2017年12月26日
漫画『イサック』1巻の感想とあらすじ 傭兵となって三十年戦争に参加した日本人スナイパーの活躍を描いた戦場活劇
『イサック』1巻の感想。
イサック
原作:真刈信二 /漫画:DOUBLE-S
掲載:月刊アフタヌーン
1巻発売日:2017年7月21日
西暦1620年、ドイツ南西部にて。このころヨーロッパは厳しい寒冷化に見舞われ、そのうえ後に三十年戦争と呼ばれる長き戦いの最中にあり、人々は厳しい災禍に見舞われていた。
プロテスタント側であるプファルツ選帝侯領に、今まさにスペイン軍九千の脅威が迫ろうとしていたこの時、オランダから一人の男が援軍としてやってきた。その傭兵とは、「イサック」と名乗る日本人の男。
大阪夏の陣が終結した後、多くの日本人は様々な理由から海を渡ることになる。彼もその一人であり、殺された鍛冶の師である親方の仇討ちをするため、奪われたモノを取り返すため、日本の平戸からはるばる海を渡ってこの地までやってきた。元々100人いた傭兵はスペイン軍の規模を聞いてみな逃げ出したが、イサックは親方への恩を、オランダへの「恩」を胸に刻み、たった一人の援軍として戦場へ赴く。
この時、この場所から、一人の日本人が過酷な使命を果たすための、神聖ローマ帝国を舞台にした孤独な戦いを開始する――。
親方の仇を討つため欧州へ渡ったひとりの日本人男性が、後に三十年戦争と呼ばれる過酷な戦いに傭兵として身を投じ、火縄銃と日本刀を用いてを戦場を圧倒していく物語。
スペクタクル戦場活劇。帯での謳い文句は「日本の火縄銃が、神聖ローマ帝国の戦場を圧倒する!」。月刊漫画雑誌「月刊アフタヌーン」の2017年3月号にて連載開始。
原作は代表作に『勇午』を持つ漫画原作者の真刈 信二(まがり しんじ)先生。漫画担当は『死がふたりを分かつまで』で知られる漫画家・DOUBLE-S先生。
歴史スペクタクルといえば、壮大かつ迫力ある戦闘シーンや、ドラマチックな人間模様が醍醐味。あと、その時代の人物や事件を知るきっかけにもなります。
観ると魂を激しく奮わされることから、『グラディエーター』や『トロイ』、『ジャンヌ・ダルク』などの名作と呼ばれる映画も数多く存在してますね。
中でも、私は『ブレイブハート』というメル・ギブソン主演の“ウィリアム・ウォレス”をモデルにした映画が大好きでして、もし自分の中で映画ランキングを作るとしたら、間違いなくトップ3には入ってくる傑作。特にあのラストの感動は何度観ても全く色褪せません。面白いので是非観て欲しいです。
まあ、映画のことはこの辺にしておいて、本日はそんな歴史スペクタクル系の漫画『イサック』を紹介させていただきます。
まずは大まかな内容の説明を。舞台となるのは、神聖ローマ帝国の「三十年戦争」真っ只中にあった、1620年のドイツ南西部(日本だと大阪夏の陣が終結してから5年後くらい)。
殺された恩人の仇討ちをするため、はるばる日本からこの地へ渡ってきた男性が、傭兵となって三十年戦争に参加し、日本人としての心と武を持って戦場を圧倒していくお話。
戦乱歴史活劇です。大阪夏の陣の後さまざまな理由から日本人が海を渡ったという史実エピソードを背景に、神聖ローマ帝国の「三十年戦争」を題材とし、傭兵となった一人の日本人の活躍を描いている作品。
「三十年戦争」を簡単に説明させていただきますと、「神聖ローマ帝国で起こったカトリック側とプロテスタント側の衝突を端に発し、それが次第に覇権闘争の側面が色濃くなっていき、遂にヨーロッパ中を巻き込んでしまった大規模な国際紛争」。
主人公は日本人の傭兵・イサック。後ろで一括りにした長髪と、ナイフで切ったような切れ長の眼が特徴の男性。日本式の鎧を身に纏い、腰には刀を差していますが、主に扱う得物は長い銃身の火縄銃。イサックは正確無比な遠距離射撃を得意とする「銃士」です。
イサックがヨーロッパへ渡った理由は仇討ち。彼が扱う銃を製作した親方でもある恩人を、ある男に殺され、その仇討ちと奪われた何かを取り返すためにオランダへやって来ました。
そして、親方への「恩」と、戦場へ連れてきたくれたオランダへの「恩」に報いるため、たった一人の援軍として赴いたのは、スペインの大軍が押し寄せようとしていたプロテスタント側のプファルツ選帝侯領・フックスブルク城。
その道すがら暴漢に襲われていた少女・ゼッタを助けていますけど、この子がヒロイン的な存在になるのかな?
