによる調査(神経マーケティング):脳科学の観点から消費者の脳の反応を計測することにより、消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようとする調査
●フォーカス・グループ・インタビュー(集団面接法):座談会形式のインタビュー調査:想定されるターゲット層を集めて、これらの客層の意識や深層心理を把握しようとするもの
【消費者の購買行動】:コトラーは、消費者の購買行動のプロセスを、5 つの段階で考えました。
●購買意思決定プロセス
・問題認知:消費者が何かが必要だという問題を認識すること
・情報探索:ニーズを満たすものを得るために、様々な情報を得るという段階⇔日用品の様に毎回同じような商品を買う場合は情報収集を行わない。
・代替品評価:情報収集によって購入する商品の候補、代替品を評価する段階:比較の基準は人それぞれ異なります。
・購買決定:代替品のうち最も高い評価を得たものが、購入される
・購買後の行動:期待に合致すれば満足を得ます。期待に合致しなかった場合には不満足となります。こういった購買後の評価は、次の購買に影響。
〇認知的不協和:購入した後に不満足感や買ってよかったのかという不安感を感じることが多い状態
●購買決定行動のタイプ:日常的反応行動、限定的問題解決、拡大的問題解決の 3 つに分類
・日常的反応行動:製品についてよく知っており、ブランドについてはっきりした選択基準を持っている場合の購買行動:低価格で購買頻度が高い製品、つまり最寄品に多い購買行動
・限定的問題解決:製品については良く知っているものの、ブランドについてはあまり知らない場合の購買行動:いくつかの製品を比較した上で購入される製品、つまり買回品に多い購買行動
・拡大的問題解決:製品やブランドのことを良く知らない場合の購買行動:専門的で、価格が高く、購買頻度が低い商品、つまり専門品に多い購買行動
●購買行動の規定要因:人によっても購買行動は異なります。これを表す考え方が、購買行動の規定要因
・文化的要因:消費者の属する文化や社会階層を表します。
・社会的要因:消費者の属する準拠集団や家族などを表します。(友人や職場の同僚など)
・個人的要因:消費者の年齢やライフスタイル、職業など個人的な要因
・心理的要因:消費者の購買動機や知覚、経験による行動の変化、信念など、消費者の心理的な内面から生まれる影響
〈準拠集団〉:個人の価値観や態度、行動に対して影響を及ぼす集団:家族や友人、同僚など、その人が将来属したい集団であったり、強く同一化する集団が準拠集団になっているケースもある
●組織による購買行動:組織による購買の特徴は、組織的に購買の意思決定が行われること、長期的な取引関係をベースに行われること、専門性が高いこと
・見積りを取ったり、購買業者と価格の交渉をし、社内での申請や承認を経た後で購買が決定される。
・消費者が購入する製品は消費財、企業が購入する製品は産業財
・産業財では、消費財に比べて人的販売の比重が高い
【消費者行動理論】:消費者はなぜ購買をするのか、何を購買するのか、どのように購買するのかと研究
◎アサエルの購買行動類型:消費者の購買行動を4つのタイプに分類した:関与水準(その製品にどれぐらいこだわっているの
か、関心があるのか)とブランド間の知覚差異(その製品のブランドによる違いを、どの程度理解できているのか)という2つの軸
●情報処理型(関与水準-高、ブランド間の知覚差異-大):製品への関心が高く、各ブランドの差異も把握している場合:比較や検討などを適切に行う:パソコンなど
●バラエティ・シーキング型(関与水準-低、ブランド間の知覚差異-大):関与水準が低い製品のうち、ブランド間の知覚差異が大きい場合:色々な製品を試すために、頻繁にブランド・スイッチングが行う。
●不協和低減型(関与水準-高、ブランド間の知覚差異-小):製品への関与は強いが、それぞれのブランドの差異を理解しにくいケース:アフターサポートなどが重要になる:家具や白物家電など
●習慣型(関与水準-低、ブランド間の知覚差異-小):関与水準が低く、ブランド間の知覚差異も小さい商品に対して:いつも購入している製品を選んだり、低価格のものを選んだりする:トイレットペーパーなど
◎消費者行動と関与
・関与:ある商品に関して、個人が持つこだわりや関心の度合いを表す:高関与、低関与
●認知的関与:商品の機能やコストを追求するといった功利的動機に基づく関与
・認知的関与が高い人は、商品に対して豊富な情報を持つ傾向にあり、さらに情報の収集や分析を楽しむ傾向がある
●感情的関与:商品を使用することで感情的な充足を求めるなど感情的な動機に基づく関与
・感情的関与が高い人は、知識ではなく経験を楽しむ傾向
