2018/12/28「事情」という記事を書いています。
暮れになると(意図せずに)人の人生を紹介するテレビを見ます。と書いています。
昨年の暮れにも同じような番組を、帰省先で見ることになりました。
(YouTube:Sunday Japan)
12/30深夜に放映された、
「プロ野球戦力外通告 −クビを宣告された男たちー」
という番組でした。
プロ野球で活躍していた選手たちが一転、戦力外通告を受け、11/13に行われた12球団合同トライアウトに参加するドキュメンタリーです。
番組では戦力外通告を受けた選手のうち、3人にフォーカスをあて紹介していました。
ひとりは元ヤクルトスワローズ、古野正人投手(32)。
一軍通算62試合に出場、2015年リーグ優勝に貢献しました。
4年前に結婚、6歳年上の奥様がいます。
いつも自信に満ちていた古野投手が戦力外通告を受けた直後、
「もう野球を続けられないかも知れない。」
そんな弱音を吐く夫を初めてみたと言います。
古野選手は言います。
「クビってすごいよな。言われた3日くらいは寝れなくてベランダへ行ったり、、、」
今年も一軍で勝ち星もあげています。辞める理由はないと現役続行を決意しました。
高校、大学、社会人、古野はいつもエースにはなれなかったものの、努力を重ね、25歳のときドラフト6位でヤクルトスワローズに入団。プロ2年目で先発に。
4年目2015年には27試合に登板。先発、リリーフを務め、スワローズはリーグ優勝。
しかし翌年、29歳の古野選手は打球を追って転倒。
転倒時に右肩を亜脱臼。肩関節の靱帯も損傷し2年間、リハビリすることになりました。
それでも昨年8月、一軍に戻り先発。阪神戦で完投勝利します。
3年振りの白星でした。
しかしこの後、チーム事情により2軍降格となり、2試合7失点。戦力外通告を受けます。
プロ3年目で結婚した古野選手。
奥様は中学で父を亡くし、母の苦労を知り自立を考えるうちに結婚願望はなくなったと言います。
しかし、古野選手の強さに惹かれ、「だってそれって幸せやん?」というシンプルな言葉に説得され結婚。
古野選手はトライアウトに向け、練習を始めます。
どの変化球もキャッチャーはミットを動かすこともなく、ボールは吸い込まれます。
二人目は元ソフトバンクホークスの城所龍磨外野手(33)。
守備、走塁のスペシャリスト。盗塁成功率は78%。
打っても2016年には交流戦の打率が4割1分5厘。MVP。
城所選手には二人の娘さんがいます。
6年前に結婚し、6歳の長女と2歳になる次女。
長女は最近になり父がプロ野球選手だと理解し始めました。そんな父はかっこいいと。
またこの長女がかわいいんです。
父は盗塁するとき、スライディングします。
盗塁後、ユニフォームに付いた泥を落とす姿をみて、「コケた」と誤解しているようです。
城所選手は甲子園に二度出場、1年からレギュラー。走攻守、揃った外野手。
2003年、ドラフト2位で福岡ダイエーホークスに入団。
2年目から一軍、ライトからの好返球でバックホームを阻止できる強肩。
しかし一昨年の2017年、10歳年下の上林選手が活躍。
その年に城所選手は一軍で2試合のみの出場となってしまいます。
それでも昨年は一軍で41試合に出場。日本シリーズ出場40人枠に入ります。
そして日本シリーズ制覇の4時間後、午前1:30分に球団から電話。
「明日の15時、球団へ来てくれ」と。
城所選手はそれがどういうことか、わかっていたと言います。
戦力外通告を受けた城所選手は、もうホークスにはいられないと娘に告げます。
そのときの気持ちといったら、どんなものだったでしょうか。
長女は野球を続けてと言いました。
家族のことも考え、城所選手はトライアウト参加を決意します。
練習を始めた城所選手の強肩は健在です。
三人目は元オリックスバッファローズ、塚田貴之投手(25)。
二年連続のトライアウト参加です。
塚田選手は一昨年、2017年に戦力外通告。婚約を約束した人がおり、もし戦力外通告を受けていなければ結婚していたといいます。
ぜひプロ野球選手に復帰して結婚をしたいと考えています。
2018年1月、独立リーグ、福井ミラクルエレファンツに入団します。
