2018年05月12日
「人体拡張」の進化が、凄すぎる!
さて、今回は「人体拡張」についてです。
・パラリンピックがオリンピックを上回る?
わずか数年で普及したスマホが、消費者の情報行動や消費行動を変革した事で、新しい企業が続々と登場して急成長する一方、様々な既存の業界がディスラプションに直面している。
環境変化の中でテクノロジーの変化は群を抜いて速く、その進化は医療・労働・教育・都市の在り方を変え、個人・組織・政府の行動に影響を与えている。
伝説的なアニメ映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」では、身体パーツの人工物への置き換えが「義体化」として描かれているが、テクノロジーはそれが現実となりそうな方向へと向かいつつある。
オスカー・ピストリウスを覚えておいでだろうか?
南アフリカ出身の陸上選手で、先天性障害の為生後11カ月で両足をひざ下で切断したが、2012年のロンドンオリンピックに両足に義足を付けて健常者と共に出場した。
その義足の形から、彼は「ブレード・ランナー」と呼ばれた。
・健常者に対して「アンフェアな優位性」をもたらす
ピストリウスはそれ以前からパラリンピックで活躍しており、健常者の大会に出場しようとしていたが、世界陸上連盟は2008年の北京オリンピックへの参加を拒否している。
理由は、彼の義足が健常者に対して「アンフェアな優位性をもたらす」可能性があるというものだった。
当時のピストリウスの義足は、シンプルな炭素繊維製であった。
しかし現在の義肢は、素材・センサー・コンピューティング・エンジニアリングといったテクノロジーの急速な進歩によって、当時よりも遥かに高性能になっている。
先進的な例として、ヒュー・ハーを挙げよう。
ハーは米国を代表する若手登山家であったが、登山中の事故でピストリウスと同様にひざ下から両足を失った。
しかしその後彼はMITで機械工学修士を、次いでハーバード大学で生物物理学のPh.Dを取得し、その知識と技術を総動員して義足を開発した。
・登山に特化した義足も開発
彼の義足は、脳からの信号を受け、義足内のセンサーから得たデータに基づいて動くを予測し、生身の脚と同じように意図して動かす事が出来る。
その能力は、脚を失ったダンサーが踊れるほどだ。
ハーはさらに登山に特化した義足を開発し、その登山能力は事故前の彼自身を凌駕するものになった。
登山仲間の何人かは、「追いつく為に自分も脚を切断するぞ」と毒づいたという。
ハー博士は現在、MITメディアラボのバイオメカトロニクス・グループを率いている。
義肢は障害者の活動レベルを健常者に近づける物から、健常者を超える物へと進化しつつある。
私達は、パラリンピアンの方がオリンピアンよりも優れた記録を出しうる時代にいるのだ。
実は、義肢に対するニーズは大きい。
例えば米国では、イラクやアフガニスタンでの勤務中に地雷で肢体を失った元兵士が数多くいて、彼らの社会復帰が大きな課題となっている。
それに対しては、義肢の開発コストも大幅に低下しつつあるという朗報もある。
2015年には、映画「アイアンマン」トニー・スターク役で知られる俳優のロバート・ダウニー・Jr.が、マイクロソフト社のプロジェクトの参加して片腕を失った7歳の少年にアイアンマン形のロボットアームをプレゼントした。
アームは3Dプリンター製で、制作コストはわずか350ドルだった。
・次世代ARは情報を網膜に投影する?