◎AIDMA と AISAS
・AIDMA(アイドマ):Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動):定番の消費者行動モデル
・AISAS:(アイサス):Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有):
Search(検索):インターネットによって商品を検索したり、商品に関する機能、評判、価格などを調べる。
◎精緻化見込みモデル:広告などへの反応についての社会心理学的なモデルが、精緻化見込みモデル
・中心ルート:広告の内容について理解し詳細に検討する対応
・周辺ルート:広告の詳細な内容より、広告に登場したタレントや音楽、あるいはパッケージの見た目などのイメージによって形成される対応
◎多属性態度理論・多属性意思決定
●多属性態度理論:製品の価格、デザイン、性能といった複数の属性に対する主観的判断から、消費者の態度をとらえようとする理論
●多属性意思決定:複数の属性を検討して意思決定する方法
(多属性意思決定種類)
・加算型:各製品の全ての属性を評価し、総合的に評価が高い製品を選択する方法
・連結型:各属性に求める最低限の水準を設定し、それらを充たす製品を選択する方法
・辞書編纂型:消費者が一番重視している属性が最も優れている製品を選択する方法
・EBA(elimination-by-aspects)型:検討している属性のうち、1つでも基準を満たさないものがある製品は選択しない、という方法
・感情依拠型:過去の購買経験などの中から、好意的に感じているものを習慣的に選ぶ、という意思決定の方法
〈準拠集団〉
●ロジャースの普及理論
・新しい商品に対する購入の早い順:イノベーター(革新者)、アーリー・アダプター(初期採用者)、// アーリー・マジョリティ(前期追随者)、レイト・マジョリティ(後期追随者)、ラガード(遅滞者)
・普及率 16%の論理:イノベーターとアーリー・アダプターの割合を合計した 16%のラインが商品普及のポイント
●ムーアのキャズム理論
・アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティとの間には容易に超えられない大きな溝がある
・初期多数派への普及がいかに速やかに行われるかが製品普及の分かれ道である
●他者や他者集団が消費者行動に与える影響:「準拠集団」以外にも、消費者行動に影響を与える他者や他者集団がある
・消費者間の弱いつながり:クチコミや SNS など、消費者間ネットワークが、消費者の行動に影響を与える重要なポイントが、消費者間の弱いつながりです。
・オピニオンリーダー:特定の集団の中で、他者に対して影響力を持つ人物のことです。
・アーリー・アダプター(初期採用者):新商品の購買に影響を発揮するオピニオンリーダー
〈顧客ロイヤルティ〉
・真のロイヤルティ:ブランドや商品に対する好意的態度が高く、反復購買も高い顧客が該当:企業にとって理想的な状態
・潜在的ロイヤルティ:好意的態度は高いが、反復購買は低い顧客:買いたいと思っているものの、何らかの理由で購入には結びついていない状態(経済力が足りないなど)
・見せかけのロイヤルティ:好意的態度は低いが、反復購買が高い顧客が該当:ブランドや商品に興味はないけど、購入頻度や利用頻度が高い状態:(気に入っているわけでは無いが近いなど)
標的市場の選定
市場のターゲットを絞ってマーケティングを行う方法を、ターゲット・マーケティング:3 つのプロセスがあある
【セグメンテーション】:市場をある基準に基づいて、小さい集団に細分化すること
例)年齢層のセグメントには、異なるマーケティング・ミックスでアプローチする方が、単一のマーケティング・ミックスでアプローチするよりも効率的な事が多い
●細分化の基準:市場を細分化する基準
・地理的基準(ジオグラフィック):地域や気候、人口などの地理的な基準で細分化を行うもの:地域別の商品を企画したり、特定の国をターゲットとしたマーケティングを開発する場合に使われ
・人口統計的基準(デモグラフィック):年齢や性別、家族構成、職業、所得などの人口統計的な基準で細分化を行うもの:消費財のマーケティングで重視されてきた基準
・心理的基準(サイコグラフィック):消費者の価値観やライフスタイルなど、心理的な基準で細分化を行う:ライフススタイルを訴求したプロモーション
・行動変数基準:消費者の製品に対する知識や態度、反応などで細分化を行うもの:購買状況や、使用頻度、購買パターン、求めるベネフィットなど:購買行動の特徴を捉えてセグメンテーションを行う
