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2017年07月26日

数学でサッカーを分析します(サッカーマティクス)

 ≫ 『言葉の工房あとりえこばと』

サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」

 近年のサッカーの戦術の進化は目を見張るものがありますね。ついこの前行われたコンフェデレーションズカップの決勝戦『ドイツ対チリ』の試合はまさに現代サッカーを象徴するような試合でした。

 前線から強烈なプレスをかけてボールを奪い取ると同時に、手数をかけずに最速手順で相手ゴールを陥れる。そうした戦術を実現するために、現代では選手の育成段階から効果的なトレーニング法が採用され、試合ごとにチームスタッフによる徹底したデータ分析が行われて選手起用やフォーメーションなどが決定されます ...... というわけで、今回はかなり風変わりな書籍を紹介します。

サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」

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 題して『サッカーマティクス (Soccermatics)』。サッカーが大好きな数学者 David Sumpter氏が数学的手法を駆使してサッカーを分析した本です。たとえば、相手チームにボールを奪われたあと、1 人目は 2.5 秒以内、そして 2 人目は 5.5 秒以内にプレッシングをかけると再奪取率が高い、というマニアックな統計分析の結果が載っていたりします。テレビのサッカー解説でよく聞く「攻守の切り替えの速さ」を示す数字ですね。

 華麗なパスワークを誇る FCバルセロナのファンである人も多いと思います。そして実際にパス率 (1 分間当たりに通すパスの本数)が多いほど、得点が多いことが統計データで示されています。また GPS でパス分布を解析すれば、バルサのボールの運び方が実に効果的であることがわかります。David Sumpter氏の分析によると、特定の選手に依存する集中型よりも、分散型パスネットワークを持つチームの勝率が高いことがわかっています。

 他にも「試合に勝利した時の勝ち点はどうして 3 と決められているの?」(大昔は 2 でしたよ。年がばれるけど)とか、「メッシとロナウド、どちらが名選手なの?」というような、サッカーファンには興味が尽きない話題がたくさん載っています。ぜひご一読ください。香川選手と岡崎選手の動きを分析した「日本版特別序文」も収録されていますよ。

 ...... ところでコンフェデレーションズカップの話題に戻りますけど(この記事は 2017 年 7 月に書いています)、クラブチームならまだしも、(練習時間のとれない)ナショナルチームでもあれほどの戦術完成度がなければ世界で勝てないとしたら、これからの日本代表はワールドカップで相当な苦戦を強いられると思います。それをよく知っているハリルホジッチ監督も選手たちに「世界基準の高速サッカー」を植え付けようと必死です。でも試合では「とにかく縦に早く!」という監督の方針に対して「 ...... 縦ばかりに急いでも」という選手たちの戸惑いが見えるので、そのあたりを上手く融和させることができると、もっと良いチームになりそうな気がします。
   
posted by Blog Cat at 15:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学書籍
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