2022年09月01日
いわゆる日韓徴用工問題について
最近またニュースになっている、韓国のいわゆる徴用工問題について調べてみました。
2018年10月30日、韓国の大法院(日本の最高裁判所に相当)は、韓国人元労働者が新日鉄住金(現在の日本製鉄)に対して損害賠償を求めた訴訟の差戻し上告審において、同社の上告を棄却した。これにより、訴えていた元労働者4名(うち3名は死亡)に対して1人あたり1億ウォン(約1000万円)の賠償義務が確定した。
そして2019年1月9日、原告側による日本企業の財産の差し押さえ申請が認められた。
現在、資産の売却命令を不服とする日本企業の再抗告が審理中で、近く棄却により資産売却(現金化)の決定がなされる可能性があり、ニュースになっている。
これが決定されると両国にとって、断絶は決定的なものとなりかねない。
日本統治下の1941年から1943年までの間に朝鮮半島から旧日本製鉄に動員された韓国人元労働者4人は、まず1997年に大阪地裁に新日本製鉄(現在の日本製鉄)を訴えた。大阪地裁は損害賠償責任を否定し、2003年10月には最高裁で原告敗訴が確定した。つまり、日本での裁判は原告側敗訴で結審している。
4人は続いて2005年2月、ソウル中央地方法院(日本の地方裁判所に相当)に提起したが、2008年4月の第1審判決及び2009年7月の第2審判決では、いずれも原告が敗訴した。
しかし、2012年5月24日の大法院判決において、大法院は、1965年の日韓請求権協定によっても個人の請求権は消滅していないとの判断を示し、ソウル高等法院(日本の高等裁判所に相当)に差し戻した。
2013年7月の差戻し控訴審判決においても、ソウル高等法院は、2012年大法院判決の判断に沿って個人請求権は消滅していないとの判断を示し、不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した反人道的な不法行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、被告に対し、原告4人に1人当たり1億ウォンの支払を命じる判決を下した。
これを不服とした被告の新日鉄住金は上告を行ったが2018年10月30日棄却、2013年差戻し審判決が確定し、日本企業に元労働者への損害賠償を命じる判決が初めて確定した。
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日韓の戦後補償は、1965(昭和40)年の日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決している。いわゆる徴用工問題もこれに含まれる。
・日韓請求権協定に基づき、日本政府は無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時の韓国の国家予算の約1.6倍相当)を韓国に資金供与した。(最終的に日本は約11億ドルの経済援助を行った。)
・このうち3億ドルは韓国政府から元徴用工の家族らに支給される、というのが両国間の合意事項だった。
1961年5月の交渉で、日本側が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねたのに対し、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答、韓国政府が一括受領したうえで、その責任において分配するとした。
・しかし韓国政府が支払った戦時徴兵補償金は、死亡者一人あたりわずか30万ウォン(約2.24万円)であり、個人補償の総額も約91億8000万ウォン(当時約58億円)と、無償協力金3億ドル(当時約1080億円)の5.4%に過ぎなかった。
韓国政府は、残りの資金を経済発展のために流用した。この資金により、いわゆる「漢江の奇跡」に成功した。
2005年、盧武鉉大統領は、「徴用工問題は日韓請求権協定に含まれ、韓国政府が賠償を含めた責任を持つべきだ」という政府見解をまとめている。
以上。
1930年、日本にはおよそ30万人の朝鮮人がいた。多くは職を求めてやってきた貧困層だ。実際は、もっと多くの朝鮮人が日本への渡航を希望していたが、日本政府は「朝鮮人の日本への渡航は、恐慌下での日本人労働者を圧迫する」として厳しく制限していた。しかし 日中戦争が始まると、日本人労働者が戦争に動員されて国内が労働力不足となり、朝鮮から募集することになった。
募集の方法は3種類。
・企業による募集 企業と労働者による労働契約
・官斡旋での募集
・徴用
このうち戦時中徴用労務者として日本に来た者は245人のみ。
今回訴訟を起こした4人はいずれも徴用(徴用工)にはあてはまらない。
・第二次世界大戦中渡来した朝鮮人のうち、現在日本に居住している朝鮮人の大部分は、日本政府が強制的に労働させるために連れてきたものであるというような誤解や抽象が世間の一部に行われているが、事実ではない。
・昭和20年8月から21年3月までの間に、帰国を希望する朝鮮人は政府の配船によって約90万人、個別的引き揚げで約50万人が引き揚げた。
・政府は昭和21年3月には残留朝鮮人全員約65万人について帰還希望者の有無を調査し、希望者は約50万人いた。だが、実際に引き揚げたのは約16%の約8万人に過ぎず、残りの者は自らの意思で日本に残る途を選んだ。
(「在日朝鮮人の渡来および引き揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」から)
2018年(平成30年)11月1日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で、これまで日本国政府が使ってきた「徴用工」という表現をやめて、今後は「旧朝鮮半島出身労働者」を使うとした。
なぜ2012年の大法院の判決以降、司法の判断が変わったのか。
2011年に憲法裁判所が慰安婦問題について、「韓国政府が日本政府と交渉しないのは人権侵害で違憲」と判断。
この少し前から、アメリカなどで韓国の民間団体による慰安婦の像や碑の建設が相次ぎ、反日感情が高まっていたこともあり、実兄が斡旋収賄で逮捕されたり土地不正購入疑惑が発覚してスキャンダルに悩んでいた李明博大統領が、それに乗じて支持率を回復しようとしたのではないかという説がある。支持率が落ちた時に反日姿勢を取るのは、韓国の大統領の常套手段である。
日本はもっと毅然とした態度を取るべきである。
問題なのは、慰安婦問題も含めて、はっきりと否定しない日本政府であり、いつまでたっても日韓問題を清算できずにいるのは両国にとって不幸であると考える。
■参考資料
昭和34年7月11日付外務省記事史料「在日朝鮮人の渡来および引き揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」(高市早苗衆議院議員のコラムから)
https://www.sanae.gr.jp/column_detail415.html
国立国会図書館 【韓国】元徴用工への損害賠償を確定させる大法院判決
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11220554_po_02780114.pdf?contentNo=1
『誰も書かなかった 日韓併合の真実』豊田隆雄
「徴用工の勝訴」は用意周到に準備されていた 東洋経済オンライン 安積明子
https://toyokeizai.net/articles/-/246541
日本の補償5億ドルを流用…イチャモン大統領文在寅に徴用工被害者がマジギレ訴訟 President Online 麹町文子
https://president.jp/articles/-/37799
Wikipedia
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ひとことでまとめると
2018年10月30日、韓国の大法院(日本の最高裁判所に相当)は、韓国人元労働者が新日鉄住金(現在の日本製鉄)に対して損害賠償を求めた訴訟の差戻し上告審において、同社の上告を棄却した。これにより、訴えていた元労働者4名(うち3名は死亡)に対して1人あたり1億ウォン(約1000万円)の賠償義務が確定した。
そして2019年1月9日、原告側による日本企業の財産の差し押さえ申請が認められた。
現在、資産の売却命令を不服とする日本企業の再抗告が審理中で、近く棄却により資産売却(現金化)の決定がなされる可能性があり、ニュースになっている。
これが決定されると両国にとって、断絶は決定的なものとなりかねない。
経緯
日本統治下の1941年から1943年までの間に朝鮮半島から旧日本製鉄に動員された韓国人元労働者4人は、まず1997年に大阪地裁に新日本製鉄(現在の日本製鉄)を訴えた。大阪地裁は損害賠償責任を否定し、2003年10月には最高裁で原告敗訴が確定した。つまり、日本での裁判は原告側敗訴で結審している。
4人は続いて2005年2月、ソウル中央地方法院(日本の地方裁判所に相当)に提起したが、2008年4月の第1審判決及び2009年7月の第2審判決では、いずれも原告が敗訴した。
しかし、2012年5月24日の大法院判決において、大法院は、1965年の日韓請求権協定によっても個人の請求権は消滅していないとの判断を示し、ソウル高等法院(日本の高等裁判所に相当)に差し戻した。
2013年7月の差戻し控訴審判決においても、ソウル高等法院は、2012年大法院判決の判断に沿って個人請求権は消滅していないとの判断を示し、不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した反人道的な不法行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、被告に対し、原告4人に1人当たり1億ウォンの支払を命じる判決を下した。
これを不服とした被告の新日鉄住金は上告を行ったが2018年10月30日棄却、2013年差戻し審判決が確定し、日本企業に元労働者への損害賠償を命じる判決が初めて確定した。
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そもそも
日韓の戦後補償は、1965(昭和40)年の日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決している。いわゆる徴用工問題もこれに含まれる。
