2019年09月01日
IT講師 2/6 「講義」
新たなコールセンターに配属されると、まず研修が始まります。
研修の講師は通常、リーダーかSVが担当します。
彼らはほぼ、講師として特別なトレーニングを受けているわけではありません。
いわゆる“自己流”ですから、聞いていて上手い人と下手な人の差が大きく表れてしまいます。
“職業訓練指導員”という資格があります。
きちんとした教育施設できちんと講義を行うにはこの資格が必要になる場合があります。
訓練は四つのサイクルを繰り返します。
「導入」→「提示」→「実践」→「効果測定」
・導入
まず、トレーニングを行う目的を説明します。
おおざっぱに言うと、
「これから表計算ソフトの操作方法を学びます。表計算ソフトを使うことにより、複雑な計算も一度に正確にできるようになります。」
コールセンターに置き換えるなら、
「これから顧客リストの端末操作方法を学びます。これによりお客様対応した内容を履歴としてシステムに登録し、他のオペレーターが参照して後の案内をスムーズに行えるようになります。」
・提示
トレーニングする内容をまず手本として示します。
PCの操作であれば、操作しているPC画面をモニターに映すなどします。
テキストであれば、皆テキストの同じ場所を参照します。
・実践
受講生が同じように操作を実習します。
テキストなら、書いてある通りに頭でイメージします。
・効果測定
テストです。実践の効果がきちんと出ているか確認します。
効果測定が終わると、次の単元をまた提示から始めていきます。
コールセンターで上手な講師はこれに近いことが極々たまにあります。
コールセンターの研修で、このサイクルが行われているのを見ることはまずないです。
中でも「導入」はとても重要で、例えるなら受講生は目隠しをされ、これから手を引かれてどこかへ連れていかれるようなものです。
そのとき、これからどこへ行くのか、説明するのが「導入」です。
コールセンターなら研修と聞くだけで、だいたい何を学ぶのかわかっています。
それでもきちんとした説明はするべきだと思います。“目的”がはっきりするからです。
「提示」を行うのに、視覚を使うことができれば効果的です。
PC操作であれば画面をモニターに映して見せるとか、テキストであればテキストを映し出し、参照する場所を指で指し示すことができれば良いです。
しかしコールセンターではそういった設備が普通ありません。
モニターがなければ口で説明する必要があります。または一人ずつ付いて説明するとか。
実は自己流の講師はここがいちばん、甘いと思います。
実際の研修施設では、今何をするべきか説明が徹底しています。
「はい。正面のホワイトボードを見て下さい。」
「はい。テキスト〇〇ページ、上の図を見て下さい。」
というように。
これがなければ必ずついていけない人が出てきます。特に私のようなオジサンに多く。
また、現在の進行に受講生たちがついてきているか、この確認ができないのは致命的だと思います。
脱落者を出してしまうことが何より講習の意味をなくしてしまうのです。
コールセンターの研修では大抵、テキストがコピーで配られ、それをもとに研修が進められます。
テキストは厚いものだと数十ページに及ぶものもあります。
そんな迷路のようなテキストでも、下手な講師は自分が見ているテキストの箇所は、受講者も見ているだろうと勝手に思い込み、進めてしまいます。
迷子になった受講生、本当なら質問すれば良いのですが、自分ひとりのため講義を止めるのは悪いと思い、ますます迷子になってしまいます。
「効果測定」は受講生の習得度を計るのはもちろんですが、脱落者が出ていないことを確認できるものでもあります。脱落者は受講生のレベルかも知れませんが、講師の説明が悪かったのかも知れません。
コールセンターの研修でついていけない人が現れてしまうのは当たり前にあることです。
その主な原因は講習内容に対して受講時間が短いことにあると思います。
ビジネスですから、時間が限られている。または効率が求められることもあるでしょう。
でも実際に講義を組み立てて時間配分をしても、その8割ができれば上出来という世界です。
センターによって受講内容は大小さまざまです。
発信に比べ、受信は学ぶ知識が膨大です。
研修のボリュームに対して受講時間が適切かどうか、無理に詰め込み過ぎのセンターも多いと思います。
私が講義するとき、受講生にきちんと学んでいただくことが第一でした。
が、もう一つ大切にしていたことがあります。
それは受講生の“笑い”を取ることでした。
受講というのは大変なことであり、面倒なことであり、眠いことでもあります。
緊張があればあるほど、取り除く必要があると思うのです。
毎晩、明日の講義内容を考えます。
同時に笑いは、、、
笑いはナマものですからその場の空気に左右されます。
前もって準備することはできません。それでも笑いを取ることに必死になっていました。(笑)
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