幼なじみが絶対に負けないラブコメ 1巻 / 二丸 修一
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<登場人物の紹介>
・志田黒羽(しだ くろは)
主人公、丸末晴の幼なじみ。この作品のタイトルは『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』だが、この『幼なじみ』というのは多分このキャラ。(一応、他にも『幼なじみ』と言える女子キャラが何人もいる)
末晴と家が隣同士。末晴ととても仲が良く、お互いの家に通うような仲だったが、黒羽の方から末晴に告白し、末晴は振ってしまったため、気まずい関係になっている。(でもすぐに元のような仲になった)
四人姉妹の長女だが、四人の中で一番背が小さい。身長148cm。
主人公のことを『ハル』と呼び、ハル(本名は末晴)のお姉さんとして振舞っている。でも実際は同い年でクラスメイト。
・可知白草(かち しろくさ)
主人公・末晴のクラスメイトで、小説家。
末晴が恋をしている思いの人。普段はツンツンと冷たい態度だが、末晴の前では笑ったりもする。
・丸末晴(まる すえはる)主人公。志田黒羽から告白されたがフッた。可知白草が好き。
母親を事故で亡くし、父親は忙しくて家にいない。
そのため普段は家に一人で暮らしている。でもお隣の幼なじみの志田家(4人姉妹)と仲が良く、長女の黒羽はよく末晴の家でカレーを食べたりしてる。
・甲斐哲彦(かい てつひこ)
主人公・丸末晴の悪友。イケメンだがカス。女と男は騙し合う物と思っている。主人公の学校内でクズ人間であることが知られていて、女子たちは軽蔑の目で甲斐を見ている。悪いことをしても人に謝らない。
本人いわく、「百人以上の女から本気の本気で"死ね"と言われた」
<主人公は、幼なじみから告白されて振っている>
物語開始時点で、主人公の丸末晴(まる すえはる)は、幼なじみで家がお隣さんである志田黒羽(しだ くろは)から告白されていて、それを断っています。
末晴はクラスメイトの可知白草(かち しろくさ)が好きでした。
白草は高校生でありながら小説家で、『芥見賞』という賞もとっています。また容姿も優れて雑誌のグラビアもやっているという、学校のアイドル的存在でした。
<可知白草に彼氏が!復讐だ!>
白草に恋していた末晴ですが、白草が三年生の阿部先輩と付き合いだしたことを聞きました。三年の阿部充(あべ みつる)先輩は、父親が俳優で自身も俳優としてデビューしたイケメンです。
(白草も現役高校生の小説家として少し有名人なので、二人は芸能関係で接点があった)
末晴は学校からの帰り道、失恋の悲しみで一人泣いてしまいました。
そんな様子を見ていた黒羽が声をかけてきて、末晴は白草のことが好きだったことを明かしました。
そこで、普段は明るく優しいお姉さんキャラである黒羽から、『――ハル、復讐しよう』と、彼女らしくない発言が飛び出しました!
――――――(末晴と黒羽の会話)
「俺を振って幸せになろうという可知白草! そんなビッッッチ! 許せるわけがない!」
「別に可知さん、二股かけてるわけじゃないからビッチじゃないと思うけどね」
「そして阿部充(あべ みつる)! イケメンが何の努力もせず、おいしいところばかり持っていくなんて、そんなの許されることか! 天が許しても俺が許すわけにはいかない!」
「まあ阿部先輩も努力してないってわけじゃないと思うけど」
――――――
「協力するよ、ハル。最低でもいいじゃん。だってその二人はすでにハルに最低なことをしてるんだよ? ならおあいこでしょ?」
――――――
白草にとっても阿部先輩にとっても、理不尽な逆恨みでしかありませんが、こうして主人公の勝手な私怨で、最低な復讐をすることが決まりました。
<阿部先輩には演技で勝負!>
末晴はどうやって復讐を果たすのか、まずはそこからです。
はじめのうちは、新聞部の協力という形で阿部先輩のことを聞いて取材して周り、弱点や汚点を探っていました。(しかし阿部先輩はいい人だという意見ばかりだった)
そうして阿部先輩のことを嗅ぎまわっていると、阿部先輩本人が末晴に声をかけて来ました!
