2011年08月28日
「株の神様」も中国も救世主にはなれない。
陳満咲杜氏のコラムから引用。
「株の神様」も中国も救世主にはなれない。
次の危機はリーマン・ショックより深刻に!
http://zai.diamond.jp/articles/-/116908
■金急騰&ドルインデックスの「沈黙」が意味することは?
金について長く話してきたが、目的はもちろん、為替市場との比較である。
「QE3」の有無に関する憶測がマーケットを巡り、金価格が急騰し、その後に急落したにもかかわらず、ドルインデックスは極めて限定的な値動きにとどまっている。
そのこと自体は米ドル安の限界を示唆するサインと受け止められ、逆に、米ドル全体の「安定」が金価格の乱高下を助長したとも思われる。
まさに、米ドルの「沈黙」は金なりである。
よりマクロの視点では、米ドルの「沈黙」にしても、金の乱高下にしても、景気見通しがこれから悪くなり、いわゆる「二番底」といった景気後退への懸念が強いことの表れではないかと思う。
2008年の「リーマン・ショック」の時と同じように、本格的な景気後退局面では、米ドルと金の両方が買われ、株式市場は大きく落ち込む。
■「空売り禁止」ほど強烈なインパクトを持つ言葉はない
さて、8月25日(木)の報道によると、「株の神様」ことバフェット氏がバンク・オブ・アメリカの株を買い入れる意向を表明したが、市場のセンチメントは改善されなかった。
市場関係者の話によると、バーナンキ議長の話を待つよりも、ドイツが株式の空売りを禁止するといったウワサが効いていたようだ。
マーケットに携わる者にとって、「空売り禁止」ほど強烈なインパクトを持つ言葉はない。2008年に米国政府が金融株の空売りを全面禁止した際、その後、米国の金融セクターの株は48%も暴落した。
「空売り禁止」は、強烈なベア(弱気)相場のサインとなり得る。だから、「株の神様」の表明があっても、マーケットを支えきれなかったわけだ。
ユーロ圏ではすでに、イタリア、フランス、ベルギー、スペインが株の空売りを禁止している。だが、核心の大国であるドイツまでもが追随してくるとなれば、話は違ってくる。
つまり、よほど景気見通しが悪く、今後の株式市場の波乱は避けられないと当局が見ていることが推測され、さらなる「恐怖感」がマーケットに伝染する。
本来ならば投資家保護と市場安定化を図る政策なのだが、皮肉にも、現実は市場の不安をあおる材料となり得る。
この意味では、為政者の知恵はいつも時代遅れになりがちだと言えるだろう。
■「悪い米ドル高」に今から備えることが肝心
株の話ばかりで、皆さんの中には、また脱線したと思われる方もいらっしゃるだろう。
要するに、株式市場のパフォーマンスを考慮すると、2008年の金融危機の再来を彷彿とさせる節があるため、米ドル売りの限界がそろそろ来てもおかしくはないということだ。
そればかりか、結論から申し上げると、来るべき危機は2008年の「リーマン・ショック」の規模とインパクトを超える可能性すらあり、より深刻な景気後退に備える必要があると筆者は思っている。
したがって、金融市場における流動性の低下がより長いスパンで続くことになり、その分、米ドルが買われ、2008年よりもはるかに長い周期で上昇ウェーブを描くことになるだろう。
ただ、米ドルの上昇があっても、いわゆる「悪い米ドル高」となる。これは残念なことだが、米ドル高自体が変わらないのであれば、素直にそれを受け入れるしかない。
本格的な景気後退が避けられないのであれば、今からいかに危機に備えるかが肝心である。
■今回の景気後退はジワジワ進行していく可能性が高い
本格的な景気後退が避けられないと思う根拠を、次回のコラムから詳細にご説明していくつもりだ。
ただ、2008年の時とは異なり、今回は、中国が救世主となって大規模な財政出動に踏み切れないことは確かである。
よって、「救い」がないので、幻想は持たないほうがよいだろう。もちろん、「QE3」が実施されるようなことがあっても、救いにはならない。前回の「QE2(量的緩和政策第2弾)」の効果を見れば、一目瞭然だ。
2008年の危機と違い、今回の景気後退は急速なスピードを伴うものではなく、ジワジワ進行していく可能性が高い。
だから、劇的な変化よりも、知らず、知らずのうちに世界経済の巡航速度が落ちていく可能性が高い。
「株の神様」も中国も救世主にはなれない。
次の危機はリーマン・ショックより深刻に!
http://zai.diamond.jp/articles/-/116908
■金急騰&ドルインデックスの「沈黙」が意味することは?