フリードリヒ五世の弟・ハインリッヒが守るフックスブルク城は小さな城なのですが、ここを落とされてしまうとドイツのプロテスタントが孤立してしまうため、まさに最後の砦とも言える重要拠点。
そして、その城を落とそうと9000のスペイン軍を率いてやってきたのは、城攻めの名人であるかの有名なスピノラ将軍。さらに後方には、ハプスブルク家のアルフォンソ王子が率いる万を超える大軍勢まで待ち構えているという絶望感。
そんな状況を、恩と仇討ちのために戦う寡黙なスナイパーであるイサックが、当時ではありえない長距離からの狙撃によって、戦況を一変させていくという痛快さが見どころ。
既に陥落寸前なフックスブルク城に対して、万を超える軍勢で攻め寄せようとしている圧倒的有利なスペイン軍。イサックはこの事態にどう立ち向かっていくのか。
ということで、日本からヨーロッパへ渡り、三十年戦争に参加した日本人スナイパーの活躍を描いた漫画『イサック』1巻の紹介でした。
面白い、そしてカッコイイ。たった一人の援軍が、たった一発の銃弾によって、絶体絶命の窮地を救う。こんなの熱くなるなと言うのが無理な話。故郷から遠く離れた地に来ようとも、どのような状況に晒されようとも、日本で培った精神を貫き、恩と仇のため、火縄銃と日本刀を持って敵に立ち向かう主人公。シビレますね。
絵は『死がふたりを分かつまで』でも作画を担当されていた方だったので、そこに関しては特に心配はありませんでしたけど、改めて素晴らしい画力だなと感嘆です。人物、背景、戦闘シーンはもちろんのこと、描くのが面倒くさそうなシーンでも手抜きがなく、一貫して丁寧な作画だったので好感も持てましたね。
おおまかな流れは史実に沿う形になるのでしょうけど、そこでイサックという日本人をどう関わらせていくのか、どのような活躍を見せていくのかはとても楽しみ。イサックのこれまでの背景や、仇であるロレンツォという男のこと、あと奪われた物とは何なのかも気になるところです。何となく予想はできますけど。
骨太なストーリー、魅力あるキャラクター、文句なしに上手い絵、全体的にとても完成度の高い作品だと思います。今後の展開にも期待が持てそうです。
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イサック
原作:真刈信二 /漫画:DOUBLE-S
掲載:月刊アフタヌーン
1巻発売日:2017年7月21日
あらすじ・概要
西暦1620年、ドイツ南西部にて。このころヨーロッパは厳しい寒冷化に見舞われ、そのうえ後に三十年戦争と呼ばれる長き戦いの最中にあり、人々は厳しい災禍に見舞われていた。
プロテスタント側であるプファルツ選帝侯領に、今まさにスペイン軍九千の脅威が迫ろうとしていたこの時、オランダから一人の男が援軍としてやってきた。その傭兵とは、「イサック」と名乗る日本人の男。
大阪夏の陣が終結した後、多くの日本人は様々な理由から海を渡ることになる。彼もその一人であり、殺された鍛冶の師である親方の仇討ちをするため、奪われたモノを取り返すため、日本の平戸からはるばる海を渡ってこの地までやってきた。元々100人いた傭兵はスペイン軍の規模を聞いてみな逃げ出したが、イサックは親方への恩を、オランダへの「恩」を胸に刻み、たった一人の援軍として戦場へ赴く。
この時、この場所から、一人の日本人が過酷な使命を果たすための、神聖ローマ帝国を舞台にした孤独な戦いを開始する――。
親方の仇を討つため欧州へ渡ったひとりの日本人男性が、後に三十年戦争と呼ばれる過酷な戦いに傭兵として身を投じ、火縄銃と日本刀を用いてを戦場を圧倒していく物語。
スペクタクル戦場活劇。帯での謳い文句は「日本の火縄銃が、神聖ローマ帝国の戦場を圧倒する!」。月刊漫画雑誌「月刊アフタヌーン」の2017年3月号にて連載開始。
原作は代表作に『勇午』を持つ漫画原作者の真刈 信二(まがり しんじ)先生。漫画担当は『死がふたりを分かつまで』で知られる漫画家・DOUBLE-S先生。
紹介・感想
歴史スペクタクルといえば、壮大かつ迫力ある戦闘シーンや、ドラマチックな人間模様が醍醐味。あと、その時代の人物や事件を知るきっかけにもなります。
観ると魂を激しく奮わされることから、『グラディエーター』や『トロイ』、『ジャンヌ・ダルク』などの名作と呼ばれる映画も数多く存在してますね。
