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2018年04月10日

【AR】スマートグラスは、カッコイイ方が良い?

さて、今回はスマートグラスについて話したいと思います。

googleglassaugmentedreality-800x438.jpg

テック業界の予言者達は、次なるコンピュータが眼鏡型になると主張している。

この言葉が現実になるには、拡張現実(AR)機能を搭載したスマートグラスが「身に付けたい」と思えるくらいファッショナブルでなければならない。

しかし、「高度な機能」「クールなデザイン」は対極にある。

そして、二者択一を迫られる消費者が選ぶのは?

 

テック業界の予言者達の言葉を信じるなら、コンピュータ世界の次のトレンドは「顔に装着するプラットフォーム」だ。

メガネのような形をしていて、好きなフレームを選ぶ事が出来、スマホと同じくらい便利になるらしい。

 

耳元ではお気に入りの音声アシスタントの声が響き、「ターミネーター」に出てくるような超人的な視野も手に入る。

コンピュータというモノの概念だけでなく、世界の見方も一変させてしまうに違いないものだ。

 

拡張現実(AR)の、ヘッドセットを巡る競争はすでに始まっている。

大小様々な企業が「ずっと着けたままでいてもらえるウェアラブルデバイス」を開発しようと、せめぎ合いを続けている。

 

スマホと同じくらいのパワーと機能性を鼻の上で実現した製品も、いくつかはある。

ただ、デザイン的にはどれもいただけない。

ARの明るい未来に向かって突き進んで行くというよりは、映画館から出る時に3Dメガネを外し忘れた様にしか見えない代物ばかりだ。

これだけ話題になっているというのに、掛けて様になるようなARグラスを作った企業は存在しない。

 

しかし、AR革命を起こすには(このデバイスで次世代コンピュータを使えるようにする為には)、ARグラスは実際に装着したいと思えるようなモノでなければならない。

そしてそれは、言うほど簡単ではないのだ。

 

・「高度な機能」vs「クールなデザイン」!

 

メーカーは秀逸なデザインを生み出す為に、ファッションと人間工学という2つの要素を取り入れなければならないと理解している。

 

イスラエルの企業Lumusで最高経営責任者(CEO)を務めるアリ・グロブマンは、「この分野に参入しているハイテク企業はどこも、デバイスを身に付ける際の違和感や抵抗を最小限にしようと努力しています。ARグラスを日常生活におけるユニバーサルなインターフェースにしたいからです」と話す。

 

Lumusはスマートグラス向けの透明ディスプレーなどを手掛け、現在はメガネ型コネクテッドデバイスの開発を進めている。

グロブマンによれば、「のめり込んでしまうほど高度な機能と、クールなデザインが両立出来ていないのです。最終的には、グッチのメガネのようにカッコよく見えると同時に、日常生活にAR体験を持ち込めるだけの機能性を備える事が必要です」と言う。

 

現状では、この2つの要素はトレードオフの関係にある。

ARディスプレイの解像度を最適化して、広い視野を提供しようとすると、どうしても大型になってしまうからだ。

 

ディスプレイが優れていれば、ARの様々な可能性を追求出来る。

ただ「Meta 2」と言った初期のARヘッドセットはWarby Parkerのおしゃれなメガネからは程遠く、「Oculus Rift」のような仮想現実(VR)装置とほとんど変わらない。

 

もう少し洗練されたデザインの「Google Glass」に採用された薄型ディスプレイは、割と自然だ。

しかし、視界の上か横に取り付けられている為、ARにどっぷり浸かるという感じでは無いし、機能も限られている。

ここにマイクやそれなりのスペックのカメラ、センサーなどを加えようとすると、どんどん大きくなる。

使い心地の良さやスタイリッシュさからは遠ざかってしまう。

 

・スマホで出来る事をすべて実現したい!

 

この二者択一を迫る性質が原因で、ARグラスは2つのグループに分かれている。

一つは巨大なディスプレーにいくつもの機能を押し込み、ARの無限の可能性を誇示するグループだ。

もう一つは機能性を犠牲にし、普通のメガネのように使い勝手の良いものを目指している。

 

前者の代表は、サンフランシスコに拠点を置く「Osterhout Design Group(ODG)」の製品だろう。

同社の最新モデル「R-8」と「R-9」は、解像度が1080pの有機ELディスプレイと、スマホにも使われるクアルコムのCPU「Snapdragon 835」を搭載する。

Andoroidベースの独自OSを採用したほか、上位モデルである「R-9」の視野角は50度ある。

4K動画を撮影出来る13メガピクセルのフロントカメラもついている。

ただ見た目はというと、まるで2組の3Dメガネを接着剤でくっ付けたかのようだ。

 

ODGで頭部装着型デバイス事業を率いるニマ・シャムスは、自社の目標について「次のモバイルコンピューティングプラットフォームをデザインする事」だと話す。

スマートグラスがスマホと同じくらい必要とされる為には、スマホで出来る事は全てスマートグラスでも出来る様にしなければならないと考えているのだ。

 

「消費者は最新のテレビのような品質や、ポケットに入っているモバイルデバイスのような機能を期待しています。求められているのは、現代のモバイルライフに合った製品です。ですから、市場に出回っている既存のデバイスと競う為には、こうした期待を裏切らない製品を提供する必要があります」。

 

ODGはかつて、産業用に特化したデバイスを作っていた。

こうした製品にはデザイン性はそれほど求められていないが、一般向けだとそうはいかない。

シャムスは「最先端のスマートグラスが一般市場でも受け入れられる為には、ファッショナブルなデバイスに溶け込まなければなりません」と言う。

 

ODGは消費者向け製品の開発を進めており、ARグラスは世代を重ねるごとに小型かつ軽量化している。

「R-8」と「R-9」では容積を減らすだけでなく、価格も下げた。

ビジネス向けの「R-7」が2750ドル(約29万円)だったのに対し、消費者向けの「R-8」は1000ドル(約11万円)以下になる見通しだ。

 

・消費者は「スペックより見た目」?

 

一方、インテルの「Vaunt Glasses」は、真逆の方向性を追求している。

太めの黒いフレームが印象的なこの製品は、電話の着信通知とテキストメッセージの内容が、メガネのガラス部分の隅に示される。

方向表示も利用できるが、それ以上の機能は無い。

ODGの「R-9」がハイエンドのAndoroidスマホだとすれば、Vauntはスマートウォッチ「Pebble」のようなものだろう。

 

もちろん意図的にそのようにデザインされており、カメラやマイク、スピーカーと言ったハードウェアは一切付いていない。

おかげで軽量で普通のメガネと、ほとんど変わらないARグラスが完成した。

スタイリッシュとまでは言えないが、人前で着けていても恥ずかしくないモノには近づいている。

 

こうしたアプローチは、成功するかも知れない。

ウェアラブル端末に関しては、消費者はスペックは高いが見た目がいまいちの製品より、見栄えの良いシンプルな製品に甘い評価を下す事が多いからだ。

 

大手デザイン事務所フロッグデザインのインダストリアルデザイナーであるフランソワ・グェンは、「似たようなものが2つあり、一方は見た目が非常によく、もう一方は機能的に少しだけ優れているとしましょう。そんな時、人々は機能には妥協して見た目の良いものを選びがちです」と指摘する。

 

メガネのようなものは、特にそうだ。

「顔の中心となる眼の周りにあるようなものだと、格好良く見えるのに越した事はありません。周囲はそれをあなたの個性と捉えるからです」。

 

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