2014年10月01日
「脱日本」だからこそ生まれた?パナソニックのスーパーデジカメスマホの実力と可能性
iPhone 6 / 6 PlusやXperia Z3、GALAXY Note4など各社のフラッグシップスマホが続々と発表になった2014年9月。だがそれら大手のメジャーメーカー以外から、ものすごいスペックのスマホが発表された。それがパナソニックの『CM1』だ。CM1と聞いても「そんなスマホ、発表されただろうか?」と思う人も多いだろう。しかもパナソニックは、1年前の2013年9月にコンシューマー向けスマホ製品から撤退してしまっている。
●デジカメ? スマホ? スマホでは太刀打ちできないCM1のカメラ品質
CM1の正体を明かすと、実はこれはスマホとしてではなく超高解像度の小型デジカメとしてドイツで9月に開催されたPhotokina2014で発表された。しかもドイツ市場を皮切りにヨーロッパやアジアで販売される予定の製品なのである。
CM1のレンズのある本体の外観は確かにコンパクトデジカメだ。だがディスプレイ側を見てみるとイメージは一変。そのスタイルはスマホそのものなのだ。レンズ部分があるため厚みは15.2から21.1mmとなるが、縦横のサイズは135.4×68mmに抑えられており、このままスマホとして携帯できるサイズだ。
しかもCM1のカメラの凄いところは、スマホのカメラをはるかに超えているところなのである。いや、スマホと比較してはいけないくらい、CM1のカメラ性能は抜きんでている。
スマホのカメラとしては、iPhoneやXperiaでも綺麗な写真が撮影できる。しかし、それはスマホのカメラとしての話し。
実はスマホのカメラは未だに低価格なコンパクトデジタルカメラに画質、性能で及ばない。
このCM1のライバルは、スマホではなく、キャノンやニコンのデジタルカメラなのだ。
CM1は見た目こそスマホ、そしてコンパクトデジカメのようだが、デジカメの眼ともいえるセンサーサイズは1インチ。これは市販されている普及クラスのコンパクトデジカより大きく、10万円近い高級コンデジクラスのセンサーサイズなのだ。もちろんスマホのカメラよりも数倍も大きい。スマホのカメラでは太刀打ちできないレベルの写真を撮影できるのは、ここに秘密があるのだ。
CM1ではマニュアルで写真を撮影したり、ボケを利かせた味のある写真を撮ったりするなど、他のスマホではアプリを駆使しなくては取れないような写真も普通に、そして簡単に撮影できる。またセンサーサイズが1インチもあるため、高解像な写真だけなく、超高解像度な4K動画も撮影することが可能だ。しかもその動画から写真を切り出すことまでできる。つまり動画を取っておけば、あとから、気に入ったシーンを高画質な写真としても保存できるのだ。これも他のスマホには簡単には真似できない芸当である。
そしてCM1が注目されているのはカメラだけでなく、スマホ部分もスペックが高い点だ。4.7インチフルHDディスプレイに、CPUは2.3GHzのSnapdragon 801を搭載。LTE通信にも対応しており、単体で通信や通話もできる。最近のデジカメはWi-Fiを搭載しておりスマホ経由で通信できるものがあるが、両者を接続する必要がある。これに対しCM1はSIMカードを入れれば単体で通信ができるのだ。CM1をスマホとして使っても十分フル活用できるほどである。
スマホとしてもハイスペック、カメラ機能はニコンやキャノンがライバルというスーパーデジカメスマホがCM1の正体なのだ
●国内スマホから撤退して、発揮され始めた本来のパナソニックの実力
ではスマホから撤退してしまったパナソニックから、どうしてこのようなハイスペックなデジカメスマホが登場したのだろうか。それは日本市場から撤退したことが大きな後押しとなったからだろう。これまでパナソニックのスマホの主力マーケットは日本だった。しかし日本では通信キャリア経由でスマホを販売するため、スマホ開発にはキャリアの意向を組み入れなくてはならなかった。メーカー側が売りたい機能があっても、キャリア側にとって新規加入者増につながる見込みがなければNGとされることもあったハズだ。そのため日本メーカーの日本向けスマホはどうしても各社横並びの製品が増えてしまっていたのだ。
今回発表されたCM1の販売先はドイツが最初で、その後ヨーロッパやアジアなど海外各国へ展開予定だという。気になる日本市場については、未定とのこと。
つまりグローバル市場をターゲットとして考えており、「日本市場第一」主義を捨てて開発された製品なのである。ちなみに価格はSIMフリー単体で889ユーロ、約12万4000円とのこと。スマホとしては高価だが、デジカメの性能+スマホ機能と考えると、価格は十分に妥当な製品である。
日本市場向けという制約がなくなったことで、パナソニック本来の実力とアイデアを発揮して生まれたのがCM1であり、その製品が、今、世界の市場で注目を集めているのだ。
●世界が注目する尖ったCM1が国内販売されにくい理由
