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2017年01月22日

流線【第4話】

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「おし。じゃあそろそろミーティングを始めよう!」






プールサイドに部員が全員集まり、練習に備えて陸トレをしている部員もいれば、ただ突っ立っておしゃべりしている1年生もいることに見かねた戸川主将が声を張った。






海藤高校水泳部では練習前に部員全体のミーティングがある。主将の戸川先輩がプールサイドに散らばった部員たちに声をかけ、全員が集まりおおきな輪をつくったところで





「じゃあまず緒方、今日のメニュー説明を頼む。」





の一言でミーティングが始まる。






「はい。メニュー配るので回してください。」






健吾は自分で作ってきた、何枚かの練習メニューの紙を部員たちに配る。





「今日はもう5月の末で、大きな大会も近くなってきたということで、レーススピードを意識した練習になっています。メインはS1での100m、2分サークルを5本、alloutです。意識することは〜・・・」






「・・・〜です。何か質問はありますか?」






大体、こう聞いても質問はないのだが、定型文として毎回最後に質問の有無を聞く。





だが今日は手を挙げる珍しいやつがいた。





「はいはーい。ちょっといい???」






俊平だった。







「はい。なんですか?」
(下らない質問だったら無視しよう。。。)







「戸川主将の隣にいる子、見たことない子なんだけど新入部員???」







割と普通の質問だった。







戸川先輩の姿を探す。







確かによく見ると先輩の隣には見たことがない顔の選手がいた。






みんなが不思議そうに、見慣れない水着姿の選手を見つめていると
戸川先輩がその視線を切るように鋭く声をあげた



「すまん!紹介が遅れた!」




「今日から新しく入る1年生の結城だ。結城、一言もらっていいか?」






戸川先輩がそう言うと「結城」という一年生は前に出て






「一年生の結城凌斗です。S1はフリーとバックです。よろしくお願いします」





と表情を変えず不愛想な様子でそう言った。







「というわけだ。結城は中学時代、全国大会にも出場経験のあるレベルの高い選手だ。俺たちにとっても結城の入部はいい活力剤になるだろう!」







部員たちは新入部員が全国レベルだという話を聞いて、少し顔に結城への関心の色を示した。








「緒方、邪魔して申し訳ない。続けてくれ」







戸川先輩がミーティングを続ける指示を出す






「はい。では練習の準備がすんだら、円陣を組み、声出ししてからコースに分かれて練習しましょう。」








「「「はい!」」」


そう健吾がミーティングを終わらせ指示をすると、
声のそろった返事を合図に、部員たちは自分の準備をしに散らばっていった。













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健吾は皆が準備をしている間に結城のもとへ近づいていった。








「初めまして。俺はこの部活でマネージャー兼コーチをやっている緒方だ。よろしく。」








知ってます・・・








(ん?声が小さくて聞こえなかった。まあいいか。。。)








「中学まで泳いでたってことはメニューの内容は説明しなくてもわかるよな。」







結城は小さく頷いた







「オーケー。うちのチームは練習前に円陣で声出しをしてから練習を始めるから。よろしく。」







「ん、そろそろみんな集まってるから行くぞ」







健吾は飛び込み台の前に集まり円陣を組み始めている部員たちをみて、結城を誘導した。







結城と駆け足で飛び込み台の前に向かってく。






すると俊平が後ろから駆け足で追いついてきて、健吾と結城の間に割り込んできた。









「リョートくん、S1バックなんね!俺もだよ!よろしく!」







(名前を先に言えよ。。。)





俊平は、自分の名前も語らない特殊な自己紹介をしながら二人と一緒に円陣の元へとむかい、3人でもともと出来上がっている輪の中に入っていった。







肩を組みながら俊平が結城に小さく声をかける






「戸川主将、声出しの時、基本何言ってるかわかんないから適当に合わせとけば平気よ」







ツッコミどころ満載だ








まあいいか、
と呆れていると結城もそれに頷いたのが横目で見えて、さらに突っ込みたくなる。









「うし!じゃあ今日も声出し行くぞ!」







そういうと、戸川先輩は手を口に当て、天井を見上げながら大きく息を吸い込む。
部員たちもその姿を見て、一瞬静かになる。その瞬間を見計らって戸川先輩が勢いよく頭を振り下ろした









「カッ!!!イッ!!!トォーーーーーーーーーー!!!!」








「ファイ!!!」







「「「ファイ!」」」








この「ファイ」の声が何度も繰り返される。










隣で俊平が「ほい」とか「はい?」とかふざけた声を出しているのを無視して健吾も声を出す。










「カッ!!!イッ!!!トォーーーーーーーーーー!!!!」










この声が出ると、最後の声出しだ。









「「「ファーーーーーイ!!!」」」








最後に部員全員の声がそろい、だんだんと小さくなると、声が拍手の音に切り替わる。







「うし!じゃあ挨拶して入水だ!」







戸川先輩の一言で飛び込み台の前に部員全員が一列に並んで整列し、








「きをつけ!!!礼!!!」






の声で一斉に頭を下げる。







「「「よろしくお願いします!!!」」」








皆、プールに向かってお辞儀をし終わると、頭をあげメッシュキャップとゴーグルを手にして練習を始める準備をした。








健吾もストップウォッチとタイムを書き込むボードを準備する









「じゃあ回って上から行くぞ!」







と戸川先輩が声をかけると、練習が始まった








第5話はこちら↓
https://fanblogs.jp/dapochi/archive/22/0






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