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2020年12月06日

三浦綾子の「道ありき」でうつ病を考える−病跡学へのアプローチ1

1 はじめに 

 三浦綾子(1922−1999)が自身の闘病生活を描いた「道ありき」は、24歳から37歳までの実生活を描いている。この論文は、「道ありき」に描かれた三浦綾子の病状からうつ病の様子を探ることにより、病跡学の分析を試みる。
 病跡学の参考資料として日本病跡学会の論集59号を使用する。その中にあるマックス・ウェーバーのうつ病に関する論文(高橋2000)は、うつ病に対して患者や家族がどのように対処するのか、うつ病者の行動や周囲の反応から考察を試みている。この論文もうつ病者(作者)の発病による影響や虚無感、周囲の人たちの対応、そして婚約者との死別を乗り越え綾子が三浦光世と人生を再スタートする回復の場面を中心に作者の病跡について考察していく。
 作家の執筆脳の研究は、基本的に人文と自然科学の調節である。まず、人文と情報の計算文学が来て、次に人文と医学から病跡学の考察となる。その際、理工や医学の専門家による購読の研究と内包の違いを説明するため、まず認知の柱をスライドさせて医学と調節し、次にフォーマットのシフトによるLの考察を試みる。信号の流れは、縦横共に分析、直感、エキスパートである。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』でうつ病を考える−病跡学へのアプローチ」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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