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2020年03月05日
『天使の影』(ジョシュ・ラニヨン)気軽に楽しめるゲイ・ミステリーシリーズ第一作目の感想
前回ご紹介したクライヴ・バーカーの
『ミッドナイト・ミートトレイン』がちょっと強烈だったので(笑)
今回は気軽に読めるミステリー小説『天使の影』をご紹介します。
作者はジョシュ・ラニヨン。
アメリカ産ボーイズラブのミステリー小説
「アドリアン・イングリッシュ」シリーズの第一作目。
2020年3月現在日本語訳されてるジョシュ・ラニヨンの作品は全部読んだけど
今のところこの作品がベストかなと思います。
ボーイズラブ要素除外しても普通にミステリーとして面白いです。
あらすじ
小さな書店を営むアドリアン・イングリッシュの元に
ある日突然刑事が訪ねてくる。
書店の従業員であり、友人であるロバートが殺されたのだ。
しかもアドリアンは殺人の容疑者とされていた。
自らの容疑を晴らすため調査に乗り出すアドリアンだが、
状況証拠は彼に不利で
リオーダン刑事はアドリアンに疑いの目を向けていた。
主人公カプは、ドSな刑事×病弱なおじさん御曹司
主人公のアドリアン・イングリッシュは32歳。
この小説のヒロイン。
繊細で穏やかで心臓病を抱えているオープンリィ・ゲイ。
どちらかと言うと思慮深いタイプだけど、ホラー映画によくある
「そっちに行ったら絶対アカンやろ!ヤバイやろ」
って方向へ向かって突っ込んでいくタイプのヒロインなので、
小説を読んでいる途中で何度
「志村後ろー!」と叫んだか分かりません。
対して、ジェイク・リオーダンは、
大柄でたくましく軍隊風に短く刈った金髪と
黄色がかった琥珀色の瞳の刑事。
加えて、威圧的でホモフォビアでクローゼット・ゲイ。
いや、ゲイの部分はひた隠しにしてるバイセクシャルという、
ちょっとこじらせたキャラクター。
私がアドリアンの友達だったら、「リオーダンは止めとけ」って言うね。
ホモフォビアのクローゼット・ゲイとか面倒くさ過ぎるでしょ(^o^;)。
とはいえ、彼には彼の生い立ちや、これまでの人生の色々ないきさつや
社会の偏見や差別があるわけなんですけどね。
ゲイに対する差別と偏見
この小説の底流にあるのが、
現代のアメリカが抱えているゲイに対する差別や偏見、そして暴力。
でも、アドリアンがシニカルなユーモアのセンスを持っているので、
それ(ユーモアのセンス)がとても小気味良いですね。
社会の偏見や差別に傷付きながらも自分を偽らずユーモアのセンスを忘れずに
日々を過ごしている様子がとても好印象です。
挿し絵は草間さかえ
粗削りなテイストの素敵なイラストです。
落ち着いた大人な主人公カプに、とても合ってると思います。
BLコミックでご存知の方も多いかも。
まとめ
本作『天使の影』は主人公に殺人容疑がかかるとか、次々と起こる殺人とか、
ミステリー小説の定石通りではあるけれど、
テンポの良い展開とユーモアのセンスで、
楽しくするする読めてしまうよくまとまったミステリー小説です。
気軽に楽しめますよ(*^^*)
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