ヨーロッパやアジアであれば、SIMフリーのスマホ販売が活発で定着している。またプリペイドSIMも自由に販売されているのでSIMフリーのCM1を受け入れる環境が整っている。CM1のような単体のデジカメスマホが販売されても、流通する販路がいくらでもあり、消費者も自分たちで自由にSIMカードを入手してスマホとして使うことも簡単なのだ。
しかもこれらの地域の通信キャリアが「うちのSIMはその端末の動作保証はしない」と言うことも無い点も大きいなポイントだ。なぜならばSIMフリーのスマホの通信周波数とキャリアサービスの通信周波数が適合すれば、そのスマホが動くのが当たり前な環境になっているのだ。
海外では、この契約のSIMはこの端末でしか動かない、といったややこしい囲い込みは無いのである。
CM1が、日本ではなく海外から販売されるのはそのような理由もあるわけだ。
よはいえ、日本のユーザーもCM1が欲しいと考える人も多いだろう。
もし、このような高価なデジカメスマホCM1を日本で売るとなるとどうなるだろうか。
まず通常のスマホのように、キャリア契約での割引販売を求めた場合、キャリアの2年縛りスマホが激安で売られているといっても、CM1の本体価格12万円は、他のスマホより割高になることは否めない。高いスマホとしてCM1が売られても日本の消費者が目を向けてくれないかもしれない。またCM1をSIMフリースマホやカメラとして販売すると、今度はSIMカードの説明を店員が一から説明する必要に迫られるであろう。ましてや各キャリアの動作保証も不明という状況も十分考えられる。
つまり日本市場での、販売にはクリアするハードルが多く存在するのだ。
さらにパナソニックには、Photokina2014で高級コンデジのLX100も発表している。1インチを超えるフォーサーズサイズの4/3インチセンサー、1280万画素、24-75mmズーム、F1.7-2.8と明るいレンズなど、ソニーやキヤノンに対抗する高級コンデジの戦略製品だ。このLX100は、国内市場展開も期待されており、この製品とCM1が競合する可能性もある。
●まずは海外で元気を取り戻すことに期待
日本の消費者は、製品に対しての要求が高い。高性能かつ高品質な製品が日本人向きであることは、今でも変わっていない。CM1はもちろん日本でも魅力的だと考える消費者はたくさんいるだろう。
だが日本のスマホ市場のSIMフリー市場はまだよちよち歩きの段階だ。海外向け製品を簡単に国内展開するにはリスクや手続きなど面倒で提供しにくい状況なのは変わりない。
CM1は「脱日本」だからできた製品であることは間違いない。その評価が高まれば後継モデルや派生モデルなどの展開でも期待できるだろう。パナソニックに、本来の元気が戻ってくれば、いずれは日本でも面白いスマホやモバイル製品が復活するかもしれない。CM1の販売後の海外での評価に注目したい。
●デジカメ? スマホ? スマホでは太刀打ちできないCM1のカメラ品質
CM1の正体を明かすと、実はこれはスマホとしてではなく超高解像度の小型デジカメとしてドイツで9月に開催されたPhotokina2014で発表された。しかもドイツ市場を皮切りにヨーロッパやアジアで販売される予定の製品なのである。
CM1のレンズのある本体の外観は確かにコンパクトデジカメだ。だがディスプレイ側を見てみるとイメージは一変。そのスタイルはスマホそのものなのだ。レンズ部分があるため厚みは15.2から21.1mmとなるが、縦横のサイズは135.4×68mmに抑えられており、このままスマホとして携帯できるサイズだ。
しかもCM1のカメラの凄いところは、スマホのカメラをはるかに超えているところなのである。いや、スマホと比較してはいけないくらい、CM1のカメラ性能は抜きんでている。
スマホのカメラとしては、iPhoneやXperiaでも綺麗な写真が撮影できる。しかし、それはスマホのカメラとしての話し。
実はスマホのカメラは未だに低価格なコンパクトデジタルカメラに画質、性能で及ばない。
このCM1のライバルは、スマホではなく、キャノンやニコンのデジタルカメラなのだ。
CM1は見た目こそスマホ、そしてコンパクトデジカメのようだが、デジカメの眼ともいえるセンサーサイズは1インチ。これは市販されている普及クラスのコンパクトデジカより大きく、10万円近い高級コンデジクラスのセンサーサイズなのだ。もちろんスマホのカメラよりも数倍も大きい。スマホのカメラでは太刀打ちできないレベルの写真を撮影できるのは、ここに秘密があるのだ。
CM1ではマニュアルで写真を撮影したり、ボケを利かせた味のある写真を撮ったりするなど、他のスマホではアプリを駆使しなくては取れないような写真も普通に、そして簡単に撮影できる。またセンサーサイズが1インチもあるため、高解像な写真だけなく、超高解像度な4K動画も撮影することが可能だ。しかもその動画から写真を切り出すことまでできる。つまり動画を取っておけば、あとから、気に入ったシーンを高画質な写真としても保存できるのだ。これも他のスマホには簡単には真似できない芸当である。