●細分化の要件:通常は幾つかの基準を組み合わせて、試行錯誤をしながら意味のある細分化の基準を見つける
・コトラーは、細分化したセグメントが役に立つためには、次の 4 つの要件を満たしている必要があると指摘
・測定可能性:細分化したセグメントの規模や購買力が測定できる
・到達可能性:細分化したセグメントに、チャネルなどを通じてアプローチができる
・維持可能性:細分化したセグメントが十分な利益を上げるぐらい大きい
・実行可能性:効果的なマーケティング・プログラムを実行可能
【ターゲティング】:標的市場の選定:セグメントを選択するには 3 つのアプローチ
●無差別型マーケティング:マス・マーケティング:細分化したセグメントを考慮せず、単一のマーケティング・ミックスを市場全体に投入する方法
・メリット:マーケティング・コストを抑える
・デメリット:様々な消費者ニーズに対応するのが難しい
●差別型マーケティング:細分化したそれぞれのセグメントに対し、別々のマーケティング・ミックスを投入する方法:フルライン戦略
・メリット:全てのセグメントのニーズに対応するため、売上が最大化される
・デメリット:コストがかかる
●集中型マーケティング:特定のセグメントにターゲットを絞り込み、そこに全ての経営資源による単一のマーケティング・ミックスを投入する方法
・メリット:限られた経営資源を有効に活用できる
・デメリット:全ての経営資源を 1 つのセグメントに集中するため、リスクが分散できない
【ポジショニング】:選択したセグメントで競合他社よりも優位性を築く方法:消費者にその製品の総合的な価値(製品、サービス)が最も高いと判断してもらう必要があ
●ポジショニングマップ(知覚マップ):ポジショニング次第では、同じセグメントでも別のマーケティング・ミックスとなる:有効な差別化をするための軸を見つけること
●自社内のポジショニング:自社内の製品の位置付けを整理することも重要⇒カニバリゼーションが発生
〈PEST 分析〉:経営戦略やマーケティング戦略を策定する際に使われる、外部環境の分析手法
・「 政 治 (Politics) 」「 経 済 (Economy) 」「 社 会 (Society) 」「 技 術(Technology)」の4つの観点から分析
タグ:企業経営理論
2023年09月05日
1-9-0 マーケティング概要とプロセス 補足(過去問)
マーケティング概念
〈ソーシャルマーケティング〉:2 種類の意味で使われることがある
・社会志向のマーケティングのこと
・非営利組織のマーケティング
〈ソーシャル・ネットワーク・マーケティング〉:ソーシャルメディアが普及しており、とくにSNSを活用した顧客関係性の構築に基づくマーケティング
・ソーシャルマーケティングとは別物
【マーケティング・ミックスの4Pと4Cの対応関係】
「Product(製品)対Customer Value(顧客にとっての価値)」
「Price(価格)対Cost to the Customer (顧客の負担) 」
「Promotion(販売促進)対Communication(コミュニケーション)」
「Place(販売ルート)対Convenience(入手の容易性)」
〈ソサイエタル・マーケティング〉
・長期的な価値や顧客以外の人々、あるいは環境への配慮も含めて社会全体の福祉を向上させていくマーケティング
・現在の企業ニーズと将来の消費者のニーズを満たすことに主眼
⇕同義ではない
〈サステイナブル・マーケティング〉
・消費者の長期的な利益あるいは社会的利益を企業の長期的な経営計画と統合すること
マーケティング・リサーチは、一般的に、
@リサーチの目的を明確化(課題の設定)、
Aリサーチ・デザインの策定、
Bデータの収集方法と形式の決定、
Cサンプリングの策定とデータ収集、
Dデータの分析、
E報告書の作成、
といった手順で進められます。
●ギャング・サーベイ:消費者を1つの会場に集めて調査票を配布し、一斉に回答してもらう調査方法
●量的研究:理論や仮説の検証をする際に用いる方法で、演繹的なアプローチをします。
●質的研究:概念や思考を理解する際に用いる方法で、帰納的なアプローチをします。
タグ:企業経営理論
2023年09月08日
1-10 製品戦略
製品の定義
物理的な製品だけでなく、サービスや人材、場所、アイデアなど取引されるものをすべて含んでいる【製品の3層モデル】
●製品の核:中核的なベネフィット:顧客が求めるニーズに対応するもの:〔美しい写真を取る〕
●製品の形態:5つの特性(品質水準、特徴、デザイン、ブランド名、パッケージング):〔カメラ〕
●不随機能:付随的に提供される物やサービス:アフターサービスや製品の保証、配送:〔アフターサービスや保証〕
