2016年11月09日
【ダンジョン飯】マンガ 感想&あらすじ 参考にならない再現不可能な魔物料理を描くファンタジーグルメ漫画
ハルタ。2014年2月から連載。既刊3巻
作者:九井諒子
それはある小さな村から始まった。地鳴りによって崩れた墓地の底に空洞を見つけ、そこからかつて滅びた国の王を名乗る男が現れた。その男は国を滅亡に追いやった狂乱の魔術師を倒したものに全てを与えると言い残し、塵となって消えてしまった。この出来事から夢と野望を抱いた多くの冒険者たちがダンジョン攻略に乗り出す。
そんな中、最深部にまで到達したライオス率いるパーティ一行は、強大な敵・レッドドラゴンに挑むも、疲労と空腹も災いして壊滅状態に陥る。あわやのところでライオスの妹・ファリンが魔法を発動し、ダンジョンからなんとか脱出できたのだが、みんなを逃がしたファリンだけはドラゴンに食べられてしまった。一刻も早く救出して消化される前に蘇生魔法をかけるため、資金不足・装備不足のなか、自給自足でダンジョンを進むことを決める。そんな彼らが現地調達する食材は、他でもないダンジョンに蠢くモンスター・・・。
・ライオス
主人公。トールマン(人間)の戦士。冒険者歴は3、4年と短いが、パーティのリーダーを務めています。仲間思いで柔軟な思考の持ち主。ドラゴンに食べられた妹・ファリンを一刻も早く助けるため、自給自足での挑戦を提案し決行。重度の魔物マニアでもあり、調べる内に食材としても興味を持つようになりました。
・マルシル
エルフの女魔法使い。金髪ロングヘアーの美しい女性。攻撃魔法から回復魔法まであらゆる魔法を習得しており、ファリンを助けるための蘇生魔法も可能。ライオスの魔物食には拒否の態度を示しているが、空腹には逆らえず毎回渋々食し、結果的に誰よりも美味しそうにしています。希少なツッコミ役。
・センシ
ドワーフの戦士。筋骨隆々の体格と見事な髭を蓄えています。センシはドワーフ語で「探求者」という意味。ダンジョンで10年以上自給自足の生活をしており、長年魔物の調理法を研究してきた魔物素材専門の料理人。希少な素材で作られた鍋を背負っています。ドラゴンを調理し食べたいという理由から同行。
・チルチャック
小柄な種族ハーフフットの鍵師。扉や宝箱の解錠、罠発見・解除を担う盗賊系の冒険者。子供のような容姿とは裏腹に年齢は29歳と大人であり、おそらくライオスよりも年上。パーティ内では最も落ち着きのある常識人。抜けるメンバーがいる中ライオス達に同行したのは、前払い報酬の契約に基づく責任感から。
・ファリン
ライオスの妹。回復・徐霊・補助魔法を得意とする僧侶。糸目が特徴の温和で優しい争いを嫌う女の子。マルシルとは魔法学校時代からの付き合いであり、彼女はファリンの魔法の素養の高さに気づいていました。冒頭でライオスを庇いドラゴンに丸呑みされてしまいます。
【eBookJapan】 ダンジョン飯 無料で立ち読みできます
ドラゴンに丸呑みされた妹を一刻も早く胃袋から救って蘇生魔法をかけるため、資金不足により厳しくなった食料調達の解決手段として、現地調達(モンスター)することを決めた一行が、深部を目指しながら行く先々で倒したモンスターの素材を使って料理を食して行く物語。
ファンタジー&グルメという、個人的に好きな2つのジャンルの組み合わせに興味を引かれました。さらに、表紙の鎧で全身固めておきながら、手に持っているのはフライパンとフライ返しというシュールな絵面が気になり、ためしに1巻読んでみたら大当たり。現在、私の中ではかなり熱い作品の1つです。
『ダンジョン飯』というタイトルの通り、ダンジョン内での料理・食事を描いた作品。ただ、町で調達した野菜やら肉やらの食材をダンジョン内で調理するものではなく、現実の世界には存在しないモンスター素材を使ったファンタジーグルメ漫画です。間違いなく完璧な再現は不可能な料理ですね。
しっかりした世界観を構築している作品。ドラクエというよりウィザードリィのようなダンジョン攻略系RPGのファンタジー世界に、リアリティある生活観を付け足して描かれています。
この世界にはトールマンと呼ばれる人間、ファンタジーではおなじみのエルフやドワーフ、小柄で幼く見えるハーフフット、他にもノームやコボルトなど多種族が共存しているようです。
