2018年01月19日
漫画『ブルーピリオド』1巻の感想とあらすじ 「好き」を手に入れた主人公が美大合格を目指す青春受験物語
『ブルーピリオド』1巻の感想。
ブルーピリオド
著者:山口 つばさ
掲載:月刊アフタヌーン
1巻発売日:2017年12月22日
友人たちと朝まで遊びまわり、未成年の身で飲酒喫煙もたしなむ高校二年生・矢口八虎(やぐち やとら)。DQNと言われながらも、イケメンなうえに学業成績は優秀で、愛嬌もあることから周囲の受けも良好。スクールカースト上位のそれなりに充実した日々を過ごしていたのだが、夢中になれるものは何一つなく、ただノルマをクリアするだけの手応えのない現状に、満ち足りない虚しさも感じていた。
そんなある日、置き忘れたタバコを取りに美術室へ戻ると、そこで美術部員が描いたと思われる一枚の絵と出会い、そのすごさに衝撃を受けることに。後日、選択授業の課題で出された「私の好きな風景」で描いた絵を、美術の先生に褒められ、友人たちの共感を得られたことで、八虎は思わず涙を滲ませるほどの喜びを得る。
今までずっと生きてる実感を持てなかった八虎。絵を描く楽しさを知ったことで、心臓が動き出したかのように心を駆き立てられ、超難関と言われる美大への進学を決意するのだった。
周囲からDQN扱いされるけど、根は真面目で成績も優秀な男子高校生が、ひょんなことから美術の世界に魅入られたことで、東大以上に難関と言われる美大を目指す物語。
美大を目指す少年少女たちが織り成す青春スポコン受験物語。帯での謳い文句は「DQNが絵を描く悦びに目覚めてみた。」。月刊漫画雑誌「月刊アフタヌーン」の20178月号にて連載開始。
作者は四季賞2014年夏のコンテストで佳作を受賞し、新海誠氏原作『彼女と彼女の猫』のコミカライズを担当した漫画家・山口つばさ(やまぐち つばさ)先生。
みなさんは高校生ぐらいのとき、将来目指すべき夢や目標を持っていましたか?私には何が何でも目指す目標みたいなものはなかったので、進路にはかなり悩まされました。あの時は結局何も見つけられず、無難な大学へ進学し、そのままの流れで社会へ。
当時は進路にも真剣に取り組んでたつもりでしたけど、今思い返すとただ妥協しただけなのかなとちょっと後悔もあります。なので、「好きなモノ」を武器に社会で戦ってる人に出会うと、かなり羨ましい気持ちになると同時に、今更ながら何かに挑戦してみたくなります。
すでに用意された選択肢から選ぶのではなく、主体的な目標を持って、そのうえで実現するための選択をし、目標に向かって邁進する。そんな生き方出来たらいいでしょうね。
さて、そんなどうでもいい話は横に置いといて、本日は美大に興味がある人や、夢がある人、進路に悩んでる人にとってタメになりそうな漫画『ブルーピリオド』を紹介させていただきます。
スクールカーストは上位だけどやりがいのない日常に焦燥感を抱いていた主人公が、絵を描く悦びに目覚めたことから、進路を無難なそこそこいい大学から超難関の美大に変え、仲間たちと美術の世界へ身を投じていくお話。
簡単に説明するとこんな感じの内容。「美術」と大学への「進路」を題材にした、クリエイティブな熱血青春ストーリーですね。美術についてかなり学べる漫画にもなっているので、少しでも興味ある人にとてはタメにもなります。作中で主人公が「俺の心臓は今動き出した」と言ってる通り、読者の私も同じように胸が熱くなってきました。
主人公は現在高校2年生の矢口八虎(やぐち やとら)。帯にはDQNと書いてありましたけど、見た感じそこまで酷くはないです。
飲酒喫煙もする金髪男子高校生ではあっても、暴力行為や迷惑行為の類はしません。むしろ、帰宅すれば机に向かって勉強を始めるなど、根は真面目で努力家なので、学校での成績は抜群に優秀。愛嬌はあっても嫌味は無く、空気を読んだコミュニケーションもとれ、それに加えてイケメンなので周りからの受けも良いようです。とても器用な世渡り上手ですね。
一見リア充のような日々を送ってはいても、夢中になれるモノが何一つない八虎。手ごたえのない焦燥感を抱き、心も満たされていませんでした。
そんな彼が、美術部員が描いた一枚の絵と出会い、目を、心を奪われたことで、空虚な毎日に変化が訪れることに。
これまで自分の価値観を抑え、他人の価値観に合わせた生き方をしていた八虎は、選択授業の美術で出された課題「私の好きな風景」の絵を描くことになります。
彼は好きなものを好きということ、自分を晒すことに少なからず恐怖を持っていました。でも、早朝の渋谷が青く見えた際の話をしてるとき、あの心を奪われた絵を描いた先輩から、「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」と言われ、その景色を課題の絵にすることを決めて取り掛かります。