阿部先輩は末晴を挑発し、二人は険悪な雰囲気になります。阿部先輩は末晴が白草を好きだと知っていました。
――――――
阿部先輩:「今、僕と白草ちゃんの関係は、公にしていない。まあ白草ちゃんが言っちゃったから、広まりつつあるけど、事務所の意向とかもあってね、僕は言葉を濁している。そこで僕は”告白祭”で再告白することにした。これだけの人数の前で公になれば事務所も取り消せないし、過去の思い出なんて”告白祭”で告白すれば吹っ飛ぶって寸法さ。わかるかな? それが君の初恋のタイムリミット、というわけさ」
―――――
末晴の高校では学園祭が近付いていて、その学園祭の行事の一つに、『告白祭』という物があります。 これは生徒たちがステージ上で異性に告白するイベントで、告白する生徒はとても勇気がいる代わりに成功率は高い、ハイリスクハイリターンな企画です。
阿部先輩は、白草との恋人関係をそこで決定づけるつもりのようです。
実は、主人公の丸末晴は演技の天才で、小さな頃にテレビの子役役者としてドラマに出演し、一大ブームを起こした実績があります。
末晴は阿部先輩に対抗して、文化祭に何らかの演者として出場することにしました。
末晴の悪友である甲斐哲彦(かい てつひこ)が協力し、更に末晴がする演技の台本を、白草に書いてもらうことになりました。
白草にお願いすると意外にも快く承諾してくれて、話はスムーズに進みました。
<発作を起こす主人公(丸末晴)>
末晴は現役の頃の勘を取り戻すため、読み合わせの台本で演技の練習をしましたが、過去のトラウマがフラッシュバックし、声が出なくなり体が震え、吐き気を催し倒れてしまいました!
(ここから末晴の過去の話)
末晴の父親はスタントマン、母親は売れない女優でした。
父親も母親も熱心に俳優を目指していましたが、父親は一向に目が出ず、劇団の繋がりで紹介されたスタントマンの仕事の方が評価され、やがて専門でやるようになりました。
母親は容姿はそれなりに整っていましたが、女優としての華が無く、結婚して末晴を産みました。
やがて末晴は子役タレントとして頭角を現し、末晴の母親も、そのオマケとしてドラマに出演できることになりました。
夜9時からのドラマに出演できることに母親は大喜び。 役もそのまま末晴が演じる子供の母親役で、第1話で事故で死んでしまう役でした。
そして末晴の母親は、そのドラマ撮影の事故のシーンで、本当に事故死してしまいます。
スタッフの側に不備はありませんでした。ただ、母親の迫真の演技ゆえに、彼女は本当に事故死してしまうような倒れ方をして頭部を強打してしまいました。
以降、末晴は演技ができなくなり無期限休養。6年経った今でもその休養は続いています。
<文化祭(告白祭)、本番!>
末晴は、子役タレントだった時期に「シロー」という友達がいました。
末晴が急に業界から退いたこともあり、シローとはしばらく会っていませんでしたが、そのシローが文化祭に来てくれました!
シローは末晴(『スーちゃん』と呼んでいる)に認めてもらいたくて、小説家としてデビューしたと伝えられます。
――――――
シロー:「ずっと、スーちゃんに認めてもらいたかったの」
「努力して……努力して……勉強して……鍛えて……綺麗と言われるように研究して……」
末晴:「……ん? きれ、い……?」
「えっ、シロー……ふぁっ!? 可知……!?」
――――――
末晴は気づきませんでしたが、可知白草の正体は幼なじみの『シロー』でした。末晴は全然気づいてくれなくて、白草は悲しい思いをしていたようです。
(末晴はシローが男だと思っていた)
(以下、告白祭!白草に告白?)
