2016年09月05日
【十二国記】アニメ 感想&あらすじ 壮大な舞台で個々の葛藤と成長を描くファンタジー作品
十二国記
2002年4月9日、NHKにて放送
監督:小林常夫
原作:小野不由美
脚色:會川昇、藤間晴夜
中嶋陽子の声:久川綾
景麒の声:子安武人
楽俊の声:鈴村健一
あらすじ・概要
日本で生まれ育った普通の女子高生・中嶋陽子。ある日突然、ケイキと名乗る金の髪をした異国風の青年が教室に現れ、陽子の前で跪くと忠誠の言葉を口にし強引に盟約を結ばれる。戸惑う陽子であったが、さらに巨大な鳥の姿をした謎の生物の襲撃を受け学校は滅茶苦茶に。からくも退けることに成功した陽子は、一緒にいたクラスメイトの杉本と幼馴染の浅野と一緒に異世界に連れていかれてしまった。ケイキたちとはぐれてしまった陽子はなんとか村を見つけることができたのだが、村人に「海客」と呼ばれ捕らわれ役人に引き渡されてしまう。そこで杉本と再会することができ、そして自分の容姿が変わっていたことに気づく。ここがどこなのか、なぜ襲われるのか、分からないことばかりの世界で陽子の厳しい戦いが始まる。
登場人物
・中嶋陽子
髪が少し赤いこと以外は平凡な女子高生。目立つことを嫌い、あまり主張せず、人の顔色を伺うようなところがあります。日本では大人しい優等生でしたが、十二国では剣を振るい逞しく成長していきます。
・景麒
慶国の麒麟。多くの獣を従え、陽子を襲う敵から守ろうとします。慈悲深く慈愛に満ちてはいるんですが、生真面目がすぎるので融通が利きません。
・杉本優香
ファンタジーが好きな陽子のクラスメイト。彼氏の浅野と共に自ら望んで異世界に渡ります。そして十二国こそが自分の居場所だと思い込んでしまいます。
・楽俊
ネズミの半獣。温厚でお人好しな性格。巧国で行き倒れていた陽子を救い、この世界について教えながら雁国への旅に同行します。後に陽子の親友になります。
・尚隆
雁国の国主、延王。蓬莱(現在の日本)の出身。奔放な性格で自身の麒麟・六太や臣下を困らせることもあるが、治世500年を超える十二国でも屈指の名君。
感想
普通の女子高生だった陽子が本来生まれるはずだった世界へ王となるために連れていかれ、数々の敵の妨害を乗り越え玉座へつき、己の目指すべき国の姿を関わってきた多くの人や苦難の中から見出していく話。原作は小野不由美さんが著者の異世界ファンタジー小説です。一応小説の方もシリーズ全て読んでます。本作は「月の影 影の海」「風の海 迷宮の岸」「風の万里 黎明の空」「東の海神 西の滄海」の4作をアニメ化したものです。
まず引き込まれたのは壮大な世界観です。神のいる天界と人や仙が暮らす十二国と蓬山があり、妖魔があちこちに存在する地球上にはない世界です。ただ、両世界を行き来する手段や繋がる現象はあります。世界は12の国に分かれており、それぞれの国にいる王とそれを補佐し守護する麒麟と呼ばれる神獣によって治められています。王や一部の官吏は仙籍に入ることにより不老となります。あくまで不老であって首や胴を断たれれば絶命してしまうので不死身ではありません。他国への軍事的な介入は一部例外を除き天によって禁止されており、それを破ると「覿面の罪」により王と麒麟は崩御し国氏も変えられるため、国家間の紛争は発生しません。国家間での戦争がないのは良い反面、その国の王の助力嘆願がない限りどんな状態でも助けに行けないという厳しさもありますね。突っ込みどころはそれなりにあったんですけど、独特な設定をストーリーに上手く絡めて面白く活かされていたと思います。
ストーリーに関しては個人的に陽子が玉座につき目指すべき国を模索する「風の万里 黎明の空」が特に好きですね。「月の影 影の海」のときよりは逞しく成長してはいたんですけど、当初はまだ分からないことも多く自信が持てず、王としての仕事も官吏頼りになって民に目を向けることができずにいました。このままではいけないと思った陽子が市井に降りて様々な人々と関わって多くのことから学び、己で知ること感じることから成長していく姿はとても良かったと思います。この話でこれから先、陽子と深く関係を築いていく人達が多く登場します。主に陽子と祥瓊と大木鈴の3人娘の話ですね。
「風の海 迷宮の岸」では戴極国の黒麒麟・泰麒と禁軍左軍将軍・驍宗の話です。声を担当した釘宮さんの声と泰麒の無邪気さが相まってとてつもなく愛くるしいキャラになってました。それゆえに原作でのこの先に待つ苦難を思うとより一層辛くなります。
「東の海神 西の滄海」では延王尚隆が日本で六太と出会い王になるまでの話と、尚隆が登極してから20年後の話が描かれてます。ここはもう少し丁寧にもっと話数増やして作ってほしかったです。
特に陽子の話しでは胸が熱く昂ぶる面白さがあったんですが、難点もありました。世界観の壮大さをアニメストーリーでは活かしきることができていなかったのは少し残念。出てきた国は半分くらいだったかな?もったいなさすぎです。こじんまりさせるならもういっそ陽子主人公の話だけでよかったのでは?とさえ思ってます。ただそうなると、個人的に陽子と並んで好きな六太の話がなくなってしまうのは嫌だなとめんどくさいことを言ってみたり。元々原作は話によって主人公や時間軸が変わる作品なので、大変なのは分かるんですけどね。予算も足りなかったんですかね?とはいえ、それぞれのキャラの葛藤を抱きながら成長していく過程は丁寧に描かれていたので、飽きることなく見続けられましたけど。
丁寧な作画とこの世界をより壮大なものに引き立てている音楽は素晴らしかったです。OPの迫力ある曲調で既に惹き付けられてしまいますし、他の中国風の楽曲もどれも最高です。この十二国の世界を反映させたかのような曲の数々、これは文句なしで絶賛できます。
作画も非常に優れていて、美しい風景、迫力ある戦闘で魅せてくれました。キャラデザは少し特徴的でしてけど、私は好きでしたね。
人の葛藤を抱き苦悩しながらも成長していく過程を見事に描いた作品でした。最近では滅多にお目にかかれない全45話という長編作品でしたが、浅野って必要?など若干つっこみどころはあるものの、全体的には飽きることなく楽しめました。難点があってもこの作品の世界観とストーリーの魅力は損なわれるものではありませんでしたし、自信を持っておすすめできます。まあ私がおすすめするまでもなく有名な作品ですけどね。
できるならば「黄昏の岸 暁の天」も映像で見たいものです。
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