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2017年10月27日

漫画『迷宮ブラックカンパニー』1巻の感想とあらすじ ニートから社畜に転落した主人公の成り上がりを描いた異世界ファンタジー

『迷宮ブラックカンパニー』1巻の感想。


迷宮ブラックカンパニー
著者:安村洋平
掲載:MAGCOMI
1巻発売日:2017年5月10日


あらすじ・概要

働かないで怠惰に暮らしたい・・・その一心で努力を重ねてきた24歳の男性・二ノ宮キンジ(にのみや きんじ)。働かずして収入を得られる土台を築き、都内に三つのマンションを建て、最強のセレブプロニートとして優雅な生活を満喫していた。
これからは死ぬまで怠惰に暮らせる――そのはずだったのだが・・・キンジは突如異世界へ飲み込まれてしまったことで、ニート生活はあっさり終焉を迎える。
彼が飛ばされた先は、亜人たちが住まうファンタジーな世界「アムリア」。あの忌まわしき転移から4ヶ月がたった現在、キンジは多額の借金を背負いながら、かつてダンジョンだった採掘場で1日16時間の肉体労働に勤しむ毎日を送っていた。雀の涙ほどしか貰えない低賃金では、どれだけ働いても借金を返すことすら困難な状況。
そんな最中、ひょんなことからダンジョン奥へ通じる隠し通路を発見する。ワニベという同僚を仲間に引き入れたキンジは、高い金になる優れた魔石を掘るためにダンジョンへ潜ると、そこに巨大なモンスターが出現し、さらにそのモンスターの中からリムと名乗る少女が出てきて・・・。

異世界に転移したことでセレブニートから社畜に転落してしまった男性が、迷宮採掘場でのブラックな労働環境にもめげることなく、野心とズル賢い知恵を持って成り上がろうともがく姿を描いた物語。
異世界転移した男の社畜ダンジョンファンタジー。帯での謳い文句は「異世界×ブラック企業。生き残れ、社畜戦士」。Webマンガサイト「MAGCOMI」にて2016年12月5日から連載開始。
作者は『対魔導学園35試験小隊』のコミカライズを担当した漫画家・安村洋平(やすむら ようへい)先生。

紹介・感想

異世界転生・転移モノは今でも飽きずに読んでるんですけど、最近はとりあえず転生させといて、チート入手で即俺tueeeeからのハーレム完成というテンプレ構図ばかり。まあ、需要があってよく使われてるからテンプなんでしょうし、別にそれが悪いというわけではないんですけどね。
ただ、中には目的・目標どころか意味すらない転生も多く、仕舞には「もうそれ転生じゃなくてもいいよね」、と言いたくなる作品もちらほら見受けられるようになりました。せめて何がどうなって転生するハメになったのか、何のために転生するのか、或いは飛ばされた世界で何をしたいのかという明確な目的、このいずれかのひとつぐらいは欲しいところ。
さらによくばるなら、俺tueeeであってもパーティメンバーにはしっかり必要性を与えて、出来れば空気にはしないであげて欲しいと思っております。その辺り『転生したらスライムだった件』は設定もストーリーも上手いこと練られているので面白いですね。

こんな愚痴はこの辺にしておいて、本日は『迷宮ブラックカンパニー』という異世界転移系の漫画を紹介させていただきます。

内容をざっくり説明しますと、現代日本でセレブニート生活を満喫していた主人公の男性が、異世界に飛ばされて迷宮が職場の過酷な労働環境で働く社畜にまで落ちぶれ、どうにかこの悪環境から抜け出すために野心とエゴ全開で成りあがろうとするお話。
「異世界転移」と近年問題になってる「ブラック企業」を合わせたファンタジー物語。これまでにない斬新なテーマをファンタジーに融合させた異色作ですね。
チート能力で無双するわけでもなく、可愛い女の子とキャッキャウフフすることもなく、胸躍る冒険要素すらないのですけど、機転の回るズル賢い主人公が次は何をやらかすのかというワクワク感がある作品。

