22日に幕を閉じた大相撲5月場所。今場所もこれといった見せ場も存在感もなかったのが、3人もいる大関だ。正代(30)が5勝10敗、御嶽海(29)が6勝9敗で負け越し。唯一、貴景勝(25)のみが8勝7敗で、ギリギリ勝ち越した。3大関が全員皆勤しての負け越しなら史上初の不名誉記録だったが、その恥辱だけは免れた形だ。
御獄海も“短命ダメ大関”の仲間入り? 粗製乱造の弊害と求められる昇進基準改革
もはや大関陣に期待する声は角界内でも皆無。御嶽海は昇進してまだ2場所目とはいえ、今場所後半は「不利な体勢で粘らず、あっさり負ける」という悪癖が早くも顔を出した。貴景勝も日によって相撲内容がバラバラ。正代は大関昇進後、2ケタ勝利は1回だけと、もはや語る必要すらない。
解説者の北の富士氏もスポーツ紙のコラムで痛烈に批判。優勝争いをする終盤の横綱に大関をぶつける取組編成を、「なぜこのような無駄な取組を作ったのか」「ファン無視もいいところ」と喝破している。
もっとも、当の大関陣はどう思っているのやら。来場所4度目のカド番になった正代、初のカド番の御嶽海にせよ、来場所勝ち越せば地位を維持できる。貴景勝にしても、一応勝ち越した以上は少なくとも9月場所までは大関でいられる。
極端な話、大関は地位を維持するだけなら、年間最低24勝で事足りる。カド番制度があるため、全敗と8勝を交互に繰り返すだけで陥落を阻止できるからだ。さらに陥落しても、直後の場所で2ケタ以上勝てば大関に復帰できる特例もある。
これが他の番付ならそうはいかない。三役以下の場合、年間24勝では幕内にすら残れない。横綱なら進退問題だ。
大関は給料も高い。月給300万円の横綱には及ばないが、月に250万円。年にすれば2800万円だ。引退後は横綱同様、退職金とは別の特別功労金もある。さらに親方株がなくとも、現役時代の四股名で3年間は協会に残れる。
大関になるには「三役で3場所33勝」と条件はあるものの、居心地の良さは折り紙付きだ。歴代最多のカド番14回の千代大海(現九重親方)、同2位13回の魁皇(現浅香山親方)は10年以上大関を張った。
今や土俵上の不労所得者と化している大関。たまには地位にふさわしい姿を見せてほしいものだが……。
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