こうした中、政権を支えてきた麻生太郎党副総裁は岸田首相に今春の訪米後の退任を迫り、茂木敏允幹事長への交代を画策している。
志公会(麻生派)と平成研究会(茂木派)は立件しなかった特捜部の捜査は、この流れを後押しするものだ。
首相を辞めたくない岸田が、形勢を一気に逆転しようと打った大博打が、出身派閥の宏池会を率先して解散、そこに清和会と志師会を同調させ、更にはかねて派閥に対して批判的であった菅前首相と手を組んで、「派閥解散=政治改革」のイメージを打ち出す事であった。
詰まり岸田は、政権の支柱である麻生と茂木から離れ、裏金事件で大打撃を受けた清和会、主流派から非主流派に転落していた志師会、退陣の経緯から岸田に強い遺恨を抱えているはずの菅へと、政権の主柱を切り替え様としているのだ。
思うに、ここにあるのは途轍もないまでの権力への執着だ。
と言うより純粋にそれでしかない。
安倍から菅、岸田へと首班が入れ替わった所で政策は変わらず、成果の上がらない安倍政権のものが継続されるだけだった。
然も後継者たちは安倍への空虚な「お追従」を口にし、統治の崩壊は止まらなかった。
その岸田が今度は菅と組もうと言うのであれば、政策も理念もあったものではない。
抑々、自民党国会議員は3桁の人数に上る人間集団であり、ここにグループが形成されるのは不可避だ。
故に派閥は必ず復活する。
だが国民にとり派閥の存在意義は今や皆無だ。
それは自民党自体の存在意義がゼロになっている事の反映に他ならない。
京都精華大准教授 白井 聡 1977年東京都生まれ。 一橋大大学院で博士号(社会学)。
専門は政治学、社会思想。 著書は「長期腐敗体制」など。
愛媛新聞 視標から
副総理はいらない、幹事長もいらない。
安倍政権の後継者もいらない。
自民党議員もいらない、自民党自体が要らない。
権力闘争の手段である派閥はいらない。
権力に執着する政治家も要らない。
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