主人公は24歳の男性・二ノ宮キンジ(にのみや きんじ)。元いた現実世界での彼は、「働きたくない!」という強い想いを胸に努力を重ねた結果、不労所得で優雅な生活を送れるにまで至っていたセレブプロニート。
そんなセレブな生活を満喫している最中、突如床に開いたブラックホール的な何かに飲み込まれ、亜人たちの住む異世界「アムリア」へ飛ばされてしまいました。とりあえず金を稼ぐために人騙して商売したら2000万の借金を背負うことになり、今では元ダンジョン「デトモルト魔鉱遺跡」でつるはし持って1日16時間の肉体労働をする毎日です。

長時間労働、超低賃金、劣悪な労働環境によって疲弊していたところ、ひょんなことから迷宮の奥に繋がる隠し扉を発見。キンジは同じ職場で働くリザードマンのワニベを仲間に引き入れ、「出張(ダンジョン地下に潜って魔石を掘ること)」を試みます。
この世界は迷宮から採掘される魔石がエネルギー源。ダンジョンは地下へ行けば行くほど危険度も上がっていきますが、その代わり純度の高い魔石を採掘できます。それに目をつけたキンジは準備を整えてさっそくワニベと共に出発。楽々地下へ潜ることに成功し、純度の高い魔石をこれでもかと採掘。
しかし、ローリスクでハイなリターンを得られるはずが、そこへ腹を空かせた巨大なモンスターが出現。戦ってどうにか出来る相手ではなかったものの、相手は言葉を話せるモンスター。キンジは自分たちの護衛をしてくれるなら美味いモノを腹いっぱい食べさせてやると取引を持ちかけ、モンスターはそれを面白いと受諾。すると、リムと名乗るモンスターはーいきなり可愛らしい少女の姿に変身しました

見どころはやはり、野心とエゴの塊である主人公のキンジが、異世界に飛ばされてどう成り上がるのかという生き様でしょうね。
人としては誉められそうにないゲスな性格ではあるものの、知恵も機転もよく回るスペックの高い頭脳を持つキンジ。メンタルも強く、どうにかこの悪環境から抜け出すために頭を巡らせ、なるべく自分は楽に、周囲を使って成り上がりを図ります。ただ、彼はちょっとお調子者でもあったりします。その場は上手く立ち回れても、巡り巡って最後には決まってオチが付いてくるという残念な主人公なのです。
このように何かを企てては失敗を繰り返すコメディをこのまま延々と続けていく作品なのかと思っていたところ、ラストで展開に大きな変化がありました。
実はタイトルの『迷宮ブラックカンパニー』は、主人公が働いてる会社のことを指していたんじゃなかったんです。ずっとクズでバカな姿を見せられていたので、これはちょっと予想から外してました。一気に作品への興味が深まった上手い引きでしたね。

てな感じで、異世界に飛ばされた元ニートセレブの主人公が、失敗にもめげずに成り上がりを企てる漫画『迷宮ブラックカンパニ』1巻の紹介でした。
ラストを見る限りでは、1巻丸々序章だったと言っても差し支えないかもしれません。ファンタジーなのに冒険のワクワクがないのは残念に思っていたところ、まさか異世界で組織を立ち上げてブラック企業を乗っ取ろうとする流れになるとは・・・。別のワクワク感が湧いてきましたね。
難点を上げるなら、ヒロイン不足。なぜそんなにモテるのか分からないハーレムは別に求めていなくとも、女の子キャラのリムにもう少し魅力が欲しいところ。今のところはただの腹ペコ怪獣ですから。まあ、これはこれでカワイイっちゃカワイイんですけど、ヒロインとしてはどうなんだろ・・・。もしかして他にいるのでしょうか?
異世界転生・転移モノは好きだけど、少し食傷気味だなと感じてる人にもってこいの作品だと思います。斬新な設定によってしっかり差別化もされていて、全体的に安定した面白さがある漫画でした。

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