2018年08月06日
映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」の感想…1つの映画としてはイマイチだけど、凄く味わい深い作品。
今日は映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」の感想です。
もちろん山田雅史監督作品という事でレンタルしてみました。
という訳で今回はレンタルDVDでの鑑賞です。
映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」は2009年公開の山田雅史監督作品。
もちろん先日感想を書いた映画「黒看」の監督です。
映画「コープスパーティー」シリーズの感想は書いていましたが、
他の作品を未だ観ていなかったので借りました。
この映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」が商業映画のデビューだそうです。
最新作を観た後に9年前のデビュー映画を観るってのも味わい深いものです。
自分は知らなかったのですが、
いわゆるコックリさん的なもので「ひとりかくれんぼ」というものがあって、
ネットの掲示板で一気に世間に広まったそうです。
自分には広まっていませんでした…自分は世間には含まれていなかったのか…。
全然そういう知識がなかったので、映画冒頭で、
人形が燃えている映像を観てもなんだろうってなってしまった。
ひとりかくれんぼで使った人形はそういう処分をしなくてはいけないらしい。
もっと知ってたら楽しめた部分はあるのかもしれない。
映画の簡単なあらすじですが、
高校教師の柏木涼子が担任しているクラスの生徒宇野りつ子。
彼女の家庭はうまくいっておらず、
ネット掲示板で募集されていたひとりかくれんぼに参加などしていた。
ある日、付き合っていた相川良太の愚痴を聞いて、
ひとりかくれんぼを使って人を殺す事ができないかと考えるのだが…みたいな感じかな。
キャストですが、
主人公の教師柏木涼子を演じるのは川村ゆきえ。
映画初主演という事ですが悪くはなかったし、
隠されていましたが、隠し切れないスタイルの良さは分った。
特典のメイキング映像を観ると魅力が増す。
高校生宇野りつ子を演じるのは河北麻友子。
目が大きい。
彼女は映画初出演という事ですが、
根が暗そうな役なのに隠しきれない活き活きさがありました。
涼子の同僚である田村里美を演じるのは生井亜実。
登場人物が少ないので貴重ないわゆるやられ役をしっかりこなしてます。
彼女も映画初出演とか…でもそんな印象は全然なかった。
その他、碓井将大、湯沢勉、和川未優、山本紀彦、
森直子、梅田宏、堀まゆみなどが出演しています。
さて、映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」の感想ですが、
とても味わい深い映画でした。
商業映画デビューという事ですが、今観ても丁寧な印象はあります。
撮影の流行というのもあると思うのですが、
この頃はカメラがガッチリ固定されていて、
ドリーで撮影するところはありますが手持ちでの撮影はない。
ホラーでこんなにガッチリな映像は映画「のぞきめ」以来。
いや、映画「のぞきめ」は2016年公開だけどね。
よっぽどの事がない限りホラー映画って予算がないんですよね。
フィルムで撮れたら雰囲気あるよねとか、
観る方は軽く言ってしまうけど、ほとんどの現場でそんな事は不可能。
アイデアでいかに低予算でもクオリティを上げるかってのが、
監督や制作スタッフの腕の見せ所だと思っています。
まず音をしっかり収録してるのはさすが。
ちゃんとした映画と「見せかける」のに、
この「音」ってのは凄く重要なのですが、
これについては他の作品でもいっぱい言ってるので省略。
あと、所謂ビデオカメラでの撮影。
雰囲気を出すために後処理で色や質感を変えたり、
撮影の際もライティングを工夫したりして、
安さをカバーしています。
いや、一見したら「悪くない」ところまで作られている。