そしてCM1が注目されているのはカメラだけでなく、スマホ部分もスペックが高い点だ。4.7インチフルHDディスプレイに、CPUは2.3GHzのSnapdragon 801を搭載。LTE通信にも対応しており、単体で通信や通話もできる。最近のデジカメはWi-Fiを搭載しておりスマホ経由で通信できるものがあるが、両者を接続する必要がある。これに対しCM1はSIMカードを入れれば単体で通信ができるのだ。CM1をスマホとして使っても十分フル活用できるほどである。
スマホとしてもハイスペック、カメラ機能はニコンやキャノンがライバルというスーパーデジカメスマホがCM1の正体なのだ
●国内スマホから撤退して、発揮され始めた本来のパナソニックの実力
ではスマホから撤退してしまったパナソニックから、どうしてこのようなハイスペックなデジカメスマホが登場したのだろうか。それは日本市場から撤退したことが大きな後押しとなったからだろう。これまでパナソニックのスマホの主力マーケットは日本だった。しかし日本では通信キャリア経由でスマホを販売するため、スマホ開発にはキャリアの意向を組み入れなくてはならなかった。メーカー側が売りたい機能があっても、キャリア側にとって新規加入者増につながる見込みがなければNGとされることもあったハズだ。そのため日本メーカーの日本向けスマホはどうしても各社横並びの製品が増えてしまっていたのだ。
今回発表されたCM1の販売先はドイツが最初で、その後ヨーロッパやアジアなど海外各国へ展開予定だという。気になる日本市場については、未定とのこと。
つまりグローバル市場をターゲットとして考えており、「日本市場第一」主義を捨てて開発された製品なのである。ちなみに価格はSIMフリー単体で889ユーロ、約12万4000円とのこと。スマホとしては高価だが、デジカメの性能+スマホ機能と考えると、価格は十分に妥当な製品である。
日本市場向けという制約がなくなったことで、パナソニック本来の実力とアイデアを発揮して生まれたのがCM1であり、その製品が、今、世界の市場で注目を集めているのだ。
●世界が注目する尖ったCM1が国内販売されにくい理由
ヨーロッパやアジアであれば、SIMフリーのスマホ販売が活発で定着している。またプリペイドSIMも自由に販売されているのでSIMフリーのCM1を受け入れる環境が整っている。CM1のような単体のデジカメスマホが販売されても、流通する販路がいくらでもあり、消費者も自分たちで自由にSIMカードを入手してスマホとして使うことも簡単なのだ。
しかもこれらの地域の通信キャリアが「うちのSIMはその端末の動作保証はしない」と言うことも無い点も大きいなポイントだ。なぜならばSIMフリーのスマホの通信周波数とキャリアサービスの通信周波数が適合すれば、そのスマホが動くのが当たり前な環境になっているのだ。
海外では、この契約のSIMはこの端末でしか動かない、といったややこしい囲い込みは無いのである。
CM1が、日本ではなく海外から販売されるのはそのような理由もあるわけだ。
よはいえ、日本のユーザーもCM1が欲しいと考える人も多いだろう。
もし、このような高価なデジカメスマホCM1を日本で売るとなるとどうなるだろうか。
まず通常のスマホのように、キャリア契約での割引販売を求めた場合、キャリアの2年縛りスマホが激安で売られているといっても、CM1の本体価格12万円は、他のスマホより割高になることは否めない。高いスマホとしてCM1が売られても日本の消費者が目を向けてくれないかもしれない。またCM1をSIMフリースマホやカメラとして販売すると、今度はSIMカードの説明を店員が一から説明する必要に迫られるであろう。ましてや各キャリアの動作保証も不明という状況も十分考えられる。
つまり日本市場での、販売にはクリアするハードルが多く存在するのだ。
さらにパナソニックには、Photokina2014で高級コンデジのLX100も発表している。1インチを超えるフォーサーズサイズの4/3インチセンサー、1280万画素、24-75mmズーム、F1.7-2.8と明るいレンズなど、ソニーやキヤノンに対抗する高級コンデジの戦略製品だ。このLX100は、国内市場展開も期待されており、この製品とCM1が競合する可能性もある。
●まずは海外で元気を取り戻すことに期待
日本の消費者は、製品に対しての要求が高い。高性能かつ高品質な製品が日本人向きであることは、今でも変わっていない。CM1はもちろん日本でも魅力的だと考える消費者はたくさんいるだろう。
だが日本のスマホ市場のSIMフリー市場はまだよちよち歩きの段階だ。海外向け製品を簡単に国内展開するにはリスクや手続きなど面倒で提供しにくい状況なのは変わりない。
CM1は「脱日本」だからできた製品であることは間違いない。その評価が高まれば後継モデルや派生モデルなどの展開でも期待できるだろう。パナソニックに、本来の元気が戻ってくれば、いずれは日本でも面白いスマホやモバイル製品が復活するかもしれない。CM1の販売後の海外での評価に注目したい。
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