自分の「好き」を込めて提出した未完の青い渋谷の絵は、先生や美術部員からの称賛を受け、友人たちの共感も得られたことで、八虎は「ちゃんと人と会話できた」という達成感みたいなものを覚えるのでした。
このことが大きな原因となって、美術への興味をどんどん深めていきます。絵は趣味だって出来る、楽しいなんて怠慢、こんなことは時間の無駄・・・と思いながらも、絵を描く手は止まらず、進路への迷いも生まれ、そして美術の先生の言葉が彼の心をさらに熱くさせ、ある決心をさせることに。
八虎は「好き」という想いを支えに、「実質倍率200倍」「東大より難しい」と言われる、国立美大・東京藝術大学への合格を目指します。
そんなこんなで、好きという武器を手に入れた努力家の主人公が、同じく美術に魂を燃やす仲間たちと共に、美大合格という目標に向け邁進する青春ストーリー『ブルーピリオド』1巻の紹介でした。
こういうクリエイティブ系の青春作品って何か惹かれてしまいます。導入の展開としてはありがちとも言えなくはないのですが、良い意味でベタとも言えますし、中身は思っていた以上に濃い内容で満足。
主人公・八虎の揺れ動く心情を見ていたら、私の心も激しく揺さぶられてしまいましたね。「好きなことをする努力家はね、最強なんですよ」という美術の先生の言葉の通り、努力の人である主人公が、絵という好きに本気で取り組むことで、どんな成長を見せてくれるのか、とても楽しみです。
美術系ということで、やはりキャラクターが濃いのも面白い。ヒロインかと思われた美少女が女装美少年だったり、かなり喰えない美術教師がいたり、これぞ天才と称すべき少年がいたりと、変人濃度は高めです。そのおかげで、八虎の心を奪った絵の作者である森先輩が、物語の良い清涼剤になってましたね。
また、本格的な美術の技法や美大受験のノウハウも満載。八虎がまだ素人ということもあって、初歩からの丁寧で優しい解説をされていて、美術の世界の裏側を知ることができるのも楽しい。美術や美大に感心ある人にはとてもタメになりますし、そうでなくても興味深い内容だったと思います。作中に登場する美術作品は、実際の美大生が資料提供しているので、リアルな絵と、その成長を見ることもできます。
久しぶりに本気で絵を描いてみたくなりました。大変そうな作品ではありますすけど、今後の一層の活躍に期待。
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ブルーピリオド
著者:山口 つばさ
掲載:月刊アフタヌーン
1巻発売日:2017年12月22日
あらすじ・概要
友人たちと朝まで遊びまわり、未成年の身で飲酒喫煙もたしなむ高校二年生・矢口八虎(やぐち やとら)。DQNと言われながらも、イケメンなうえに学業成績は優秀で、愛嬌もあることから周囲の受けも良好。スクールカースト上位のそれなりに充実した日々を過ごしていたのだが、夢中になれるものは何一つなく、ただノルマをクリアするだけの手応えのない現状に、満ち足りない虚しさも感じていた。
そんなある日、置き忘れたタバコを取りに美術室へ戻ると、そこで美術部員が描いたと思われる一枚の絵と出会い、そのすごさに衝撃を受けることに。後日、選択授業の課題で出された「私の好きな風景」で描いた絵を、美術の先生に褒められ、友人たちの共感を得られたことで、八虎は思わず涙を滲ませるほどの喜びを得る。
今までずっと生きてる実感を持てなかった八虎。絵を描く楽しさを知ったことで、心臓が動き出したかのように心を駆き立てられ、超難関と言われる美大への進学を決意するのだった。
周囲からDQN扱いされるけど、根は真面目で成績も優秀な男子高校生が、ひょんなことから美術の世界に魅入られたことで、東大以上に難関と言われる美大を目指す物語。
美大を目指す少年少女たちが織り成す青春スポコン受験物語。帯での謳い文句は「DQNが絵を描く悦びに目覚めてみた。」。月刊漫画雑誌「月刊アフタヌーン」の20178月号にて連載開始。
作者は四季賞2014年夏のコンテストで佳作を受賞し、新海誠氏原作『彼女と彼女の猫』のコミカライズを担当した漫画家・山口つばさ(やまぐち つばさ)先生。
紹介・感想
みなさんは高校生ぐらいのとき、将来目指すべき夢や目標を持っていましたか?私には何が何でも目指す目標みたいなものはなかったので、進路にはかなり悩まされました。あの時は結局何も見つけられず、無難な大学へ進学し、そのままの流れで社会へ。
当時は進路にも真剣に取り組んでたつもりでしたけど、今思い返すとただ妥協しただけなのかなとちょっと後悔もあります。なので、「好きなモノ」を武器に社会で戦ってる人に出会うと、かなり羨ましい気持ちになると同時に、今更ながら何かに挑戦してみたくなります。
