2017年12月29日
季節性感情障害(SAD)について知っておきたい7つのこと
〜冬になると気分が重い・季節性鬱について〜
「季節性感情障害」(Seasonal Affective Disorderを略して「SAD」)という症状をご存知でしょうか。
鬱病の一種で、毎年秋から冬の季節になると体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が表れる病気です。
「季節性情動障害」や「反復性冬季鬱病」、「ウィンターブルー」などと呼ばれることもあります。
世間的な認知度が低いため、周囲の人からは「だらけてる」「怠けている」と誤解を受けてしまい、これがさらに本人を追い詰めてしまいます。
「季節性感情障害」(SAD)について知り、周囲に症状に罹っている人がいたら、理解し、協力するようにしましょう。
1 季節性感情障害(SAD)とは
「季節性感情障害」(Seasonal Affective Disoeder/SAD)とは、秋から冬にかけて決まって気分の落ち込みがみられる症状です。
鬱病の一種で、秋から冬にかけて抑鬱が始まり、春や夏になると治まってきます。
体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込み、過眠や過食などの症状が表れる病気です。
2 季節性感情障害(SAD)の主な症状
「季節性感情障害」(SAD)の主な症状には次のようなものがあります。
●気分が落ち込む
●気力・元気・やる気が無くなる
●生きる張り合いが無くなる
●物事を楽しめない
●今まで楽しんでいたことを楽しめない
●イライラする
●人と会いたくない
●朝起きるのがつらく、日中も眠気を感じることが多く、睡眠時間が増す
●食欲が増進し、炭水化物や甘いものを欲するため、冬に太りやすくなる
●いつも疲れていて何もしたくなくなる
●やるべきことがあってもそれに取り掛かれず、さらなるストレスになる
●以前ならこなせていた仕事が上手にできない
●体を動かすのが億劫になり運動量が低下する
●考える力や集中力が明らかに落ちる
●冬以外の季節は健康的で春になると鬱状態が回復する
3 季節性感情障害(SAD)に罹る理由
「季節性感情障害」(SAD)に罹る理由として最も有力な説は、冬場の日照時間不足です。
人間の体は、日中に日光を浴びることでセロトニンを生成します。
セロトニンとは神経伝達物質の1つで、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料ですが、日照時間の減少により光が不足することで、脳内でセロトニンの分泌が減ります。
太陽の光が少ない冬の季節はセロトニンが減少し、メラトニンが十分に生成されません。
メラトニンには季節のリズム、睡眠や覚醒のリズム、ホルモン分泌のリズムを調整する作用があるので、メラトニンが不足すると変調をきたしやすくなります。
秋や冬の季節は日照時間が短くなり暗い時間が長くなることで、体内時計を司るメラトニンの分泌のタイミングが遅れたり、分泌が過剰になったりするため、体内時計が狂ってしまうのです。
冬に早く暗くなる土地に住む人ほど「季節性感情障害」(SAD)の発症率は高く、1年中暖かいフロリダでの発症率が1.4%なのに対し、アラスカ州での発症率は9.9%と格段に高くなっています。
冬季を中心に、高緯度地域での発症率が高い病気です。
また、昼夜の急激な温度差で体温調節を行う自律神経に負担がかかり、精神の安定を保つことが難しくなることも、「季節性感情障害」(SAD)発祥の理由の1つと考えられています。
4 「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人
「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人は、妊娠可能な年齢の女性で、女性の方が男性に比べ3倍罹りやすいと言われています。
また、寒い地域に住んでいる人に罹患者が多く、生活に支障をきたすような深刻なSAD患者は、日本人では1〜3%と言われています。
また、普段ゆっくり休めない主婦の人や、仕事熱心で責任感が強く無理して仕事をしてしまう人に罹患者が多くいます。
「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人の特徴として、次のことが挙げられます。
(1)生真面目で責任感が強い人
生真面目な人は、周囲の期待に応えようとして自分の限界を超えてまで頑張ろうとします。
自分の許容量を超えて頑張りすぎてしまい、ストレスをため込んで、心のバランスを崩してしまうのです。
