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官軍は勝つ

 今まで以上に、強い者と弱い者との格差が広がってきています。

 この格差には、2つの側面があります。
 1つは、強い者と弱い者との力の差が大きくなっていることです。
 2つは、強い者と弱い者で、まわりの扱いの差が大きくなっていることです。
 つまり、強いことの優位性がますます強くなっており、それにつれて、強いことへの執着も強くなってきています。

 強い者は、本来、弱い者に対してきちんと配慮を行うことが求められていますし、実際行われてきたと思います。
 しかし、強いことを維持し続けるためには、弱い者へ配慮を行うことが、自らの地位を危うくすることにつながりかねないという意識が働くようになってきたのではないでしょうか。

 昔から、「勝てば官軍」と言われています。
 普通に考えれば、勝負をして、その結果、勝った方が「正しい」とされます。

 しかし、ここでは、強いとされる者には「戦うことのリスク」(=戦って負けるリスク)があります。
 もしかしたら、負けるかも知れません。
 発言力の強い人の意見と、発言権の弱い人の意見が対立したとき、無記名で決を採ったら発言権の弱い人の意見が通ってしまったということは、実社会では十分あり得ることです。

 そこで、自信のない「強い者」は、「どうせ決を採れば自分の意見が支持されるのだから、自分の意見で行きましょう」という手法を使えば、「戦うことのリスク」を避けることができます。
 この手法を、「官軍は勝つ」と名付けています。

 これは、民主主義にとって、最も良くないことの1つです。
 「『正義』が『強い者』に勝てなくなる」のです。
 しかし、組織の大小を問わず、意外といろんなところで使われていると思います。

 「強い者」は「戦うことのリスク」を恐れないことを、「弱い者」はなんとしてでも「官軍は勝つ」という手法を阻止することを、心がけたいものです。

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