属性魔法や回復・徐霊魔法、さらに普通なら禁忌とされそうな蘇生魔法も度々使用されている場面があり、禁止されてるわけでも神官・僧侶に限定されているわけでもなさそうです。
ダンジョン内には様々なモンスターが次々と湧き出てくるので危険ではあるんですが、入り口の周囲には露天などが軒を連ね、冒険者ではない人の出入りも多く、蘇生魔法もあることからあまり殺伐とした雰囲気はありませんね。
登場するモンスターはスライムやミミック、バジリスクにマンドラゴラ、そしてドラゴンといった王道な皆さんが集まっており、生きるためにこいつらを食ってやろうという漫画。
主に調理はダンジョンに篭って研究をしてきたドワーフのセンシが行うわけですが、慎重に見えて豪胆でもあり、食材として使えるか自分自身で試してきたようなので、こんなやり方でよく10年も生き延びられたものだと呆れながらもちょっと感心。食べられるか食べられないかを判別できるまでにはかなりの犠牲を伴うことだと思うんですけどね。『迷宮グルメガイド』という本も出版されていることから、センシ以外にも魔物を食材として研究している人達はいるみたいです。どこにでも世界を広げるバカというのはいるものです。
料理に関しては調理工程やネーミングからは一切食欲沸きませんでした。当然使われる素材はダンジョン内を徘徊している前述で上げたようなモンスターです。バジリスクみたいな鳥系や歩くキノコならまだ分からなくはないんですが、動く鎧や人喰い植物はさすがにどうなの?と思ってしまいますね。人から養分を得て育った植物を人が食べるというのは、生命は循環するものだと理解はしていても強い拒否感が沸いてきます。
ただ、ゲテモノ料理に分類されるんでしょうけど、出来上がり具合は特に変なところもなく、普通に美味しそうな料理に化けており、その絵だけなら食欲沸いてくる出来栄えでした。見せかけでごまかしてはいるものの、想像していた完成図とはかけ離れいたため、少し肩透かしをくらった気分。油断してると中からびっくり素材が出てくることはありますけど。
読者の思いを代弁してくれるマルシルに同情。サイコパスレベルの魔物マニア・ライオス、掴みどころのない戦士兼料理人・センシ、常にドライなチルチャックといったように、仲間はみんなクセが非常に強く、魔物料理に積極的かそうでなくても取り乱すことはない人達ばかり。
そこで、ツッコミ、嫌がる役、読者の思いを代弁する役割を一手に担うことになった人物がマルシルです。ほっとくと何でもかんでも食べてしまいそうなライオスのストッパー的役割もありますね。
「ヤダー」「いやー」と泣いて青ざめながら毎回拒否の態度を示し、一見駄々っ子のようにも見えますが、でもそれが普通の反応ですよね。見てるこちらも「うわぁ・・・」「いやいや」「気持ち悪い」と思うことばかりなので、彼女のような代弁者がいてくれるのは読み進めていくためにもありがたい。
彼女はだいたい最初に拒否するんですが、空腹には逆らえず、そして魔力・体力のためにも結局恐る恐る口にし、その美味しさに陥落という流れが出来上がってます。
次第に慣れてきているマルシルさんですが、慣れきってほしくはないという思いが私の中にあります。駄々をこねて拒否し、でも美味しいと顔を綻ばせる感情豊かなマルシルさんがかわいいんです。むしろ可哀想なところが可愛いとさえ思ってます。
これまでにない斬新なファンタジー漫画、グルメ漫画でした。主目的であるファリン救出に対する緊張感・危機感が薄く感じたことは難点ですかね。テーマがダンジョン内でのグルメなので仕方ないところはありますけど。
様々なモンスターを用いてのグルメの数々は興味深く、知られざるモンスター特性(あくまで独自設定)も知ることができ、キャラクターも個性ある人達ばかりです。
今後、どんな料理やその素材になるモンスターが出てくるのか、ファリンの運命はどうなるのか、結末をどこに持ってくるのかなど、これからが気になる作品でした。他にはない面白さある新しい漫画ですのでよければ読んでみてください。
作者:九井諒子
あらすじ・概要
