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2017年02月13日
「この世界の片隅に」見てきました
 昨年11月、名古屋にいる時から見に行きたいと思っていたこの作品。やっと時間が合って見に行く事が出来ました。若干、過度な期待をしていたところはありますが、淡々と進むストーリーに見る側の肩の力が抜け、そしてじんわりと心に沁みてくる作品でした。



 昭和の初期、のんびり屋の少女・すずが成長し嫁ぐころ。戦争が激化していき生活が苦しくなっていく中でも生きていく、生きていかなければならない時代を描いた作品。アニメではありますが、一種の記録映画と言っても良いほどの映画でした。

 で、この後に恒例の【感想:Start】〜【感想:End】となり、この間にネタバレの可能性がありますが…正直なところ、この映画は誰かの感想を聞くものでも語るものでもない、見た人がそれぞれで感じるべき映画だと思います。

 が、いちおうフォーマットに従って(笑)。

【感想:Start】

 年に数本程度、感想を書くのが無粋と思われる作品があります。傾向としては戦争映画が多いのですが、この映画は単に淡々と流れるストーリーを各自の感性で受け取るのが正解でしょう。ただ、一つだけ言えることはこの物語の舞台となった時代の背景をしっかりと理解して見ることが大切だと思います。

 その点ですずの旦那、周作が当時の男性としては亭主関白なところが少なかったけど。

 今の感覚で言えば幼い女の子が軍艦に興味を持つとか、主人公らが軍人さんガンバレ!とか、それを当時の意識などを理解したうえで見て、それでいて彼らの考えを否定するならそれも受け取り方、理解を示すもまた一つの正解。ただ、これを反戦映画と浅い受け取り方だけはもったいないと思いますが。


 あと、わずかの間ですが広島の草津に住んでたんで、ちょっとだけですが地理的な状況も分かり、知るはずもないのですが「あっ、ここかなぁ?」って風景も見て獲れました。

 それから劇中であったこまごました描写、理解できるのは戦時中を経験した両親を持つ我々オッサン世代が最後になるかも。まぁ、ドリフのコントなんかでも戦時中をテーマにしたものもあったんで。一升瓶に棒を突っ込んでいる描写や、電灯に黒い布を覆ってたりって、何なのかを若い人に伝えなきゃなぁ。(母曰く、終戦で電灯を覆っていた布を外した時、戦争が終わったんだなぁと感じたとか)

 改めてこの作品を見て感じたのは、当時の状況をしっかりと再現する映画がこれからも作られる事、その中では"当時の庶民感覚"による戦争賛美の描写も誤魔化さずに描いてほしいものです。この映画でも玉音放送を聞き、敗戦を知ったすずが「総玉砕じゃなかったのか!」と取り乱すシーンがありますが、彼女の戦時下で失ったものを考え気持ちを汲み取らなければ浅い見方しかできないでしょうねぇ。

【感想:End】

 最後に。この映画で淡々と流れる日常と、運命の日を知っている観客の目線のギャップは効果的な演出に思えますが、これを演出ととらえるのも間違い。否応なしに時間は流れ、後戻りはできない現実を受け入れるしか無いなか、これが過去に起きた出来事であることをしっかりと受け取るべきでしょう。

 そしてこの作品を見て、反戦への思いを抱くのは大事な事だとは思いますが、それと共に当時の人々の生活や思想、行動を否定・冒涜する事がないように願うばかりです。


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