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2014年09月27日

物価高に一服感、日銀目標に遠く 消費者物価8月3.1%上昇

 物価の上昇に一服感が出てきた。8月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)は、消費増税の影響を差し引くと伸び率が前年同月比1.1%と鈍化した。ガソリン価格や電気代の上昇が止まってきたのが最大の要因で、持ち直しが遅れる個人消費にとっては追い風となる。日銀がデフレ脱却の目標に掲げる2%からは遠ざかり、市場では追加金融緩和の期待が強まる可能性がある。

 総務省が26日発表した8月のCPIは、増税分も含めると3.1%上昇したが、伸び率は7月に比べ0.2ポイント縮小した。2012年末に安倍晋三政権が発足して以降、大規模な金融緩和などが追い風となって、消費者物価は上がり続けてきた。4月の物価は増税分を除いて1.5%上昇し、日銀の2%目標に近づいているようにみえた。

 ●増税分除き1%割れの見方 ただその主因はガソリンなどエネルギー価格の上昇だった。足元ではドル高で商品市況が悪化して、原油価格などが下がって物価の押し上げ圧力は弱まっている。8月のCPIをみると、ガソリンや電気代を合わせたエネルギー全体の伸び率は前年同月比6.8%と、7月から2ポイントも下がった。

 市場ではエネルギー価格の上昇が一服したことで、物価全体の伸びも鈍化するとの見方が強い。「消費増税分を除くと、10月には伸びが1%を割る可能性が高い」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との予測も出てきた。

 日銀は「物価は1%を割ることはない」(黒田東彦総裁)と強気な見通しを立ててきた。景気の持ち直しで賃金が上がり、外食や運輸などサービス価格の上昇につながってCPI全体を押し上げる好循環シナリオを描いているためだ。

 それだけにデフレ脱却の動きを維持できるかどうかは、人件費の割合が大きいサービス価格の動向が焦点となる。サービス分野の8月の物価指数は増税分も含めて1.8%の上昇にとどまり、3.8%の値上がりだった耐久消費財などと比べて伸びが小さい。人手不足感のある外食のCPIも、消費税分を上乗せしただけで5月から8月まで横ばいのままだ。賃上げ=物価上昇という循環の勢いはまだ弱い。

 足元で1ドル=109円前後まで進んだ円安は、再び輸入物価を押し上げる。すでに原材料が高騰しているチーズなどは値上がりし、9月中旬の東京都区部では「生鮮食品を除く食料」が前年比3.8%の上昇と、7月よりも値上がりが大きくなった。

 ●9月の指数焦点に 円安による食品価格の上昇は、個人消費にとっては悪影響だ。物価動向は上昇要因と下落要因が混在しており、今後の景気にどう影響するか政府・日銀も的確な見極めが必要になっている。

 「追加緩和だろうと何だろうとちゅうちょなく調整する」。黒田総裁は物価見通しが下振れするリスクが生じれば、追加緩和も辞さない構えを繰り返し示してきた。来月下旬に公表する9月のCPIが黒田総裁の見立てと異なって1%を割り込めば、市場の追加金融緩和の期待感がさらに高まる可能性もある。
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