すでに用意された選択肢から選ぶのではなく、主体的な目標を持って、そのうえで実現するための選択をし、目標に向かって邁進する。そんな生き方出来たらいいでしょうね。
さて、そんなどうでもいい話は横に置いといて、本日は美大に興味がある人や、夢がある人、進路に悩んでる人にとってタメになりそうな漫画『ブルーピリオド』を紹介させていただきます。
スクールカーストは上位だけどやりがいのない日常に焦燥感を抱いていた主人公が、絵を描く悦びに目覚めたことから、進路を無難なそこそこいい大学から超難関の美大に変え、仲間たちと美術の世界へ身を投じていくお話。
簡単に説明するとこんな感じの内容。「美術」と大学への「進路」を題材にした、クリエイティブな熱血青春ストーリーですね。美術についてかなり学べる漫画にもなっているので、少しでも興味ある人にとてはタメにもなります。作中で主人公が「俺の心臓は今動き出した」と言ってる通り、読者の私も同じように胸が熱くなってきました。
主人公は現在高校2年生の矢口八虎(やぐち やとら)。帯にはDQNと書いてありましたけど、見た感じそこまで酷くはないです。
飲酒喫煙もする金髪男子高校生ではあっても、暴力行為や迷惑行為の類はしません。むしろ、帰宅すれば机に向かって勉強を始めるなど、根は真面目で努力家なので、学校での成績は抜群に優秀。愛嬌はあっても嫌味は無く、空気を読んだコミュニケーションもとれ、それに加えてイケメンなので周りからの受けも良いようです。とても器用な世渡り上手ですね。
一見リア充のような日々を送ってはいても、夢中になれるモノが何一つない八虎。手ごたえのない焦燥感を抱き、心も満たされていませんでした。
そんな彼が、美術部員が描いた一枚の絵と出会い、目を、心を奪われたことで、空虚な毎日に変化が訪れることに。
これまで自分の価値観を抑え、他人の価値観に合わせた生き方をしていた八虎は、選択授業の美術で出された課題「私の好きな風景」の絵を描くことになります。
彼は好きなものを好きということ、自分を晒すことに少なからず恐怖を持っていました。でも、早朝の渋谷が青く見えた際の話をしてるとき、あの心を奪われた絵を描いた先輩から、「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」と言われ、その景色を課題の絵にすることを決めて取り掛かります。
自分の「好き」を込めて提出した未完の青い渋谷の絵は、先生や美術部員からの称賛を受け、友人たちの共感も得られたことで、八虎は「ちゃんと人と会話できた」という達成感みたいなものを覚えるのでした。
このことが大きな原因となって、美術への興味をどんどん深めていきます。絵は趣味だって出来る、楽しいなんて怠慢、こんなことは時間の無駄・・・と思いながらも、絵を描く手は止まらず、進路への迷いも生まれ、そして美術の先生の言葉が彼の心をさらに熱くさせ、ある決心をさせることに。
八虎は「好き」という想いを支えに、「実質倍率200倍」「東大より難しい」と言われる、国立美大・東京藝術大学への合格を目指します。
最後ににだらだらと
そんなこんなで、好きという武器を手に入れた努力家の主人公が、同じく美術に魂を燃やす仲間たちと共に、美大合格という目標に向け邁進する青春ストーリー『ブルーピリオド』1巻の紹介でした。
こういうクリエイティブ系の青春作品って何か惹かれてしまいます。導入の展開としてはありがちとも言えなくはないのですが、良い意味でベタとも言えますし、中身は思っていた以上に濃い内容で満足。
主人公・八虎の揺れ動く心情を見ていたら、私の心も激しく揺さぶられてしまいましたね。「好きなことをする努力家はね、最強なんですよ」という美術の先生の言葉の通り、努力の人である主人公が、絵という好きに本気で取り組むことで、どんな成長を見せてくれるのか、とても楽しみです。
美術系ということで、やはりキャラクターが濃いのも面白い。ヒロインかと思われた美少女が女装美少年だったり、かなり喰えない美術教師がいたり、これぞ天才と称すべき少年がいたりと、変人濃度は高めです。そのおかげで、八虎の心を奪った絵の作者である森先輩が、物語の良い清涼剤になってましたね。
また、本格的な美術の技法や美大受験のノウハウも満載。八虎がまだ素人ということもあって、初歩からの丁寧で優しい解説をされていて、美術の世界の裏側を知ることができるのも楽しい。美術や美大に感心ある人にはとてもタメになりますし、そうでなくても興味深い内容だったと思います。作中に登場する美術作品は、実際の美大生が資料提供しているので、リアルな絵と、その成長を見ることもできます。
久しぶりに本気で絵を描いてみたくなりました。大変そうな作品ではありますすけど、今後の一層の活躍に期待。
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