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2022年05月21日

なぜ私有地の「無断駐車」は対処出来ない? 「自力救済」が逆に罰則対象になる? 可能な対応方法とは(転載)

私有地の無断駐車を勝手に対処するのは「自力救済禁止の原則」にあてはまる?
 自分の駐車場や私有地に見知らぬクルマが無断駐車している場合、自力でそのクルマを対処することは「自力救済」となり、現在の法律では禁止されています。

 
 では、このように無断で駐車しているクルマに対して、どのような手段で対応するべきものなのでしょうか。


自分の駐車枠に無断で駐車された場合でも進路を塞ぐなど勝手な対処はしてはいけない(画像はイメージ)
 公道での無断駐車であれば、道路交通法第44条「車両は道路標識等により停車および駐車が禁止されている道路の部分および次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定、もしくは警察官の命令により、または危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、または駐車してはならない」と説明されているとおり、れっきとした法令違反に該当します。




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しかし、道路交通法や刑法では明確に違反として取り締まる法律が存在せず、民法における「不法行為」として対応することになるのがほとんどです。

 民法第709条には不法行為として「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められており、他人の所有している土地を害している行為であると見なされ、賠償する責任があります。

 しかし、賠償する責任はあるとはいえ、実際に賠償するかどうか、あるいはできるかどうかは、クルマの所有者に依存する部分も多く、民法における「不法行為」が認められたからといって、クルマをすぐに動かせるわけではありません。そもそも、裁判にいたるまでに、多くの時間を要してしまうなどの問題もあります。

 では、もし私有地に無断駐車を発見し対処したい場合には、どうすれば良いのでしょうか。

 警察関係者は、私有地での無断駐車に対して「警察に通報される人は多いですが、実際のところ、警察では対応が難しいのが実情です」と話します。

 道路交通法に違反しているという訳でもないため、やはり警察には対応が難しい私有地の無断駐車。

 では、自力でレッカー業者を手配し、クルマを私有地から除外することや、勝手に無断駐車しているクルマを動かしてしまうと、どのような問題が生じるのでしょうか。

 前出の担当者は以下のように話します。

「いくら私有地であるからといって、勝手に他人のクルマを移動させる行為は、器物損壊罪や窃盗罪に該当してしまう可能性もあります。そのため、基本的には、自力での対処はしないほうが良いのではないかと思います」

 器物損壊罪とは、刑法261条にあたり「他人のものを損壊し、または傷害した者は、3年以下の懲役、または30万円以下の罰金、もしくは科料に処する」と定められています。

 また、同様に「窃盗罪」は刑法235条で「他人の財物などを窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または、50万円以下の罰金に処する」と説明されています。

 つまり、勝手に私有地に侵入してきたクルマであるとはいえ、クルマの所有者以外が動かすには少々リスクが多すぎるというのが現在の法律的解釈となるようです。

迷惑な私有地での無断駐車、適切な対策方法は?
 では、このように私有地に侵入してきた無断駐車のクルマに対しては、泣き寝入りするしかないのでしょうか。

 前出の担当者は「違法駐車している人の目につくように、私有地に警告の張り紙を貼るという対策はひとつの手です」といいます。

 しかし、この警告の旨を伝える張り紙には注意点が必要であり、過度に脅すような警告文や、金銭を要求するような内容を記載した場合には「脅迫罪」で罪に問われる恐れがあります。

 脅迫罪は刑法222条にあたり、「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役、または30万円以下の罰金に処する」と定められています。




コンビニに長時間駐車をした結果、客単価分を請求する張り紙が貼られた事例もある(画像はユーザー提供)
 また、この警告文をクルマの持ち主の目につくようにするために、クルマの窓ガラスやボディ部分に勝手に貼り付けた場合、前述の器物損壊罪に該当してしまう恐れがあります。

 そのため、「私有地であるため、クルマの駐車をしないでください」という旨の警告文をクルマの所有者に伝える際には、前述のような点に十分に気をつけおこなう必要があるといえます。

 さらに、前出の担当者は、私有地への無断駐車に対する有効な対策として「法律的に訴えるのであれば、弁護士に相談するのが良いのではないでしょうか」と話します。

 自力で私有地への無断駐車を対処しようとした場合、前述のようなさまざまな問題が起こり得る危険性があります。

 そのため、法律に詳しい弁護士に相談し、法律的に訴えることがもっとも安全で有利な状況で対策できる方法であるといえるでしょう。

※ ※ ※

 どんな理由があろうと、私有地に無断で駐車する行為は非常に迷惑極まりないものです。

 当然のことですが、どうしても駐車する必要がある場合には、きちんとした駐車スペースにとめるようにしましょう。

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