【製品の分類】
・有形財:物理的な製品:消費財(個人的な消費の為に最終消費者によって購入)と産業財(生産財)(企業などが他の製品の生産や事業活動に使用するために購入)
・無形財:サービス
消費財の種類は4つに分類
●最寄品:習慣的に購入するような製品:購買頻度が高く、低価格:時間や労力をかけずに購買:日常的反応行動
・食料品や日用雑貨、スーパーの様な立地、生産者によるプロモーション(メーカーがTVCMなど)
●買回品:消費者が比較し、探し回るような製品:最寄品に比べ、購買頻度が低く、値段は高い:時間と労力をかけて複数のブランドを比較:限定的問題解決
・洋服やテレビ、少数の店舗で選択的、生産者と小売業者による広告と人的販売
●専門品:専門的:価格が高く、購買頻度が低い製品:あまり知らないので、時間をかけて製品を調査:拡大的問題解決
・自動車や宝飾品、商圏ごとに少数の店舗で独占的、生産者と小売業者によってターゲットを絞って広告
●非探索品:消費者の関心が低く、あえて自ら求めない製品:
・生命保険など、何もしないと売れないので、積極的な広告と、人的販売が必要
プロダクト・ミックス
(製品ミックス)製品の組み合わせのこと。品揃え・製品ライン:類似している製品のグループ
・製品アイテム:製品ラインの中の個別の製品
●製品ラインの幅:(乗用車、軽、トラックなど):広げると売上は上がるが競争とコストも増える
・フルライン戦略:市場全体をカバー
●製品アイテムの深さ:(同じ車種の中でのカラーや排気量、装備):
専門店ではラインを狭く、アイテムを深く
100円ショップはラインを広く、アイテムを浅く
製品ライフサイクル
【導入期】
・特徴:売上・低い、利益・マイナス、顧客・イノベーター、競合・ほとんど無い
・マーケティング目的:知名度の向上
・マーケティング戦略
製品:標準製品
価格:コストプラス法
チャネル:選択的
プロモーション:知名度の向上
【成長期】
・特徴:売上・急上昇、利益・上昇、顧客・初期採用者、競合・増加
・マーケティング目的:シェアの最大化
・マーケティング戦略
製品:製品拡張、サービス、保証
価格:市場浸透価格
チャネル:開放的
プロモーション:大衆への知名度向上と関心の喚起
【成熟期】
・特徴:売上・ピーク、利益・高い、顧客・一般的な大衆、競合・安定
・マーケティング目的:利益最大化とシェアの維持
・マーケティング戦略
製品:多様なモデル、ブランド
価格:競争対応価格
チャネル:より開放的
プロモーション:ブランド差別化
【衰退期】
・特徴:売上・低下、利益・低下、顧客・採用遅滞者、競合・減少
・マーケティング目的:支出削減と円滑な市場撤退
・マーケティング戦略
製品:弱小アイテムをカット
価格:価格切り下げ
チャネル:不採算チャネルのカット
プロモーション:最小限に削減
●計画的陳腐化政策:計画的に製品の寿命を短縮する戦略
・製品のモデルチェンジを頻繁に行い、顧客の買い替えを促進する政策
ブランド
【ブランドの定義】:製品やサービスの生産者や販売者の商品を識別する、名称、記号、シンボル、デザインまたはそれらの組み合わせ
【ブランドの機能】
●出所表示機能:提供者を明らかにする機能
●品質保証機能
●広告宣伝機能
●ブランド・エクイティ:確立されたブランドが持つ高い資産価値
・ブランドを確立するとプレミアム価格を付けれる
・ブランド・ロイヤルティ(ブランドへの執着)、知名度、知覚品質(品質のイメージ)の高さ、ブランド連想の強さ、特許、商標などから構成
〈ブランド価値〉
●基本価値:製品の物理的機能が提供する価値
●便宜価値:製品の購買・消費時に利便性を提供する価値
●感覚価値:五感を通して楽しい消費経験を提供する価値
●観念価値:ブランドなどから顧客が抱くストーリー、ヒストリー、文脈などが提供する価値
〈ブランド要素(ブランド・エレメント)〉:ブランドの具体的な構成要素のこと
●ブランド・ネーム(名称)
●ブランド・マーク(記号、シンボル):ロゴマーク、ロゴタイプ、シンボル
●デザイン、パッケージ:商品を包装するパッケージ(入れ物)
●トレード・マーク(商標):商品商標、役務商標、立体商標等がある。
●スローガン:ブランドが伝えたいメッセージを簡潔に表したもの。
●キャラクター
●ジングル:音によるブランドのメッセージ。
●色:ブランドのイメージを表す色。
【ブランドの種類】
●ブランド所有者による区分
・ナショナルブランド(NB):生産者ブランド:メーカーがつけるブランド
・プライベートブランド(PB):ストアブランド:販売業者がつけるブランド
ライセンシング:ブランドの提供元に料金を払ってそのブランドの製品を提供する
