学生生活実態調査の概要報告に基づく内容で、ラジオで取り上げていたのは、その中でもサークル活動が危機に瀕しているということにフォーカスしていた。
数日前に、マスク生活がもたらしたこと、というタイトルで、マスクによる生活変化について書いたが、大学生活も本当に大きな影響を受けていると思う。
コロナ禍での生活は、2年ほどにも及んでいる。つまり、今の大学1年生や2年生は、従来のような大学生活をまったく過ごせていないということだが、アルバイト収入等の変化や生活変化、そして心理的な変化などの実態が、この調査であらためて浮き彫りになっている。
象徴的なのが、大学生活は充実しているか?という設問に対する回答である。
(生協調査資料より)
コロナ前までは、1年から4年までほぼ9割近くの人が、まあ充実している、充実していると回答している。ところが、今回の調査回答では、そう答えた人が、1年生では、実に60%にも満たない。2年生でも80%以下と減っている。
大学生活を充実させるものは、当然勉強すること、そしてサークルなどを通して共通の趣味や志向のある人たちと知り合って友人を作っていくことが大きな要素である。何よりも人と知り合うことの意味は、その後の人生において大きな意味をもたらしてくれる。
私自身も、授業を通して知り合った友人と、音楽サークルで知り合った友人・先輩が、大学時代の人間関係、そして今でも、大きな存在となっている。
それが、リモート授業がほとんどで、サークルの活動も実質ほとんど行われず、新入学時の勧誘活動もこの2年は、あまり行われていないようだ。サークル活動の雰囲気ややり方、伝統なども、直接会って練習したり議論したりという機会がほとんどなくなって継承されないために、仮に1~2年生が、サークルに所属していても、現在の3~4年生からそうしたことを直接対面して教わったりする機会もほとんどなくなっているわけである。そうなれば、サークルの存続自体も難しくなってきているというわけである。
また、コロナによって親御さんの仕事がうまくいかなくなったり、会社を辞めたりしていることも多くなり、学費が支払えずやむなく中退する学生も増えているという。
この数年間が、全国の大学生に与える影響は、就職といったことだけでなく、その先の日本の未来にも関わる教育における大きな問題ではないかと痛感した。しかし、具体的な打つ手を思いつけない。コロナの収束を早め、ワクチンだけでなく治療薬を開発し社会生活の復活を目指す以外に、本来的な大学生活が戻ってくる道はないだろう。
*大学生協調査資料は、こちら:https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html
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