2016年11月07日
【神無月の巫女】アニメ 感想&あらすじ 宿命に踊らされながらもそれぞれが愛を貫き通した百合作品
神無月の巫女
2004年10月から放送
監督:柳沢テツヤ
原作:介錯
脚本:植竹須美男、花田十輝
来栖川姫子の声:下屋則子
姫宮千歌音の声:川澄綾子
大神ソウマの声:間島淳司
あらすじ・概要
月には、朽ち果てた社があるの・・・。全ては、其処から始まった・・・。
まほろばの村にある私立乙橘学園に通う女子高生・来栖川姫子。いたって平凡な少女である彼女は、誰にも教えていないある秘密を持っていた。
それは、同じ学園に通う人気者・姫宮千歌音と友人関係にあること。文武両道、容姿端麗にして、生徒副会長を務めるお嬢様であり、学園では「宮様」と呼ばれ、男女共に親しまれている存在。接点なんてないように思われる2人だが、周囲の目を忍んで密かに交友を深めていた。
さらに、女子人気の高い男子生徒・大神ソウマとは幼馴染という関係にあり、2人の人気者と楽しい学園生活を送っていた姫子。しかし、16歳の誕生日を迎えたその日、遥か遠い過去に課せられた巫女としての宿命が動き出し、姫子と千歌音は過酷な戦いに巻き込まれていく。
主要登場人物
・来栖川姫子
本作の主人公兼ヒロイン。乙橘学園に通う高校生。太陽の巫女として選ばれました。少し気弱なところはあるが、素直で純粋な守ってあげたくなる女の子。両親は自己で亡くなっており、引き取られた先で受けた虐待が原因から髪に触れられることを嫌がっています。当初はソウマと良い仲にあったが、戦いの中で自分が本当は誰を愛しているのかに気づくことに。
・姫宮千歌音
もう1人の主人公。乙橘学園の生徒会副会長を務める高校生。月の巫女として選ばれました。頭脳明晰、運動神経抜群、非の打ち所がないお嬢様。宮様と呼ばれ学園一の人気者です。巫女として選ばれる以前か姫子のことを誰よりも愛しており、彼女に危害を加えようとする者には容赦しない怖さもあります。常に冷静な彼女だが、ソウマには嫉妬することも。
・大神ソウマ
姫子の幼馴染。優しく爽やかさもある熱血漢。容姿端麗の上に文武両道であるため、学園での女子からは「ジン様」と呼ばれる人気者。巫女の敵となるオロチ七の首として覚醒するが、想い人である姫子を守るためにオロチと戦うことを選びました。
・ツバサ
オロチの首領的存在。一の首。実力はオロチの中でも比肩のない強者。ソウマの実の兄でもあります。かつてはソウマの幸せを純粋に願う優しい兄だったが、ある出来事から性格は歪んでいき、覚醒してからは強行にソウマの思いを壊してでもオロチにしようと動き出します。
感想
前世から受け継いだ宿命を背負った2人の巫女と、想い人の為に定められた宿命に抗う少年が、再び脈動を始めた運命のなかで、それぞれが大切な者の世界を守るために戦う物語。
原作は全2巻からなる漫画。私は漫画の方は読んだことありませんが、内容・結末はアニメと異なるようです。
とにかくいろいろ詰め込んでみたら意外と面白くなった、みたいなアニメですね。
『学園』を舞台に、少女2人と少年1人の『百合』要素をふんだんに含んだ『三角関係の恋愛』。さらに『前世』の因果から『巫女』となった彼女たちが、覚醒したかつての敵の眷属と戦う『伝奇アクション』。そこに巨大『ロボット』や『熱血』要素まで取り入れた作品。
この全ての要素がうまいこと混じり合っていたかと問われると、はっきり言って「否」ですね。うまく作用している組み合わせもあれば、正直必要性をあまり感じられなかった要素までありました。下手するとカオスになりすぎて駄作として世に広がっていたかもしれません。
