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2014年12月02日
そしてラウンジへ @Seoul −完−
5分ほどで空港リムジンがやってきた。
宿を出てすぐの場所にリムジン・バスの停留所があり、
少し先には地下鉄「新設洞」の駅がある。
時間が限られている旅先ではアクセスの良し悪しは重要だ。
ツアーを探すとき、日程や値段ばかりが気になってしまうけど、
実はホテルの「ロケーション」はけっこう重要なのだ。
朝から晩までビッチリ観光や食事が目白押しなら、
自分で街を歩くヒマもないけど、
「自由行動」「フリータイム」が設定されているなら、なおさらです。
かつてツアコンをしていた頃、
いわゆる「イタリア・ブーム」で、
毎月、といっていいほど、彼の地に飛んでいました。
このブログじゃないけど「毎月イタリア」だったのですね。
当時、各旅行会社の価格競争が激しくなって、
「5日間で7万円」なんてツアーまで現れる始末。
時差がある国の場合、出発日と帰国日で3日間奪われるのだから、
かなり過酷です、コレ。
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バスは東大門を過ぎ、鐘路を走り、市庁方面を目指していた。
午前中のこの時間、いつものようにクルマは多いが、渋滞するほどでもない。
停留所ごとに大きな荷物を抱えた客が乗り込んでくる。
価格的にもっとも削りやすいのは、ホテルか食事です。
食事は「自由食」というなんて名目の「勝手にしろ」方式で、
ホテルは値段が安い郊外のホテルが割り当てられるわけです。
パンフには「ローマ郊外ホテル」なんて書かれてたりするんですね。
そうなると「自由行動の日はスペイン階段に行こう!」なんて思っても、
タクシーで小一時間かかっちゃう。
料金が日本より安い、っていったって、
タクシーでそれなりに3〜4千円は掛かるのですね。
東京でいえば市川とか川口あたり、
大阪なら「りんくうたうん」に泊まらされる距離感で、
「ローマか?ここ?」という感じですね。
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車窓の景色が速く流れはじめた。
高速をひた走り、あとは仁川空港に到着するだけだ。
「郊外」だから「自由食」でご飯食べるにも、英語なんか通じない。
イタリア、スペイン、フランス辺りの南ユーロ国だと、
町の中心、あるいは観光スポットを外れれば、英語できる人なんかいないわけです。
安いツアーだからって、目も当てられないでしょう?
「安いものにはわけがある」と思いながら、ツアーはお探しください。
航空券や観光地入場料やバスの料金は値切れないので、
必然、ホテル、レストランの質が落ちます。
あ、「人件費」も削られるので、ガイド、添乗員にツケが回って・・・
ツアコン辞めたのはそんな理由かな。
仁川空港へはちょうど一時間で到着し、
トランクから荷物を受け取ると自動チェックイン機に進んだ。
端末で搭乗券を打ち出すと出国へ。
預ける荷物がないので10分後にはラウンジに到着していた。
いつものように「アシアナ・ビジネスクラス・ラウンジ」へ。
ユナイテッドの格安チケット、もちろんエコノミーにも関わらず、
ラウンジを利用できるのは、「プライオリティ・パス」の恩恵だ。
朝の混雑時間も過ぎているので、ラウンジは貸し切り状態。
誰かが叩くキーボードの音だけが響いていた。
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ちょっとしたホテルの朝食に負けない料理を皿に取り分ける。
仁川空港のラウンジはなぜかカップラーメンが人気メニューで、
韓国の人はいつもお湯の前に列をなしている。
朝からラーメンに挑む胃袋は持ち合わせていないので、
ソーサーを手に取り、ソファーに沈み込んだ。
あとは出発時刻まで、エスプレッソでも飲みながらくつろぐだけだ。
毎月ソウル 10月編
―完―
帰国の日 @Seoul
早いもので、8日間の滞在も帰国日となった。
楽しくて過ぎ去ったのか、
ボー然としている間に過ぎてしまったのかはわからない。
ブログを読み返すと気がつくかもしれない。
今朝も快晴だが、風が冷たくなり、夏の気配は消えている。
キッチンでコーヒーを淹れていると、スタッフが顔を出した。
おどけて日本語でごあいさつ。
「おはようゴザイマス」
「おはよ〜」
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「朝食、トースト食べますか?」
「いや、いいよ。空港のラウンジで食べるから」
「今日でチェックアウト?」
「お〜い、スタッフなら覚えておけって〜。おれは家族か?」
「そうですかあ。今度はいつ来ますか?来月ですか?」
「そう、11月ですね。帰ったら、4日後に中国に行くのです。
その仕事を上げてからなので、次回は11月の下旬ごろに予約を入れます」
「メール待ってますよ。じゃあ、次回はボウリングしましょうね」
「おお!それはいいアイデア!
