2020年03月25日
たしなめる
ここでの「たしなめる」とは漢字で「窘める」の方です。
「たしなめる」を漢字変換すると「嗜める」も出てきます。
が、こっちの「たしなめる」は「お茶をたしなめる」などに使います。
今回の「窘める」は、目下の人に対して、してはいけない点を注意するときに使います。
それも穏やかに。怒鳴るとかそういったことにはつかわないようですね。
「戒める(いましめる)」といっても良いかも知れません。
昔のドラマで20代の若い女性が、50代の上司に恋をしてしまいます。
ある晩、女性が体調を崩して、それを心配する上司の家に上がり込みます。
そして
「今夜は帰りたくないからここに泊めて。」
と。
上司は
「無理を言うな、私はもう窘める年齢なんだ。」
と女性を諭します。
前なら言葉の意味としてはわかっても、実感が湧かないで見ていました。
最近ふと、5〜6年前のことを思い出しました。
何人かで飲みに行ったときです。
店は混んでいて、隣のボックスから会話が聞こえていました。
すると一緒に飲んでいた女性が、
「私のことをババアと言ってる。」
きっと酒に酔って暴言が始まったのでしょう。
言われっぱなしはイヤなので、私はケンカを売るように暴言を吐いた若い男を睨んでいました。
確か私が席を立ったタイミングで睨んでいた男が近づいてきました。
自然と、
「表に出よう。」
となります。
表に出ると、よくありがちなのは
「なんだテメー!」
とケンカになる場面です。
が、
そこは私がどう見てもずっと年上。
さすがに若い子を相手にそれはできません。
必然と
「あんた、失礼なことを言ってはいけないよ。」
となります。
向こうも後ろめたさがあったのか、ケンカどころか段々と世間話になり、
「ああ、あのビルで働いてるの、そのうち飲みに行くわ!」
と、平和解決。
思うと、あの辺りから私の「窘める」が始まっていたのだと思います。
だからか仕事でも若い人を言葉で「シバく」ことが何度かありました。
でもケンカになりません。
それは単に、こっちの感情や苛立ちを相手にぶつけるのではなく、
「あなたのしていることは、道徳上いけないことだよ。」
と、そんな言い方に変わってきたのでしょう。
「分別(ふんべつ)」ってあります。
Wikipediaだと、
「善悪を識別できる見識を有していること。」
とあります。
歳を取ってくると、自分の感情だけではなく客観的に状況を把握できるようになるのかと思いたいです。
私だって。(笑)
さて、「窘める」。
普段からあまり使うことのない、また聞くことのない言葉です。
「窘める」は目上から目下の人に対して使います。
では目下から目上はどうでしょう。
これもあまり聞かない言葉で
「諫める(いさめる)」です。
子が親を叱るとは言いません。
NHKの大河ドラマでは
「〇〇殿をお諫めになるのですか?」
とか使われていました。
怒るとか注意するとか本(もと)になる感情は一つであっても、相手によって表現はいろいろあるんですね。
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