こうしたハイテクの義肢は、人体拡張に関するテクノロジーの一つに過ぎず他にも、視覚や聴覚などに関する拡張も開発が進んでいる。
例えばAR(拡張現実)だ。
ARはVR(仮想現実)を現実世界の像に重ねて見せるもので、最近では「ポケモンGO」で世界的に有名になった。
現在のARはスマホや、HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)の中で見るものが主流だが、ウェアラブルである眼鏡に映像を投影する物も既に存在している。
さらにその先にはコンタクトレンズ、もっと先に進めば網膜への投影も想定されている。
ある対象に目を向けると、必要な関連情報や映像が視野に重なって現れるというものだ。
もちろん、背後ではAIが暗躍している。
映画「ターミネーター」シリーズで、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターの視野に映るものが、そのイメージにやや近いだろう。
・健康状態を知る能力の拡張が進んでいる
センサーの多様化・小型化も進みつつあり、自らの体や健康の状態を知る能力の拡張が進んでいる。
スマホには加速度センサーが装備されていて、日々の活動状態を測定可能だ。
より健康コンシャスな人は、リストバンド型のウェアラブルデバイスを装着しているが、既に衣服型のウェアラブルが登場してスポーツの世界で使われている。
その先にあるのは「インジェスティブル」や「インプラント」、すなわち服用可能や体内留置可能なセンサーである。
センサーは超小型化していずれは血球サイズとなり、それを血管内に循環させて血液の状態をリアルタイムでモニタリングする事が可能になる。
そうなれば、症状が現れる前に体調変化を察知して医者にかかる事が出来るだろう。
寿命が延びるだけでなく、医者の仕事の仕方が変わり保険の概念や料率の考え方も劇的に変わると考えられる。
また、義肢やARは身体機能の拡張といえるが、それ以外に体内つまり遺伝子面からのアプローチもある。
CRISPR/Cas9という技術では、DNAの任意の場所を編集つまり切断や部分置換する事が可能であり、これを使えば遺伝子のエラーを修復すると共に病気・欠乏症・遺伝性疾患を取り除く事が出来るのだ。
ガン・血液疾患・遺伝性疾患・HIVなど、数多くの難病がその対象となりうる。
・「AI vs 人間」ではなく「AIと人間の融合」
テクノロジーの力は、人間を生身のモノから人工物との複合体へと変えていくのかも知れない。
AIが人間の能力を超えるという「シンギュラリティ」が話題となっているが、私達の将来に待っているものは「AI+ロボットvs人間」なのではなく、人間とメカとAIが融合し協働する姿なのかも知れない。
こうした変化は、巨大な軋轢や抵抗と、数多くの勝者と敗者を生み出すだろう。
テクノロジーの利用には、当然ながらダークサイドも存在する。
しかし変化が避けられ無い道であるなら私達に問われるのは、いかにそれに向き合って前向きに付き合っていくかという事だろう。
※将来有望なIT関係へのキャリアアップは、こちらをご覧ください⇩
・パラリンピックがオリンピックを上回る?
わずか数年で普及したスマホが、消費者の情報行動や消費行動を変革した事で、新しい企業が続々と登場して急成長する一方、様々な既存の業界がディスラプションに直面している。
環境変化の中でテクノロジーの変化は群を抜いて速く、その進化は医療・労働・教育・都市の在り方を変え、個人・組織・政府の行動に影響を与えている。
伝説的なアニメ映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」では、身体パーツの人工物への置き換えが「義体化」として描かれているが、テクノロジーはそれが現実となりそうな方向へと向かいつつある。
オスカー・ピストリウスを覚えておいでだろうか?
南アフリカ出身の陸上選手で、先天性障害の為生後11カ月で両足をひざ下で切断したが、2012年のロンドンオリンピックに両足に義足を付けて健常者と共に出場した。
その義足の形から、彼は「ブレード・ランナー」と呼ばれた。
・健常者に対して「アンフェアな優位性」をもたらす
ピストリウスはそれ以前からパラリンピックで活躍しており、健常者の大会に出場しようとしていたが、世界陸上連盟は2008年の北京オリンピックへの参加を拒否している。
理由は、彼の義足が健常者に対して「アンフェアな優位性をもたらす」可能性があるというものだった。
当時のピストリウスの義足は、シンプルな炭素繊維製であった。
しかし現在の義肢は、素材・センサー・コンピューティング・エンジニアリングといったテクノロジーの急速な進歩によって、当時よりも遥かに高性能になっている。
先進的な例として、ヒュー・ハーを挙げよう。
