2015年04月11日
チャッピ死す
老猫チャッピが死んだ
仕事に出るため身支度をしていると、
太い声で呼ぶ声が聞こえた。
単発なのでどこから発せられているのか解らない。
しばらくするとまたその声がする。
何の声なんだろう、と不思議に思った。
再び声がするので声の在処を探しに
家の中を歩き回る。
裏口辺りを伺うが、
何の変化も無いし気配も無い。
再び身支度のために台所に戻ってくると、
また、あの声がした。
声が発せられている元は
チャッピの家からだった。
中をのぞいてみると
チャッピが横たわり、
私の顔を認識すると
そーっと顔をのぞかせてきた。
何かつらそうである。
口には泡のようなものが着いていた。
目はうつろだ。
最近、身体がめっきり弱ってきており、
毎日のように嘔吐を繰り返していた。
消化能力もかなり衰え、
15歳以上用の専用食を与えても
消化不良を起こし嘔吐を繰り返した。
いま、いつものような身体の動きは全くなく、
横たわったまま顔をこちらに向け、
じーっと見つめているだけである。
急いでティッシュを取りに行き、
口の周りをぬぐってやるが、
顔を一回背けただけで次の動作が無い。
異常を感じたのですぐに息子を呼びに行く。
チャッピは息子(次男)がまだ幼い頃
2歳ぐらいだろうか、
その時に貰われてきた子だ。
息子はあと三日で二十歳になる。
息子とは大の仲良しで、
終始一緒にいたものだ。
幼稚園の車での送迎には
いつも車の中で待っていた。
外に出るのはこの時ぐらいで
ひとりで外に出ることは一切無かった。
私とはいつも喧嘩していたが、
いつも息子に抱かれて幸せそうだった。
呼ばれた息子も驚いたように猫の家をのぞき込み、
そしてその姿を認めた。
チャッピは大分歳を取っているし
今は生気も感じられないので、
もう駄目だろうと息子に告げた。
目はうつろで身動きもせず
横たわっている。
呼吸もしているのかしてないのか解らず、
半開きの目は私を認識しているのだろうか。
しばらく頭や身体をなでてやっていると、
目は閉じられた。
とうとうチャッピは死んでしまったのか。
チャッピの家の中が少し汚れていたので、
息子に掃除をさせ最後の介護を頼んだ。
猫の家はきれいになり
安らかに眠っているだろうと見てみると、
お腹の辺りが動いている。
うっん、まだ生きている!
しかし呼吸は復活したものの
身体は固まったままである。
最後にちょっとだけ吹き返したのだろうか。
少しは持ってくれるかもしれない。
私は仕事に出た。
夕方、妻が帰宅し私の電話を鳴らした。
「チャッピが死んじゃった。
何で連絡してくれなかったの。
最後にだっこしてあげたかったのに」
涙声で妻は訴えた。
息を吹き返した時、
このまま生き続けられるとは
思ってはいなかった。
そうだ、
なんで電話してあげなかったんだろう。
18年一緒に暮らした家族だったのに。
でも、それはもう元には戻せない。
安らかに
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