普通ならメインの見せ所になるであろうせっかく取り入れた『ロボット』要素が少々お粗末でした。非力な少女が戦うための手段として、そしてオロチとの戦いを盛り上げるためという点では多少役には立っていたんでしょうが、別にロボットでなくても全然問題なかったんですよね。それでも迫力あるロボバトルを見せてくれていたならまだ良かったんですが、どれもあっさり終わってしまい作画も微妙という残念な出来でした。
いきなり批判から入ってしまいましたが、それでも私がこのアニメを気に入っているのは、一部のキャラクターと、主軸となる姫子、千歌音、ソウマによる三角関係の愛憎劇、そして百合描写が素晴らしかったからです。
特に月の巫女である千歌音の、姫子に対して揺れ動く心情描写。これが1番の見所だと思ってます。「宮様」と呼ばれて親しまれながらも、近づきがたい高貴な雰囲気によって、孤独な日々を送っていた千歌音。
そんな彼女の前に現れたのがワンコのような姫子です。自分に対して裏表も打算もなく接してきた彼女は、褒められると素直に喜び、いじわるされるとシュンと落ち込んでしまう純粋無垢な少女。千歌音は同性でありながらそんな彼女に恋をします。
誰よりも何よりも姫子を愛しているけど、その想いを悟られないように親友として接し、彼女の笑顔を守ろうとする千歌音を見てると切なくなりますね。恋かどうか微妙なところですけどそれっぽい想いをソウマに抱いた姫子を応援しますが、そんな2人を見つめる彼女の姿は苦しくもありました。
この先の彼女の行動を書くと完全にネタバレになるので詳しくは控えますが、傍にいようと離れていようと、自分が傷ついてでも愛する姫子の笑顔を守ろうとする千歌音に、胸を締め付けられる切なさを感じながらも、その純粋な愛に心打たれました。姫子に危害を及ぼそうとする生徒を見つけたときの、殺意でも篭っていそうな鋭い眼光は怖かったですけどね。
姫子も正にお姫様という感じがして可愛かったです。ただ、もう1人の親友マコちゃんとのこと、千歌音ファンの嫌がらせ、敵のギロチというごつい変態に一目惚れされたりと、いろいろ痛い目にあいすぎて可哀そうな子でもありました。
当初はソウマと少し良い感じになりながらも、千歌音のある行動から彼女のことをより深く考えるようになります。自分の本当の気持ちを自覚してからは、気弱で流されがちの女の子だった彼女が、自分で覚悟を決めて歩みだし、苦しむ千歌音を包み込めるまでに成長していきます。この彼女の作品を通しての成長と変化も見所の1つでしょう。
ソウマはまさにヒーローアニメの主人公といった感じの少年。百合作品で煙たがれがれるどころか、むしろ好感すら覚え、さらに同情までしてしまう男キャラというのも珍しいですね。
「かっこいい」これに尽きます。姫子という想い人のため、宿命に抗って傷つきながらも戦う姿に惚れました。今思い返すと過去の酷い出来事や理不尽なお叱りを受けたりと、結構ひどい目にあってるはずなんですけど、文句言わず最期まで爽やか青年のままでしたね。故に、もう少しだけでも救いを与えてほしかった人です。
完璧なアニメとは到底言える出来ではありませんが、百合作品として見るなら私の中では最高傑作とも言える作品になってます。その百合描写でも若干引く箇所を含んでいながらも、彼女たちの深く純粋な愛を確かに感じました。
また、音楽の出来も素晴らしいです。オープニング曲:KOTOKO「Re-sublimity」、エンディング曲:KOTOKO「agony」、共に最高の曲。更に挿入歌も文句なし。曲のテンポはかっこ良く、それ以上に歌詞が素晴らしかったですね。
同性愛の作品に耐性のない人は避けるべきですが、百合好きな人にはもってこいの作品だと思います。興味ありましたら観てください。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5599987
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック