このマンガは「読書家だと思われたい女子高生が図書室で友達といろいろするコメディ」です。
当初は主人公はあまり読書に熱心ではないのですが、巻を追うごとに読書が趣味になり、とりあげられる作品も増えてゆきます。
古典的名著から話題作、ちょっとマニアックな作品まで各種取り揃えていて、このマンガを読むだけで読書通になれる(気がする)お得な本です。
「その女アレックス」は、4巻で取り上げられています。
作者はピエール・ルメートル。パリ生まれの作家です。
日本ではこの作品が初めての翻訳ですが、密かに致命的なトラップが仕掛けてあります。
じつは「アレックス」はシリーズ物の2作目なのです。お話の冒頭に、1作目に関する壮大なネタバレがあります。
未読の人は、できればシリーズ1作目の「悲しみのイレーヌ」から読むのが賢明です。文春文庫から出ています。
「その女アレックス」 ピエール・ルメートル 文春文庫 2014年初版 |
「その女アレックス」は、2014年に翻訳が出て、その年のミステリの各賞を総なめにしています。
ものすごく面白いのか、と聞かれると、ちょっと困る。
なかなか強烈なお話です。
冒頭、アレックスという女性が誘拐され、廃墟内に監禁されてネズミのエサにされかけます。
裸で木の檻に押し込められて、天井から吊るされ、ドブネズミ軍団がやってくるのが第1部。
極めて映像的な描写でテンポよく進みます。管理人は「JOJO」の荒木飛呂彦先生の絵柄で脳内上映しながら読み進めました。もっと言えば望月三起也の「ワイルド7」のテイストに近い。
警察の捜査班も、デブとチビと金持ちとドケチという実に「描き分けやすい」キャラです。
本の帯にもでっかく書いてありますが、「あなたの予想はすべて裏切られる」はずです。
いや、そんなことはないんだけどね。
結末については人によっては意見が分かれるかも。
舞台がフランスのパリで、フランスは重罪裁判には陪審制がとられていて、その前提で予審判事という司法官が存在するってことを予備知識として持っておくといいかも。
「バーナード嬢」のなかでは、読み終えた男子が「なかなかヘヴィな話だった・・・」といって友人の図書委員の女子に語り、最後に「読む?」と言って貸してあげるんだけど、オレだったらどうするかな。
相手がミステリファンなら貸す。
そうでなければそもそもこの本の話はしない。
合本 悲しみのイレーヌ その女アレックス 傷だらけのカミーユ【文春e-Books】【電子書籍】[ ピエール・ルメートル ] 価格:2,648円 |
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