その思いが届いたのか、北陸にしては珍しく、中秋の名月の今夜は、すっきりと晴れた夜空となった。8時頃に見た時は、まだ高度が低くて見えなかったが、10時過ぎにはお寺の鐘楼の上に、美しい月を見ることができた。
中秋の名月とは、旧暦の8月15日の月のことである。だから、必ずしも満月とは限らないらしいが、今夜は満月でもあるそうだ。
中秋には、仲秋という字もある。今まで特に深く考えもしなかったが、「仲秋」とは、秋を初秋(旧暦7月)、仲秋(同8月)、晩秋(同9月)の3つに区分した場合、旧暦8月全体を指す言葉で、 対して「中秋」とは「秋の中日」=陰暦8月15日のみを指すそうだ。
北陸は、この時期は秋雨や曇り空など、天気の悪い日も多く、東京に比べて、すっきりと晴れることは少ないように思う。
それだけに、今宵の月は、久しぶりに見る美しい月であった。
わが家の向かいは、江戸から続く古いお寺である。その本堂の大屋根に、月光が美しい光を映している。
家の前の道は、実は、旧北陸道なのだが、夜になると人通りもほとんどなくなる。
街灯も少ないので、月明かりを感じることができる。
電気のない時代には、満月の明かりはどれほど心強いものであっただろうか。
月の満ち欠けに注意を払い、次の満月までの日数と方角や高度を気にするようになることは、夜の闇が深い時代では当然のことかもしれない。夜の中で、じっと月の動きを眺めながら、その中に一定の法則を導き出し、暦と関連づけた昔の人々。
昼を照らす太陽と、夜を照らす月。世の中を明るく照らしてくれる自然の光には、神が宿るように思えたのも納得できる。
コロナの闇を消して、世界を明るく照らし、未来を見通せるようにしてくれるものが出て来てほしいと、今宵の月を見上げながら日本中の人が思っているかもしれない。
#中秋の名月
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