ひと時のブログ

　以前は、疲労の原因物質は乳酸とされ、つい最近まで、ＴＶの健康番組でも盛んに言われていました。これは、イギリスのノーベル生理学・医学賞受賞の研究者が行った、カエルから取り出した筋肉に電気刺激を与えた実験で筋肉を疲労させると筋肉中の乳酸濃度が上昇したという報告から言われるようになったそうです。

この研究による、疲労の原因を筋肉物質とした説は、近年の研究によって誤りであることが確認されています。（尚、驚いたことにカエルの筋肉の研究は、1929年に行われていました）

それでは、何が疲れをもたらす原因物質かというと、それは活性酸素だそうです。活性酸素は呼吸器から体内に取り入れられた酸素が変化して、物質を酸化させる力が強くなった酸素の総称ですが、呼吸器から取り入れられた酸素の1-2%は活性酸素に変化すると言われています。

そのため、活性酸素は常に体内で発生していることになります。そして、この活性酸素は他の物質が持っている原子（原子は原子核と、その周囲を回っている電子で構成されています）の電子を奪います（このような化学反応が酸化という現象です）。すると、電子を奪われた原子は不安定になって、本来の機能を果たせなくなります。

そして、不足した電子を補うために別の原子の電子を奪います。（この現象は次々と繰り返されて細胞や組織を壊していきます）

こんなに体に悪い活性酸素が体内で作られる理由は、体内に侵入したウイルスなどの敵と戦うためでした。体内で免疫システムを担っている白血球が活性酸素をだしていたのです。

そのため、体内には活性酸素の作用を押さえ込む「抗酸化酵素」があります。

しかし、「抗酸化酵素」の働きは、加齢とともに低下してしまいます。その上、激しい運動や仕事などで多くのエネルギーが使われ、酸素の消費量が増えて活性酸素が大量に発生して「抗酸化酵素」の働きを上回ってしまうと、細胞や遺伝子を傷つけてしまうのだそうです。

スポーツ選手のような過度の運動を続けるのは健康にはよくないと言われるのは、このことだったようです。

そして、脳内の神経細胞などが活性酸素で酸化されると、血液中の疲労因子が増加します。するとその情報が大脳の特定の部位に伝わって体が疲れたということを自覚するのだそうです。つまり、疲れの原因は脳内の活性酸素でした。

傷ついた脳を癒してくれるのは、質の良い睡眠です。やはり、人にとって質の良い睡眠は最も重要なものでした。