それはある小さな村から始まった。地鳴りによって崩れた墓地の底に空洞を見つけ、そこからかつて滅びた国の王を名乗る男が現れた。その男は国を滅亡に追いやった狂乱の魔術師を倒したものに全てを与えると言い残し、塵となって消えてしまった。この出来事から夢と野望を抱いた多くの冒険者たちがダンジョン攻略に乗り出す。
そんな中、最深部にまで到達したライオス率いるパーティ一行は、強大な敵・レッドドラゴンに挑むも、疲労と空腹も災いして壊滅状態に陥る。あわやのところでライオスの妹・ファリンが魔法を発動し、ダンジョンからなんとか脱出できたのだが、みんなを逃がしたファリンだけはドラゴンに食べられてしまった。一刻も早く救出して消化される前に蘇生魔法をかけるため、資金不足・装備不足のなか、自給自足でダンジョンを進むことを決める。そんな彼らが現地調達する食材は、他でもないダンジョンに蠢くモンスター・・・。
主要登場人物
・ライオス
主人公。トールマン(人間)の戦士。冒険者歴は3、4年と短いが、パーティのリーダーを務めています。仲間思いで柔軟な思考の持ち主。ドラゴンに食べられた妹・ファリンを一刻も早く助けるため、自給自足での挑戦を提案し決行。重度の魔物マニアでもあり、調べる内に食材としても興味を持つようになりました。
・マルシル
エルフの女魔法使い。金髪ロングヘアーの美しい女性。攻撃魔法から回復魔法まであらゆる魔法を習得しており、ファリンを助けるための蘇生魔法も可能。ライオスの魔物食には拒否の態度を示しているが、空腹には逆らえず毎回渋々食し、結果的に誰よりも美味しそうにしています。希少なツッコミ役。
・センシ
ドワーフの戦士。筋骨隆々の体格と見事な髭を蓄えています。センシはドワーフ語で「探求者」という意味。ダンジョンで10年以上自給自足の生活をしており、長年魔物の調理法を研究してきた魔物素材専門の料理人。希少な素材で作られた鍋を背負っています。ドラゴンを調理し食べたいという理由から同行。
・チルチャック
小柄な種族ハーフフットの鍵師。扉や宝箱の解錠、罠発見・解除を担う盗賊系の冒険者。子供のような容姿とは裏腹に年齢は29歳と大人であり、おそらくライオスよりも年上。パーティ内では最も落ち着きのある常識人。抜けるメンバーがいる中ライオス達に同行したのは、前払い報酬の契約に基づく責任感から。
・ファリン
ライオスの妹。回復・徐霊・補助魔法を得意とする僧侶。糸目が特徴の温和で優しい争いを嫌う女の子。マルシルとは魔法学校時代からの付き合いであり、彼女はファリンの魔法の素養の高さに気づいていました。冒頭でライオスを庇いドラゴンに丸呑みされてしまいます。
【eBookJapan】 ダンジョン飯 無料で立ち読みできます
感想
ドラゴンに丸呑みされた妹を一刻も早く胃袋から救って蘇生魔法をかけるため、資金不足により厳しくなった食料調達の解決手段として、現地調達(モンスター)することを決めた一行が、深部を目指しながら行く先々で倒したモンスターの素材を使って料理を食して行く物語。
ファンタジー&グルメという、個人的に好きな2つのジャンルの組み合わせに興味を引かれました。さらに、表紙の鎧で全身固めておきながら、手に持っているのはフライパンとフライ返しというシュールな絵面が気になり、ためしに1巻読んでみたら大当たり。現在、私の中ではかなり熱い作品の1つです。
『ダンジョン飯』というタイトルの通り、ダンジョン内での料理・食事を描いた作品。ただ、町で調達した野菜やら肉やらの食材をダンジョン内で調理するものではなく、現実の世界には存在しないモンスター素材を使ったファンタジーグルメ漫画です。間違いなく完璧な再現は不可能な料理ですね。
しっかりした世界観を構築している作品。ドラクエというよりウィザードリィのようなダンジョン攻略系RPGのファンタジー世界に、リアリティある生活観を付け足して描かれています。
この世界にはトールマンと呼ばれる人間、ファンタジーではおなじみのエルフやドワーフ、小柄で幼く見えるハーフフット、他にもノームやコボルトなど多種族が共存しているようです。
属性魔法や回復・徐霊魔法、さらに普通なら禁忌とされそうな蘇生魔法も度々使用されている場面があり、禁止されてるわけでも神官・僧侶に限定されているわけでもなさそうです。