ついでに次回来るときに欲しいものありますか?」
「う〜ん、ないなあ」
「時間あるから欲しいものあったら、探してくるよ」
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「あ! 『東京バナナ』がいいです」
「え? ほんとに? 好きなのアレ?」
「いや、おじいちゃんが日本にいた時に好きだったらしくて、
釜山に帰ると懐かしがって『食べたいなあ』というんですよ。
だからおじいちゃんに食べさせてあげたくて」
「ははは、そうかあ。やさしいねえ。
そうなると買ってきたら釜山まで持っていかないとダメだね。
おじいちゃんに会いに釜山に連れていってもらわないと」
「あはは、それもおもしろいですね〜」
「覚えておくよ。あとスタッフのみんなはなにがいい?
毎回、ラーメンも飽きるでしょう?」
たいした荷物もないので、ゲストハウスに来るときは、
インスタントラーメンを箱買いして、土産代わりに持ってきていた。
アジアでは「日本のラーメン」はモノスゴク評判がいいのだ。
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「じゃあ、またカレー作ってください」
「あはは、そんなんでいいの? じゃあ、またルーだけ持ってくるかあ」
「それは楽しみです!!」
「さあて、コーヒー飲んだら空港に行くかなあ」
「朝、遅めのフライトだから、ゆっくりでいいね」
「そうだね。でも帰る日はなんにもできないけどね」
そういうと空いたカップにコーヒーを注いだ。
2014年12月01日
キッチンの時間 @Seoul
土産モノを少しと野菜を買って、宿に戻った。
9月上旬、前回の短い滞在のとき、
「日本のカレーが食べたい、あれはウマイ」
と宿のスタッフから話が出た。
「カレーぐらいなら、作ってあげるよ」
「ホントですか!それはウレシイ!」
「韓国にカレーとか、ルーとか売ってないの?」
「あるんですけど、なんか薄くておいしくないんですよ」
「じゃあ、ルーだけ日本から持ってくればいいね」
「おお!それは楽しみデス!」
その言葉を覚えていて、カバンにルーだけ忍ばせてきた。
旅先の土産、というのはむずしいもので、
特に日本からなにか買っていく場合、けっこう頭を痛める。
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ちょっと前に現地の友達に「なにがほしい?」と尋ねると、
「ユニクロ〜〜!」という回答がものすごく多かった。
安いわりにものすごく品質がよく、
日本でしか手に入らないので、
ちょっとした「ブランド」と化していたわけだ。
それもここのところのアジア進出で、
韓国にもソウルにも、中国でさえ、ユニクロの出店が相次ぎ、
「日本限定ブランド」の魅力は薄れてしまった。
いつも泊めてもらっていたシンガポリアンの家では、
なにげなく作ったカレーが大ヒット。
インド人街もアラブ料理もある国で、
日本のカレーがうまい、と好評を得て、
来星(シンガポールに行くこと)するたびにカレーを作っていた。
特に子供たちは大喜びで「辛口」のカレーをかきこんでいた。
ちなみにアメリカ人やヨーロピアンにウケるのは「肉ジャガ」です。
日ごろからジャガイモを食べ慣れていることと、
テリヤキのように少し甘めの味付けがマッチするようで。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギは世界中のどこでも手に入りますからね、
コレ、覚えておくといいですよ。
作り方も似ているし。
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というわけで、帰国日前夜の夕食はゲストハウスのキッチンでカレー。
昼番と夜番のスタッフが入れ替わる時間を見計らって、
キッチンに集合し、カレーを頬張った。
前日、一緒に南山に出向いた長期滞在の日本人も交え、
せまいキッチンでワサワサと集い、カレー大会。
「ご飯の国」の人たちにはあう味なのでしょうね。
「カリー、マシソヨ〜」
「たいした料理じゃないけどね」
「韓国のとは違ってオイシイ〜。韓国カリー、オイシクナイ〜」
「一緒に食べませんか?」
キッチンに水を取りに来たタイワンニーズにスタッフが声をかける。
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「いっぱいあるからどうぞ〜」
「いま、夕食食べてきちゃったんだ、残念!」
「また作ってよ〜」
「OK! 今度来るときもルー持ってくるよ」
「イイデスネ〜」
豪華な料理じゃないが、みなでワイワイ食べるのは楽しい。
なにせ一人旅の最大の欠点は「一人の食事」ですからね。
ホテルと異なり、このあたりもゲストハウスの魅力なのです。
2014年11月30日
地下鉄を @Seoul
連休中の車内は今日もガラガラだった。
地下鉄も普段と違った表情をみせている。
週末でも買い物客でけっこう混んでいるのでが、
秋夕(チュソク)の連休中はホントに人がいなかった。
この日はどういうわけか、登山姿の人たちを見かけた。
チュソクは山に登る、なんて慣わしでもあるのかと思い、
宿のスタッフに尋ねたところ、返ってきた答えはたわいのないものだった。
「登山が流行っているんですよ。
そのスタイルの人は年配の人が多かったんじゃないですか?」
「そういえばご年配の夫婦とか、平均年齢は高目かも」
「時期的に紅葉シーズンでもあるので、
ソウル郊外の山へ出向く人も多いんですよ」
「紅葉シーズンかあ」
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日本でも大人気の登山は韓国でも同様に年配者に人気が高いらしい。
いつも歩く東大門周辺の問屋街では、
登山やキャンプ用品を見かけるし、
スポーツ・アパレルの店でも登山やトレッキングのウェアがたくさん並んでいる。
コンロやボンベタイプのストーブ、ランタンなどが、
破格で安いので、買って帰りたいぐらいだが、
生憎、山に登る趣味がない。
ソウルの市内をホトンド網羅できる地下鉄は、旅行者にとってありがたい存在だ。
初乗りは1,000w、買い物程度の移動なら、この金額でほぼカバーされる。
「T−moneyカード」と呼ばれるICカードを使用すれば、
10%安くなるので、少し足を伸ばしても、
円貨で¥100もかからず、動き回ることができる。
たぶん日本が開発したであろうICカードのシステムはどこの国でも導入されていて、
利便性が上がるため、利用者には割引が適用される。
が、お膝元の日本はなんで割り引きないのでしょう。
SUICAでもPASMOでも使ったからといって、料金割引にならないのがナゾ。
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地下鉄料金が安いので、距離も気にせず、方々に足を伸ばすことができる。
おかげで街なかの移動なのに読書が進む。
旅先で街から街へ移動する中・長距離バスや電車に乗ると必然的に本が進むが、
ここソウルは市内でも同じようにページが進む。
長くても15分程度しか乗らないのだが、
システムにもアナウンスにも慣れてきたので、
本に没頭できるようになったのかもしれない。
山手線のようにドアの上に電光掲示で駅名表示する車両もあるし、
中央部のディスプレイで表示をする新しい車両もある。
ほとんどの車両で自動音声でアナウンスがなされるのも安心だ。
英語表記もされているので、ハングルが苦手な旅行者にもホントありがたい。
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ソウルの人たちはといえば、
車内でワンセグを見ている人がものすごい多い。
ヘッドフォンをしているので、「ここどこ?」と周りに聞いて、
慌てて降りていく姿をよく見かける。
学生に限らず、会社員でも勉強している人も多い。
このあたりは都内と変わらない風景ですねえ。
慣れ過ぎて、古い車両で本を読みふけって、あっさり乗り過ごしてます。
2014年11月29日
朝の景色を @Seoul
3連休最後の日曜日、朝はすっかり涼しさを増していた。
朝の屋台でトースト・エッグを売っている。
形的にはフレンチ・トースト、でも卵の形はそのままだから、
いうなればコリアン・トーストか。
目玉焼きとトーストを合体させて焼いたものがいい香りを立てている。
日曜の朝だというのに、次から次に客がやってきて、
これがけっこう人気なのだ。
1,500w(100円ちょい)とはすばらしい値段。
休日だから朝食は外で済ませているのか、
あるいは韓国では朝食は屋台で済ませるものなのか、真偽はわからない。
駅前の通りに出店が数軒、連なっているところを見ると、
朝食をかじりながら出勤するのが定番なのかな。
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そういえばシンガポール時代、
朝食はオフィスで食べていたっけ。
共働きの多いシンガポールでは、
朝食も外食で済ませてしまうことが多い。
コストが安いこと、片付けなどをしなくて済む、など理由は究めて合理的だ。
屋台のコーヒー・ショップで済ませることもあるし、
おかゆの店でしっかり食べる人もいる。
オフィス・ビルの1Fにはたいていコーヒー・ショップがあって、
軽食とコーヒー、タバコを売っている。
ここに「出前」を頼むと気軽に持ってきてくれるのだ。
同僚のマネージャーがスパムのサンドウィッチとコーヒーを、
毎朝、配達してもらっているのを見て、
「おれのも頼めるかな?」と聞いたら、
好みのメニューを書き取って、
「明日から一緒に頼んでやるよ」ということになった。
スパムのホットサンドは3日で飽きてしまい、
カヤ・トーストとテーシーのコンビに変えてもらったっけ。
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シンガポールではコーヒーをコピー、ティをテ、と呼ぶんですね。
マレー語の影響です。
通常はコンデンスミルクと砂糖がドッチャリ入っていて、シッカリ甘い。
甘いのを避けて、ストレートで飲むと、
インスタントコーヒーか、ティーバッグのヤツを飲むハメになるので、
ものすご〜くわびしい。
そこでミルク抜きとか、砂糖なしとか、アレンジしてもらうわけで。
よくある定番は「砂糖入り、ミルクなし」のコピー・オー、テー・オー。
ストレートの「砂糖なし、ミルクなし」ならコピー・コソン、テー・コソン。
で「砂糖なし、ミルク入り」がコピー・シー、テー・シー。
もっぱら朝は「テー・シー」を頼んでた。
有名ブランドから海外セレブご用達商品をネットで気軽にレンタル☆
コーヒー好きなんですけど、この頃は「スXXバックス」なんてなくて、
コーヒー・ショップで出すのはみ〜んな「ネXカフェ」、
だから紅茶に逃げておりました。
え? 「カヤ・トースト」ってなんだって?
こちら↓
http://www.restaurant-mrs.com/shoplist/yakunkaya.html
ココナッツのジャムなのですが、ピーナツ・バターが好きな人ならハマります。
有名店が日本にも出店しているようです。
値段はシンガポールのX倍ですけどね。
屋台のトースト、食べてみたかったけど、朝食食べて宿を出てきちゃったんだよなあ。
このブログ 今何位?
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2014年11月28日
カイ・バイ・ボと @Seoul
すっかり日は落ちきり、園内の人々も家路につきはじめた。
たいしたモノはないだろうね、なんて話しをしながら、
「南山韓屋村」に自分たちだったが、
気楽でのびのびした催しをたっぷり満喫していた。
「秋夕」の特別な催しだったことで、
特別な祝日の特別な雰囲気を楽しませてもらったに違いないのだが、
平日の「南山韓屋村」の姿を知らないため、
それがアタリなのかハズレなのかもわからない。
ただ「秋夕」が韓国の人たちにとって特別な日であり、
「特別な日」の過ごし方や家族を垣間見られたのはうれしかった。
「意外と楽しんじゃったね」
「おもしろかった〜」
「結局、韓国人のコイツが一番楽しんでなかったか?」
タイ人の彼が一番仲のいいコリアンをこづく。
「そう思う〜。一番盛り上がってた〜」
「韓国人にとっても、珍しいものが多かったの!
普段こういうのは見られないから〜!」
照れながら、彼が声を荒げる。
先着300名様限定キャンペーン中 わきが対策の「NOANDE」
「南山タワーがキレイにライトアップされてる。ここで写真撮りたい」
「みんな一緒の写真も撮ろうよ」
辺りは暗くなっているというのに、みんなまだまだ陽気だ。
「へいへい、ダンナサマ。
専門カメラマンが撮りますダヨ。
あとで一枚10,000wで販売しますダヨ」
「え〜、金取るの?!」
「たかい〜」
くだらない戯言をいいながら、写真を撮り、韓屋村の出口に向かう。
「特別な日」ともお別れだ。
出入口となっている門の外では、
明かりを灯した屋台が帰りの客を狙って、まだ営業を続けていた。
「腹減った〜、なんか食べたい〜」
「へった、ヘッタ」
「さっき、スンドゥブ食ったじゃん」
「あれじゃあ、腹の足しにならなーい」
モンドセレクション最高金賞受賞「リズムハーブS」
「帰って、晩飯食おうぜ」
「それまでもたなーい」
「のしイカが呼んでる〜」
「子供か?」
「OK! カイ・バイ・ボだ!」
有無をいわさず、屋台の前で、カイ! バイ! ボ! の声が響く。
こうなると食べることより、勝負が優先。
掛け声と同時に5人が競って、こぶしを突き出す。
ジャンケンポンとリズムが似ているので、日本人でも気後れしない。
しかも3度目の勝負、やり方は把握した。
「スミマセーン、またゴチソウになります〜」
「え〜、一回も負けてないじゃん、ズルイ〜」
アッサリと勝ちを握り、3連勝を飾る。
「『いいだしたヤツは負ける』って言葉が日本はあるんだ」
「正解だあ、その言葉」
負けたものが嘆きながら、財布を広げた。
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「ほら!」
3連勝勝ち逃げでは悪い気がしたので、
コンビニで買った缶コーヒーをみなに振舞う。
のしイカに缶コーヒーがあうかどうかはわからないが。
ところでみんな、実はジャンケンして遊びたいだけだろ?
スンドゥブと @Seoul
韓屋の中でもさまざまな催しでにぎわっていた。
広い中庭では餅つきや絵付け、旧式のブランコなど、
子供たちが夢中になるものが並んでいる。
ボランティアだろうか、ここではさすがに介添えのスタッフがついていたが、
なんとなく行列していて、なんとなく順番を変わっていて、
なんとなく自主的にみなで楽しんでいる。
軽いコスプレを体験できる民族衣装のコーナーは、
さすがにお金がかかるようだが、
その他の遊びはお金を払わなくても体験できるので、
子供たちも気兼ねなく並んで遊んでいる。
遊び方を間違えたり、並び順でもめたりしないよう、
周りの大人が声をかけたり、見守っているのが微笑ましい。
お金を取ったり、ルールで縛り付ける必要はないのですよね。
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今年、どこかで似たような感覚を覚えたな、と記憶を手繰る。
まったく違う風景だが、5月に訪れたロンドンのフェスが同じ空気感だった。
大勢の人が集まっても、なにかで括りつける必要はないのだ。
昔の韓屋を再現する建物の奥では、かまどに火をくべている。
機織りの音が連なる横で、焚き木の爆ぜる音がする。
日が傾きはじめたこの時間でもアジュマはせわしなく働いている。
「なにか作っているのかな?」
「ちょっと聞いてみますよ」
そういうと彼はかまどに木を放り込んでいるアジュマに話しかけた
この時間になるとかまどが焚き火のようで、恋しく暖かい。
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「スンドゥブ(豆腐)を即製で作るみたいですよ」
「へえ、このカマドで作るんだあ」
「豆をこしたものを茹でて、それでできるみたいです」
「それじゃあ、豆腐にならないよ。ニガリを入れると固まるんだよ」
「スンドゥブの作り方は知りませんでしたよ」
「さっきの餅もおいしそうだったなあ」
「待っていればもうすぐできるわよ」
「よおし、食べさせてもらおう」
「湯気が熱いから、鍋の周りは気をつけてね」
みなで好き勝手なことを語らい、ニギヤカに火を囲んでいると、
知らない間にアジュマも話しの輪に加わっていた。
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「日が落ちると少し冷えるね」
「もう10月だぜ」
「そうですね、中秋でした」
湯気が立つできたての豆腐は、手作りの味が暖かかった。
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2014年11月27日
民族衣装に惹かれて @Seoul
韓屋村の中は、かなりの人でにぎわっていた。
公園内にはシーソーや矢投げ、コマ回しや木切れを投げる占いなど、
昔ながらの遊びがいくつも置かれている。
どの遊具にも子供を連れた家族連れやカップル、
友達同士で戯れる人が列をなしていた。
遊具はただ置かれているだけで、
遊び方も順番待ちも混雑も混乱もない。
係員など一切いなくて、ほったらかし。
それでも遊び方のわからない子供に大人たちが口々に教え、
順番を待つ人に当たり前のように遊具が手渡されていった。
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韓国の古い遊びにも興をひかれたが、
それよりも整然と遊具を手から手に渡していく、大人の振る舞いにシビれた。
地下鉄で列にも並ばず、争うように席を奪う人たちがこれなのである。
散らかっている道具はないし、
暗黙のうちに順番待ちもすげ変わっていく。
なんともみんな大人なのだ。
日本だったら、これだけの人が集まる場所、となると、
係員がつき、使い方を注意し、お金を取って、チケットを売りさばき、
あげく警備員が立つことになるだろう。
あるいは投げると危険な矢にはくだらない安全対策が施され、
ケガする恐れがあるシーソーなんてものは撤去の憂き目に会うかもしれない。
省みると我が国はなんて子供っぽい国なのだろう。
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はしゃぐ子供たちの横で、ジェントルな大人に驚かされた。
そのジェントルな大人たちが子供たちと一緒になって、笑顔で遊んでいる。
バカ高い金をふんだくるテーマパークに行かなくても、
お金を一切使わない素朴な古い遊びでこれだけみんなが笑顔になっている。
ネズミの着グルミがいなくても楽しいのだよ、充分に。
秋夕(チュソク)ということもあって、チマ・チョゴリを着けた子供が多い。
七五三の境内を歩いているかのように色鮮やかで、
韓国ではチュソクが特別な催しであることを想像させる。
ちなみに「チマ」はスカート、「チョゴリ」は上着でございます。
チョゴリ姿のおじいさんやおばあさんが、
孫の手を引いて歩いている姿を見かける。
長年、着てきたのであろうその姿がなんとも美しい。
ご年配のシブイ色合いのチョゴリがたまらなくステキなのだ。
外国人が日本に来て、着物姿に魅惑される気分が少しわかった気がする。
海外への格安航空券はこちらから
お隣の国ながら、日常的な民族服に感服、着慣れた姿が美しい。
観光客向けの、いかにもだろうなあ、という思っていた民族村。
日光江戸村か、はたまた映画村か、
高をくくって訪れたのだが、そこにいた人々にシビれてしまった。
韓国の思わぬ一面を垣間見た、チュソクの一日。
韓屋村にて @Seoul
地下鉄の出口に差し掛かると急に人影が濃くなった。
忠武路(チュンムロ)駅の出口から、
ゆっくりとした坂が韓屋村の入口に伸びていた。
その通りはまるで参道か境内のようで、
道の脇に出店が連なり、行楽客の足を止め、混雑を作っている。
食べ物だけじゃなく、アクセサリーやサングラス、子供向けのオモチャも売っている。
地下鉄の駅に向かって、たくさんの人が行き来しているところ見ると、
なにがしかの催しは行われているらしい。
収穫なしの空振りにはならなそうだ。
http://www.konest.com/data/spot_mise_detail.html?no=259 南山韓屋村(コネスト)
「佐藤黒」・「村尾」など他では手の入らない銘酒ぞろい
明洞から歩いてきて、小腹が減ったのか、誰かが屋台に張り付いた。
