冷凍庫に、カマスが残っていたような気がしたので、それを焼こうかと思って冷凍庫を開けたら、カマスの隣にイワシの干物が残っているのを見つけた。
イワシの干物は好物なのだが、60歳を過ぎてから血圧が徐々に上がりだし、なんとなく食べるのを控えるようになっていた。また、最近は、パンを自分で作るようになって、夕食がパンとワインにあうような洋風のものになることが多くなってきたこともあって、以前よりも和食の比率は下がっていた。
しかし、今夜は、根菜の煮物がお酒を呼び、焼き魚を呼んでいた。カマスのつもりが、食べ損ねて残っていたイワシの干物に決定した。氷見産のイワシの干物である。
広辞苑には、「氷見いわし」という一項目がある。つまり、ただのいわしではなく、「ブランドイワシ」として認められていたものなのである。それは、江戸時代にまでさかのぼることのできるブランドいわしであった。
我が家の広辞苑は、昭和41年の版である。中学の頃から、「わからないことがあったら広辞苑をひけ!」というのが父の教えであった。私も大学受験の頃までその教えを守った。
その古い広辞苑の中にも「氷見いわし」はちゃんと記載されている。同じ並びの「氷見」の説明のところでも名産の氷見いわしが紹介されている。
ということで、今夜の私の晩酌の肴は、氷見イワシの干物(県人は、ひいわしと称する)、おから、湯豆腐、焼きのり、根菜の煮物、エベスにおからなど。富山の由緒正しき飲んべえの晩酌ラインアップだろう。そして、酒は立山。これをもはや貴重な立山の耐熱ガラス徳利に入れて飲るのだ。これは父から受け継いだ徳利である。お湯に入れてそのままお燗もできるこの徳利を、父もずっと愛用していた。
ああ、久しぶりの日本酒とひいわしの組み合わせのなんと旨いことか!氷見イワシの旨さにあらためて感動する。血圧よ、今夜くらいはどうか多めに見てくれ。
#氷見イワシ
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