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2016年09月29日

アマゾンプライムビデオで見つけたヘンな映画その2:ロシアのキツツキ



以前、
アマゾンプライムビデオで見つけたヘンな映画その1:KAMIKAZE(リュック・ベッソン制作)
https://fanblogs.jp/hotrodhigh/archive/135/0

で書きましたが、プライム会員に入ってれば、無料で見られる映画群がありまして。

アマゾンプライムビデオで見つけたヘンな映画

このタグで、このシリーズが一覧できるようになっています。



最近、24がプライムビデオのライブラリから削除されたとかで、これはまだ見てないヒーローズとか、早いとこ見とかないとライセンス切れで見られなくなったりするかも、と不安になったりもしました。

その中で、かんたんな紹介文しかなくても、予告編がただの開始から5分くらいの映像が流れるだけの手抜きなものでも、気を引こうとしてくるものがあります。

それに負けて見てしまったものを紹介していきます。

今回私が目を離せなくなったのは・・・
s-IMAG0081.jpg

これです。
ロシアといったらやっぱりチェルノブイリネタなんですけど、キツツキってなんだろうというのがありました。
あと、どう見ても商業路線に乗ってなさそうなパッケージ写真。
大手じゃない感じがなんか新鮮だったんですよね。
2015年制作で、80分くらいというのも惹かれました。

これは予告編がちゃんとあって、割とまとまってるのでそれを見てから決めてもいいかも。
私は全部見てから予告編の存在に気付きましたが・・・

http://www.russianwoodpecker.com/
あとこれが公式サイトのようです。

http://www.russianwoodpecker.com/about/
ここに載ってる、アーティストのヒョードル君が主人公なんですが。
チェルノブイリの事故で避難し、孤児院行きになった人のようです。

いつものパターンで、プリピャチの立ち入り制限区域に入っていき・・・
廃墟になった小学校とかの、まあよくある映像群が流れます。

で、もうひとつプリピャチにある謎の巨大建築物に触れていきます。

http://www.hamlife.jp/2013/12/11/woodpecker/
<写真で見る>アマチュア無線家にとって悪名高き、旧ソ連時代の「ウッドペッカー」送信所跡


何故かアマチュア無線サイトに記事がある、このDUGAという巨大アンテナの話になっていきます。

http://www.artificialowl.net/2008/12/abandoned-giant-duga-3-system-antenna.html?m=1
The abandoned giant Duga-3 system antenna near prypiat


元サイトのこっちのが、写真だらけでいいかも。

DUGAでググると、エロ動画サイトしか出て来ないので笑いを禁じ得ませんが・・・

DUGA ソ連 とかでググればちゃんと出てきます。

この巨大アンテナ、Stalkerとかのチェルノブイリモノに出てくることは少ない気がします。

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版)

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たぶん出て来なかったよな・・・ちょっとしばらくやってないので記憶はアヤフヤですが、超名作なのは間違いないです。

いろんなDUGA関係者にインタビューしていくのですが、皆さんなんだか本当のことは話したくない感じがアリアリで、勝手に聞いてないスターリンの話とかし始めます。

DUGAの使用目的についても話したがらないので、隠しカメラで高官の連絡先リストを入手し、インタビューするとやっと本当のことを話し始めます。

s-20160928_214410.jpg

ミサイル発射が着弾25分前にわかる、という感じのものだったようです。
報復のミサイル発射を命令し実行が可能な時間だそうで・・・
割と負け戦感の強い感じが素敵ですね。
イオン層に跳ね返った信号が戻ってくると、データが取れるのかな。

で、その信号音が・・・
なんというか不気味なんですよね。
遠くで自動小銃連射してる感じというか・・・
ヘリコプターのローターが回る音というか・・・
キツツキもわからなくはないですが、もっと気持ちの悪い何かな感じを受けてしまいます。
ドラムンベースの始まりと言われる、DeepBlueのHelicopterTuneの冒頭部分

https://www.youtube.com/watch?v=krps2ok4smc
Drum And Bass Deep Blue - The Helicopter Tune

も割と近いような・・・

The Helicopter Tune

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これCDシングルあったんだ・・・確かに歴史的な曲ではあるのですが。
サンプルを加工しまくったらカスカスの音になって、ついにはヘリコプターのローターが回転してるみたいな音になった、っていう、サンプラーの進化を端的に現したものでした。



DUGAの話に戻りますが、この信号の周波数が、他国や自国のSOS信号などを邪魔してクレームが世界中から来て、周波数変えたらオーロラに邪魔されて信号が返ってこない、などのガッカリ情報も出てきます。

それでもキツツキ音はずっと聞こえてたようなので、無駄だけど89年の使用中止まで信号出してたんですかね・・・





んでこの高官や専門家インタブーの中で、DUGAの建設費用はチェルノブイリ原発の2倍の70億ルーブル、という発言がありまして・・・















ーーーーーーーーここからネタバレあるかも線ーーーーーーーーーーーーーーーー




ここらあたりから、それはどーなのと思わなくはない展開になっていきます。

・1986年9月に戦闘準備に入る予定で、チェルノブイリの事故があった4月は最終調整をやってたが、9月になる数か月前にDUGAの閉鎖及び解散の命令が来たとの証言

・DUGAは機能しなかったので、戦闘準備に入る9月が来たら、欠陥がバレて関係者は粛清のはず

・DUGA建設を推し進めた大物の保身のためにDUGAよりは安いチェルノブイリ原発でわざと無茶な実験やってうやむやにしたんじゃねーか


という陰謀論的な話になってきて・・・

・モスクワから一本の電話がかかって、実験やったというんですが、通信記録にはなく、その記録は明らかに改ざんされてることだけはわかる

・事故調査委の人は、誰か大物が強要しないと無理な実験はしないと言い、ソ連最後の原子力省長官は、寝てたし原発と電話はつながってない、だから通信記録に無いんだと強弁する