うまくいっているうちはよいのですが、次第に体や心が付いていかなくなり、疲労感やストレスに支配されていきます。
また、自分で優先順位をつけることが苦手なため、どれもこれも頑張りすぎて、柔軟な対応ができずに疲れ切って深刻な症状に陥ってしまいます。
真面目で責任感が強く、人当たりも良く周囲の評価も高い人、そういう人が「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすいタイプです。
(2)完璧主義な人
完璧主義で几帳面、理想が高い人もSADに罹りやすい人です。
何事も完璧でなければ気が済まないため、自分の決めた目標を達成するために、足りない部分を無理にでも補おうとします。
周囲の評価や仕事の達成率を判断基準にしているため、自分の体や心に焦点を合わせずに、自分の許容量以上に我武者羅に頑張ってしまうのです。
自分自身が理想的な人になるために、常に自分に厳しく、また、他人にも厳しく接します。
そして、他人に厳しくする分、自分がどう思われているかを人一倍気にして、
知らないうちに精神的ストレスをため込んでしまっているのです。
遊ぶことは怠惰なことだと思ってしまい、息抜きすることすらしません。
(3)自己表現が下手な人、周りに合わせる人
思ったことや感じたことを内側に閉じ込めてしまい上手く発散することができない人、言いたいことが言えずに感情を抑え込み素直な気持ちを言えずに相手に合わせてしまっている人は、つらさや苦しみがストレスになります。
どうしてみんな自分のことを分かってくれないのだろう、そう思う人は要注意です。
(4)自己責任の意識が強い人
責任感や義務感が人一倍強い人は、本当の原因が他にあっても、何でも自分で背負い込み、人のせいにはしません。
また、自己責任の意識が強く、どんどん自分を追い詰め、自分が我慢さえすればよいと考えるため、さらにストレスや無理が溜まることになります。
(5)メランコリー親和型気質
常識やモラル、正義をいつも意識している人、周囲との関係をうまく築こうとしている人にも「季節性感情障害」(SAD)に罹るケースが多いです。
5 「季節性感情障害」(SAD)の予防策
「季節性感情障害」(SAD)の予防策は、日光に当たることと適度な運動、食事が挙げられます。
具体的には次の通りです。
(1)日光を浴びる
日照時間の短い秋や冬の季節はなるべく外に出て日光を浴びましょう。
朝日を浴びることで規則正しい起床と睡眠のサイクルを繰り返す習慣を身につけることができます。
毎朝朝日を浴びることでセロトニンが分泌され体内時計がリセットされます。
そして睡眠ホルモンであるメラトニンも14〜15時間後に分泌され、体温や呼吸数、脈拍数や血圧を低下させるため、夜の9〜11時頃には眠くなります。
(2)適度な運動
屋外で運動をすることも効果的な予防策です。
ウォーキングやジョギングなどのリズム運動を習慣化することで、セロトニンの分泌を促すことができます。
(3)食事
よく噛んで朝食をしっかり摂るとセロトニンの分泌が促されます。
ご飯、納豆、豆腐、豆乳、チーズ、ヨーグルト、牛乳、緑黄色野菜、バナナ、肉類、赤身魚などには、セロトニンを作る必須アミノ酸であるトリプトファンが豊富に含まれているため、積極的に摂るようにしましょう。
また、サバ、アジ、イワシ、カツオなどの青魚にふんだんに含まれるDHAやEPA、ビタミンDはセロトニンを活性化してくれるので、鬱病に罹りづらくなります。
(4)話し相手を見つける
自分の気持ちを抑え込んでしまいストレスをためることもSADの原因の1つ。
家族や友人に相談し、SADに対する理解と協力を得ることも大切です。
自分の気持ちを伝えられる相手を探してみましょう。
(5)入浴や温度調節、カラー療法
ゆっくり入浴するとホルモンバランスや血流を整えることができます。
アロマオイルなどでリラックスすることも効果的。
また、暖かい飲み物やひざ掛け、暖房やカイロなどで温度管理をして暖かくすることも大切です。
カーテンやクッションカバー、テーブルクロスなどを暖色系に変えてみることも対策として有効です。
暖色系のひざ掛けなどを使うのも良いですね。
(6)笑う
SADは脳のエネルギーが減退している状態です。
セロトニンは幸せホルモンとも言われており、笑うことで生成されます。
笑うことで、心理的症状も身体的症状も緩和できることが期待されます。
6 「季節性感情障害」(SAD)に罹ったら
もしも「季節性感情障害」(SAD)に罹ってしまったらどのように対処すればよいのでしょうか。
基本的には予防策とは変わらないのですが、次の対策を講じてみましょう。
(1)日照不足を補う
まずは日光を浴びること、または同等の光を浴びることが大切です。