末晴はステージ上で何か演技をしようと思っていましたが、台本を作っている白草からの提案で、告白祭の時、阿部先輩がライブをやる予定なのでそこに末晴が乱入しようという話になりました。
どうして恋人から再告白される立場である白草がこんな提案をしたのか、どうして付き合っている阿部先輩の妨害をするような提案をしたのか、彼女の真意は分かりません。
黒羽からも怪しいと警告されましたが、末晴はこの提案に乗りました。
そして告白祭。羽部先輩の告白ステージが始まりました。
――――――
「キャーーッ! 阿部先輩――――ッ!」
「やだぁぁぁ! あだじに告白じでえぇぇぇ!」
阿部先輩:「僕、口下手なので、うまく伝えられないかもと思って……歌と踊りを見せたいと思います」
「――可知、白草ちゃん」
「君にこの歌を送ります。曲はアシッドスネーク……『チャイルド・スター』」
――――――
阿部先輩が歌ったこの曲は、末晴が子役時代に歌い、踊り、『まるちゃんダンス』と呼ばれ大人気となり、一世を風靡した曲でした。
阿部先輩の歌もなかなかでしたが、役者の天才・丸末晴、しかも当時歌って踊っていた本物に敵う道理はありません。
乱入してきた末晴の歌とダンスは生徒たちのハートをつかみ、大騒ぎになりました。
そして阿部先輩の告白の場を散々荒らした挙げ句に白草に告白する流れでしたが、末晴は予定と違う告白をしました。
――――――
「――可知白草さん」
「は、はいっ!」
「あ、いや、違うな、言い直す。……シロ」
「……スーちゃん」
「俺はお前のこと――」
「――好きだった」
「えっ……?」
「好きだったから、お前が阿部先輩と付き合い始めたって聞いたとき、凄くショックを受けた。こうしてまた舞台に戻ってきたのは、なんてことはない。阿部先輩への対抗心からで、もっとぶっちゃけてしまえばお前や阿部先輩への復讐心からだった。でもそうこうしているうちに気がついたんだ。自分のもっとも大切なものに」
「――志田黒羽!」
「好きだああああぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁ!!」
――――――――
末晴は白草ではなく、最終的に黒羽を選んで告白しました! しかし……
――――――――
「――クロ! 好きなんだ! 俺と付き合ってくれ!」
「――ヤダ」
「……………………………………………………………………………………………………えっ?」
「俺と付き合うの……ダメ?」
「――ヤダ」
「……マジで?」
「マジマジ」
「………………」
「………………」
「なんでじゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
――――――――
黒羽が一瞬だけしてやったりの顔をして、黒羽の初恋の復讐が完了しました。
<エピローグ>
「う〜〜怖いよ〜〜女の子怖いよ〜〜」
黒羽に告白を受け入れてもらえると思っていた末晴のショックは大きく、今回の件は一生物のトラウマとなってしまいました。
告白祭の前、末晴と黒羽は白草に見せつけるために『付き合っていたフリ』をしていました。
そして後になって、白草と阿部先輩も同じく、末晴の気を引くために付き合っていたフリをしていただけだったと発覚!
・末晴から見れば白草を阿部先輩に取られ、
・白草から見ればその後に好きだった末晴を黒羽に取られ、(ただの付き合っていたフリだったが)
・黒羽は最初に末晴にフラれています。
そして3人のその恨みは、
・白草は阿部先輩と付き合ったフリをして復讐し、
・末晴は最終的に白草ではなく黒羽に告白して復讐し、
・黒羽は最後にその告白を断って末晴に復讐しました。
3人とも相思相愛だったのにも関わらず、盛大にこじれた結果、末晴はどちらとも結ばれないという残念な結末を迎えました。
末晴は最初に黒羽の告白を断っていました。その悔しさや恨みはこっそり黒羽の中に残っていたようです。そして最後に黒羽は末晴のことを振ってしまいましたが、黒羽はそのことをとても後悔しています。つい魔が差して告白を断ってしまいましたが、黒羽も末晴のことが大好きなままでした。
(『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』1巻のネタバレ・あらすじ)