2018年06月02日
赤ずきん / クラッシャー
「じゃあ、この手紙を忘れずに渡してきてね」お母さんから、ボクはお使いを頼まれた。森のむこうに住むおばあさんに届ける、パンとキイチゴのジャムと手紙を預かった。
「おばあさん、最近目が悪いみたいだけど、読めるかな?」
「大丈夫、まだまだ元気よ。それより、注意してほしいことがあるの」お母さんの顔がボクにぐっと近づいた。
お母さんの瞳の中にボクが映っている。少し笑顔のボクと少し不安そうなお母さんの顔を同時にみながら、ボクはお母さんの言葉をまっていた。「この赤い頭巾をかぶっていきなさい……」
「……母さんが子供のときも、おばあさんが子供のときもかぶっていたものなのよ」その頭巾は暖かく、お母さんの匂いがした。
ボクは嬉しくなる。それはどこか……血の匂いに似ていたから。
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