といった感じの、確かに怪しいけど状況証拠にもならない感じの話が・・・

んでその大物、シャムシンはもう死んでて手の出しようがないという・・・


モスクワに乗り込んでこの映画の締めを撮ろうぜ!というあたりから・・・
ここまで正義のヒーロー的に不正を暴く感じだったヒョードル君に変化が出てきます。

・チェルノブイリに関する本書いたのでモスクワに買いに行ったら、毒盛られたという専門家の話を聞いて引く

・家族から総出でモスクワ行かないでと言われる

・家に秘密警察の高官が警告しに来る

のコンボで、息子が殺されるんじゃないかと、突然全てを投げ出し国外に逃亡します。

このへん割とスーパーマンすぎなくてリアルでいいなと。


ーーーーーーーーここでネタバレあるかも線終了ーーーーーーーーーーーーーーーー

















ラスト近くは、3年前くらいのウクライナ政権が欧州連合(EU)との関係強化を断念したことに反発し、野党勢力が20日間にわたって首都中心部で反政府集会やった話になるんですけど。




当時はこの記者さんのツイートがやたらリアルでした。


この映画を見て、要するにソ連時代回帰への恐怖だったんだな、というのがよくわかりました。
EUとの関係強化を断念くらいで、なんであんな大規模集会になるのか当時はよくわからなかったのですが・・・

あと、チェルノブイリ原発の事故原因も、、無理な実験やったから、程度で、誰が命令してとかはっきりしたことはわかってないんだなと。
責任取らされて懲役行った人はいるようですが・・・

特に地震があったわけでもない状況でチェルノブイリ原発の事故は起きたので、わざとなんじゃねーかと思うのはわからなくはないのですが、保身でそこまでやるかな、というのもありますし、まあ話半分くらいで聞いておけばいいのでは。




・劇中のシビれるセリフ:




1986年9月に戦闘準備に入る予定で・・・(DUGA司令官談)



チェルノブイリの事故が起こらなければ、何らかの軍事行動を起こす予定だったのかどうなのかって話ですよね・・・(ガクブル)




あとちょっと調べると、ホロドモール


ホロドモール(ウクライナ語: Голодомо́р[1];英語: Holodomor, Famine Genocide)は1932年から1933年にかけてウクライナ人が住んでいた各地域でおきた人工的な大飢饉である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB



とか出てきて、そらソ連イヤだわな、という感情しかありません。
2度目のホロドモールをやられたとウクライナ人は感じてる部分もあるのかもしれませんね。
他民族から見るとそれはないだろう、が十分有り得る、になるくらいの実績はあるのかも。



100%信じ込むのはどうかと思いますが、割とおもしろい一本だったと思います。
秘密警察の高官が家に来たあとのヒョードル君の狼狽っぷりは必見です。


チェルノブイリ原発で事故が起きて、それをヘリから知らせてる映像に切り替わったシーンの冒頭で、イニマーニエ、イニマーニエ言ってるのを聞いて、
同志=イニマーニエ
だったのを思い出しました。
Stalkerやったら嫌というほど聞かされる単語です。

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有志の日本語化キットがあるので、お高い日本語版買う必要はあまりないかな・・・




20170111追記

グーグルの検索結果で5番目くらいに表示されてるようで、恐ろしくなってきまして、(もっとちゃんとせな)いかんのか?
という気になりました。

Duga radar
https://en.wikipedia.org/wiki/Duga_radar


キツツキ音声もきっちりありました。

英語版Wikiを見ますと、DUGA、DUGA-1、DUGA-2と、DUGAは複数あるということがわかります。
で、Wiki内でのDUGA、DUGA-1、DUGA-2が、それぞれ映画内や一般的には、DUGA-1、DUGA-3、DUGA-2(これは同じで、北方領土に近いハバロフスクにあります)と呼ばれているような気がします。

映画内では、ほぼDUGA-3(Wiki内ではDUGA-1)の話をしています。

Locations of Duga and Duga-1 systems in Ukraineの画像を見てもらうと、さらに、それぞれトランスミッターとレシーバーで一対になっていることもわかります。

映画で言うDUGA-3のDuga-1 transmitterがウクライナの北のベラルーシ国境の突き出た部分の西側、Duga-1 receiverがその突き出た部分の東側にあるのもわかりますかね。

s-chmap.jpg

その付近をグーグルマップで見ますと、ドニエプル川の北に、ベラルーシ国境の突き出た部分があり、その西にプリピャチやチェルノブイリがあり、東にスラヴィティチがあることがわかります。
スラヴィティチは原発事故後に森を切り開いて作られ、プリピャチの住民を移住させた町なんですが、その周辺にレシーバーがありそうです。


というわけで、よく写真で見たり、この映画で扱われていたのは、DUGA-3のトランスミッターであるということになります。

よく考えると、明確に廃棄された施設じゃないと、写真撮らせないですよね。
欠陥品はここだけで、他は安定稼働してたようですし。
隠しようがないくらいデカいというのもあるんでしょうけど・・・


次は、 アマゾンプライムビデオで見つけたヘンな映画その3:26世紀青年(原題:Idiocracy) です。







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posted by hotrod at 00:00 | Comment(0) | 映画
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