これは本当は凄く大変な事で、評価されて良い。
というか、そういう部分が評価されて、
今の山田雅史監督があるんだと思う。
ホラー映画は観ている人に情報をいかに与えていくか、
そこが1つのポイントなのですが、
視覚的情報としての画作りが基本をしっかり抑えていて、
顔のアップとかでどうなってるのか分りにくい、
ホラー映画な映像でしっかり作られている。
またその画作りに絶妙なカメラワークが加わって、
顔の後ろの背景が気になるなって思わせて、
次に見えた時にナニカがいるって見せ方。
上手いなあって。
王道と言えばそうなんだけど、それをしっかりやってくれる。
ホラー映画が観たいって人には嬉しいですよね。
ただ、画についての情報の出し方については良かったのですが、
物語についての情報の出し方に関しては…また後ほど。
あと、嫌な間の取り方とか。
この時から良い感じの嫌な間の取り方が出来てたんだなって。
そして、「ひとりかくれんぼ」がネットで広まったという事で、
映画でもネットの掲示板が使われているのですが、
ここを安易に人に読ませずに、
カタカタカタッとテロップを出させて、
映画を観ている人に「読ませる」のは良い演出でした。
「、」を使う人がいたりするのも細かくて良いですね。
…と、こんな感じで書いてあると、
凄く良いホラー映画なんだなって思うかも知れないのですが、
実は映画としてどうだったか…というと、
作品のメッセージとホラー映画の恐さがどっちも伝わりづらい。
これについては映画「黒看」は分りやすく作ってくれてるなと思った。
特に先ほども書いた「物語についての情報の出し方」について。
ネタバレはしない様に書きますが、
都市伝説の「ひとりかくれんぼ」というものを使って、
いなくなった人に対しての考え方というか、
「神隠し」という事象の捕らえ方の提案というか。
劇中の言葉でいうと、
解釈を変えればピーターパンも神隠しという…ね。
そういうメッセージというか視点は面白いと思うが、
この映画の印象ではメッセージはイマイチ伝わりづらい。
あと、ホラー映画としての「恐がらせ」の部分で、
上手くいっているところもあるのですが、
サービスしすぎでちょっと恐くなくなってしまった部分も。
天井這っちゃうのは…とかね。
そしてラストの展開ね。
お母さんがチラシを配ってるのとか良い演出だったんだけど、
そもそも「のぶこちゃん」って誰だっけ。
まあ多分かくれんぼしていた子なんだろうけど。
最後のシーンね…ちょっとテレビ感というか、
いないいないばあ!で終わるのは…個人的に好きじゃない。
ひとりかくれんぼの性質を使って、
部屋の暗さが必然性があるってのは良いと思う。
でも、ひとりかくれんぼとは関係ないところで、
暗い部屋でテレビ観てるとか、ああいうのは止めた方が良い。
ガンガンに明るくする必要はないけど、
真っ暗な部屋でテレビ観てるって安いホラー映画でしか観ないからね。
そういう意味ではテレビ以外は電気を消しているはずなのに、
押入れの隙間から光が入ってくる感じ。
いや、実際真っ暗なところで撮影はできないから、
こんな感じの映像になってしまうんだろうけど、
結構強い月明かりだなあって思ってしまう。
パソコンのモニターを消すのに、
コンセントを抜く暴挙はやめてほしい。
あ、ちょっとパソコンのモニターの型で時代を感じた。
「ひとりかくれんぼって知ってます」ってアップの画があるんだけど、
その前後の画との色の違いがわざとかなって思ったんだけど、
その後の画でやっぱり向きが違うときの色が違ったので、
「ああ…」ってちょっと残念だった。
そんな感じかな。
「どうしたの?お父さん殺したいんでしょ」って言ってくる彼女には、
そりゃドン引きするよね。
そりゃ気持ち悪いよ。
そんな彼女の部屋の生活感の無さは異常。
もうちょっと美術さん頑張っても良かったのに。
どうしても気になったのは、
同僚だからって何の証明もしてないのに部屋の鍵を貸すなよ管理人!
っていう文句はある。
あと、もういいかいって言われて、
まだって言ってるのにやってくるのはどうなの?
そういうもんなの?