それは再びトライアウトに参加できるように、野球を続けるためでした。
しかし独立リーグでの収入は月に14万円弱。さらにシーズン中の4月から9月のみ。
同居している婚約者もショッピングセンターの清掃をすることで家計を支えています。
月収は17万円。
塚田選手はプロ一年目、2016年に二軍で61試合に登板、防御率は3.10。
ウエスタンリーグ最多登板記録を持っています。
一軍で活躍できればシーズンオフに結婚しようと考えていました。
しかし二年目に背中痛。三年目を迎える前に戦力外通告。
婚約者は言います。
「こんなに残酷な世界とは思わんかったわ。」
2017年トライアウトの成績は、レフトフライ、フォアボール、右ヒット、内野安打。
満足のいく結果ではありませんでした。
それでも独立リーグで野球を続けたいと願うのでした。
独立リーグでは26試合に登板、シーズン終了後も場所を確保しては練習に打ち込みました。
そして2018年11月13日、12球団合同トライアウトが始まります。
会場は福岡ソフトバンクホークスが二軍・三軍の専用球場、また練習場等として使用しているタマホーム スタジアム筑後。
参加選手は投手29人、野手19人の計48人。
トライアウトで投手は打者3人と対戦します。
古野選手は、センターフライ、サードゴロ、センター前ヒットの結果。
この結果に手応えを感じていました。
打者は5人の投手と対戦します。
城所選手は、センターフライ、見逃し三振、フォアボール。そして盗塁成功。
センター前ヒット、ライト前ヒットでした。
本人は満足のいく結果でした。
塚田選手は3人の打者と対戦します。しかしストライクが入りません。
フォアボール、フォアボール、ファールフライ。
まったく納得の行く結果ではありませんでした。
トライアウトは終わりました。
でも本当の辛抱はこれからと言えます。
球団からのオファーは1週間以内といいます。
でも実際には翌シーズン開幕後に連絡があることも。
プロに執着するのであれば転職もかなわず、オファーを待ち続けることになります。
そしてトライアウト二日後、古野選手にオファーが来ます。
それは社会人チーム日立製作所からのものでした。
創立101年、名門ではあるがプロではない。
プロを目指す古野選手は今や32歳。
社会人からプロになったが、これから社会人になればプロ復帰は難しいことを十分に理解しています。
日立製作所は断ることに。そして一旦ゆっくりしたあと、次の道を目指すことにしました。
プロ野球への未練を断ち切り、すぐ就職活動を始めようと翌日、ヤクルトの二軍球場へ荷物の整理をしに行っていた古野選手に電話が。
相手は阪神タイガース。
選手としてではないが、バッティングピッチャーとしての誘いです。
プロ野球にかかわる仕事です。
古野選手はそのオファーを受けます。
しかしバッティングピッチャーではテレビで見ることはかなわないでしょう。
番組はそこで終わっています。
とても厳しいプロの世界です。
阪神は上手いですね。選手を拾ってくるのが。
福留孝介選手だって、しっかりと戦力になっています。
しかし、番組を見ていて「あ?」と思った選手が二人いました。
どちらもトライアウトに参加した選手。
ひとりは元阪神タイガースの西岡剛選手、何とインスタグラムで戦力外通告を受けたようです。
活躍していたと思いましたが、ケガでは仕方がないのでしょうか。
もう一人は鵜久森淳志(うぐもりあつし)選手。
彼は2004年夏、甲子園で決勝まで進み、駒大苫小牧高校と対戦し最後の打者となりました。
この試合で駒大苫小牧高校は優勝し、北海道初の甲子園制覇を成し遂げることとなります。
しかし鵜久森選手もこの甲子園で3本の本塁打を打った強打者です。
日本ハムに入団したことは知っていました。が、活躍を聞かないうち、2015年に戦力外通告。
トライアウトでヤクルトへ移籍。しかし今年からソニー生命の営業職員になるようです。
また2004年、夏の甲子園には東北高校からダルビッシュ有選手も出場しています。
そして奇しくも最後のバッターでした。
見逃し三振後、天を仰ぐダルビッシュ有選手が画になっていました。
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