石破さんは、出馬をやめて河野氏を支援する方向に動きつつある。我が道を行く人柄ゆえ、大きなまとまりが生まれなかった石破氏のカラーと、党内の力関係から、見送ることを選場ざるを得なかったのか。確かに彼が出れば票は割れて、さらに混戦が深まる可能性はあったが。
高市氏は、阿部さんからの支援を得るような流れもあってか、思いのほか支持率が高くなってきてはいるが、結局は、3番手で、河野さんと岸田さんの決選投票になる可能性が高いように思う。
(日経新聞より)
まあ、私は評論家ではないので、個人的に勝手な感想を言っているだけだが、この国は長年にわたって保守政権のもとで官僚が協調する政治構造で動いてきた。そうした流れの中で戦後の経済成長も進んできたのである。
自民党から野党が政権を取った鳩山内閣、そして菅(かん)総理時代には、福島原発の事故が起き、政治と社会システムの連携がうまく取れず対応が機能しなかった。そこには、霞が関の官僚組織と保守政権とのバランスが、野党に変わってうまく回らなかったという事実があった。たまたま総理になった人など、何人かの政治家の奇妙な個性だけが空回りをしていた。少なくとも政権としての組織的な動きではなかった。
時代が変わり、政治構造も投票構造も確かに変化している。何よりもマスメディアが政治に与える影響が大きくなっている。かつては、政治家やその取り巻き組織と、自治会など庶民の生活とが密接に関わっていた。今ではそうした政治構造も余り力を発揮できなくなっている。むしろ、発言力の大きいニュース番組のコメンテーターの意見を聞きながら、政治の行方や投票行動を考える人が増えている。
しかし、実質的な国のトップを決める自民党総裁選は、国民が投票するわけではなく、いつも微妙な政治的力関係の構図の中で動いて着地する。菅政権は、安倍さんからの継承政権として、党内で比較的うまくコンセンサスを得て成立したが、コロナとオリンピックが、多少は有能だったはずの政治家の動きを封じ、手詰まりにしてしまった。このタイミングで総理になったという点は、不幸であったといえる。
総裁を選ぶこととあわせて、幹事長など今後の党内人事をどうするかということもにらみながら、様々な思惑の中で、党内をまとめていくための画策が行われ、最終的に着地していく。その構図は、戦後政治の中で大きくは変わっていない。タイミングとパワーバランスの動きの中でも、結局は保守政党として党内でいちばん波風の立たない構図に落ち着いていくことが多いのだ。
この政治構造は、残念ながら今もあまり変わらない。皆さんからの批判を恐れずに言えば、鳩山政権と菅(かん)政権をのぞけば、日本があまり大きな社会構造の変化も起きずに、平和に推移している世界的にも稀有な国である理由は、実は確かにそこにあるのではないか。
小泉首相時代のように、当主が変わって大きな変化が起きることもまれにはあるが、さて、今度はどうなるのだろうか?
#自民党総裁選
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