ハーは米国を代表する若手登山家であったが、登山中の事故でピストリウスと同様にひざ下から両足を失った。
しかしその後彼はMITで機械工学修士を、次いでハーバード大学で生物物理学のPh.Dを取得し、その知識と技術を総動員して義足を開発した。
・登山に特化した義足も開発
彼の義足は、脳からの信号を受け、義足内のセンサーから得たデータに基づいて動くを予測し、生身の脚と同じように意図して動かす事が出来る。
その能力は、脚を失ったダンサーが踊れるほどだ。
ハーはさらに登山に特化した義足を開発し、その登山能力は事故前の彼自身を凌駕するものになった。
登山仲間の何人かは、「追いつく為に自分も脚を切断するぞ」と毒づいたという。
ハー博士は現在、MITメディアラボのバイオメカトロニクス・グループを率いている。
義肢は障害者の活動レベルを健常者に近づける物から、健常者を超える物へと進化しつつある。
私達は、パラリンピアンの方がオリンピアンよりも優れた記録を出しうる時代にいるのだ。
実は、義肢に対するニーズは大きい。
例えば米国では、イラクやアフガニスタンでの勤務中に地雷で肢体を失った元兵士が数多くいて、彼らの社会復帰が大きな課題となっている。
それに対しては、義肢の開発コストも大幅に低下しつつあるという朗報もある。
2015年には、映画「アイアンマン」トニー・スターク役で知られる俳優のロバート・ダウニー・Jr.が、マイクロソフト社のプロジェクトの参加して片腕を失った7歳の少年にアイアンマン形のロボットアームをプレゼントした。
アームは3Dプリンター製で、制作コストはわずか350ドルだった。
・次世代ARは情報を網膜に投影する?
こうしたハイテクの義肢は、人体拡張に関するテクノロジーの一つに過ぎず他にも、視覚や聴覚などに関する拡張も開発が進んでいる。
例えばAR(拡張現実)だ。
ARはVR(仮想現実)を現実世界の像に重ねて見せるもので、最近では「ポケモンGO」で世界的に有名になった。
現在のARはスマホや、HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)の中で見るものが主流だが、ウェアラブルである眼鏡に映像を投影する物も既に存在している。
さらにその先にはコンタクトレンズ、もっと先に進めば網膜への投影も想定されている。
ある対象に目を向けると、必要な関連情報や映像が視野に重なって現れるというものだ。
もちろん、背後ではAIが暗躍している。
映画「ターミネーター」シリーズで、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターの視野に映るものが、そのイメージにやや近いだろう。
・健康状態を知る能力の拡張が進んでいる
センサーの多様化・小型化も進みつつあり、自らの体や健康の状態を知る能力の拡張が進んでいる。
スマホには加速度センサーが装備されていて、日々の活動状態を測定可能だ。
より健康コンシャスな人は、リストバンド型のウェアラブルデバイスを装着しているが、既に衣服型のウェアラブルが登場してスポーツの世界で使われている。
その先にあるのは「インジェスティブル」や「インプラント」、すなわち服用可能や体内留置可能なセンサーである。
センサーは超小型化していずれは血球サイズとなり、それを血管内に循環させて血液の状態をリアルタイムでモニタリングする事が可能になる。
そうなれば、症状が現れる前に体調変化を察知して医者にかかる事が出来るだろう。
寿命が延びるだけでなく、医者の仕事の仕方が変わり保険の概念や料率の考え方も劇的に変わると考えられる。
また、義肢やARは身体機能の拡張といえるが、それ以外に体内つまり遺伝子面からのアプローチもある。
CRISPR/Cas9という技術では、DNAの任意の場所を編集つまり切断や部分置換する事が可能であり、これを使えば遺伝子のエラーを修復すると共に病気・欠乏症・遺伝性疾患を取り除く事が出来るのだ。
ガン・血液疾患・遺伝性疾患・HIVなど、数多くの難病がその対象となりうる。
・「AI vs 人間」ではなく「AIと人間の融合」
テクノロジーの力は、人間を生身のモノから人工物との複合体へと変えていくのかも知れない。
AIが人間の能力を超えるという「シンギュラリティ」が話題となっているが、私達の将来に待っているものは「AI+ロボットvs人間」なのではなく、人間とメカとAIが融合し協働する姿なのかも知れない。
こうした変化は、巨大な軋轢や抵抗と、数多くの勝者と敗者を生み出すだろう。
テクノロジーの利用には、当然ながらダークサイドも存在する。
しかし変化が避けられ無い道であるなら私達に問われるのは、いかにそれに向き合って前向きに付き合っていくかという事だろう。
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