2018年12月06日
アラジン / ソーサラー
今宵は一人の男の物語をお聞かせしましょう。その男は身も心も貧しく、無気力で、皆から蔑まれる男でございました。
何も望まず、誰も愛さず。心には、ただ虚無があるばかり。
男は奇妙な縁に導かれ、魔法のランプを手に入れます。
ランプは男に、無尽蔵の富をもたらしました。男はその富に
より、愛を得て、地位を得て、果ては王にさえなりました。
かつて男を蔑んでいた者達は、掌を返して褒め称えました。
そして男の幸運を羨み、おこぼれを貰おうと、その足元に
跪きました。男の心はかつてないほど満たされておりました。
しかし、男は気付いていませんでした。富は幸せと共に、妬みや嫉妬、そして憎悪をもたらすという事に……。男はそれを、愛した妻の命を奪われてからようやく知ったのでございます。
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