あの映画終盤に、病院から「そこ、どこよ」ってところに行くのだけど、
そこで車椅子が勝手に動くんだけど、
まさか映画「黒看」の動く車椅子はこれのセルフオマージュだったのでは。
なんて思ったり。
そういう楽しみ方もできなくもない山田雅史監督作品でした。
でも、ここから今に繋がっていくってのは本当に味わい深いと思います。
もちろん山田雅史監督作品という事でレンタルしてみました。
という訳で今回はレンタルDVDでの鑑賞です。
映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」は2009年公開の山田雅史監督作品。
もちろん先日感想を書いた映画「黒看」の監督です。
映画「コープスパーティー」シリーズの感想は書いていましたが、
他の作品を未だ観ていなかったので借りました。
この映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」が商業映画のデビューだそうです。
最新作を観た後に9年前のデビュー映画を観るってのも味わい深いものです。
自分は知らなかったのですが、
いわゆるコックリさん的なもので「ひとりかくれんぼ」というものがあって、
ネットの掲示板で一気に世間に広まったそうです。
自分には広まっていませんでした…自分は世間には含まれていなかったのか…。
全然そういう知識がなかったので、映画冒頭で、
人形が燃えている映像を観てもなんだろうってなってしまった。
ひとりかくれんぼで使った人形はそういう処分をしなくてはいけないらしい。
もっと知ってたら楽しめた部分はあるのかもしれない。
映画の簡単なあらすじですが、
高校教師の柏木涼子が担任しているクラスの生徒宇野りつ子。
彼女の家庭はうまくいっておらず、
ネット掲示板で募集されていたひとりかくれんぼに参加などしていた。
ある日、付き合っていた相川良太の愚痴を聞いて、
ひとりかくれんぼを使って人を殺す事ができないかと考えるのだが…みたいな感じかな。
キャストですが、
主人公の教師柏木涼子を演じるのは川村ゆきえ。
映画初主演という事ですが悪くはなかったし、
隠されていましたが、隠し切れないスタイルの良さは分った。
特典のメイキング映像を観ると魅力が増す。
高校生宇野りつ子を演じるのは河北麻友子。
目が大きい。
彼女は映画初出演という事ですが、
根が暗そうな役なのに隠しきれない活き活きさがありました。
涼子の同僚である田村里美を演じるのは生井亜実。
登場人物が少ないので貴重ないわゆるやられ役をしっかりこなしてます。
彼女も映画初出演とか…でもそんな印象は全然なかった。
その他、碓井将大、湯沢勉、和川未優、山本紀彦、
森直子、梅田宏、堀まゆみなどが出演しています。
さて、映画「ひとりかくれんぼ 劇場版」の感想ですが、
とても味わい深い映画でした。
商業映画デビューという事ですが、今観ても丁寧な印象はあります。
撮影の流行というのもあると思うのですが、
この頃はカメラがガッチリ固定されていて、
ドリーで撮影するところはありますが手持ちでの撮影はない。
ホラーでこんなにガッチリな映像は映画「のぞきめ」以来。
いや、映画「のぞきめ」は2016年公開だけどね。
よっぽどの事がない限りホラー映画って予算がないんですよね。
フィルムで撮れたら雰囲気あるよねとか、
観る方は軽く言ってしまうけど、ほとんどの現場でそんな事は不可能。
アイデアでいかに低予算でもクオリティを上げるかってのが、
監督や制作スタッフの腕の見せ所だと思っています。
まず音をしっかり収録してるのはさすが。
ちゃんとした映画と「見せかける」のに、
この「音」ってのは凄く重要なのですが、
これについては他の作品でもいっぱい言ってるので省略。
あと、所謂ビデオカメラでの撮影。
雰囲気を出すために後処理で色や質感を変えたり、
撮影の際もライティングを工夫したりして、
安さをカバーしています。
いや、一見したら「悪くない」ところまで作られている。
これは本当は凄く大変な事で、評価されて良い。
というか、そういう部分が評価されて、
今の山田雅史監督があるんだと思う。
ホラー映画は観ている人に情報をいかに与えていくか、
そこが1つのポイントなのですが、
視覚的情報としての画作りが基本をしっかり抑えていて、