中でも、私は『ブレイブハート』というメル・ギブソン主演の“ウィリアム・ウォレス”をモデルにした映画が大好きでして、もし自分の中で映画ランキングを作るとしたら、間違いなくトップ3には入ってくる傑作。特にあのラストの感動は何度観ても全く色褪せません。面白いので是非観て欲しいです。
まあ、映画のことはこの辺にしておいて、本日はそんな歴史スペクタクル系の漫画『イサック』を紹介させていただきます。
まずは大まかな内容の説明を。舞台となるのは、神聖ローマ帝国の「三十年戦争」真っ只中にあった、1620年のドイツ南西部(日本だと大阪夏の陣が終結してから5年後くらい)。
殺された恩人の仇討ちをするため、はるばる日本からこの地へ渡ってきた男性が、傭兵となって三十年戦争に参加し、日本人としての心と武を持って戦場を圧倒していくお話。
戦乱歴史活劇です。大阪夏の陣の後さまざまな理由から日本人が海を渡ったという史実エピソードを背景に、神聖ローマ帝国の「三十年戦争」を題材とし、傭兵となった一人の日本人の活躍を描いている作品。
「三十年戦争」を簡単に説明させていただきますと、「神聖ローマ帝国で起こったカトリック側とプロテスタント側の衝突を端に発し、それが次第に覇権闘争の側面が色濃くなっていき、遂にヨーロッパ中を巻き込んでしまった大規模な国際紛争」。
主人公は日本人の傭兵・イサック。後ろで一括りにした長髪と、ナイフで切ったような切れ長の眼が特徴の男性。日本式の鎧を身に纏い、腰には刀を差していますが、主に扱う得物は長い銃身の火縄銃。イサックは正確無比な遠距離射撃を得意とする「銃士」です。
イサックがヨーロッパへ渡った理由は仇討ち。彼が扱う銃を製作した親方でもある恩人を、ある男に殺され、その仇討ちと奪われた何かを取り返すためにオランダへやって来ました。
そして、親方への「恩」と、戦場へ連れてきたくれたオランダへの「恩」に報いるため、たった一人の援軍として赴いたのは、スペインの大軍が押し寄せようとしていたプロテスタント側のプファルツ選帝侯領・フックスブルク城。
その道すがら暴漢に襲われていた少女・ゼッタを助けていますけど、この子がヒロイン的な存在になるのかな?
フリードリヒ五世の弟・ハインリッヒが守るフックスブルク城は小さな城なのですが、ここを落とされてしまうとドイツのプロテスタントが孤立してしまうため、まさに最後の砦とも言える重要拠点。
そして、その城を落とそうと9000のスペイン軍を率いてやってきたのは、城攻めの名人であるかの有名なスピノラ将軍。さらに後方には、ハプスブルク家のアルフォンソ王子が率いる万を超える大軍勢まで待ち構えているという絶望感。
そんな状況を、恩と仇討ちのために戦う寡黙なスナイパーであるイサックが、当時ではありえない長距離からの狙撃によって、戦況を一変させていくという痛快さが見どころ。
既に陥落寸前なフックスブルク城に対して、万を超える軍勢で攻め寄せようとしている圧倒的有利なスペイン軍。イサックはこの事態にどう立ち向かっていくのか。
最後にいろいろ
ということで、日本からヨーロッパへ渡り、三十年戦争に参加した日本人スナイパーの活躍を描いた漫画『イサック』1巻の紹介でした。
面白い、そしてカッコイイ。たった一人の援軍が、たった一発の銃弾によって、絶体絶命の窮地を救う。こんなの熱くなるなと言うのが無理な話。故郷から遠く離れた地に来ようとも、どのような状況に晒されようとも、日本で培った精神を貫き、恩と仇のため、火縄銃と日本刀を持って敵に立ち向かう主人公。シビレますね。
絵は『死がふたりを分かつまで』でも作画を担当されていた方だったので、そこに関しては特に心配はありませんでしたけど、改めて素晴らしい画力だなと感嘆です。人物、背景、戦闘シーンはもちろんのこと、描くのが面倒くさそうなシーンでも手抜きがなく、一貫して丁寧な作画だったので好感も持てましたね。
おおまかな流れは史実に沿う形になるのでしょうけど、そこでイサックという日本人をどう関わらせていくのか、どのような活躍を見せていくのかはとても楽しみ。イサックのこれまでの背景や、仇であるロレンツォという男のこと、あと奪われた物とは何なのかも気になるところです。何となく予想はできますけど。
骨太なストーリー、魅力あるキャラクター、文句なしに上手い絵、全体的にとても完成度の高い作品だと思います。今後の展開にも期待が持てそうです。
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