できる限り午前中から昼間に日光浴を行いましょう。
高照度光療法といって、人口の光(ライトボックス)を利用して冬季の日照不足を補う方法もあります。
ライトボックスを使用する時間は朝の時間にして、夕方5時以降の使用は控えましょう。
光が出る目覚まし時計を使うことも有効です。
デスクワークをする人は、卓上の電気スタンドを使ってみましょう。
自宅や仕事場の照明を明るくして、太陽光や高照度光療法で体内時計を調節し生体リズムを整えましょう。
(2)食事
セロトニンが不足すると脳の働きに不調が出ます。
セロトニン生成に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取しましょう。
肉、魚、大豆に含まれるトリプトファンはセロトニンの生成に必要な必須アミノ酸なので過不足なく摂るようにしましょう。
専門医に行きSSRIという抗うつ薬を投与してもらうことも方法の1つです。
(3)適度な運動
運動をすることで気持ちをコントロールする神経伝達物質の1つであるドーパミンが分泌されます。
それにより気分の落ち込みやイライラの症状を改善することができます。
(4)自分の感情を話せる人を見つける
SADに罹り、1人でその悩みを抱え込むと、気持ちの落ち込みは余計に増大します。
家族や友人の理解を得て、自分の感情を話せる人を見つけましょう。
身近に自分の気持ちを話すことができる人がいない場合は、サポートグループがあるのでそこに当たってみる方法もあります。
また、なるべく外に出て人と会うことは、直接的な社会参加、趣味を持つ、誰かとおしゃべりをすることができるので、症状改善のきっかけになり得ます。
(5)やることリストの作成と自分への言い聞かせ
何事も完璧にこなそうとするあまり、ストレスが溜まり心や体に無理が生じています。
やるべきことをリスト化し整理することで落ち込みや憂鬱感を緩和することが期待できます。
また、回復期に発病しやすい状況を自覚するようにし、やりすぎないように、焦りすぎないように物事の受け止め方を変え、周囲の状況にうまく対応できるようにしましょう。
7 周囲の人が理解・協力すること
「季節性感情障害」(SAD)に罹ったら、自分1人で解決することは難しいです。
家族や友人など、周囲の人の理解や協力が不可欠です。
もし身近に「季節性感情障害」(SAD)に罹った人がいたらどのように接すればよいのでしょうか。
(1)まずはSADという病気を知る
SADはまだ認知度は低いですが、重度の罹患者にいたっては日常生活に支障をきたすほど深刻な病気です。
何も知らない人はSAD罹患者の様子を見て、「鬱なんて気のせいだ」「何を怠けているんだ」「心が弱いからだ」「周りに甘えているからだ」と言ってしまうかもしれません。
しかしそれはSAD罹患者にとってはあまりにも心無い暴力的な一言。
その言葉がより一層負担とストレスを与え、症状を悪化させるのです。
まずは「季節性感情障害」(SAD)という病気があること、それがどんな症状なのかを知ることが大切です。
(2)説得や励ましは逆効果、批判や説教はNG
気分が落ち込んでいる人を見たら励ましたくなりますよね。
しかしSAD罹患者や鬱病に罹っている人に対する励ましは逆効果。
気の持ち方や考え方を変えようとしたり、「頑張れ」「しっかりしろ」などの叱咤激励は、本人の劣等感や自責感を強めるだけで、場合によっては「誰にも分かってもらえない」とより深く落ち込み絶望させてしまうこともあります。
もちろん、相手の言うことを批判したり説教したりすることはNG。
また、気晴らしに人混みに連れ出すことも逆効果です。
(3)聞き役に徹する
SAD罹患者と接するときはとにかく聞き役に徹しましょう。
否定的な発言が増えますがそれは本心ではありません。
自信を失っているときなので、焦らずに見守り、重大な決定は避けるようにしましょう。
鬱状態の最盛期に過去を蒸し返すような話をしないよう配慮することも大切です。
休養して心身の負担を軽減し取り除くことがとても大切なのです。
また、SAD罹患者は、回復期になるとこれまでの分を取り返そうと無理してしまいがちですが、それに対し周りの人がブレーキをかけてあげてください。
まとめ
季節性感情障害(SAD)について知っておきたい
7つのこと
1 冬になると現れる病気
2 気分が落ち込む、体を動かすのが億劫、過眠、過食などの症状が表れる
3 日照時間の不足によるセロトニンの減少が主な原因
4 真面目で責任感が強く、人当たりも良く周囲の評価も高い人が罹りやすい
5 日光を浴びることで予防と対策
6 規則正しい食事でトリプトファンやDHA、EPAなどを摂取
7 周囲の人の理解と協力が必要