●ブランド採用戦略:複数の製品にどのようにブランドをつけるか:製品ライン間の類似性と、標的市場の類似性の 2 軸によるマトリクスで整理される
・ファミリーブランド:製品ラインが同質であり、標的市場も同質:すべての製品に同じブランドが付けられる。
・個別ブランド:製品ラインが異質であり、標的市場も異質:個々の製品に対してブランドが付けられる。
・ダブルブランド:製品ラインが異質であり、標的市場が同質:ファミリーブランドと、個別ブランドを組み合わせる。
・ブランド・プラス・グレード:製品ラインが同質であり、標的市場が異質:共通の製品を表すブランドに、ターゲットの違いを表すグレードをつける。
・分割ファミリーブランド:製品ラインや標的市場が、同質でも異質でもない、中間的な場合:似たような製品ラインをグループ化して、複数のファミリーブランドをつける。
●ブランド基本戦略:4 つのブランド基本戦略
・ライン拡張戦略:既に確立したブランドを、既存の製品をマイナーチェンジした製品などにつける戦略
・ブランド拡張戦略:新しいカテゴリーの製品に既存のブランドをつける戦略
・マルチブランド戦略:同じカテゴリーの製品に、違うブランドをつける戦略
・新ブランド戦略:新しいカテゴリーの製品に、新しいブランドをつける戦略
〈ダブルチョップ、ストアブランド〉
●ダブルチョップ:メーカーと流通業者が共同してつくる共同開発ブランド(小売の名前+メーカーの名前)
●ストアブランド:小売業者が独自に作ったブランド(小売の名前だけ)
〈ブランドカテゴライゼーション〉:ある製品カテゴリーに含まれるブランドを類型化する枠組み
●想起集合(考慮集合):処理集合のうち購入したいと思うブランドの集合
●拒否集合:処理集合のうち購入したいとは思わないブランドの集合
●保留集合:何らかの理由で購入を思いとどまっているブランドの集合
パッケージング
【パッケージの機能】
・製品を運搬したり保護する機能
・製品の説明や内容物の表示など、情報を提供する機能
・デザインや表示により、販売を促進する機能
【パッケージングの分類】:3 つの分類がある。
●個装:製品の保護や、製品の魅力を高めるための包装
●内装:包装貨物の内部の包装:衝撃や湿気などから製品を保護する
●外装:包装貨物の外部の包装:運搬したり保管をするため
新製品開発
【製品コンセプトの検討】
・顧客のニーズや、自社の強みであるシーズに着目し、製品化のアイデアを数多く挙げていきく→アイデアを絞り込むスクリーニング→製品のコンセプトを明確にしターゲット顧客やポジショニングを明確化する
【マーケティング戦略の検討】
・製品、価格、チャネル、プロモーションなどのマーケティング戦略の仮説を作成→事業の予想売上高、原価、利益などをシミュレーションし、経済性を評価→事業として採算が見込める場合には、次の段階
【製品化】
・製品コンセプトに基づいて製品の設計を行い、試作品を作成→顧客を限定して実験的に販売するテストマーケティングを行う→市場の反応を確認し、製品の設計やマーケティング戦略を最終調整
【市場導入】
・最終的に決定した製品の設計を元に製品を生産し、市場導入
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1-10-2 製品戦略 補足(ブランド価値・ブランド要素)
ブランド価値
●基本価値:製品の物理機能が提供する
●便宜価値:製品の購買・消費時に利便性を手依拠する
●感覚価値:五感を通して楽しい消費経験を提供する
●概念価値:ブランド等から顧客が抱くストーリー(物語)、ヒストリー(歴史)などを提供する
価値の重要性は、基本価値<便宜価値<感覚価値<価値概念
(ただし、基本価値が満たされていないと、上の価値が満たされていても意味が無い)
ブランド要素
【ブランド要素】
●ブランド:生産者や販売者の商品を識別する、名称、記号、シンボル、デザイン
●ブランド要素(ブランド・エレメント):「名称、記号、シンボル、デザイン」など、商品識別のためのブランドの具体的な構成要素。
【代表的なブランド要素】
●ブランド・ネーム(名称)
・言葉で表現したもの
・メッセージ性を備える事も出来る
●ブランド・マーク
・視覚的に表現したもの
・ロゴマーク、ロゴタイプ、シンボルなど
〔商標権〕:ブランド要素を保護する知的財産権
●パッケージ
・包装するパッケージ(入れ物)
・店頭で視覚と触覚に訴える
●スローガン
・ブランドが伝えたいメッセージ
●ジングル
・音によるブランドメッセージ
●キャラクター
・ブランドのイメージを表すキャラクター
●色
ブランドイメージを表す色
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