・日韓請求権協定に基づき、日本政府は無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時の韓国の国家予算の約1.6倍相当)を韓国に資金供与した。(最終的に日本は約11億ドルの経済援助を行った。)
・このうち3億ドルは韓国政府から元徴用工の家族らに支給される、というのが両国間の合意事項だった。
1961年5月の交渉で、日本側が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねたのに対し、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答、韓国政府が一括受領したうえで、その責任において分配するとした。
・しかし韓国政府が支払った戦時徴兵補償金は、死亡者一人あたりわずか30万ウォン(約2.24万円)であり、個人補償の総額も約91億8000万ウォン(当時約58億円)と、無償協力金3億ドル(当時約1080億円)の5.4%に過ぎなかった。
韓国政府は、残りの資金を経済発展のために流用した。この資金により、いわゆる「漢江の奇跡」に成功した。
2005年、盧武鉉大統領は、「徴用工問題は日韓請求権協定に含まれ、韓国政府が賠償を含めた責任を持つべきだ」という政府見解をまとめている。
以上。
以下は補足
1930年、日本にはおよそ30万人の朝鮮人がいた。多くは職を求めてやってきた貧困層だ。実際は、もっと多くの朝鮮人が日本への渡航を希望していたが、日本政府は「朝鮮人の日本への渡航は、恐慌下での日本人労働者を圧迫する」として厳しく制限していた。しかし 日中戦争が始まると、日本人労働者が戦争に動員されて国内が労働力不足となり、朝鮮から募集することになった。
募集の方法は3種類。
・企業による募集 企業と労働者による労働契約
・官斡旋での募集
・徴用
このうち戦時中徴用労務者として日本に来た者は245人のみ。
今回訴訟を起こした4人はいずれも徴用(徴用工)にはあてはまらない。
・第二次世界大戦中渡来した朝鮮人のうち、現在日本に居住している朝鮮人の大部分は、日本政府が強制的に労働させるために連れてきたものであるというような誤解や抽象が世間の一部に行われているが、事実ではない。
・昭和20年8月から21年3月までの間に、帰国を希望する朝鮮人は政府の配船によって約90万人、個別的引き揚げで約50万人が引き揚げた。
・政府は昭和21年3月には残留朝鮮人全員約65万人について帰還希望者の有無を調査し、希望者は約50万人いた。だが、実際に引き揚げたのは約16%の約8万人に過ぎず、残りの者は自らの意思で日本に残る途を選んだ。
(「在日朝鮮人の渡来および引き揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」から)
2018年(平成30年)11月1日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で、これまで日本国政府が使ってきた「徴用工」という表現をやめて、今後は「旧朝鮮半島出身労働者」を使うとした。
なぜ2012年の大法院の判決以降、司法の判断が変わったのか。
2011年に憲法裁判所が慰安婦問題について、「韓国政府が日本政府と交渉しないのは人権侵害で違憲」と判断。
この少し前から、アメリカなどで韓国の民間団体による慰安婦の像や碑の建設が相次ぎ、反日感情が高まっていたこともあり、実兄が斡旋収賄で逮捕されたり土地不正購入疑惑が発覚してスキャンダルに悩んでいた李明博大統領が、それに乗じて支持率を回復しようとしたのではないかという説がある。支持率が落ちた時に反日姿勢を取るのは、韓国の大統領の常套手段である。
結論
日本はもっと毅然とした態度を取るべきである。
問題なのは、慰安婦問題も含めて、はっきりと否定しない日本政府であり、いつまでたっても日韓問題を清算できずにいるのは両国にとって不幸であると考える。
■参考資料
昭和34年7月11日付外務省記事史料「在日朝鮮人の渡来および引き揚げに関する経緯、とくに戦時中の徴用労務者について」(高市早苗衆議院議員のコラムから)
https://www.sanae.gr.jp/column_detail415.html
国立国会図書館 【韓国】元徴用工への損害賠償を確定させる大法院判決
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11220554_po_02780114.pdf?contentNo=1
『誰も書かなかった 日韓併合の真実』豊田隆雄
「徴用工の勝訴」は用意周到に準備されていた 東洋経済オンライン 安積明子
https://toyokeizai.net/articles/-/246541
日本の補償5億ドルを流用…イチャモン大統領文在寅に徴用工被害者がマジギレ訴訟 President Online 麹町文子
https://president.jp/articles/-/37799
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