金について長く話してきたが、目的はもちろん、為替市場との比較である。
「QE3」の有無に関する憶測がマーケットを巡り、金価格が急騰し、その後に急落したにもかかわらず、ドルインデックスは極めて限定的な値動きにとどまっている。
そのこと自体は米ドル安の限界を示唆するサインと受け止められ、逆に、米ドル全体の「安定」が金価格の乱高下を助長したとも思われる。
まさに、米ドルの「沈黙」は金なりである。
よりマクロの視点では、米ドルの「沈黙」にしても、金の乱高下にしても、景気見通しがこれから悪くなり、いわゆる「二番底」といった景気後退への懸念が強いことの表れではないかと思う。
2008年の「リーマン・ショック」の時と同じように、本格的な景気後退局面では、米ドルと金の両方が買われ、株式市場は大きく落ち込む。
■「空売り禁止」ほど強烈なインパクトを持つ言葉はない
さて、8月25日(木)の報道によると、「株の神様」ことバフェット氏がバンク・オブ・アメリカの株を買い入れる意向を表明したが、市場のセンチメントは改善されなかった。
市場関係者の話によると、バーナンキ議長の話を待つよりも、ドイツが株式の空売りを禁止するといったウワサが効いていたようだ。
マーケットに携わる者にとって、「空売り禁止」ほど強烈なインパクトを持つ言葉はない。2008年に米国政府が金融株の空売りを全面禁止した際、その後、米国の金融セクターの株は48%も暴落した。
「空売り禁止」は、強烈なベア(弱気)相場のサインとなり得る。だから、「株の神様」の表明があっても、マーケットを支えきれなかったわけだ。
ユーロ圏ではすでに、イタリア、フランス、ベルギー、スペインが株の空売りを禁止している。だが、核心の大国であるドイツまでもが追随してくるとなれば、話は違ってくる。
つまり、よほど景気見通しが悪く、今後の株式市場の波乱は避けられないと当局が見ていることが推測され、さらなる「恐怖感」がマーケットに伝染する。
本来ならば投資家保護と市場安定化を図る政策なのだが、皮肉にも、現実は市場の不安をあおる材料となり得る。
この意味では、為政者の知恵はいつも時代遅れになりがちだと言えるだろう。
■「悪い米ドル高」に今から備えることが肝心
株の話ばかりで、皆さんの中には、また脱線したと思われる方もいらっしゃるだろう。
要するに、株式市場のパフォーマンスを考慮すると、2008年の金融危機の再来を彷彿とさせる節があるため、米ドル売りの限界がそろそろ来てもおかしくはないということだ。
そればかりか、結論から申し上げると、来るべき危機は2008年の「リーマン・ショック」の規模とインパクトを超える可能性すらあり、より深刻な景気後退に備える必要があると筆者は思っている。
したがって、金融市場における流動性の低下がより長いスパンで続くことになり、その分、米ドルが買われ、2008年よりもはるかに長い周期で上昇ウェーブを描くことになるだろう。
ただ、米ドルの上昇があっても、いわゆる「悪い米ドル高」となる。これは残念なことだが、米ドル高自体が変わらないのであれば、素直にそれを受け入れるしかない。
本格的な景気後退が避けられないのであれば、今からいかに危機に備えるかが肝心である。
■今回の景気後退はジワジワ進行していく可能性が高い
本格的な景気後退が避けられないと思う根拠を、次回のコラムから詳細にご説明していくつもりだ。
ただ、2008年の時とは異なり、今回は、中国が救世主となって大規模な財政出動に踏み切れないことは確かである。
よって、「救い」がないので、幻想は持たないほうがよいだろう。もちろん、「QE3」が実施されるようなことがあっても、救いにはならない。前回の「QE2(量的緩和政策第2弾)」の効果を見れば、一目瞭然だ。
2008年の危機と違い、今回の景気後退は急速なスピードを伴うものではなく、ジワジワ進行していく可能性が高い。
だから、劇的な変化よりも、知らず、知らずのうちに世界経済の巡航速度が落ちていく可能性が高い。