焼き鳥の親分のような串焼き。
香ばしい香りと煙が食欲をそそる。
どうやら塩コショウ味とコチュジャン風味の2種類があるようで。
「5人で勝負しよう!」
誰が言い出したかわからないが、
負けたものがオゴリ、という話しだけは飲み込めた。
「なにで決めるんだよ?」
「カイ・バイ・ボ、です」
「なに? それ?」
「え〜、知らないの〜」
韓国人、タイ人、日本人x2、4つの視線がコチラに集まった。
「ハングル、わからないって〜」
「ジャンケンですよ、日本と一緒」
「え〜、そうなんだ、知らんかった」
「やるよ〜」
有無をいう間もなく、屋台の前でジャンケン大会。
肉を焼いているオバチャンは笑っている。
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「カイ! バイ! ボ!」
「やた!」
負けた二人が串焼き5人前〜20,000wを折半でお支払い。
シブシブ財布を出して、列に並んでいる敗者を尻目に、
我々、勝者は遠目に好みの味を言ったり、焼き加減を伝えたり、
好き勝手に勝ち味を楽しんでいた。
小腹を満たしながら、韓屋村へ足を踏み入れる。
食べに行くだけでキャッシュバック(報酬) 飲食店ポータルサイトの全く新しい形「fun@外食」
南山韓屋村(ナムサン・ハノクチョン)は、
南山タワーの山の麓に広がる大きな公園だ。
明洞から近いこともあって、ベタ〜な観光スポットでもあるのだろう。
大通りに止めた大きな観光バスから吐き出された観光客が、
ガイドに蹴り飛ばされながら、ダラダラと歩いている。
韓国の古い家屋を生かした民族村か公園、という体裁なのでしょうね〜、
と、出来合いで作り物の民族村に期待は抱かずに歩みを進めた。
ところが「秋夕」という時節が、意外なシーンをみせてくれた。
2014年11月26日
人ごみと @Seoul
宿のスタッフやその友達、長期滞在の人たちと一緒にでかけた。
宿の前の大通りで市バスに乗り、明洞(ミョンドン)へ。
車内は案の定空いていて、5人組の自分たちが過半数を占めている。
しばらく走ると窓越しのビルの前に人だかりが見えた。
「ガラ空きの祝日なのに、なんであそこには人だかりが?」
「ああ、あれは映画館ですよ」
「映画館は営業しているのね」
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「休日の一番人気の娯楽ですからねえ。行ったことあります?」
「ないよ〜。おれ、旅行者だぜ。料金はいくらぐらいなの?」
「8,000wぐらいですね。早朝とかは割引がありますよ。
あとグループ割引とか、映画館によっていろいろサービスアリマス」
「日本は20,000w以上するよ」
「え〜、ホントオ?」
「ホント。換算すると24,000弱だから、韓国なら3回見れるね」
たわいのない話をしている間にバスは明洞に到着した。
ソウルには繰り返し来ているが、春先から明洞に来ていないことに気がついた。
ソウルの人気ホテルが毎日値下げ・バーゲンハンター
「わあ、ミョンドン。ヒサシブリ〜」
「え〜、あなた旅行者でしょう、なんでミョンドンにコナイの?」
「用事ないからコナイの〜」
秋夕(チュソク)などドコ吹く風、
明洞のメインストリートはいつも以上に混んでいた。
中秋などおかまいなしの観光客で混んでいるのか、
どこもかしこも閉まっていて行き場をなくした地元の人で混んでいるのか。
オノボリサンは手を上げてください、と声を上げようかとおもったが、
誰も答えてくれそうにもなかったので、やめておいた。
ラッシュアワー並みに混んでいる通りを抜けて、南山韓屋村を目指す。
ワンブロック離れただけで、シャッターの壁が我々を出迎えてくれた。
歩道を歩く人はまったくいなくて、ちょっとしたゴースト・タウンだ。
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「ところで南山の韓屋村でなにが行われているの?」
「わからないです。なにか催し物があるらしいですが」
「あはは、わかんないの? ただの公園だけだったら、オモシロイなあ」
「やることないし、まあ、ブラブラいきましょうヨ」
自分たちの声だけが、通りに響いていた。