ダンジョン内には様々なモンスターが次々と湧き出てくるので危険ではあるんですが、入り口の周囲には露天などが軒を連ね、冒険者ではない人の出入りも多く、蘇生魔法もあることからあまり殺伐とした雰囲気はありませんね。
登場するモンスターはスライムやミミック、バジリスクにマンドラゴラ、そしてドラゴンといった王道な皆さんが集まっており、生きるためにこいつらを食ってやろうという漫画。
主に調理はダンジョンに篭って研究をしてきたドワーフのセンシが行うわけですが、慎重に見えて豪胆でもあり、食材として使えるか自分自身で試してきたようなので、こんなやり方でよく10年も生き延びられたものだと呆れながらもちょっと感心。食べられるか食べられないかを判別できるまでにはかなりの犠牲を伴うことだと思うんですけどね。『迷宮グルメガイド』という本も出版されていることから、センシ以外にも魔物を食材として研究している人達はいるみたいです。どこにでも世界を広げるバカというのはいるものです。
料理に関しては調理工程やネーミングからは一切食欲沸きませんでした。当然使われる素材はダンジョン内を徘徊している前述で上げたようなモンスターです。バジリスクみたいな鳥系や歩くキノコならまだ分からなくはないんですが、動く鎧や人喰い植物はさすがにどうなの?と思ってしまいますね。人から養分を得て育った植物を人が食べるというのは、生命は循環するものだと理解はしていても強い拒否感が沸いてきます。
ただ、ゲテモノ料理に分類されるんでしょうけど、出来上がり具合は特に変なところもなく、普通に美味しそうな料理に化けており、その絵だけなら食欲沸いてくる出来栄えでした。見せかけでごまかしてはいるものの、想像していた完成図とはかけ離れいたため、少し肩透かしをくらった気分。油断してると中からびっくり素材が出てくることはありますけど。
読者の思いを代弁してくれるマルシルに同情。サイコパスレベルの魔物マニア・ライオス、掴みどころのない戦士兼料理人・センシ、常にドライなチルチャックといったように、仲間はみんなクセが非常に強く、魔物料理に積極的かそうでなくても取り乱すことはない人達ばかり。
そこで、ツッコミ、嫌がる役、読者の思いを代弁する役割を一手に担うことになった人物がマルシルです。ほっとくと何でもかんでも食べてしまいそうなライオスのストッパー的役割もありますね。
「ヤダー」「いやー」と泣いて青ざめながら毎回拒否の態度を示し、一見駄々っ子のようにも見えますが、でもそれが普通の反応ですよね。見てるこちらも「うわぁ・・・」「いやいや」「気持ち悪い」と思うことばかりなので、彼女のような代弁者がいてくれるのは読み進めていくためにもありがたい。
彼女はだいたい最初に拒否するんですが、空腹には逆らえず、そして魔力・体力のためにも結局恐る恐る口にし、その美味しさに陥落という流れが出来上がってます。
次第に慣れてきているマルシルさんですが、慣れきってほしくはないという思いが私の中にあります。駄々をこねて拒否し、でも美味しいと顔を綻ばせる感情豊かなマルシルさんがかわいいんです。むしろ可哀想なところが可愛いとさえ思ってます。
これまでにない斬新なファンタジー漫画、グルメ漫画でした。主目的であるファリン救出に対する緊張感・危機感が薄く感じたことは難点ですかね。テーマがダンジョン内でのグルメなので仕方ないところはありますけど。
様々なモンスターを用いてのグルメの数々は興味深く、知られざるモンスター特性(あくまで独自設定)も知ることができ、キャラクターも個性ある人達ばかりです。
今後、どんな料理やその素材になるモンスターが出てくるのか、ファリンの運命はどうなるのか、結末をどこに持ってくるのかなど、これからが気になる作品でした。他にはない面白さある新しい漫画ですのでよければ読んでみてください。
ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス) 九井 諒子 KADOKAWA/エンターブレイン 2015-01-15 売り上げランキング : 2304
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