ECB翌日物貸出残高が連日増加、銀行の資金繰り難への懸念高まる
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19623920110218?sp=true
2011年 02月 19日 00:28 JST
[フランクフルト 18日 ロイター]
欧州中央銀行(ECB)の流動性データによると、市中銀行がECBから借り入れている翌日物貸出残高は18日時点で160億0900万ユーロと前日から増加し、2009年6月以来の高水準となった。
貸出残高の急増は17日に続き2日連続で、市場では、ユーロ圏の銀行が深刻な資金繰り問題に直面しているのではないか、との懸念が高まっている。
ECBの翌日物貸出は、17日に150億ユーロ超に急増する前は12億ユーロ程度だった。ECBは、翌日物貸出の内訳は公表していない。
ECBは18日、市中銀行がECBから借り入れている翌日物貸出残高が高水準になっていることについて、コメントを拒否した。 貸し出しの内訳についても公表していない。
ECBの広報担当者は「それについてはコメントしない」と述べた。
トレーダーは、貸出急増の原因が深刻な資金繰りの問題なのか、もしくは単に銀行が毎週行われるECBからの資金供給で今週十分な金額を確保していなかったために起こっているのか、判断がつかずにいる。
ユーロ圏金融市場のあるトレーダーは「現在のこところ、銀行間市場で積極的に資金調達を行っている銀行や銀行グループはないことから、主要リファイナンシング・オペで何か間違いが起こった可能性が高い」と指摘した。
一方、イタリアの金融関係者は18日、ロイターに対して、市中銀行が欧州中央銀行(ECB)から借り入れている翌日物貸出残高が急増したことについて、テクニカル的なミスではなく、市場が完全には機能していないことを意味するとの見方を明らかにした。その関係者は、イタリアの銀行は市場での資金調達に問題ないと述べた。
翌日物貸出残高の急増により、ECBは、次回3月3日の金融政策会合で、金融市場向けの支援策を縮小もしくは延長するのか、より難しい判断を迫られる可能性がある。
トリシェECB総裁は、最近のインタビューで金融市場の健全性は改善したとの見方を示しているが、クアデン・ベルギー中銀総裁は今週、流動性支援策は依然として必要との考えを示している。
翌日物貸出残高が100億ユーロを越えたのは、過去最大となった2009年6月24日の287億ユーロ以来。