「季節性感情障害」(Seasonal Affective Disorderを略して「SAD」)という症状をご存知でしょうか。
鬱病の一種で、毎年秋から冬の季節になると体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が表れる病気です。
「季節性情動障害」や「反復性冬季鬱病」、「ウィンターブルー」などと呼ばれることもあります。
世間的な認知度が低いため、周囲の人からは「だらけてる」「怠けている」と誤解を受けてしまい、これがさらに本人を追い詰めてしまいます。
「季節性感情障害」(SAD)について知り、周囲に症状に罹っている人がいたら、理解し、協力するようにしましょう。
1 季節性感情障害(SAD)とは
「季節性感情障害」(Seasonal Affective Disoeder/SAD)とは、秋から冬にかけて決まって気分の落ち込みがみられる症状です。
鬱病の一種で、秋から冬にかけて抑鬱が始まり、春や夏になると治まってきます。
体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込み、過眠や過食などの症状が表れる病気です。
2 季節性感情障害(SAD)の主な症状
「季節性感情障害」(SAD)の主な症状には次のようなものがあります。
●気分が落ち込む
●気力・元気・やる気が無くなる
●生きる張り合いが無くなる
●物事を楽しめない
●今まで楽しんでいたことを楽しめない
●イライラする
●人と会いたくない
●朝起きるのがつらく、日中も眠気を感じることが多く、睡眠時間が増す
●食欲が増進し、炭水化物や甘いものを欲するため、冬に太りやすくなる
●いつも疲れていて何もしたくなくなる
●やるべきことがあってもそれに取り掛かれず、さらなるストレスになる
●以前ならこなせていた仕事が上手にできない
●体を動かすのが億劫になり運動量が低下する
●考える力や集中力が明らかに落ちる
●冬以外の季節は健康的で春になると鬱状態が回復する
3 季節性感情障害(SAD)に罹る理由
「季節性感情障害」(SAD)に罹る理由として最も有力な説は、冬場の日照時間不足です。
人間の体は、日中に日光を浴びることでセロトニンを生成します。
セロトニンとは神経伝達物質の1つで、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料ですが、日照時間の減少により光が不足することで、脳内でセロトニンの分泌が減ります。
太陽の光が少ない冬の季節はセロトニンが減少し、メラトニンが十分に生成されません。
メラトニンには季節のリズム、睡眠や覚醒のリズム、ホルモン分泌のリズムを調整する作用があるので、メラトニンが不足すると変調をきたしやすくなります。
秋や冬の季節は日照時間が短くなり暗い時間が長くなることで、体内時計を司るメラトニンの分泌のタイミングが遅れたり、分泌が過剰になったりするため、体内時計が狂ってしまうのです。
冬に早く暗くなる土地に住む人ほど「季節性感情障害」(SAD)の発症率は高く、1年中暖かいフロリダでの発症率が1.4%なのに対し、アラスカ州での発症率は9.9%と格段に高くなっています。
冬季を中心に、高緯度地域での発症率が高い病気です。
また、昼夜の急激な温度差で体温調節を行う自律神経に負担がかかり、精神の安定を保つことが難しくなることも、「季節性感情障害」(SAD)発祥の理由の1つと考えられています。
4 「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人
「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人は、妊娠可能な年齢の女性で、女性の方が男性に比べ3倍罹りやすいと言われています。
また、寒い地域に住んでいる人に罹患者が多く、生活に支障をきたすような深刻なSAD患者は、日本人では1〜3%と言われています。
また、普段ゆっくり休めない主婦の人や、仕事熱心で責任感が強く無理して仕事をしてしまう人に罹患者が多くいます。
「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすい人の特徴として、次のことが挙げられます。
(1)生真面目で責任感が強い人
生真面目な人は、周囲の期待に応えようとして自分の限界を超えてまで頑張ろうとします。
自分の許容量を超えて頑張りすぎてしまい、ストレスをため込んで、心のバランスを崩してしまうのです。
うまくいっているうちはよいのですが、次第に体や心が付いていかなくなり、疲労感やストレスに支配されていきます。
