初めて知ったのは、伊丹十三さんのエッセイだったような気もするが、もはや定かではない。
大学生の頃(つまり、今から45年以上も前なのだが!)に、どんな食べ物なのだろう?と想像力を膨らませていたが、その当時は、まだ食べられるお店等ほとんどなかったと思う。その名前には、妙に憧れをかきたてるような響きがあった。
その後、村上春樹さんのエッセイにも出てきたような気がするが、これもまた定かではない。(何しろ私は、読んだ本の事も、見た映画のことも、あまり覚えられないという人なので・・)
1995年に、ヨーロッパに1ケ月ほど出張する仕事があって、その時に、ついに憧れのウィンナシュニツェルを、たぶんジュネーブで食べたのだが、チーズの風味のする薄いカツといいうような印象だったように思う。
以来、日本国内でも、それを供するお店があちこちに出てきたから、それなりに流行った時期もあったのだと思う。だいたい共通しているのは薄いカツという点で、村上さんは、刻んだゆで玉子が上に載っているとか色々定義にこだわっておられたようにも思うが、これも定かではない。
あれから20年以上が経ち、肉を叩いて薄くしたものを少ない油で揚げ焼きするシュニッツェルは、私の定番料理となっている。
今夜は、豚ヒレ肉を叩いてのばし、パルメジャンチーズを混ぜたパン粉を付けて、オリーブオイルで揚げ焼きしたものを食べた。まあ、シュニッツェルもどきではあるだろう。
料理は、様々な記憶によって形作られ、心と記憶に残っていく。
伊丹さんとハルキさんと、ジュネーブの出張、そして、それらが組み合わさって、私の定番料理としてのウィンナシュニッツェルが、今は食卓に上がっている。
そんなことを思いながら、今日も美味しく食事を頂いた。きわめてささやかな幸せであるが。
#ウィンナシュニッツェル
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