顔のアップとかでどうなってるのか分りにくい、
ホラー映画な映像でしっかり作られている。
またその画作りに絶妙なカメラワークが加わって、
顔の後ろの背景が気になるなって思わせて、
次に見えた時にナニカがいるって見せ方。
上手いなあって。
王道と言えばそうなんだけど、それをしっかりやってくれる。
ホラー映画が観たいって人には嬉しいですよね。
ただ、画についての情報の出し方については良かったのですが、
物語についての情報の出し方に関しては…また後ほど。
あと、嫌な間の取り方とか。
この時から良い感じの嫌な間の取り方が出来てたんだなって。
そして、「ひとりかくれんぼ」がネットで広まったという事で、
映画でもネットの掲示板が使われているのですが、
ここを安易に人に読ませずに、
カタカタカタッとテロップを出させて、
映画を観ている人に「読ませる」のは良い演出でした。
「、」を使う人がいたりするのも細かくて良いですね。
…と、こんな感じで書いてあると、
凄く良いホラー映画なんだなって思うかも知れないのですが、
実は映画としてどうだったか…というと、
作品のメッセージとホラー映画の恐さがどっちも伝わりづらい。
これについては映画「黒看」は分りやすく作ってくれてるなと思った。
特に先ほども書いた「物語についての情報の出し方」について。
ネタバレはしない様に書きますが、
都市伝説の「ひとりかくれんぼ」というものを使って、
いなくなった人に対しての考え方というか、
「神隠し」という事象の捕らえ方の提案というか。
劇中の言葉でいうと、
解釈を変えればピーターパンも神隠しという…ね。
そういうメッセージというか視点は面白いと思うが、
この映画の印象ではメッセージはイマイチ伝わりづらい。
あと、ホラー映画としての「恐がらせ」の部分で、
上手くいっているところもあるのですが、
サービスしすぎでちょっと恐くなくなってしまった部分も。
天井這っちゃうのは…とかね。
そしてラストの展開ね。
お母さんがチラシを配ってるのとか良い演出だったんだけど、
そもそも「のぶこちゃん」って誰だっけ。
まあ多分かくれんぼしていた子なんだろうけど。
最後のシーンね…ちょっとテレビ感というか、
いないいないばあ!で終わるのは…個人的に好きじゃない。
ひとりかくれんぼの性質を使って、
部屋の暗さが必然性があるってのは良いと思う。
でも、ひとりかくれんぼとは関係ないところで、
暗い部屋でテレビ観てるとか、ああいうのは止めた方が良い。
ガンガンに明るくする必要はないけど、
真っ暗な部屋でテレビ観てるって安いホラー映画でしか観ないからね。
そういう意味ではテレビ以外は電気を消しているはずなのに、
押入れの隙間から光が入ってくる感じ。
いや、実際真っ暗なところで撮影はできないから、
こんな感じの映像になってしまうんだろうけど、
結構強い月明かりだなあって思ってしまう。
パソコンのモニターを消すのに、
コンセントを抜く暴挙はやめてほしい。
あ、ちょっとパソコンのモニターの型で時代を感じた。
「ひとりかくれんぼって知ってます」ってアップの画があるんだけど、
その前後の画との色の違いがわざとかなって思ったんだけど、
その後の画でやっぱり向きが違うときの色が違ったので、
「ああ…」ってちょっと残念だった。
そんな感じかな。
「どうしたの?お父さん殺したいんでしょ」って言ってくる彼女には、
そりゃドン引きするよね。
そりゃ気持ち悪いよ。
そんな彼女の部屋の生活感の無さは異常。
もうちょっと美術さん頑張っても良かったのに。
どうしても気になったのは、
同僚だからって何の証明もしてないのに部屋の鍵を貸すなよ管理人!
っていう文句はある。
あと、もういいかいって言われて、
まだって言ってるのにやってくるのはどうなの?
そういうもんなの?
あの映画終盤に、病院から「そこ、どこよ」ってところに行くのだけど、
そこで車椅子が勝手に動くんだけど、
まさか映画「黒看」の動く車椅子はこれのセルフオマージュだったのでは。
なんて思ったり。
そういう楽しみ方もできなくもない山田雅史監督作品でした。
でも、ここから今に繋がっていくってのは本当に味わい深いと思います。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7996495
この記事へのトラックバック