また、自分で優先順位をつけることが苦手なため、どれもこれも頑張りすぎて、柔軟な対応ができずに疲れ切って深刻な症状に陥ってしまいます。
真面目で責任感が強く、人当たりも良く周囲の評価も高い人、そういう人が「季節性感情障害」(SAD)に罹りやすいタイプです。
(2)完璧主義な人
完璧主義で几帳面、理想が高い人もSADに罹りやすい人です。
何事も完璧でなければ気が済まないため、自分の決めた目標を達成するために、足りない部分を無理にでも補おうとします。
周囲の評価や仕事の達成率を判断基準にしているため、自分の体や心に焦点を合わせずに、自分の許容量以上に我武者羅に頑張ってしまうのです。
自分自身が理想的な人になるために、常に自分に厳しく、また、他人にも厳しく接します。
そして、他人に厳しくする分、自分がどう思われているかを人一倍気にして、
知らないうちに精神的ストレスをため込んでしまっているのです。
遊ぶことは怠惰なことだと思ってしまい、息抜きすることすらしません。
(3)自己表現が下手な人、周りに合わせる人
思ったことや感じたことを内側に閉じ込めてしまい上手く発散することができない人、言いたいことが言えずに感情を抑え込み素直な気持ちを言えずに相手に合わせてしまっている人は、つらさや苦しみがストレスになります。
どうしてみんな自分のことを分かってくれないのだろう、そう思う人は要注意です。
(4)自己責任の意識が強い人
責任感や義務感が人一倍強い人は、本当の原因が他にあっても、何でも自分で背負い込み、人のせいにはしません。
また、自己責任の意識が強く、どんどん自分を追い詰め、自分が我慢さえすればよいと考えるため、さらにストレスや無理が溜まることになります。
(5)メランコリー親和型気質
常識やモラル、正義をいつも意識している人、周囲との関係をうまく築こうとしている人にも「季節性感情障害」(SAD)に罹るケースが多いです。
5 「季節性感情障害」(SAD)の予防策
「季節性感情障害」(SAD)の予防策は、日光に当たることと適度な運動、食事が挙げられます。
具体的には次の通りです。
(1)日光を浴びる
日照時間の短い秋や冬の季節はなるべく外に出て日光を浴びましょう。
朝日を浴びることで規則正しい起床と睡眠のサイクルを繰り返す習慣を身につけることができます。
毎朝朝日を浴びることでセロトニンが分泌され体内時計がリセットされます。
そして睡眠ホルモンであるメラトニンも14〜15時間後に分泌され、体温や呼吸数、脈拍数や血圧を低下させるため、夜の9〜11時頃には眠くなります。
(2)適度な運動
屋外で運動をすることも効果的な予防策です。
ウォーキングやジョギングなどのリズム運動を習慣化することで、セロトニンの分泌を促すことができます。
(3)食事
よく噛んで朝食をしっかり摂るとセロトニンの分泌が促されます。
ご飯、納豆、豆腐、豆乳、チーズ、ヨーグルト、牛乳、緑黄色野菜、バナナ、肉類、赤身魚などには、セロトニンを作る必須アミノ酸であるトリプトファンが豊富に含まれているため、積極的に摂るようにしましょう。
また、サバ、アジ、イワシ、カツオなどの青魚にふんだんに含まれるDHAやEPA、ビタミンDはセロトニンを活性化してくれるので、鬱病に罹りづらくなります。
(4)話し相手を見つける
自分の気持ちを抑え込んでしまいストレスをためることもSADの原因の1つ。
家族や友人に相談し、SADに対する理解と協力を得ることも大切です。
自分の気持ちを伝えられる相手を探してみましょう。
(5)入浴や温度調節、カラー療法
ゆっくり入浴するとホルモンバランスや血流を整えることができます。
アロマオイルなどでリラックスすることも効果的。
また、暖かい飲み物やひざ掛け、暖房やカイロなどで温度管理をして暖かくすることも大切です。
カーテンやクッションカバー、テーブルクロスなどを暖色系に変えてみることも対策として有効です。
暖色系のひざ掛けなどを使うのも良いですね。
(6)笑う
SADは脳のエネルギーが減退している状態です。
セロトニンは幸せホルモンとも言われており、笑うことで生成されます。
笑うことで、心理的症状も身体的症状も緩和できることが期待されます。
6 「季節性感情障害」(SAD)に罹ったら
もしも「季節性感情障害」(SAD)に罹ってしまったらどのように対処すればよいのでしょうか。
基本的には予防策とは変わらないのですが、次の対策を講じてみましょう。
(1)日照不足を補う
まずは日光を浴びること、または同等の光を浴びることが大切です。
できる限り午前中から昼間に日光浴を行いましょう。
高照度光療法といって、人口の光(ライトボックス)を利用して冬季の日照不足を補う方法もあります。
ライトボックスを使用する時間は朝の時間にして、夕方5時以降の使用は控えましょう。
光が出る目覚まし時計を使うことも有効です。
デスクワークをする人は、卓上の電気スタンドを使ってみましょう。
自宅や仕事場の照明を明るくして、太陽光や高照度光療法で体内時計を調節し生体リズムを整えましょう。
(2)食事
セロトニンが不足すると脳の働きに不調が出ます。
セロトニン生成に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取しましょう。
肉、魚、大豆に含まれるトリプトファンはセロトニンの生成に必要な必須アミノ酸なので過不足なく摂るようにしましょう。
専門医に行きSSRIという抗うつ薬を投与してもらうことも方法の1つです。
(3)適度な運動
運動をすることで気持ちをコントロールする神経伝達物質の1つであるドーパミンが分泌されます。
それにより気分の落ち込みやイライラの症状を改善することができます。
(4)自分の感情を話せる人を見つける
SADに罹り、1人でその悩みを抱え込むと、気持ちの落ち込みは余計に増大します。
家族や友人の理解を得て、自分の感情を話せる人を見つけましょう。
身近に自分の気持ちを話すことができる人がいない場合は、サポートグループがあるのでそこに当たってみる方法もあります。
また、なるべく外に出て人と会うことは、直接的な社会参加、趣味を持つ、誰かとおしゃべりをすることができるので、症状改善のきっかけになり得ます。
(5)やることリストの作成と自分への言い聞かせ
何事も完璧にこなそうとするあまり、ストレスが溜まり心や体に無理が生じています。
やるべきことをリスト化し整理することで落ち込みや憂鬱感を緩和することが期待できます。
また、回復期に発病しやすい状況を自覚するようにし、やりすぎないように、焦りすぎないように物事の受け止め方を変え、周囲の状況にうまく対応できるようにしましょう。
7 周囲の人が理解・協力すること
「季節性感情障害」(SAD)に罹ったら、自分1人で解決することは難しいです。
家族や友人など、周囲の人の理解や協力が不可欠です。
もし身近に「季節性感情障害」(SAD)に罹った人がいたらどのように接すればよいのでしょうか。
(1)まずはSADという病気を知る
SADはまだ認知度は低いですが、重度の罹患者にいたっては日常生活に支障をきたすほど深刻な病気です。
何も知らない人はSAD罹患者の様子を見て、「鬱なんて気のせいだ」「何を怠けているんだ」「心が弱いからだ」「周りに甘えているからだ」と言ってしまうかもしれません。
しかしそれはSAD罹患者にとってはあまりにも心無い暴力的な一言。
その言葉がより一層負担とストレスを与え、症状を悪化させるのです。
まずは「季節性感情障害」(SAD)という病気があること、それがどんな症状なのかを知ることが大切です。
(2)説得や励ましは逆効果、批判や説教はNG
気分が落ち込んでいる人を見たら励ましたくなりますよね。
しかしSAD罹患者や鬱病に罹っている人に対する励ましは逆効果。
気の持ち方や考え方を変えようとしたり、「頑張れ」「しっかりしろ」などの叱咤激励は、本人の劣等感や自責感を強めるだけで、場合によっては「誰にも分かってもらえない」とより深く落ち込み絶望させてしまうこともあります。
もちろん、相手の言うことを批判したり説教したりすることはNG。
また、気晴らしに人混みに連れ出すことも逆効果です。
(3)聞き役に徹する
SAD罹患者と接するときはとにかく聞き役に徹しましょう。
否定的な発言が増えますがそれは本心ではありません。
自信を失っているときなので、焦らずに見守り、重大な決定は避けるようにしましょう。
鬱状態の最盛期に過去を蒸し返すような話をしないよう配慮することも大切です。
休養して心身の負担を軽減し取り除くことがとても大切なのです。
また、SAD罹患者は、回復期になるとこれまでの分を取り返そうと無理してしまいがちですが、それに対し周りの人がブレーキをかけてあげてください。
まとめ
季節性感情障害(SAD)について知っておきたい
7つのこと
1 冬になると現れる病気
2 気分が落ち込む、体を動かすのが億劫、過眠、過食などの症状が表れる
3 日照時間の不足によるセロトニンの減少が主な原因
4 真面目で責任感が強く、人当たりも良く周囲の評価も高い人が罹りやすい
5 日光を浴びることで予防と対策
6 規則正しい食事でトリプトファンやDHA、EPAなどを摂取
7 周囲の人の理解と協力が必要
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7159201
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック